第17話 鍛冶師
『さあロック、ちょっと<鑑定>試してみよう』
ロックは感謝と歓喜の中、これからパーティの為に絶対に力となると誓う、この恩に報いるために!』
『はい』
『ではロックの潜在能力から見てみよう<創造>を<鑑定>!!!』
【アンサー <創造>:万物を創造する力を得る。何らかの条件により成長する。】
『『『えええっ・・・・・・・・』』』
『・・・これはちょっと凄まじいな・・・』
『ちょ ちょっと、さっきは冗談で言ったつもりだけど、本当に神の力じゃない?』
『いや、そこまでとは考えにくいよ、成長していけば本当にそうかもしれないけど、きっとかなり厳しい条件があるんじゃないかな?』
『そうよね、あー びっくりした』
俺とミュウはロックに目を移す・・・口がポカンと開いたまま固まっている・・・あらショックが大きかったかな。
『ロック、ロック、大丈夫?』
『はっ はい大丈夫です、これほんとに僕の潜在能力ですか?』
『ああ、間違いなくそうだよ、ロックがこれから成長していけば、どうなるのか怖いぐらいだよ』
『じゃ続けていこう。ユニークパーティスキル<クリエイター>を<鑑定>!!!』
【アンサー <クリエイター>:万物を創造するためのスキルを発生させる。何らかの条件により新たなスキルが発生する。】
『ほほ~ なるほど発生したスキルを見てみよう、パーティスキル<イクウィップクリエイター>を<鑑定>!!!』
【アンサー <イクウィップクリエイター>:装備品(武器・防具・アクセサリー等)を制作する際、多大な恩恵を受ける。】
『なるほど、どうやらユニークパーティスキルって潜在能力に依存して発生してるみたいだね、現在ロックの<創造>は装備品に対してだけ恩恵を受けるみたい』
『でも鍛冶師としては最高だよね!』
『はい、僕がんばります グスッ』
『んふふ ロック君もう泣き止んで、これからお互い頑張ろうね』
『はい』
『ところで、さっそくなんだけど作りたい物があるんだよ、ちょっとスケッチしてみたから、これを見て』
『これは馬車?でもちがう、これは?』
『これは荷車って言うんだよ、実はそろそろ獲物が大きすぎて持ってかえるのが大変になってきてね、楽に獲物を乗せて持ち帰れる物を作りたいんだよ』
『な~るほどね、んふふ この間も持ち帰るの大変だったもんね、あの時から考えてたんだ』
『あはは うん、もっと大きな獲物になれば、これから持って帰れなくなるからね、そのためにも荷車が欲しいんだよ』
『どうかなロック?』
『はい、馬車の車輪をベースに比較的簡単に出来ると思います。親方の設備を借りれば直ぐにでも』
『お~ 助かるよ後はこれ、車輪にはこれを考えてるんだ』
俺はブラッククロウラーの皮と接着剤を出して見せる。
色々探したんだけど、ゴムだけは無かったんだよね。
『これを車輪に巻いて衝撃を吸収できるようにしたいんだ』
『そしてスケッチにあるように、真ん中から折りたたんで組み立て式にして、馬車とかにも積めるようにしたいんだ』
『凄い、これ凄いですよ確かにこれがあれば2~300キロぐらいなら乗せて運べるかも』
『じゃ、さっそく制作に掛かって良いかな?』
『はい、親方の所へ行って頼んでみます』
俺達は鍛冶師の親方のところまで行き、ロックが俺達のパーティに入ったことを伝えた。
『親方ありがとうございます僕、頑張ります』
『ああ坊主、手紙にも書いたが世界を回り、色々な経験を積み、此処へ帰ってきたくなったら、いつでも弟子にしてやるよ』
『しかし、そのときにはもう弟子入りする必要はねえと思うがな ガハハ』
この親方、只者じゃないな<鑑定>持ちか?いやそれはないか。
『ところで親方さん、確か報酬を全部貰ってないよね?』
『こええな、なにが欲しいんだ?』
『んふふ そんなに対したことじゃないわよ』
『ロック技術的なことと、制作にあたっての部品とか説明して貰って良いか?』
『はい』
俺達は荷車についての説明と制作依頼をした。
『ほほ~ こいつはすげーな、これをお前が考えたのか?これなら馬車の部品があるから、すぐ出来るぜ』
『俺が考えたんだが作る技術がなくてね、ロックと親方に頼みたいんだ』
『よし、坊主付いてこい早速制作に移るぞ、こいつなら明日には出来るから取りに来い』
『ありがとうございます。ロック!俺とミュウは色々と買物があるから行ってくるけど頼んだよ』
『はい、頑張ります』
『では明日の朝、ここで落ち合おう旅の準備もしといてくれ、しばらくはアラバスで活動する予定だけど』
『分かりました』
『あっ そーだロックどんな武器使ってるのかな?』
『両手槌です』
『持つとこが木製のやつかな?』
『はい』
『了解、武器屋も行かないと』
『はい?』
『んふふ その内、分かるわ♪』
『じゃ行ってくるよ、後は楽しみにしとくよ』
俺はミュウと買物に行く。もちろん属性魔石を探しにだ。
『さって、道具屋から行きましょ』
『了解』
