第177話 前代未聞で空前絶後
王族の人達を庭園に案内し、バラ園を楽しんで貰ってから城の中へと入って貰った。
もちろんメイドさん達が列を成して出迎えてくれ、歓迎ムードは大事だよね。
とりあえずはリビングで寛いで貰い、自慢のコーヒーを飲んで貰った。
『フフフ 我ら王族より余程贅沢をしておるな♪』
『王族は国民の税で暮らしてますから、あまり贅沢はできないでしょ?』
『確かに、それでも立場的に豪華なものだと思っておったのだが』
『この城を見ては愉快でたまらぬな♪』
『帝都の城であったとしても、ここまで見事なお城では無いでしょう♪』
『驚きました、本当にこれを6人で造ったものとは思えません』
『凄いよねユマお姉ちゃん♪』
『うむ クオン殿は全てが規格外だの♪』
『俺達が一生懸命造ったところですからね、此処に招待する事は俺達にとって最高のもてなしなんですよ?』
『この世界にはサークルメンバーしか入れないしね♪』
『そうであったか戦争に勝たせて貰った、せめてもの謝礼と思っておったが』
『また借りが増えてしまったようだな・・・』
『そんな事ないですよ、さあ食事でも食べていって下さい♪』
事前にマリンさんに連絡してあったので、マリンさんと共に腕に縒りを掛けて料理を作り、皆に食べて貰った。
ミュウ達も食べた事の無い料理を作ったので、全員喜んでくれた。
一番喜んでいたのはマリンさんかも知れないけどね♪
あまり時間がないので少し休憩して貰ってから、サークル本部最大の自慢であるお風呂にも入って貰おう♪
当然全員に水着を用意し高台にある湯船に浸かる頃、驚きの表情が弛緩してきたようだ。
『見事である、この世の物とは思えぬな♪』
『最高の誉め言葉ですね♪』
『本当に素晴らしいわ、こんな贅沢がありましたのね♪』
『・・・どうやったら、こんなにも高いところへお湯を運んでいるのか不思議です』
『それは詳しく言えないんですが、この世界じゃないと難しいって言っておこうかな』
『兄上、我々の見識では到底理解には及ばないでしょう』
『僕はユマお姉ちゃんと一緒に、お風呂に入れて嬉しいな♪』
『ねえ、どうして最近は一緒に入ってくれないの?』
『し 仕方あるまい、姉弟と言えど私も女だからな?』
『そっか、今日は服を着てるから良いんだね?』
『簡単に言えばそうなるの』
『僕これから服を着てお風呂へ入ろっと♪』
『そ そんな訳にもいくまい』
『んふふ またお姉ちゃんと此処に遊びに来たら良いじゃない?』
『また来ても良いの?』
『ああ 良いぞ、此処は気に入ってくれたか?』
『うん、此処って最高だね♪立派だし料理は美味しいし、皆でお風呂に入れるんだもの♪』
『あはは 褒められると嬉しいな♪』
『あんまり、クオンと喋ってるとダンジョンに連れて行かれるわよ』
『鬼の様に厳しいんだから?』
『ええ~~~ 』
『こ こら、ミュウ俺が怖がられたらどうするんだ?』
『ニャハハ まあ嘘では無いかニャ?』
『あはは 優しい鬼ですけどね♪』
『フフ 素敵な鬼ですわ♪』
『こらこら、鬼から離れろよ?』
『フハハ クオンは鬼より強いからな♪』
『オーラまで・・・止めてくれよな?』
『あはははは♪』
王族達を招待してから結構な時間が経ってしまったので、俺達は誰にも見つからない様に王城へ戻ってもらった。
案の定結構な騒ぎになっていたようで、ギリギリセーフと言ったところだった。
流石に王族全員を連れ出すのは無理があったけど、楽しんで貰ったみたいなので良しとしようか♪
あまり王族とは関わり合いにならないようにしようと思っていたが、お世話に成ってしまったので礼は尽くさないとな。
こうして俺達は上級ダンジョンであるヘルクレスに通いながら、レベル上げや素材を集めていく日々を過ごしていった。
採掘の為に手伝って貰っていたサジタリウスの皆も、上級ダンジョンに通い続けたためか、かなりレベルが上がり見違えるように強く成っていた。
