第164話 仲間の激怒
この間来たばかりだが王都も<ゲート>で来ると感動が薄れるな・・・さてとりあえず冒険者ギルドへでも向かうことにする。
入口の前に立つとクレアさんが見えたので中へ入って挨拶をしようとするとローラさん達のパーティである「サジタリウス」の面々も居るようだ。
でも心なしか皆浮かない顔をしているが何かあったのかな?
『おはようございます、ローラさん達以外は久しぶりですね』
『おはようサークルの皆さん、久しぶり』
『<エンゲルラント>ではお世話になりましたサークルの皆さん』
『んふふ 意外に早かったでしょローラ、でも何でそんなに浮かない顔してるの?』
『ご ごめんなさいミュウ、実はサークルがクシャ王子に呼び出されたのは私達のせいなのよ』
『ふむ、それを知っているって事は何か事情がありそうですね』
『ああ、すまないクオン君座って話すよ』
「サジタリウス」のリーダーであるゼンさんが今回の件について詳しく話をしてくれた。
『なるほどね、どおりでこんなに時間が立ってから呼び出された訳だ、そのハクウって奴は中々のクズ野郎みたいですね』
『ああ、昔から俺達の事が気に入らないみたいでね、何かと絡まれて来たんだがサークルにまで迷惑を掛けてしまったみたいで申し訳ない』
『いやいや、ゼンさん達が悪い訳じゃありませんからお気にせず、俺達の事はギルドマスターに聞いたのですか?』
『それはユマ王女が教えてくれたんだよ、ユマ王女も今回の件を聞いたみたいでね、かなり第1王子であるクシャ王子に呼びつけるような真似はしないように言ってくれたみたいなんだが聞いてくれなかったようで、俺達からサークルへ事情を説明するよう言付かったんだ』
『って事は俺達を待っていてくれたんですね、それはすみませんでした』
『いえいえ、謝るのは私達の方よ迷惑かけちゃってごめんね』
『今どんな話になっているか、教えて貰えますか?』
『ああ、サークルが王都に着き次第門兵から連絡が入ってる筈だから昼にでも武術大会の会場に呼び出しがある筈だよ』
『ふむふむ、そこでクシャ王子の前でハクウって奴をぶちのめしたら良いんですね?』
『それなんだが、そのハクウって奴はさっきも言った通りクシャ王子と仲が良くてね、おそらく何か汚い真似を用意してると思うんだよ』
『ねーねー でも私達は一応武術大会で優勝してるんだけど、どうしてそのハクウって奴は、そんなに強気なの?』
『ああ、それはサークルが全員15歳で童顔ってのを聞いて、まぐれで優勝したと思い込んでるんだよ』
『はぁ~~ バカじゃないの?自分達もまぐれで「サジタリウス」に勝てるもんなら勝って見なさいよ』
『まーまー ミュウ落ち着いて、何の遠慮も要らない事が分かって良かったよ』
『し しかし、クオン君汚いあいつ等の事だクシャ王子を盾にしてくるのは目に見えている』
『心配してくれて、ありがとうゼンさん俺達は大丈夫ですよ』
ゼンさん達と話をしていると入口からギルドマスターが帰って来たようだ。
『・・・しかし最近よく見かけるなクオン君?』
『あはは お帰りなさいギルドマスター その顔は何か厄介事でも抱えてそうですね?』
『あはは 分かってくれて嬉しいよ・・・特大の厄介事で胃が痛いぐらいだ』
『それは大変ですね良かったら相談に乗りましょうか?』
『ああ、頼むよどうか王都を滅ぼさないでくれないか?』
『あはは それは約束出来ませんね♪』
『でも民の安全は保障しますよ、おっとハクウって奴のパーティとクシャ王子は別ですが』
『ク クオン君・・・・・』
話を聞いていたクレアさんやサジタリウスの皆さんが悲壮な表情で此方を見ている。
