第150話 故郷2
『おっ 強化草発見!』
『あら、月光草もあるわ良く見たら薬草だらけじゃない』
『ニャー あたいの村はポーション作れる者が居ないから誰も採取しないニャ』
『なるほどね、マリンさん達の<錬金術>の練習になるから少し採取して行こうか』
『良いですね、本当に大量にあるから取り放題ですよ』
ダンジョンじゃないので取りすぎないように注意して採集していく、驚くべき事に薬草類だけじゃなくキノコ類も大量にあり、此処は<錬金術>の素材の宝庫だった。
『いや~ 良い所を見つけたな、これだけあれば色々作れそうだよ』
『あはは やはり色々な所に行かないとですね鉱物の宝庫もどこかにないかな~ 』
『ニャハハ ロックが言いそうな事ニャ、でも<ゲート>って便利ニャー 』
『ああ、これから色んな場所に行って探してみよう、さて次はオーラかライカだな』
『ふむ、ワシも久しぶりに故郷に帰ってみるか・・・』
『じゃー 次はオーラの故郷に行こう』
『先に言っておくがワシの親は辛辣だぞ?』
『んふふ 大体想像出来るわね、オーラは兄妹は居るの?』
『・・・あまり言いたくはないが3人の姉がいる』
『ひょっとして、めちゃくちゃ強かったり?』
『ミュウ感が良いな・・・ワシは弱かったからな一度も勝った事はない、いや正直に言えばワシの攻撃が触れた事すらない』
『クフフ なら今のオーラを見たら吃驚するでしょうね』
『あはは 面白そうですね』
『オーラ見返してやるニャー 』
『ふむ、未だ未完ではあるが途中経過の報告をしておくか』
『よし、行こうか』
オーラの故郷だけあって、強さに拘わるのが龍人のサガなのだろうか。
しばらく待っているとオーラが<ゲート>を開いてくれたので潜ってみる、どんなところなのか楽しみだ。
『へえ~ かなり標高が高そうだな景色も険しい山が続いてるし、<エンゲルラント>からかなりの距離もありそうだ』
『ああ、この山肌にあるのがワシの故郷だ』
『オーラって、こんなに遠い所から来たのね』
『うむ、それでも<エンゲルラント>が一番近くて大きな町なのだ』
『うわ~ 凄い景色ですね、でもここなら鉱物資源も多そうです』
『鳥系の魔物も多そうですわ、ひょっとしたらドラゴン系も居るのでは?』
『ああ、禁忌とされている場所に住んでいると言われているな』
『おお~ 良いな見に行きたいけど禁忌とされている場所なら怒られそうだね』
『まあ、クオンなら族長の許しが貰えそうだがな』
『そうなのか?じゃー 頼んで見よっかな楽しみが増えたぞ』
『さあ、行こう行こう』
『・・・しかし、いざとなると足取りが重くなるな』
オーラの案内の元、人が通れるのかどうか怪しくなるような道を進み岩の裂け目のような所へ入ると、そこには信じられないような空洞があり岩の裂け目から光が差し込んでいる不思議な光景だが美しい景色だった。
『うわ~ 凄いなオーラなんて景色だ』
『ん~~ 綺麗な所ね、幻想的だわ』
『ニャー 凄い所ニャー 』
『生活するには不便そうですが神秘的な所ですねー 』
『隠れ里のようにも見えるわね外敵が多いのかしら』
『うむ、ワシは慣れて居るが確かに外敵は多いな、自然にこういう所に移り住むようになったのかもな』
『あっ あれが入口になるのね何か警戒されてるわよ?』
『そこで止まれお前達、どうやってここまで来た?』
