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第181話 人の身で辿り着く頂き


スカイサークルを禁忌の山に向け発進し大空を駆け抜ける。


巨大な船体からは想像もできない程の速度で驚く。


自分達で造ったとはいえ、凄いなと思ってしまう。


禁忌の山に近づくと、そこには既に無数の龍が滑空していた。


どうやら俺達を待っていてくれたようだ。


龍の群れに入るとスカイサークルを止め、俺達全員は艦上の闘技場へ向かった。


俺達の姿を見つけてくれたのか、五大龍と真龍王バハムートも闘技場へ下りてきてくれた。



『フハハハハ また飛んでも無い物を造ったものだな♪』×真龍王


『ああ 頑張って皆で造ったんだ、とても地上では戦えないと思ってね』


『なるほど、確かに我らが戦うのであれば地形が変わるかも知れんな』


『だが、そこまでの戦いになればの話しよ』


『俺達は唯戦いにきたんじゃない、勝ちに来たんだ』


『きっと本気を出させてやるさ』


『フハハハハ 我らを前にして、その胆力恐れ入る♪』×黄龍


『なれば我らも、相応の意気を見せねばな』



巨大な五大龍と真龍王は闘技場へ降り立つと、身体が光り輝き人型へと変化していく。


驚いた事に五大龍と真龍王は龍人に姿を変えていた。


龍人と言えどオーラとは違い、頭には龍の角が生えていた。


各人の髪の色で黄龍、赤龍、白龍、緑龍、青龍の区別が付く。


何より驚いたのが紫の長髪を靡かせ、抜群のスタイルと美貌を携えた女性が立っていた。


この威厳、この佇まい・・・間違える筈がない真龍王バハムートだ。



『何を驚いている、我らが人化如きできぬと思ったか?』


『お 驚いているのは真龍王が女性だったのかと言う事だ』


『フフフ 我らに性別など意味を持たぬ、それとも我に見惚れたか?』


『ああ 大人の女性って感じだな、とても綺麗だ♪』


『フハハ 真龍王様に対して軽口を叩く余裕まであるか♪』


『五大龍の皆も大人の男性って感じだな驚いたよ』


『我らがこの姿になるのも久しぶりよ、言っておくが対人戦ならこの姿の方が強くなると思うが良い』


『ああ 俺達もその方が闘い易いから助かる』


『ふむ・・・大した自信だが、本当に我らの相手に成るのか?』


『真龍王様には悪いが、とてもそうは見えぬのだが・・・』


『んふふ 少し聞いてみたいんだけど龍って訓練とかしたことあるのかな?』×ミュウ


『我らが訓練?人族の様にか?』


『ワハハハハハ♪』×五大龍


『ある訳がなかろう?我ら龍とは生まれた時から強者なのだ』


『やっぱりそうなんだ・・・私達人族はね生まれてから一杯努力するの頑張って頑張って強く成っていくのよ』


『私達は貴方達と戦う為に頑張って訓練したわ』


『そしたらある時ね、何かを超えたの』


『それが何かは分からない、でもそれから何かが変わったの』


『今の私達にはハッキリと分かる、五大龍と呼ばれる貴方達の強さが、恐ろしさが、その存在感が』


『これが龍の境地と言ったところか・・・』×オーラ


『凄いニャー こんな世界に住んでるんニャ』×ムーア


『フフ 産まれ付きの強者には分からないでしょう♪』×ライカ


『はい、僕達は努力を超えて辿り着いたんですから』×ロック


『俺達が龍の強さも分からず挑みにきたと思ったのか?』


『真龍王は分かっていた様だが、分かり易くしてやる』


『これが俺達の力だ!』



俺達は莫大な力を開放した、ある時を境に自然と内包できるようになった溢れでるような力を。


俺達6人は先ほどとは比べ物にならないような、圧倒的な存在感に身を包んでいく。


とてもこんな状態では人里には居られない様な、人知を超えた圧倒的な力を。



『こ これは・・・』


『我らの人化と違って姿形は変わらぬが、先ほどとは別物だ・・・』


『他の龍達が畏怖しておる、確かに我らと同じ場所に辿り着いておるようだな♪』


『真龍王様には分かっていたのですな?』


『我とて分かっていたのではない、信じていたのだ好敵手をな♪』


『フフフ フハハハハ 面白い面白いぞ♪』



