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第176話 圧倒的な武力


散開して王族を探していた俺達は、全員この部屋に辿り着いたようだ。


威圧したままでは話しが出来ないので、一旦威圧を解除して国王に歩み寄る。



『お前が国王か?いや帝都では皇帝と言うんだったな』


『お お前達は何者なのだ・・・』


『俺達は唯の冒険者だ』


『何が冒険者だ・・・何が目的で此処へ来た?』


『おい聞いてないのか?俺達は帝都の王族を処刑するために来た』


『どうやらこの部屋に集まっているようだな?』


『ば 馬鹿な・・・余の前でふざける気か?』


『俺は別にふざけている訳じゃ無い、ベンガル王国に全面降伏しても王族は処刑するって言ったんだろ?』


『俺達は、その言葉をやり返しに来ただけだ』


『筋が通ってるだろ?』


『・・・余は、そんな事など言っておらぬ』



次の瞬間皇帝の首が飛び、地面に転がっていた。


その光景に大臣達は凍り付き、静寂に包まれた。


ようやく危機感を感じているのか、立ち並ぶ大臣達が蒼白な表情になっていく。


今までどれだけ安寧な毎日を送っていたのか窺い知れる、戦争をしていると言うのに身の危険を感じなかったのか・・・



『ヒィィィィ こ 皇帝の命令だったのだ』


『バシュ 』



皇帝の死を見て取り乱した宰相も、ミュウのエアカッターにより首が飛んだ。


もう既に俺達には、この部屋にいる誰がベンガル王国の王族を皆殺しにすると決定したのか分かっている。


見苦しい言い訳を聞く気にも成れず、俺達は容赦なく首を飛ばしていった。



『も もう止めてくれベンガル王国の王族を処刑せよと言ったのは私だ』


『だ 駄目ですファン殿下』



皇帝の息子だろうか、スカー将軍が必死になり若い男を守っている。


俺達はスカー将軍達には目もくれず、その場に居る王族や大臣達を皆殺しにしていった。


もうこの場に残っているのはスカー将軍と若い男だけになった。



『ま 待ってくれ、ファン殿下は殺さないでくれ、た 頼む』


『心配しなくても殺さないわ、だってその人は関わってないんだもの』


『そろそろワシ等に刃を向けるのを止めんか、死にたくはないであろう?』


『な 何故だ、何故私を殺さない?』


『フフ 口では何と言おうと、貴方は反対していたのではないですか?』


『ニャハハ 嘘は駄目ニャー 』


『僕達には嘘は無意味ですよ?』


『スカー将軍には分かるだろ?この部屋でベンガル王国の王族処刑に反対してたのは、そのファン皇太子だけだ』


『さてと他にも王族が残っているな』


『や 止めてくれ戦争に関わっているのは、この部屋に居た者達だけだ』×ファン


『なるほど、嘘は言って無いみたいだが、お前が認識してなかった者が居るかもってところか?』


『悪いが全員調べさせて貰うぞ』


『ま 待て、それなら違う部屋に集めるから、もう兵士を殺さないでくれ』


『それは今この帝国から外へ逃げ出している王族も呼び出してくれるのか?』


『なっ 何故それを・・・』


『どうやら隠し通路があるようですね、今帝国の門が無い所から外へ出たようですわ』


『そ そんな・・・』


『悪いライカ、そっちは頼めるか?』


『ここへお連れしたら良いですか?』


『いや俺の前に連れて来てくれ、王族を別室に集めてくれるようだからな』


『分かりましたわ』


『じゃ、案内して貰おうか?』


『・・・こっちだ』



俺達は少し離れた部屋に案内され、豪華な椅子に座って待つ事になった。


ファン皇太子は約束通り王族を部屋に集めてくれている。



『スカー将軍、手伝って貰えますか?』


『し しかし・・・』


『大丈夫です、あの者達には本当に嘘を見破る術があるのでしょう』


『私が王族処刑を計画したと言っても、私を殺しませんでした』


『この戦争に関わっていない王族は助かるでしょう・・・』


『ですが逃げ出したと思われる皇太后様は・・・』


『・・・分かりました私は皇太子様達を呼びに行って参ります』


『ああ 頼んだよ』



しばらく待っているとファン皇太子とスカー将軍が、女性や幼い子供達を連れて来てくれた。


おそらく全員王族なのだろう、しかし多いな一体何人居るのか。