『久しいな我が同胞よ!』
『オーラ、オーラなのか!そうか帰って来たか息災そうでなによりだ』
『そこの子供のような者達は仲間か?』
『ああ、ワシの自慢の仲間達だ、子供のようなは言い過ぎだぞ皆ワシと同じ年だ』
『ワハハ すまぬ何、ワシ等が老け顔なだけよ気を悪くしないでくれ、さあ入ってくれ歓迎しよう』
『長らく留守にしたが、此方は変わりないか?』
『ああ、お前の家族も皆元気だぞ、ちと元気過ぎるかもな、ワハハハハハハ』
『さあ、久しぶりに顔を出してこい、ワシ等も後で行こう久しぶりに一手参ろうではないか』
『フハハ 相変わらずの戦闘狂だな分かった待っていよう』
オーラの故郷である村の中に入ると木造の古い作りの家が並んでおり全て平屋建てだが、どれも大きな家だった。
そのまま進んで行くと一際大きな家があり、そこがオーラの自宅らしい門には扉がなく中へ入っていく。
『むっ オーラ、オーラではないか、帰って来たのか』
『お久しぶりです姉上、未だ未完の身でありますが帰宅しました』
『堅苦しい挨拶は良いだろうオーラよく帰った』
一番最初に出会ったのはオーラの3人居ると聞いていた姉の1人だろう久しぶりの再会に感動したのか両手でしっかりと抱き合い喜びを噛みしめているようだ。
そう背の高いオーラと自然に抱き合えるほど身長があり凄く綺麗な女性だ、剣道着みたいな洋服に身を包みながらもライカと変わらないぐらいの双丘が俺の目に飛び込んでくる、視線のやり場に注意が必要になるだろう。
顔立ちはどことなくオーラに似ており姉弟と言うのも頷ける。
『そこの者達は仲間達か?』
『ああ、ワシの自慢の仲間達だ』
オーラの姉さんが俺達を見ながら、どことなく可哀そうな表情をし挨拶をしてくれる。
『私はオーラの姉で長女のムカと言います、こんな所までよく来てくれました歓迎致します』
『いきなりの訪問で申し訳ありません俺はオーラとパーティを組んでいるクオンと言います、歓迎ありがとうございます』
『さあ、他の者達も中へ入り疲れを癒してください』
ムカさんは俺達を客室のような部屋へ案内してくれお茶を出してくれた非常に丁寧な対応とは裏腹に悲しそうな表情を見せるのは謎なんだろう?
お茶を飲み終える頃、非常に慌てたような足音が鳴り響き部屋に2人の女性が飛び込んできた。
『お オーラ帰ったのか寂しかったぞ』
『オーラ良く帰って来た辛くなかったか?』
『お久しぶりです姉上ワシは元気です、姉上達も元気そうで何より』
『そうか、そうか元気だったか、お前が家を出てから毎日心配したんだぞ』
『家を出る時にも言ったが、お前が弱くとも私達がお前を守るから何も心配しなくても良いんだぞ』
『この者達は、お前の仲間なのか?』
『ああ、ワシの自慢の仲間達だ』
『そうか、よく我が弟を仲間に入れてくれた、よく弟を守ってくれた深く礼を言う、ありがとう』
『飛んでもないオーラは俺達のパーティでは最強の盾であり矛です、オーラに守られているお陰で俺達は生きていると言っても過言ではありませんよ』
んっ また悲しそうな表情で俺達を見ているような・・・
『クオンよ、ちと褒めすぎだ・・・最強のポーターぐらいにしておいてくれ』
『あはは それなら地上最強のポーターになるぞ』
オーラの姉達は俺とオーラの戯れ合いを聞くと悲しそうな表情から泣きそうな表情に変わっていく何故だ?
