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第173話 不穏な噂

『クオン様、少しだけお待ち願えますか?ギルマスに許可を頂いてきますので』


『すみません、ありがとうございます』



しばらく待っているとクレアさんは、身支度を整え戻ってきてくれた。



『お待たせ致しました』


『いえいえ、では行きましょうか♪』


『どこへ行かれるのか、お聞きしても?』


『そう言えば未だ言ってませんでしたね、実はクレアさんをサークル本部へ招待したいんですよ』


『サークル本部ですか?「商業都市エンゲルラント」にあるのではなかったのですか?』


『えっと説明するより見た方が早いですね、奥の相談室を貸して貰っても良いですか?』


『はい?』



俺達は不思議そうなクレアさんと共に相談室へ入った。


サークルメンバーは驚くクレアさんが楽しみなのか、皆嬉しそうな表情になっている♪



『じゃあ驚くかも知れないからオーラ、ゲートを出してくれるか?』


『任せよ♪』



何時もの様にオーラがゲートを開いてくれると、黒い扉が現れる。



『こ これはまさか転移ゲートですか?』


『惜しい、流石クレアさん物知りですね~♪』


『んふふ さあ入って入って♪』


『す 少し怖いのですが?』


『あはは じゃサジタリウスから入って貰おうかな♪』


『分かった』



サジタリウスの皆がゲートに入って行くと、クレアさんも恐る恐るゲートを潜ってくれた。


俺達も続いてゲートに入ると予想通り、そこには目を擦りながらサークルの世界を凝視しているクレアさんが居た。



『ま まさかあの城がサークル本部なのですか?』


『い いえその前に此処は一体どこなのですか?』


『簡単に説明すると、此処は俺達が創った亜空間です♪』


『だから転移した訳じゃないのかな?一応転移と言えば転移か・・・』


『そしてお見込みの通り、あの見えている城がサークル本部です』


『先に言っておきますけど、俺達は王族でも何でもありませんからね?』


『・・・此処へ初めて来た方に、よく聞かれるのでしょう?』


『分かります?』


『無理もありません・・・それにしても長い間目立たずに過ごせてきた理由が少し分かりました』


『幾ら何でも亜空間に居る者を探し出すのは不可能でしょうから』


『んふふ 流石ねクレアさん初めて此処に来た人は驚いて何も考えれなくなるのに♪』


『私もとても驚いております、それにしても素晴らしい』


『ひょっとして此処には魔物も居るのではありませんか?』


『・・・驚いたな何故そう思うんです?』


『あのゲートを潜った時の感覚は、まるでダンジョンに入った時の様でしたので』


『あはは なるほど流石クレアさん♪』


『でも安心して下さい危険な魔物はいませんから』


『さあ、行きましょうか』


『はい・・・』



俺達は歩を進めサークル本部の庭園に入ると、その豪華さに皆は驚いていた。



『す 素晴らしい、王都にある城より遥かに大きく優雅な庭園です』


『ありがとうそう言ってくれると頑張って作った甲斐があるよ♪』


『つ 作ったのですか?』


『ああ この庭園と城は俺達6人で頑張って作ったものだからな』


『えええええっ?』×サジタリウス


『信じられん事をするな?』×ゼン


『俺達にはロックって言う凄腕の職人が居るからな♪』


『や 止めて下さいよリーダーが書いてくれた図面通り皆で組み立てただけなんですから』


『んふふ 私達は全員アイテムBOXがあるから持ち運び出来るのが便利よね♪』


『ぜ 全員お持ちなのですか・・・』


『こらこらミュウ、それはサークルの秘密だろ?』


『あ~ ごめんなさいサジタリウスとクレアさんに聞かれちゃった(棒)』


『まあ、聞かれてしまったら仕方ないよな(棒)』


『ちょっと、それ怖くなるから止めてよね?』×ローラ


『・・・私達は、もう逃がさないと言う事ですね?』×クレア


『フハハ それではまるで脅しているようではないか♪』


『ニャハハ ずっとお友達でいようニャ♪』


『フフ 信頼の証ですわ♪』


『サークルメンバー以外では、此処に入る事も出る事も出来ませんからね♪』


『ここって自力で出れないのかよ?』×ケルン


『亜空間って言ってたでしょ?出口なんてある訳ないわよ』×ローラ