『ん~ そうですね俺達の事は鏡のような者だと思ってください相手が優しい人なら俺達も優しい人に見える筈です』
『でも相手が卑劣で卑怯で汚い奴なら、俺達のリミッターもドンドン外れていきます、もう既に2つほど外れてますけどね』
『そう考えたら王都の王族が滅んだとしても、それは自業自得と思いませんか?』
『ところで昼頃に武術大会の会場ですか?』
『ああ、その通りだが何か良い方法は無いだろうか?』
『・・・以前なら相手が消えていくだけだったんですが、もう隠す必要も無くなりましたからね心配しなくても全ては相手次第ですよ』
『あっ そうだ王都から帰る前に上級ダンジョンに行く予定なんですが「サジタリウス」の皆さんも御一緒しませんか?』
『も もちろん案内させて貰うよ』
『ありがとう、では俺達は王都見物にでも行ってきますね』
俺達は以前ラジオ商会の事で王都に来た時は全然店とか見る暇がなかったので昼までの暇つぶしに色々と見物しに行く事にした。
『ギ ギルドマスター クオン君の言った事は冗談ですよね?』
『・・・いや冗談でも何でもないよ彼は本気で言っていた、彼らは武術大会に出るまで無名だったのは知っているだろう?』
『ええ、何故あれだけ強い彼等が無名だったのか不思議に思ったぐらいですよ』
『聞いた話だが彼等は自分の信じる事を貫ける程の力を付けるまで徹底的に実力を隠して来たらしい』
『そう誰が相手であろうと嫌な事や理不尽な事を許さないためにな、私はそれを聞いていただけに震える程彼等が恐ろしいよ』
『隠す必要が無くなった現在の彼らの実力は飛んでも無いぞ?おそらく武術大会では実力の十分の一も出してないだろう』
『なっ ま まさか?それで俺達に圧勝したって言うんですか』
『・・・ゼン信じられないかも知れないけど<エンゲルラント>に行った私達3人には分かるわ、だって彼等に仕えていたメイドさん達にも勝てる気が全然しなかったもの』
隣で聞いているノンナとユムノも「ウンウン」と相槌を打っている。
『そういえば私も全く気配を感じさせず後ろに立たれたな・・・しかも6人全員にだ、根本的な実力だけじゃなく彼等に狙われたら死ぬことも意識出来ないだろうな』
『そ そんな・・・』
『さて私はユマ王女の所へ行ってくるよ、あんな駄目王子でも国王の事を思えば何とかしてやらんとな』
『ゼン私達も無駄かも知れないけど、あのバカ達を止めに行きましょ?』
『ああ、そうしようか・・・彼らの心配をしていたのに王子の心配をすることになるとはな・・・』
◇ ◇ ◇
<クオン視点>
『ねー クオン、ギルドマスターは兎も角、ローラ達の前であそこまで言っちゃって良かったの?』
『ちょっとだけボカして言っただろ?』
『フハハ 確かに確信には触れておらんな』
『クフフ それにクオンは私達を含めて言ったのよ』
『それは分かってるけど、ある程度は我慢しないとね』
『分かってるよミュウ心配すんなって』
『それとあれだけ喜んでくれたシャンプーとリンスを使ってないみたいだったわ』
『まさか・・・いやありうるな、どうやら我慢するのは大変かも知れないぞ?』
『もし、そうなら私も無理かも・・・』
それから色んな店を見に行く予定だったが結局、美味しい店を探して昼食を食べただけで武術大会の会場に行く事になった。
久しぶりに来てみると武術大会の時あれだけいた人が居ないと変な感じだ、でもそこそこの人が訓練しているのか、まったく人が居ないって訳じゃなさそうだ。
大きな会場なので、どこに居るのか適当に見ているとユマ王女を見つけた、ユマ王女も俺達を見に来たのかな?