俺とミュウは道具屋に着く様々な物が陳列されているが目当ての物はなかった。
定員さんに聞いてみることにする。20代ぐらいの女性だ、髪はショートカットで活発な感じだった。
『すみません、属性魔石売ってませんか?』
『はいはい、ありますよ、どれぐらいの大きさが良いですか?』
『ん~ 小さいので良いので』
『じゃ生活用のやつ持ってきますね~』
しばらく待つと定員さんが、箱に入った様々な魔石を持ってきてくれる。みんなビー玉ぐらいの大きさだ。
『へ~ 色々あるわね~ すみません属性を教えて貰って良いですか?』
『はいはい、こちらから、火・水・風・土・光になります』
『お~ やったねミュウさん』
『うんうん、やっと見つけたね~でも闇属性がないね?』
『はい、生活用のやつ持ってきたんで、闇属性って使い道が限られてくるんですよ、要り様なんですか?』
『はい、あとは氷・雷とかはあったりします?』
『はは~ん、なるほど属性魔法の習得用ですね?』
『んふふ 当たり』
ミュウはニコニコしながら定員さんと話す。
『水以外の属性魔石、1種類に1つ欲しーんですよ』
『じゃ、あるだけ持ってきますね~』
定員さんは店の奥へ行き持ってきてくれた、火・風・土・光・闇・氷・雷があり、欲しい物が揃ってミュウと大喜びだ!魔石をよく見ると微かに色がついており判別できる事に気づいた。
『じゃ、この7つ買いますね』
『はい、お買い上げありがとうございます』
『ところで生活用って、どんな使い方するんですか?』
『はい、色々と有るんですが、料理用に火とか水をよく使いますね、生活魔法のプチファイアより火力が欲しいときは火属性の魔石に魔力を込めて使ったりします。水属性の魔石も料理用ですね、旅用に便利です』
『風属性は暑いときは便利です』
『土属性は畑を作るときとか、旅の途中の椅子・テーブルの代用とかで使いますね』
『光属性はそのまま照明が多いですね、闇は肥料作りとか、お客さんのように属性魔法の練習用ですね』
『氷属性は色々使えますが、雷属性は練習用が主ですね』
『なるほど、ありがとう』
俺とミュウは目当ての物が、簡単に手に入り上機嫌で店を出た。
『火属性も買ったの?』
『うん、どうせなら全属性持っておこうかと思ってね』
『なるほど、じゃ次は武器屋に行こうか良い弓あると良いね』
『うん、もう矢も買えるしね』
『ああ、俺あえて言わなかったのに』
『んふふ ありがと』
そうこう話をしている内に武器屋に着く、流石鍛冶屋がある町だけあって品揃えが豊富だ。
『ふあ~ 色々あるね~』
『あそこに弓も並んでるよ』
『わ~い、見る見る』
俺とミュウは<鑑定>を使って物色する、すると1つ俺達の目に止まる弓があった。
【アンサー 風の弓:風属性の効果が付与されている。<飛距離><命中補正>。】
『これ良いわ~』
『確かに属性付きの武器って珍しいね』
『でも高そうだ、定員さんに聞いてみようか』
『すみません、この弓の値段はどれぐらいですか』
武器屋の定員さんは30代ぐらいの男性で、線の細い人だった。
『お客さん良い物見つけましたね、それは風の弓と言って風属性の効果が付与された逸品ですよ』
『お値段は少し高くなるのですが、金貨20枚です』
『う~ん、もうちょっと安くならないかしら』
『そうですね~ これは非常に良い物なんで金貨18枚で、どうですか?』
『お兄さん、もう一声♪』
『ハハハ 参りましたねお客さん良いでしょう、なら矢も30本サービスします、どれで如何ですか?』
『んふふ ありがと、お兄さん♪ 買うわ』
『あはは 参りましたね、お買い上げありがとうございます』
流石ミュウ、値切り方がうまい。
『それと両手槌も見たいのですが』
『それでしたら、こちらになります』
定員さんの案内の元、付いていくと様々な両手槌が並んでいた。またミュウと<鑑定>を使い物色する。
『あれ良いんじゃない?頑丈そうだし』
『うん、手頃で良いね』
【アンサー 鋼鉄の槌:全体が鋼鉄で出来ており攻撃力も高く非常に頑丈な両手槌。】
『すみません、これちょっと振らせて貰って良いですか?』
『はい、ではこちらでどうぞ』
俺は鋼鉄の槌を持って少し広い場所で振ってみる、柄の部分も鋼鉄で出来ており結構な大きさだが、今の腕力でなら問題なく軽く振れた。ブンブンと音が鳴る。
『ひゃああ~ お客さん大した力ですね』
『うん気に入りました、これ買います』
『ありがとうございます、勉強させていただいて金貨2枚にさせて頂きます』
俺達は弓と両手槌を買い店をでる。
『良い弓が、あって良かったね』
『んふふ ありがと、それと両手槌ロック君へのプレゼントでしょ?私も半分出すわ』
『ふむ、じゃ俺達からのプレゼントにしようか、ありがとミュウ』
『いえいえ、私もお祝いしたいもの』
『それに、今のロック君の武器じゃ、も・た・な・い・でしょうしね』
『ふふふ 流石だねミュウ、きっとそうなるよ』
『さて、宿屋に帰ろうか、属性魔法も覚えたいしね』
『は~い、頑張るわ♪』