アルステン鉱石の加工も着実に進んで行き、ロックの親方にはアダマンタイト鉱石の加工まで手伝って貰った。
そしてミックロウ鉱石から加工した魔力半導体を用いて魔法制御盤が遂に完成した。
魔力半導体と言っても日本にあった半導体とは別物で、魔法陣を用いる事で様々な魔法を記憶させ複雑な事が出来るようになるので便宜上そう名付けた。
これはベクターさんと相談しながらメチャクチャ苦労して作ったから、完成したときはとても嬉しかった♪
この魔法制御盤があれば、実に様々な事が出来る様になるだろう。
まさにこの世界のコンピューターだ♪
また魔法制御版が出来てからも、どう活用するかでメチャクチャ頭を捻らせた。
俺が日本で使っていた電子機器を参考に、それを実現できないかベクターさんに問い掛ける度に目を丸くして驚いていた。
特に空中にモニターを出現させ、タッチパネルの様に操作出来るようになった時は半ば呆れられてしまった。
もちろん、こんなものは日本にも無かったのだけどSF物の映画とかで見た事があるので是非実現してみたかったのだ♪
極めつけはサークルの世界に連動させ、城に設置してあるレチクルの水晶から無限の魔力を供給できるようにした。
その魔力をレチクルのダンジョンで入手した魔動力装置を用いて、魔力を動力に変換し推進力として活用している。
今まで手に入れたアイテムも全て投入し終わり万全の状態に仕上げていく。
本体の組み上げも図面さえあればロックが完璧に仕上げてくれるので、ドンドン形が出来上がっていく。
サークルメンバー達も日を追うごとに慣れてきたのか、理解度も向上し実に頼もしい♪
月日も流れ制作から3カ月が経とうとした時、外観はほぼ完成したと言って良いだろう。
実物を見ると我ながら壮大な物を考えてしまったなと思う。
・・・ちょっと大きすぎたかな?
いやいや、俺がやろうとしてる事を考えれば、これぐらいの大きさは必要だった。
・・・たぶん。
全長は1000メートルはあるだろうか、幅は500メートルぐらいかな。
形は航空母艦に近いかも知れない、艦首はどう見ても城のようだ。
デザインに凝り過ぎたのか近未来的な物になってしまったが、こうやって実物を見ると実に格好良い見栄えなので良しとしよう♪
アルステン金属は白っぽい色をしているので、全体を白で統一したのも良かった♪
しかし、どこからどうみても、この世界には不釣り合いなのは仕方ないか♪
皆も完成に近づくにつれ驚きを通り越して、冷めた表情で見ていたからな~
そう今回サークルメンバーを総動員し、全財産を投じて作成したのは・・・
【超巨大飛空艇だ♪】
『ねえクオン?』
『ん?』
『本当に頭の中身見せてくれないかな?』
『いや、俺死んじゃうからな?』
『ど ど どんな頭してたら、こんな物作ろうなんて考えるのよー 』
『よく見ろよ格好良いだろ?男なら欲しくなるだろ?』
『私は女だから分かんないわよーーー 』
『ま 待て、幾ら何でも理不尽だぞー 』
俺は何故かミュウに追い掛けれている、追い付かれたら本当に頭を開かれそうで怖い。
『ニャハハ ミュウの気持ちも分かるニャ♪』
『それにしてもクオンに驚かされるのは日常になったが、今回は凄まじいな】
『フフ 私も流石に今回のは素敵を通り過ぎましたね♪』
『いや~ スケッチを見た時は驚いたけど、本当に出来るものなんですね~ 』
『造った本人が何言ってるニャー♪』
『僕は組み上げただけですからね~ 中身は飛んでも無いですよ?』
『ロックが驚くほどなのか?』
『もう僕には意味が分かんないです』
『でもクオンが何の為に、これを造ったのか考えると怖くありませんか?』
『ええっ 何か理由があるんですか?』
『ニャー きっとまた度肝を抜くような事を言われるニャー 』
『もうワシは慣れたと思っておったんだがな・・・』
『ブルル 僕も怖くなってきたじゃないですか?』
『諦めるニャ?』
『簡単に言わないでよムーア』
『ニャハハ♪』