ライカも外へ逃げ出した王族を連れて来てくれた。


サーチで確認したところ、これで帝都の王族が全て集まったようだ。



『無礼者、我を誰だと思っておる皇太后であるぞ』


『乱暴者め決して許さぬぞ』


『だまれ、死にたいのなら直ぐに殺してやるぞ』


『ヒッ 』


『どうやら帝都の王族が全て揃ったみたいだな』


『1つだけ聞きたい、この中でベンガル王国の王族を処刑する案に関わった奴がいるか?』


『・・・・・・』


『よし、もう良いぞ・・・そこの煩いおばさん以外は部屋を出ろ』



女性や幼い王族達が部屋の外へ出て行く中、ファン皇太子が最後まで残っていた。



『・・・なんとかならないだろうか?』


『お前の意見では、どうにもならなかったんだろ?』


『自業自得とは思わないのか?』


『私が身代わりに成ろう、それで許してはくれまいか?』


『お前を殺すのなら本当に王族を皆殺しにするさ』


『俺達の温情が分からない訳でもないだろう?』


『ファン説明せよ、この者達は何なのだ?』


『許さん、決して許さんぞ』


『・・・皇太后様、この者達はベンガル王国の冒険者達です』


『なっ たかが冒険者の分際で、我にここまでの無礼を働いたのか?』


『信じられない様な話しですが、この者達は10万の帝都軍を屠りました』


『そして我々がベンガル王国へ突きつけていた、全面降伏しても全ての王族を処刑すると言った条件に対して、やり返しに来られたのです』


『そ そんな事がありえるか?騙されているのです、目を覚ましなさい全ては、この野蛮人の思惑に違いありません』


『帝都の軍隊が負ける筈がないではないか』


『そもそも、ベンガル王国に対して王族処刑を言い渡して何が悪いのです』


『帝都に逆らうから悪いのです、王都のような小さな国が何だと言うのですか』


『我が帝国は・・・ゴトッ』



皇太后と呼ばれていたのでファン皇太子の母親なのだろうか。


とても聞いてはいられない戯言に、ライカの一閃で皇太后の首が床に転がった。


ファン皇太子も、もはや何を言っても手遅れなのを悟っていたのか、唯下を向いて涙を流していた。



『こ これで許して下さいますか?』×ファン


『ああ 残った王族は殺さない、だが帝都が戦争に勝っていればベンガル王国の王族は皆殺しだったんだろうな?』


『返す言葉がありません・・・』


『俺達のやりたい事は終わった、後はベンガル王国の国王と交渉してくれ』


『あの国王なら無茶は言わないだろう』


『まあ無茶な事をしたら、今度は俺達がベンガル王国の敵になるんだがな』


『最後にちゃんと名前を聞いておこうか?』


『私はバーミーズ帝国第5皇子「ファン・シミター・バーミーズ」です』


『俺達は帝都にも、お前の様な者が居るから戦争には参加したくなかったんだ』



俺はそれだけを言い残し、またエンペラーイーグルに乗り帝都を後にした。



『・・・将軍、世の中にはあんな凄い者が存在するのですね』


『あの者達は、もはや神か悪魔にしか見えません』


『そうですね私達は決して手を出してはいけない者に手を出したのでしょう』


『こうなったのは天罰ですね』


『ファン殿下、お辛い気持ちは分かりますが早急に今後の帝都の事を考えねばなりません』


『第5皇子の僕が、そんな大局を考えなければならないのですか?』


『ファン皇子の兄上様達は全員が戦場で亡くなられました』


『申し訳ありません、あの者達に対して帝都の軍隊は余りに無力でした・・・』


『皇帝陛下が倒れた今』


『もはや、これからの帝都の行く末を担うのはファン皇子しかおりません』


『どうか帝都の再興に向け力を発揮して下さるよう、お願いしたします』


『・・・生き残った大臣達を集めてくれますか?』


『はっ 微力ながら私も御助力致します』


『こんな事になるのであれば命懸けで、この戦争を止めるべきでした・・・』


『僕の命を懸けたぐらいでは無理だったでしょうが』


『今となっては詮無き事ですね』


『ファン殿下・・・』


『すみません少し弱気になってしまいました、今は出来る事をします』


『心中御察し申し上げます』


◇    ◇    ◇    ◇    ◇


俺達は真っすぐベンガル王国へ向かい、王城に直接下ろして貰った。


当然の様にそれを見た者達は驚いていたが、直ぐに<サモン>を解除すると皆目を擦っていた。