五大龍達は自分達の力に匹敵する相手が現れた事に、怯むどころか心の底から嬉しそうにしている。


これが龍と言う生物なのだろうか、自然と俺達の口角も上がっていく♪



『もはや言葉では語れぬな』


『『『『『『来い人族よ』』』』』』


『『『『『『おう』』』』』』



遂に龍達との戦闘が口火を切った。


戦いの衝撃により巨大な飛空艇が揺れ動く、だがアダマンタイトで出来た闘技場は凄まじい衝撃に耐えていた。


中空に浮かんでいる事で衝撃を逃がし緩和する、これがもし地上なら大地は割れ一撃の度に地形が変わっただろう。


それにしてもミスリルですら寸断する俺達のアダマンタイト製の武器が弾かれる。


なんて人化しているとは言え体に纏う龍鱗の防御力は健在なのか、だが僅かとはいえ確実にダメージを与えている筈なのに龍達は一向に怯まない。


そして俺が相手をしている真龍王は、未だ全く本気を出していない。


本気で魔力を込めた俺の一撃を往なし、受け止め、弾く。


一体どれほどの高みにいるのか・・・


やはり真龍王だけは別格の様だ、俺達は連携技を駆使して真龍王に挑み続けた。


龍達には連携と言う概念はない、個で最強だったのだから当然と言えば当然だ。


俺達に勝ち目があるとしたら、これしかない。


それでも俺達が連携技で優位に立ったとしても、簡単に崩れてくれる筈もなく戦い始めて半日が経とうとしていた。



『フハハ まさか我らと此処まで戦える者が居ようとは♪』


『だが、そろそろ決着を付けようか』


『良いのか?このまま戦い続けた方が有利なのは分かっているんだろ?』


『それは興が削がれると言うものだ、我らは満足がいく闘いがしたいだけよ』


『分かった俺達も全力を出す、だが長くは持たないぞ速攻で極めさせて貰う』



『フフ 望むところ我らを超えてみよ♪』


『やっぱり呆れるほど強いわね♪』


『ヘルクレスの杭まで使ってるのに、飛んでも無い強さニャー 』


『でも全力を出すのは気持ち良いですね♪』


『フハハ ロックも戦闘狂になったものだ♪』


『出し惜しみする余裕はなさそうですわね』


『ああ スキルもシンクロも全開放になる』


『うはー 持って数分ってところじゃない?』


『その数分に全てを掛けようか♪』


『うむ、悪くはないワシ等らしくて良いではないか♪』


『僕の全て賭けますよ♪』


『ニャハハ 全力ニャー♪』


『フフ 全身全霊ですわ♪』


『ワシも力は残さんぞ♪』


『んふふ これが最後ね♪』


『俺達の全力は6人が渾身一体になった時だ』


『サークルの力を、仲間の力を見せてやろう』


『『『『『おう』』』』』


『<龍気+10>・・・』


『<魔力変換+10>・・・』


『<獣王之力+10>・・・』


『<妖力解放+10>・・・』


『<気功+10>・・・』


『<覇気+10>・・・』


『エンチャット!!!!!!<神無属性魔法>!!!!!!!!』



頭の中で≪神の声≫が響く。



【条件を満たしました。≪シンクロ魔法≫が発動します!!!!!!】



突然6人の左手の紋章が浮かび上がり輝き出す。


次の瞬間6人のアダマンタイト製の武器から神々しい黄金色の光が放たれた。


ただのエンチャット魔法と言えど、6人によるシンクロ魔法は飛んでも無い魔力と気力を持っていかれる。


それも今回使用したのは神無属性魔法、純粋な魔力をシンクロさせ注ぎ込んだ。


その分凄まじい気力、体力、精神力が持っていかれる。


<魔力変換+10>スキルも併用しているので、魔力の消費量も半端じゃない。


更に耐龍戦用に編み出した新たな連携技を発動させた。



『『『『『『!!!!!!【六 天 雷 神】!!!!!!』』』』』』



『『『『『『おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお』』』』』』



六天風神が殲滅技とすれば、六天雷神は瞬殺技と言えるだろう。


雷を纏った俺達は光の速さの如く地を蹴り、空を蹴って駆け抜ける。


俺達の全てを乗せた電光石火の攻撃は、龍の装甲と言えど貫いた。



『むおおおおおおおおおおおおおおおおお』


『ぐおおおおおおおおおおおおおおおおお』