『此処以外にも亜空間が作れるのでしたら、脅威としか言えませんね』×クレア


『やっぱりクレアさんって理解が早いですね~ 協力を願って良かったです♪』


『もう少し踏み込んで貰おうかな~ 』


『もうクオンそんな言い方したら、怯えられちゃうでしょ?』


『おっと、すみませんクレアさん』


『い いえ、現状を理解するのが精いっぱいだと言っておきます』


『あはは さあ着きましたよ入って下さい♪』



俺達は庭園を抜け城の門に辿り着いたので、全員中へ入って貰う事にした。


城の中へ入るとメイドさん達が綺麗に列を成して出迎えてくれた。



『お帰りなさいませ御主人様』×メイド達


『ただいま♪』


『ようこそサークル本部へ、歓迎致しますお客様♪』


『あ ああ』×ゼン


『お久しぶりね皆さん♪』×ローラ


『『久しぶり~♪』』×ノンナ・エスモ


『か 歓迎ありがとうございます』×クレア



クレアさんやゼンを見ると額に汗を掻き、少し怯えているようだ。


何故だろうと思ったらメイドさん達の強さを感じ取ったのだと気付いた。


メイドさん達は俺達の様に魔力を抑える訓練とかしてないし、最近また急激に強く成ったからな・・・



『あ~ ごめんなメイドさん達は未だ魔力を抑える訓練をしてないんだ』


『えっ どういう事だよ?』×ケルン


『馬鹿ね、まだ分からないの?』×ローラ


『よく感じてみろ・・・このメイドさん達1人1人が俺よりも強いぞ?』×ゼン


『はあ?』×ケルン


『嘘だろ?』×ユムノ


『魔力はローラを超えているし、どう見ても強者の気配だ・・・』


『・・・クオン様達と比べると、とても分かり易いですが恐ろしい所ですね?』×クレア


『俺達には敵が多いですからね、最低でもサークルメンバーは自衛出来る程強く成って貰わないとなんですよ』


『王都の武術大会前に盗賊を倒したのはメイドさん達で間違いなかったのですね?』


『あれはクオン様が私達に戦闘訓練をさせて頂いただけです』×アーチか


『あはは そう言う事もあったな♪』


『フフ 誰も殺しませんでしたから、私達より手加減が上手いですわ♪』


『フハハ 特に盗賊相手では手加減が難しいからな♪』


『・・・笑えないって』


『あはははは♪』×全員



早速食事にでもと思ったけど、サジタリウスに酒を振る舞う約束をしていたので先に風呂に入って貰う事にした。


今日は男性が多いので先に男だけで風呂へ行き、後から女性達に入って貰う。


男と言えどサークル自慢の大浴場にゼン達も驚き喜んでくれた♪


入れ替わりで女性達に大浴場へ行ってもらった。



『・・・こ これは何と美しい』×クレア


『うふふ 私も初めて此処に連れて来られた時はメチャクチャ驚いたわ♪』


『クオンってお風呂が大好きみたいでさ、一番時間を掛けて作ってたんだよね』


『飛んでも無いお人ですね・・・これが手作りなんて誰が信じると言うのですか』


『この絶景が見える浴場の他にも、色々な浴槽があるようですが?』


『ニャハハ 温い浴槽から熱い浴槽、水風呂とかもあるニャ♪』


『後は泡が噴出してくる浴槽とか、寝転がりながら入る浴槽もあるわ♪』


『サウナと言う蒸気風呂もありますわ♪』


『全てのお湯には美肌効果と疲労軽減効果があるのよ?』


『シャンプーセットも飛んでも無いからね?』×エスモ


『クオンさんが錬金術で作ったんでしょ?』×ノンナ


『そそ クオンが簡単に作っちゃったのよね』


『聞いた事がありますシャンプーもクオンさんが作った物でしたか・・・』


『クオンは特別だからね♪』


『ニャハハ 女性を喜ばす天才ニャー♪』


『フフ 「女性殺し」と呼ばれるぐらいですわ♪』


『・・・本当に参りました、今まで自分がどれほど無知だったのか思い知りました』


『世の中は広いですね、クオンさんを推し量ろうとしていた自分が恥ずかしいです』


『クレアさんも凄い人だと思うわよ?だってクオンが是非協力して欲しい人だって言ってたからね♪』


『サジタリウスの皆もよ?』


『うふふ そう言われたら嬉しいわね♪』×ローラ


『ご期待に添えれますよう全力でお手伝いさせて頂きます』×クレア



リビングで寛いでいると女性達もお風呂から上がってきたので、食堂に移動し食事にすることにした。


お風呂上りと言う事もあり、先ずはビールから皆に配っていく。