ユマ王女も俺達を見つけたのか此方に歩いてきてくれている。
『ユマ王女、武術大会ではお世話になりました』
『うむ、クオン殿久しいの元気そうでなりよりじゃ』
『それよりも、すまぬなバカ兄の我が儘に付き合わせてしまって・・・』
『う~ん・・・それは良いんだけど、ひょっとしてユマ王女様もクシャ王子を止めてくれたのですか?』
『すまぬ我の言う事など奴は聞いてくれぬ・・・』
『ユマ王女此処まで来てくれたのは嬉しいのですが帰った方が良いかも知れませんよ』
『むっ 何故じゃ?』
『今日は武術大会じゃないからですよ、そこの護衛の人ルカさんでしたっけ?危ないと思ったら王女を非難させて下さいね』
『引き際を間違えたら死にますよ?』
『・・・分かりましたクオン殿』
『あっ 向こうに居るのがクシャ王子ですね、ではちょっと行ってきます』
『うむ、すまぬ』
『行ったか・・・さっきのクオンの言葉はどういう意味だと思うルカ?』
『私にもクオン殿の真意は分かりませんが、クオン殿の言う通り私の仕事は王女をお守りするだけです』
『・・・ふむ、何故か嫌な予感がするの』
少し離れた所にクシャ王子らしき人と冒険者が居るが、やけに人数が多いな・・・
まあ、確かめるために近づいて行くと、やはりそうらしい・・・気は進まないが一応王子だし丁寧に挨拶をしておくか。
『お待たせ致しましたクシャ王子、俺が「サークル」のリーダーをしていますクオンと言います』
『なに?お前達がサークルだと?フハハハハハハ 本当に子供ではないか?後ろにも小さい奴が居るがドワーフか、と言う事はリーダーのお前が一番ガキっぽいな、お前本当に武術大会で戦ったのか?見ていただけじゃないのか?』
『ぎゃはははははははははははは』×複数
・・・どうやら俺が童顔なのが、よっぽど面白いのか何故か大勢いる冒険者達の笑い声が止まらない・・・
『『『『『ピキッ ピキキ』』』』』
『あ~~ 腹がいてえ、ゼン達はこんなガキに勝てなかったのか仮にもSランクなのに恥ずかしい奴だな』
『キャハハ あ~ も~ 笑えたわ、貴方達15歳なのよね、いつから冒険者をやってるの?』
『・・・大体半年ぐらいですかね、貴方は?』
『うふふ 私達が今日貴方達の相手をする「白き羽」よ、模擬戦しに来たんだけど、まさか子守になるとはね』
『ぎゃはははははははははははははははははははははははは』×複数
『分かったぞ、お前達ユマのお気に入りなのだろう?あいつは今日の模擬戦もかなり反対していたからな、武術大会で優勝出来たのもあいつの仕業か、由緒ある王都の武術大会で不正をするとは許せんな』
『あのクシャ王子、俺達は不正などしていません、ちゃんと実力で優勝しました』
『ちょっと僕?いきなり話しかけるなんて不敬よ、いくらガキだからって礼儀も知らないの?』
『『『『『ピピキッ ピキピキピキ』』』』』
『まあ良い、一応見てやるから、その実力とやらを見せて見ろ、ちなみにそこにいるのは私が目を掛けているSランク冒険者だ大会ではロクな奴がいなかったようだが本物の冒険者を相手に頑張ってみるんだな』
『クシャ王子、いきなりSランクである俺達と模擬戦をやるのも可愛そうなので、最初は一応用意したAランクの冒険者と模擬戦をやらせても宜しいでしょうか?』
『ふはははは 相変わらずお前は優しいな、まあ良い練習がてらにやらせてみよ』
『はい、ありがとうございます』
『おい、ガキ共良かったな、お前達相手してやれ』
『分かりましたハクウ様、さあガキ共誰でも良いから掛かって来い』
『んふふ んふふふふふ』
『あはは あははははは』
『フハハ フハハハハハ』
『ニャハ ニャハハハハ』
『クフフ クフフフフフ』