『ぐぅ 我の装甲を、龍の鱗を貫くか』


『だが我らは龍、鱗が弾けようと爪が割れようと負けぬ』


『フフ 良いぞ、さあもっと全力で来い♪』×真龍王


『これが俺達の全力だあああああああ!』



どれほどの攻撃を叩きつけただろうか、気力、体力、精神力そして魔力が尽き俺達は地面に膝をついた。


あの恐ろしいまでの強さを持つ五大龍が、今俺達の前に倒れている。


し しかし、真龍王バハムートは幾何の傷を負いながらも悠然と佇んでいた。


俺達の全身全霊とも言える攻撃を以てしても、真龍王には届かなかった。



『ど どこまで強いって言うのよ・・・』


『ぐぅ あ 足が動かぬ・・・』


『五大龍よりも攻撃を叩き込んだ筈ニャ・・・』


『僕のジャイアントインパクトが効かないなんて・・・』


『これが地上最強の力ですか・・・』


『真龍王バハムート・・・』


『贅沢な奴等だな・・・我に傷を付けたのだ誇るが良い』


『それにしても、まさか五大龍を倒すとはな・・・』


『フハハ 満足そうな顔をして倒れているではないか♪』


『人の身でありながら見事としか言えん、言えんが此処までか?』


『もう立てぬか?力は残っておらんのか?終わりなのか・・・』



真龍王バハムートは少し寂しそうに俺達に問い掛ける。


最強の座に座り何十年、何百年経っているのだろうか好敵手と言ってくれた真龍王バハムートに対してこれで終わる訳にはいかなかった。


俺は皆を見渡すと全員もう決意は決まっているようだった。



『出来れば人のままで倒したかったんだけどな・・・』


『悪いな皆、どうやら人のままでは無理らしい』


『んふふ 良いわよ、こうなったら意地でも勝ってやるわ♪』


『今でなくとも何れは辿った道だろうからな♪』


『フフ 私達は人の頂点を極めましたわ、次に行くだけかと♪』


『あはは もうこれが最後の手段ですからね♪』


『ニャーーー あたい達は、人を超えるニャアアアアアアアア』



ムーアの声を皮切りに俺達はエーテルを一気に飲み干した。


そう、これは俺達が上級ダンジョンで手に入れた最後の手段。


超越者へと至る奇跡の雫【エーテル】


次の瞬間俺達の身体は神々しい光へ包まれた。


今まで感じた事の無い感覚が全身を駆け抜ける。


まるで細胞が作り替えられていくような体験。


走馬灯のように今まで生きて来た記憶が鮮明に脳裏を過り、今まで感じる事ができなかった扉が開いて行く。


もうこれは生まれ変わると言って良いだろう。


光が消える頃、俺達6人は超越者として誕生した。


姿形は何も変わらなくても、今までとは全てが違うのが実感できた。


それを感じ取ったのは俺達だけではなかった、眼前に居る真龍王バハムートも敏感に感じ取ったようだ。



『フフ フハハハハ 間違いない、それは神の秘薬【エーテル】か』


『神話でしか語られないその神の秘薬を飲んで生き延びた者は居ないと聞く』


『お前達は全員生き残ったと言うのか、我ですら知らぬ超越者として』


『やはり危険な物だったんだな・・・何となく分かってたよ』


『だが俺達は生き残った、真龍王バハムートよ勝負はこれからだ』


『フハハ 身が震える♪分かる分かるぞ、今お前達は我の位階に踏み込んでいる』


『来るが良いクオン、そしてサークルよ』


『我が全力を出させてみよ♪』



やはり真龍王バハムートは全く本気を出していなかったのだろう、身体から発する龍気だけで足元のアダマンタイトに細かい亀裂が走る。



『行くぞ真龍王!』


『来いサークル!』



此処からの闘いは熾烈を極めた。


俺達が撃ち合う度に衝撃破で皮膚が裂け血が流れた。


不壊だと思っていた俺達の武器が欠け、装備がボロボロになっていく。


アダマンタイトで出来た闘技場に亀裂が入り、穴があく程の破壊力が吹き荒れた。


長時間闘い続けた俺達だが、僅か数分で既に満身創痍になっている。


だがそれは真龍王バハムートも同じだった。


超越者へと至った俺達の攻撃力は、触れた全てを破壊した。


互いの猛攻の果て、俺達は地に伏せ天を仰いだ。



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