もちろんビールジョッキはミュウが氷魔法で作ってくれた、とても溶けにくいジョッキだ。



『これが約束の美味いエールか?』×ケルン


『ああ ビールって言うんだけどな、まあ飲んでくれ味は保障するから♪』


『頂きます♪』×全員


『クビクビクビ・・・ぷはーーー♪』


『旨い♪』


『な なんだこりゃ?』×ユムノ


『本当に旨いなこれ♪』×ゼン


『だろ?さあ料理も食べてくれ♪』



サジタリウスの皆やクレアさんは、料理を食べる度に一喜一憂してくれた♪


特に俺の料理を始めて食べるゼン達やクレアさんは、時間が止まったかのように固まったまま驚いているのが面白かった♪


ローラ達も約束通り今日はチョコレートケーキを振る舞うと、黄色い声を上げていた♪


これにはメイドさん達も反応し、結局女性陣全員に振る舞うことになった。


皆幸せそうな顔をしてくれるので作り甲斐があるんだけどね♪



『あ~ん 幸せ~♪』×マリン


『ねえ、本当にどれだけ膨大なレシピ持ってるのクオン君?』


『心配しなくても全部マリンさんにも教えますから♪』


『うふふ 神様ありがとうクオン君に巡り合わせてくれて♪』


『あはは 大袈裟ですよ♪』


『クレアさんも気に入ってくれましたか?』


『はい、とても美味しいです・・・この世の物とは思えない程に』


『喜んでくれたなら嬉しいですよ♪』


『シャンプーセットも使ってくれたんですね?』


『サークルの女性達が全員美しい理由が分かりました』


『「女性殺し」の異名も納得です』


『ブッ 俺は唯喜んで貰おうと思っただけなんですが?』


『御心配なく、そこは理解しております♪』


『安心しましたよ・・・ライカ後でちょっと話しがある』


『な 何故私だと分かるのですか?』


『一番言いそうだからな・・・3時間ほど笑わせてやろう♪』


『さ 3時間も笑ったら死んじゃいますわ、謝りますから?』


『駄目だお仕置き決定ー 』


『そんなーーー 』


『ニャハハ 口は災いの元ニャー♪』


『んふふ 自業自得よ♪』


『全く・・・ところでクレアさん腕の良い鍛冶師さんは集まりそうですか?』


『はい、王都以外になるのですが、一番腕の良いとなるとアラゴスの町に居る鍛冶師に依頼を出しております』


『えっ それって親方なんじゃ?』×ロック


『あはは 間違いなくそうだろうな♪』


『お知り合いでしたか?』


『はい、アラゴスの親方は僕の師匠なんです♪』


『なるほど引き受けて下さるか不安でしたが、それなら大丈夫ですね♪』


『なんとか10人程確保出来そうです』


『お~ 流石クレアさん、ありがとうございます♪』


『あっ そうだクレアさん、これ付けておいてくれますか?』


『ブレスレットですか?こんな高価そうな物、お礼としてなら結構ですよ?』


『いえいえ、お礼って訳じゃないんですよ』


『サジタリウスの皆にも渡しておくよ』


『俺達にもか?』


『ああ とりあえず付けてみてくれ』


『ん ああ』


『うわ~ 素敵なブレスレットね、とっても綺麗だわ♪』×ローラ


『えっ なんでそんな顔してるのよミュウ?』


『んふふ いや~ 付けちゃったんだ~っと思ってね♪』


『ええっ?』×サジタリウス・クレア


『わ 私も装備してしまいましたが、まさか呪いの装備ではありませんよね?』


『あはは まさかそんな訳無いじゃないですか♪』


『ちゃんと取り外せますから試して下さい♪』


『ホントだ外れるわ、もうビックリするじゃないミュウ?』


『んふふ 取り外せるけど紛失できなかったりして♪』


『ま まさか・・・』


『ええっ な なによこれ確かに机の上に置いたのに、何時の間にか腕に戻ってる?』


『・・・メイドさん達が全員このブレスレットをしているのに、早く気付くべきでした』


『お~ 流石クレアさん、よく見てますね~♪』


『もう皆そんなに心配そうな顔しなくても、悪い物じゃないわよ?』


『それはクオンが作った「アイテムブレスレット」よ、名前で効果は分かるでしょ?』


『えっ?』×サジタリウス・クレア


『抜き打ちですみません、効果を説明すると遠慮するんじゃないかと思って』


『名前の通りアイテムを収納出来るブレスレットです、個人認識が付いてるので外れますけど盗まれたり紛失する心配がありません』


『ええええええええええっ』×サジタリウス・クレア