『もう、絶対に捕まらないんだから』
『分かってるなら意味もなく追い掛けるなよな?』
『しょーがないでしょー 』
『何がしょうがないのか分からないが、まだ最終調整が残ってるんだから皆行くぞ』
『・・・たぶん、もっと驚く事になるニャ』
『あはは 期待は裏切らないぞ♪』
『期待じゃないニャー 』
『あはは さあ行くぞ』
『もう、分かったわよー 』
俺はサークルメンバー全員を連れて艦内の最終調整に入った。
1つ1つの機能を試す度に皆には遠い目をされたが、中々の仕上がりで俺も大満足だ♪
今は飛翔金属を大量に使っているので空中に飛び上がらないように、地面にアンカーを打っている。
後はこれを取り外して、ちゃんと飛空するか試さないとね。
一定の高度まで飛空したら、そこで静止するよう微調整する予定だ。
1枚の飛翔金属から、どれぐらいの重量を浮かび上がらせるかはトルネちゃんに膨大な量の計算をして貰った。
サークルメンバー全員の能力を遺憾なく発揮し、全財産を投じてようやく試験運行出来るところまで漕ぎつけた。
サークルメンバー以外でも様々な人達に協力を頼まなければ、此処まで早く出来なかっただろう。
特に王都の冒険者ギルド受付嬢であるクレアさんには、メチャクチャお世話になってしまった。
サークルメンバー以外の協力者は、殆どクレアさんに仲介して貰った。
例外としてはローニアさんからリーバイ家の協力を仰ぎ、オークションでの出品から落札を全てお任せした。
こうして全ての調整や点検が終わり、いよいよ明日試験運行することになった。
もし何も問題なく無事に成功すれば、先ずはサークルメンバーだけで飛空艇完成記念パーティをする計画を立てている。
当然パーティ会場は空に浮かんだ飛空艇上しかない♪
『いや~ 一時はどうなるものかと思ったけど、本当に出来るもんなんだね~ 』×ベクター
『あはは 今回もベクターさんが居なかったら、とても実現出来なかったですよ♪』
『やっぱりベクターさんは世界一の錬金術師ですね?』
『よく言うよ、改めてクオン君が超人だと思い知ったんだけどね?』
『フフ 私から見たら2人共、人知を超越しているんですけど?』×ロア
『ロア君も、もう人の事は言えないよ?魔法制御盤の魔法陣は見事だったよ』
『あ あれはミュウちゃんが手伝ってくれたからですよ?』
『え~ 細かい所は全部ロア姉さんが、やってくれたじゃないですかー 』
『うふふ でもベクター様に褒めて頂くと嬉しいですね♪』
『謙遜しなくても君は素晴らしい女性だよ♪』
『えっ ベ ベクター様、私本当に嬉しいかも・・・』
『あ~ ベクターさん、ロア姉さんを泣かしちゃ駄目じゃないですか♪』
『そ そんなつもりじゃなかったんだが、こ 困ったな』
『ベクターさん、こんな時は抱き締めて上げないとですよ?』
『う うむ』
僕はベクターさんに抱き締められ、感涙に浸っているロアさんを見て少し感動してしまった。
ロアさんが落ち着くまで、全員が暖かい表情で見つめていた。
それに気付いたロアさんが照れまくってしまったのは仕方ない♪
『それにしてもメイドさん達も色々と出来るようになりましたね、本当に感心しちゃいましたよ?』
『ありがとうございます♪』×メイド達
『本当よメイドさん達にまで、飛空艇の組み立てから上級ダンジョンで採掘まで手伝わすんだから』
『ムーアなんてメイドさん用の作業服まで作っちゃうしさ?』
『ニャハハ フリフリしたメイド服で作業は難しいニャ♪』
『でもツナギのメイド服も、とても可愛くて気に入っちゃいましたよ♪』×アーチカ
『私達も、とってもレベルが上がりましたし♪』
『あはは ローニアさんもリーバイ家の御助力ありがとうございました』
『いえ、お役に立てたなら光栄です、お父様も凄く喜んでおりましたので♪』×ローニア
『また、なにかお礼をしなくちゃいけませんね』
『うふふ クオン様が感謝していたと伝えておきますわ♪』
『はい、お願いします』