『『『『『お前達クオン(リーダー)をバカにして生きて帰れると思うなよ(ニャー)!!!』』』』』
あれっ 何で俺が冷静なのに皆切れてるんだろう・・・あっ そうか今日は俺だけがバカにされたからか、あれだけ冷静にって言ってたミュウが一番切れてるじゃないか?あはは でも確かに嬉しいな。
『んふふ んふふふふ さあ行くわよ汚いおっさん?』
『な なんだと?クソガキ武器はどうした?』
『んふふ もう駄目・・・殴りたいのよ、死にたいって言わせてあげるわ』
『ガキが・・・もう手加減してやらねえぞ』
Aランクのおっさん?は模擬戦なのに大剣を振り上げミュウに斬りかかるが、あんなに遅い攻撃がミュウに当たる訳がない。
ミュウは大剣を躱しおっさんの膝に蹴りを放つ。
『バキッ うぎゃあああああああああああああああああああああああああああああ』
『ドカッ バキッ バキバキバキ うぎゃあああああ や やめてくれええええええええ』
『んふふ んふふふふ♪』
『ドンッ グフッ ゴハァ ゲホオ アガガガガガガ や ブフォオ や やめ・・・・』
ミュウが放った膝への蹴りで足が九の字に曲がっている、おそらく骨は粉々に砕けているだろう。
痛みで転げまわっている所へ踏みつけるようなミュウの蹴りで両腕や肋骨が砕ける音が聞こえてくる、それからも重むろに足首を掴むと90キロはありそうなおっさんを軽々と持ち上げ何度も地面に叩きつけていった。
ミュウの攻撃が終わる頃には体中の骨が折れ、芋虫のように横たわっておりピクピクと痙攣していた。
『んふふ んふふふふふふふふ さあ次の人どうぞ~~~~~~~』
ミュウは口角を吊り上げ怪しく微笑んでいた、いや良く見ると皆口角が上がっている。
『う うわああああああ ば 化物だあああああああああああああ』
『ニャハハハハ 絶対に逃がさないニャ、お前達はリーダーを侮辱したニャ』
蜘蛛の子を散らすように逃げ惑うAランクの冒険者達に仲間達の容赦ない足払いが叩き込まれていく。
足が千切れるのではないかと思うほど変な方向に曲がっていた、どうやらギリギリの手加減しかしていないようだ。
しかし、とても止める気にはなれないなミュウが言っていた気持ちが分かる。
俺は驚愕の表情で固まっている「白き羽」のリーダーであるハクウの元へ行き話しかける。
『さあハクウさん俺達も模擬戦ですか?やりましょうか』
『ヒッ ヒィィィ お お お前達が強いのは分かった、だから王子も満足しているだろうから、もう良いだろう』
『あはは あれだけ俺の事をガキだと言ってたのに怖いんですか?さあやりましょうか』
『あっ そこの礼儀を良くご存知の女性も待ってて下さいね♪ハクウさんの後に相手になりますよ』
『も もう十分分かったから終わりよ、ね ねえハクウ』
『ああ、もう終わりだ。だからお前も早く仲間を止めてくれ』
『お前?お前って誰の事ですか?俺の事はガキって呼んでましたよね?』
『それに「白き羽」の女性達って皆綺麗な髪してますね?かなり上質なシャンプーとリンスだと思うんですが、どこで手に入れたんです?』
『だ 黙れ、終わりと言ったら終わりだ、は 早くしろ』
『黙れだと?お前誰にモノを言ってるんだ?』
『本格的に俺達を怒らせたようだな?』
俺はこいつ等を見て確信した。どうやらローラさん達にお土産で渡した物をこいつ等が脅し取ってんだろう・・・
あ~ もう無理だな、指向性なんて無視した<真龍王の威圧>が漏れ始めるのが止められない・・・
『あが あがががががががががが』
『ヒィィィィィ ば 化物、た 助けて・・・・・・・』
『んふふ Aランクの人達との模擬戦?は終わったわ、次はお前達よね?』