『な なんでそんな高価な物を?』


『サジタリウスの皆は鉱石を大量にストックして貰わないとだろ?』


『クレアさんには資金として光金貨100枚ほど入れてあります、これがあると持ち運びが便利ですから』


『色々と手伝って貰う報酬として受け取っておいて下さい♪』


『光金貨100枚・・・あのどれぐらいの容量があるのか、お聞きしても?』×クレア


『あ~ 実はハッキリと分からないんですよオーラの予想では、この城ぐらいなら入るそうです』


『くはっ』×サジタリウス・クレア


『中に入れた物は時間停止になるから食材とか腐らなくて便利よ?』


『じ 時間停止まで・・・それって国宝級を超えているのでは?』


『俺達が作ったから値段は分からないんですよね』


『なあ それってほとんどアイテムBOXなんじゃないのか?』×ゼン


『俺達のアイテムBOXは容量制限なんて無いからな、全然違うと思うぞ?』


『俺も頭が痛くなってきたぞ?』


『分かってくれて嬉しいわゼン』×ローラ


『い 幾ら何でもこんなに・・』×クレア


『おっと、もう個人認証済みだからな、誰にも使えないし返せないぞ?』


『・・・どうやら一生感謝しなくてはいけなくなったようですね?』


『そうでもないさ、ほんのお礼だからな?』


『クオン君、もう少しお礼する物の価値を考えた方が良いわよ?』×ローラ


『なにせ俺達の手作りだからな、真心が籠ってて良いだろ?』


『良過ぎるのよーーー 』


『あはははは♪』×全員



この日は次々と旨い酒を出していき、うやむやのまま潰れるまで飲んで貰った。


予想外にクレアさんは、お酒がメチャクチャ強かったけどロックと飲んでいたから最後には寝てしまった。



『ありゃ 寝ちゃった』


『ロック飲ませ過ぎニャー 』


『結構お酒が強いみたいで大丈夫かと思ったんですけど』


『幾ら何でもロックみたいに強い酒をカパカパ飲んでたら潰れるって♪』


『フフ 客室に運んでおきますわ』


『ああ 頼む、俺達はもう少し飲もうか?』


『賛成ー♪』×サークルメンバー



翌朝メイドさん達とマリンさんが朝食を作ってくれ、そろそろお客さん達を起こしにいこうとしたらクレアさんが自力で起きて来たようだ。



『おはようございますクレアさん』


『おはようございます、申し訳ありませんどうやら昨日は寝てしまったようですね』


『酔い潰れるなど初めての経験です・・・』


『ごめんなさい、僕ちょっと飲ませ過ぎちゃいました』


『いえ、お酒は強い方なのですが流石ドワーフですね?』


『あはは でも皆も僕と同じぐらい強いんですよ♪』


『何から何まで規格外なのですね』


『それに何なのですか、あの布団は?私が寝過ごしてしまうとは・・・』


『んふふ フカフカで気持ち良かったでしょ?ロックとムーアの自信作なのよ♪』


『本当に全て手作りなのですね?』


『そういやそうだな・・・何か買った物ってあるか?』


『ふむ、食材も作っておるからの・・・』


『あたいは買われたニャ』


『それなら私達も?』×メイド達


『あはは じゃ買ったのはムーアとメイドさん達だけだな♪』


『あ あの笑えないのですが?』


『あはは♪』×全員


『それとお伝えしておきたい事があるのですが』×クレア


『はい?』


『実は隣国であるバーミーズ帝国とベンガル王国は、永年紛争を繰り広げておりますが最近不穏な噂が流れております』


『また紛争になりそうって事ですか?』


『いえ今回は大規模な戦争になるのではと噂されております』


『何万人単位の戦争になるって事ですか?』


『その通りです』


『まさか冒険者である俺達も参加しないといけないとか言いませんよね?』


『高ランクの冒険者には間違いなく召集命令がだされますが、ギルドからサークルの皆さんに強制することはできないでしょう』


『なるほど、どの道そんなどちらが悪いのか分からない様な戦争に俺達は参加しませんよ?』


『そう言われると思いました、ですが現在そのような噂が出ている事をお伝えしておきます』


『分かりました、ありがとうございますクレアさん』



その後サジタリウスの皆も起きて来たので一緒に朝食を取り、王都へ送ってあげた。



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