幻でも見たんだと思ったのだろうが、乗ってきた俺達が居るので混乱しているようだ。


俺は一応兵士達に気を使い、国王に会いたいと言うとアッサリと案内してくれた。


どうやら国王かユマ王女が、兵士達にも俺達の事を浸透させていてくれたのだろう。


遠慮なく歩を進め以前来た玉座の間に辿り着くと、国王とユマ王女がいた。



『ク クオン様、本当に帝都へ行ってこられたのですか?』


『ユマ王女、本当に俺達に敬語で喋らなくて良いですよ?』


『あっ 俺が敬語で喋らないとですよね♪』


『そんな事は気にしなくて結構です、どうぞ普段通りお喋り下さい』


『まあ、良いですけど・・・』


『どうやらギルマスから話しを聞いて貰えたみたいですね国王様?』


『う うむ、帝都の王族を皆殺しにしてくると聞いておる』


『だが、まさか・・・』


『ベンガル王国の王族を処刑すると計画した者は全て殺してきました』


『第5皇子のファンと言ったかな、そこ皇子以下この戦争に係わってない王族は許して上げましたよ?』


『後の事は国王様と話をするようにファン皇子に伝えておきました』


『ファン皇子は中々良い人物だったんで、穏便にすませてやってくれると嬉しいですね』


『あい分かった、国王の名に懸けて穏便に済ますことを約束しよう』


『そしてサークルの皆よ、この度は助力して頂き真にありがとう』



国王は立ち並ぶ大臣達と共に深々と頭を下げ、感謝の念を伝えてくれた。



『いえ、俺の気まぐれみたいのものですから、気にしなくても良いですよ』


『唯今後俺達がまた戦争に参加するとは思わないで下さいね?』


『ば 馬鹿な自国を守るのは当然ではないのか?』×大臣


『だまらぬか、誰が発言を許した?下がっておれ』


『ははっ』


『あ~ 良いですよ国王様、俺達は自国であっても必ずしも守ろうとは思いません』


『あのゴミクズのようなクシャ王子みたいに、俺達が気に入らなければ誰であろうと容赦しません』


『ユマ王女にお世話になっていなかったら、間違いなく殺していましたから』


『国王言っておきますが、今回帝国がしたような事をしたら今度はベンガル王国が同じ目に合うと思っておいて下さい』


『分かった・・・』



俺達は言いたい事も言い終わったので、引き返そうと踵を返した。



『待ってくれ、この度のお礼をさせてはくれまいか?』


『結構ですよ、今回は俺達が勝手にやってことですから』



ようやく戦争にも片が付き、中断していた物作りを再開する。


ここ数日サークルメンバー全員で楽しみながらせっせと働いていき、そこそこ材料も集まってきた。


なので少しずつ組み上げていく段階まできた、組み上げていく場所はサークルの世界が良いだろう。


此処なら誰にも邪魔されず雨が降る心配もない。


ギルマスから聞きつけたのか国王も力を貸してくれる事になり、飛んでも無い量の素材を無料で提供してくれた。


流石に悪いなと思ったので、お礼を言いにいくとユマ王女も率先して力を貸してくれていたようだ。


もちろん受けた恩には全力で返さないと気が済まないので、国王と王妃そして第2王子であるシリア王子と第3王子であるアル王子。


第1王女であるユマ王女と護衛である王国騎士団長ルカさんをサークル本部へ招待することにした。


当然驚いて貰いたいので理由を言わずに、集まって貰えるようユマ王女に頼んでおいた。


そして集まってくれている部屋に訪れると、国王達が神妙な顔付きをしている。



『こんにちわ、どうしてそんな顔してるんですか?』


『我らが何か気に障る事をしたのなら謝ろう、どうか許してはくれまいか?』


『えっ?』×サークルメンバー


『ごめんなさいクオン様、私が余計な事をしてしまったのでは?』


『あはは 誤解ですよ♪』


『俺達は素材集めで色々とお世話になったから、お礼をさせて貰おうと集まって貰ったんです』


『そ そうであったか、いやはや肝が冷えたぞ?』×国王


『ほっ 安心しましたわ♪』×ユマ王女


『ほら、クオンがちゃんと説明しとかないからでしょ?』


『説明したらサプライズにならないじゃないか?』


『フハハ まあ誤解だったのだから良いではないか♪』


『ニャハハ クオンが怖すぎて誤解されてるニャー♪』


『あはは リーダーは誤解され易いですからね♪』