『ヒィ ヒィィ ヒィィィィィ ご ごめんなさいいいい あ 謝る わ、ゆ ゆる して・・・』
『駄目よ絶対に絶対に許せないわ、ローラは凄く喜んでくれたのよ、それなのに貴女の汚い髪が綺麗になっているのを見ると殺したくてしょうがないわ』
『か か 返します、いえ弁償します、だ だから許して』
『んふふ あれはねー 特別な物で売ってないのよ?どうやって弁償するのよ?でも安心して身体で弁償させてあげる』
『んふふふふ ねえ、見て綺麗でしょ?これ<黒炎>って言うのよ、これを今からどうすると思う?』
『い いやああああああああああああああああ ゆ 許して お お願い』
『綺麗に燃やし尽くして上げるわ、嫌だったら躱す事ね』
ミュウの指先からゆっくりと放たれた3つの<黒炎>は逃げ惑う「白き羽」の女性3人の髪に引火し燃え上がっていく。
必死になって<ウォーター>で消そうとしているが、それで消えるほど甘い炎じゃない。
『『『いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ』』』
逃げ出したくても俺の<真龍王の威圧>を受けて足が震えて動けないようだ、水で消えないから手で消そうとしているが逆に手にも着火し指先が燃え始める、こうなってきたらもう地獄だろう。
ミュウが<黒炎>を消す頃には頭皮まで焼け爛れている、あれではもう髪は生えてこないだろう指先に燃え移っていた<黒炎>も手首まで炭化していた。
『まだこれでもカツラを付けたら普通に見えるわね、ついでに鼻も潰して置いてあげるわ毎日豚のような顔を見て後悔なさい』
『ヒィィ ゆ 許してええええええええええええ』
『んふふ 駄目、無理、不可能!よくもクオンをバカにしてくれたわね』
『ドカッ ドカッ ドカッ!!!』
『ブゴッ グハッ ブヒュ ヒャ ひゃめて・・・』
ミュウを見ていたら、何時の間にかハクウ達もロック達にボコボコにされている腹パンされて口から滝のように血を吐いているが<手加減>スキルのお陰でどんなに痛くても死ねないだろう、こういう使い方もあるとは便利なスキルだ。
『しかし、弱いな弱すぎる・・・お前達どうやってSランクにまで成ったんだ?サジタリウスの方が100倍強かったぞ』
『ああ、そうかバカ王子にSランクまで上げて貰ったんだな?さっき王子がワシ等に言っていた事をやっていた訳だ』
『このクズ共が死ぬほど反省しろ』
『クフフ どうせだから、そこで転がっている女性陣と同じ目に合わせて上げるわクオンを侮辱した報いですわ』
『『『ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああ』』』
◇ ◇ ◇
<ゼン視点>
『グゥゥゥ こんなに距離が離れているのに、あ 足が震える・・・背中の汗が止まらない、な 何て殺気だ、み 皆大丈夫か?』
『アアアアアア だ 駄目、おかしくなりそう、こ 怖い怖くてたまんない』
『クア ア ア ア た 助けて、ふ 震えが止まらないわ・・・』
俺達はクオン君の恐ろしい程の威圧を受け呼吸も苦しい中、しゃがみ込んで耐えているとギルドマスターがユマ王女を抱き抱え俺達のところまで助けにきてくれた。
『クッ クゥゥゥゥ ル ルカ頑張れ、こっちへ来て固まるんだ、は 早く!私ももう限界だ』
『は はい、グゥゥ う 動けえええええええええええええ』
『よ よし、<ライトシールド>!!!!!』
ギルドマスターは<ライトシールド>を張り俺達全員をクオン君の威圧から守ってくれた、な 何とか呼吸は出来るようになったが体の芯から来る恐怖感に未だに震えが止まらない・・・
『す すまないギルドマスター、ユマ王女、ユマ王女』