『トルネちゃんにも色々頼んじゃったから大変だったでしょ?』
『はい、もう頭が爆発しそうなぐらい計算しちゃいましたけど、すっごく楽しかったです♪』
『クロワさんも資金が足りなかったから、ドカドカダンジョン素材を卸してすみませんでした』
『フォホホ いやいや目が回る程忙しかったですが、商人魂に火が付きましたぞ♪』×クロワ
『それにトルネも頑張ってくれましたからな』
『そ そんな事ないですよー 流石に捌き切れなかった素材は王都のギルマスに丸投げしちゃいましたから』
『フハハ ワシも素材運びを手伝ったが、素材を山の様に積み上げたので口が開いたままになるほど驚いておったぞ♪』
『あはは 受付嬢さんを総動員して査定してくれてましたからねー♪』
『私も此方で仕事をしていたのに、ギルマスに呼び出されましたからね』×クレア
『フフ クレアさんは色々と引っ張りだこでしたわね♪』
『はい、人生で一番忙しかったのは間違いありませんね』
『しかし、サークルメンバーの皆さんは多種多様な能力を持っておられますので非常に助かりました』
『此処は人材の宝庫ですね』
『気に入ってくれましたかクレアさん?』
『・・・返答するのを戸惑ってしまいますが、此処を気に入らない人が居るとは思えませんね?』
『あはは 絶賛してくれて嬉しいですね~♪』
『あ あの目が怖いのですが?』
『ニャハハ もう完全にロックオンしてるニャー♪』
『そういえばロックが飛空艇にクレアさんの部屋を作ってたりして?』
『ぼ 僕に振るんですか?』
『オーラも仕事がやりやすかったみたいなんですよねー 』
『次はワシか?あれだけテキパキと処理してくれては、やり易いに決まっているではないか?』
『そうだよな~♪』
『もう、クオンハッキリと言いなさいよー 』
『フフ 流石にクオンが見込んだ人ですからね♪』
『あはは ではでは、ハッキリ言っちゃいますけど、やはり俺達には指示伝達を完璧に熟す人が必要なんですよ?』
『クレアさん、サークルメンバーに入ってくれませんか?』
『実はもうギルマスにも話は通してあるんですよねー♪』
『そしてそして、サークルメンバーになってくれれば今まで言えなかったサークルの秘密も全部教えちゃいますよ?』
『クレアさんが好きな好奇心とか探求心が疼きませんか?』
『ど どこまで手を尽くしているのですか?』
『鬼人の私より鬼の様な人ですね?』
『あはは そんなに褒められると嬉しいですね~♪』
『褒めてないー 』×全員
『あれれ』
『フゥ~ もとより私の方からお願いしようと思っておりました』
『えっ それじゃあ?』
『はい、どうかサークルの一助として加えて下されば光栄です』
『あ~ 良かった~♪』
『これで駄目なら対クレアさん様に作った「鬼殺し」って言うお酒と、腕に縒りを掛けて作ったスィーツを用意してました』
『更にはクレアさんの実家に行って、親御さん達にも説得を手伝って貰おうかなと』
『鬼人も好戦的みたいだから、村ごと制圧したら手伝ってくれそうだったんですよね~ 』
『お 鬼がいる~~~ 』×全員
『あはは 誉め過ぎだって♪』
『褒めてないから~~~ 』×全員
『あれっ?』
『うふふ もう完全に降参致しました♪』×クレア
『こんな私をそこまで買ってくださって、ありがとうございます♪』
『いや~ 本当にクレアさんみたいな人がサークルには必要だったんですよ』
『これで全ての準備が整いました』
『やっぱり何か目的があったのね?』
『うはっ ミュウも鋭くなってきたな・・・ちょっと失言しちゃったかな』
『どうせ未だ言えないって言うんでしょ?』
『参ったな、ミュウとの付き合いも永くなってきた証拠かな?』
『あのね~ 皆も分かってて言ってないだけなんだからね?』
『どこまで先の事を考えてるのか分かんなけど、早めに言ってよね私達にも心の準備ってのがあるのよ?』
『分かった、明日俺が今考えている事を全部言うよ』
『ええっ?』