『こらこら、俺は優しいよなライカ?』


『フフ とても素敵ですわ♪』


『よく言うわ、クオンが怒ったら鬼のようでしょー 』


『あ~ 人の事よく言えるよな?ミュウだって怒ったらメチャクチャ怖いじゃないか?』


『クオンほどじゃないわよー 』


『どっちもどっちかな?』


『何を言ってるのかな「破壊神」君?』


『ここで、その二つ名を言う事ないじゃないですかー 』


『あははは♪』


『うふふ 仲が宜しいのですね♪』×王妃


『王妃様と話すのは初めてですね?』


『クシャ王子の件では御迷惑をお掛けいたしました、お詫びが遅くなり申し訳御座いません』


『いえ、もう終わった事ですからお気にせず』


『でも殺さなかった事は俺達最大の温情だと思ってくださいね?』


『分かっております、私も親として恥ずかしい限りです・・・』


『ユマ王女はメチャクチャ良い人ですからね、育て方じゃなくて持って生まれたものじゃないですか?』


『ありがとうございますクオン様』


『様付けは止めて下さい、クオンで良いですから』


『ではクオン殿と呼ばせて下さい、呼び捨てはとても無理なのです』


『ん~ まあ良いですけど』


『そちらの人が第2王子さんなのかな?』


『はい私はシリアと言います、戦争の件では本当にありがとうございました』


『いえいえ、たまたまああなっただけですからお気にせず』


『色々あって敬語は使ってないんだけど、苦手なので勘弁して下さいね』


『いえ、此方が敬語を使うのは当然の事なので』


『あ あの僕の病気を治してくれて、ありがとうございました』×アル


『んん?』


『わ 私が言ったんじゃありませんからね?』×ユマ王女


『そっか、国王にバレちゃったんでしたね・・・』


『お礼を言うならユマお姉ちゃんに言った方が良い、俺達はユマ王女の頼みを聞いただけだから』


『はい、ユマお姉ちゃん、本当にありがとう♪』


『ふふ アルもクオン殿に感謝を忘れてはいけませんよ?』


『はい、クオンお兄ちゃん達もありがとう♪』


『僕走れるようになって本当に嬉しいんだ♪』


『か 可愛い~♪ねっ クオン持って帰ろ?』


『ええっ』×王族達


『んふふ 冗談ですよ?』


『・・・焦りました』×ユマ王女


『ミュウ冗談が過ぎるぞ?』


『ごめんなさい♪』


『さてじゃあ、そろそろ行きましょうか♪』


『あ あのどこかへ行くのでしょうか?』


『はい、色々とお世話になっちゃったんで王族の皆さんにはサークル本部へ招待しちゃいますね』


『あ あの私は離れる訳にはいかないのですが?』×ルカ


『もちろんルカさんも招待しますよ?』


『宜しいのですか?』


『はい、危険なんてありませんけど、護衛はルカさんの使命ですからね』


『そんなに長い時間城を離れる訳にはいかないでしょうから、サクッと行きますねー 』


『オーラ頼む』


『うむ、では直接転移するとしよう<ゲート>』



次の瞬間ルカさんを含む王族達は、いつものサークル本部が良く見える丘に転移した。


当然の様に全員驚きに包まれている♪


だがアル君だけは直ぐに喜び良い笑顔で飛び跳ねていた。



『うわーうわー 凄いよユマお姉ちゃん♪』


『う うん・・・こ ここは?』


『ま まさか<転移魔法>とは・・・』


『外れニャー♪』


『は 外れとは・・・』


『此処は俺達が亜空間に創ったサークルの世界なんですよ』


『あそこに見えてるのかサークル本部です』


『な なんとクオン殿は、どこかの王族であったのか』


『あはは 俺達は全員平民ですよ♪』


『まあ身分や種族なんて、俺達には何の関係もありませんけどね♪』


『城に住んでるから王族って事もないでしょ?あの城は俺達が造った物ですからね♪』


『造った?あの城を造ったと言うのかね?』


『はい、俺達6人で造りましたよ』


『フハハ 中々楽しかったぞ♪』


『まあクオンが居なければ無理だけどね♪』


『ロックなら出来るんじゃないか?』


『造るのは兎も角、設計は無理ですよー 』


『ニャハハ 無理もないニャ♪』


『クオンの頭の中は無限なのでしょうね♪』


『な なんとも恐るべき者達よな・・・』




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