『心配する事はないルカ、王女は気絶しているだけだ、しかし早く此処を離れた方が良いな』
『しかし、サークルは完全に激怒している、しばらく此処で耐えるしかないか・・・』
『ウゥゥゥ か かなりマシになったけど、足の震えが止まらない』
『・・・これがサークルの本来の戦闘なのだろう、身の毛もよだつ程恐ろしい・・・』
『ずっと魔物を相手に訓練していたそうだからな手加減する必要もなかったのだろう、武術大会に出る事になってから必死に手加減の練習をしたのも頷ける』
『クシャ王子は・・・泡を吹いて気絶しているな無理も無いか、このままではクシャ王子も無事ではすむまいが現状どうすることも出来んな』
クオン君の殺気に身を屈め必死に耐えていると、少しずつ殺気が治まってきた顔を上げると、どうやら戦闘が終わったらしい。
いや虐殺と言った方が良いか、とても模擬戦と呼べるものではないな・・・
ハクウ達は辛うじて生きては居るようだが見るも無残な姿に変わり果てている、その惨状を目の当たりにし身震いが止まらない程サークルが恐ろしい、あれは絶対に手を出してはいけない人達だ。
クオン君は気絶しているクシャ王子を雑巾でも持つかのように引き摺りながら俺達のところまで歩いてくる、もう既に殺気は収めているが体が自然に震えだす。
『・・・ユマ王女、だから帰った方が良いと言ったのに、ルカさん間に合いませんでしたか?』
『クゥゥ・・・』
『ミュウ』
『分かったわ・・・大丈夫よ気絶してるだけだわギルドマスターが守ってくれたのね』
『そうかすみませんねギルドマスター、どうやら結構巻き込んだみたいですね』
『いや、それは良いがクシャ王子をどうする気なんだ?』
『ああ、此奴は殺そうと思いましたが一応お世話になったユマ王女の兄なんでね、国王次第で生かすか殺すか決めようと思います』
『っと言う訳で、ちょっと国王に会いに行ってきますね』
『ま 待てクオン、国王をどうにかする気はないんだな?』
『ん~ それは国王次第ですね』
『国王に手を出したら王都の数万人にも及ぶ軍隊が敵に回るぞ?』
『えっ?その時は王都から軍隊が消えて無くなるだけですよ?まあ、そうなると王都の軍事力が無くなるから大変でしょうけど自業自得ですから仕方ないですよね?』
『ギルドマスターこのバカ王子はクオンを侮辱したのよ、例えクオンが許しても私達が許さないわ、それにこのバカ王子のために軍隊を動かすようなバカ国王なら私が跡形もなく消し炭にしてやるわ』
『リーダー本当にそのバカ王子殺さないんですか?あいつ等は兎も角、僕は許せそうにないんですが』
『ああ、国王が条件を飲めば許してやろうと思ってる』
『私は殺した方が良いと思いますわ、そいつが国王なんかになったらロクな事になりませんわ』
『あたいも殺したいニャ、腹が立つニャー』
『まあクオンがこう言っているのだ、国王次第で良いではないか。まだ生かすと決まったわけでもあるまい』
『・・・そうねオーラの言う通りだわ分かったわよ』
『ありがとう皆、まあ俺が侮辱されただけだからあいつ等みたいにお仕置きして許してやろうかとも思ったけど、王子の立場にありながら、ここまでバカだとね・・・ではギルドマスターちょっと行ってきますね』
『ま 待て私も同行する、国王もお前達の話だけでは納得出来まい?』
『・・・俺としては納得なんてして貰わなくても良かったのですが、まあ良いですよルカさんも来ますか?』
『と 当然だ、だがユマ王女が目を覚ますまで待ってはくれないだろうか?』
『すみませんが待てませんね、どうしてもと言うなら抱えて連れて行ってください』
『分かった私が連れて行く』
『言っときますけど俺達を止めようとしたら、貴方達でも殺しますよ?』
『『ゾクッ わ 分かった』』