『オーラ帰ったか』
『父上、母上、お久しぶりです未だ未完の身でありますが一時帰宅させて頂きました』
『オーラよ、弱い心と体を鍛えなおし自信が付くまで帰ってくるなと言ったのは覚えておるな?』
『はい、父上覚えております。しかし、未だにそこまでに至っていない事をお許しください』
『あなた気をお沈め下さい、オーラ私からも少し良いですか?』
『はい、母上なんなりと』
『オーラそしてお仲間達の覇気そして魔力は決して高いとは言えませんね精々一般人と言ったところですか』
その言葉を受けオーラの姉さんたちがまた、泣きそうな表情になる、そうか分かったぞ長らく修行に出ていたにも関わらずオーラと俺達が弱そうなので悲しんでいたのか、それなら面白い事になりそうだ。
『でも不思議な事があるもんですね、その一般人が6人もどうやって此処まで辿り着いたのですか?』
『うふふ まだあるんですよ、覇気も魔力も弱いですが何故6人共同じ覇気と魔力なのでしょう?まるで揃えたかのようですね』
『更に一見普通の装備に見えますが、その装備はどうやって手に入れたのかしら?』
・・・驚いた、オーラの母親なんて観察力だ・・・言われてみれば確かに俺達の魔力は揃いすぎだ、いや同じぐらいになるように訓練したから当然か、あはは 参ったな意外な展開になってきた皆も目を丸くして驚いているが俺と同じで楽しそうだ。
『うふふ オーラどうしたんです?やけに楽しそうな表情になってますよ』
『参りました母上、やはりまだまだ修行が足りない事を実感させられました』
『は 母上、私には何を言っているのか分かりません』
『そうですね、では分かりやすく行きましょうかコウカ、サイカ、ムカ貴女達オーラと模擬戦をしなさい、良いですか手加減無用ですよ』
『は 母上オーラが修行に出てからまだ数ヶ月しか経っていません、せめて数年の猶予を下さっても』
『ムカ、母の命令ですよ?』
『は はい・・・分かりました』
『さあ、あなた刮目して見学といきましょうか』
『うむ、お前の言うことだ間違いがあるとは思えんが信じられん・・・』
『うふふ 私も半信半疑ですわ、さあ訓練場へ向かいましょう』
どうやら訓練場もあるらしく、部屋を出て長い廊下を歩いていくと訓練場と言うよりは闘技場のような空間に出た、流石に龍人らしくこういう施設が充実しているんだろう。
『ふむ、ほんの数ヶ月振りだが懐かしい、よく姉上達と幾度となく繰り広げた模擬戦を思い出す』
『オーラ母上からの命令だから本当に手加減は出来ないわよ良く見て集中するのよ』
『コウカ姉上、数ヶ月と言えどもワシは1日も欠かさず努力してきたのだ、安心して全力で参られよ』
『・・・もう本当に信じるからね』
訓練場には様々な武器や盾が置かれているが訓練用と言っても木製ではなく鉄製だ、オーラも<双龍刀>に似ている武器を手に持っている。
『行くわよ、ハアアアアアアアアアアアアア』
『ヒュン、ヒュヒュヒュヒュヒュヒュン!!!』
流石にオーラの姉だけの事はある、武術大会でも見れなかったような連撃がオーラを襲う!しかし、いつもは盾で受ける攻撃をオーラは体捌きだけで攻撃を見切り紙一重で躱していく。
『お オーラ嬉しい、嬉しいわ私本当に手加減してないのよ本当にいっぱい頑張ったのね』
『ヒュン、ヒュヒュヒュヒュヒュヒュン、ブンッフォンヒュヒュユヒュヒュン!!!』
『し 信じられん本当にあの連撃を躱し続けているのはオーラなのか?』
『うふふ 私も信じられない程ですわ、ある程度の予想はしましたが、その予想を遥かに上回っていますいったいどんな訓練をしてきたのか・・・』
『う 嘘でしょ?あのオーラが強くなってる?』
『ああ駄目感動して涙が出て来ちゃう』
『オーラ、オーラ、オーラ私信じてたわ、頑張ったらいつかきっと、きっとオーラも強く成るってでも私の攻撃を1回も躱せなかったのに、どんな訓練をしてきたの?』
『ヒュン、ヒュヒュヒュヒュヒュヒュン!!!』
『全てはクオンのお陰だ、クオンがワシをここまで強くしてくれたのだ』
『さあ姉上、3人で参られよ』
『あはは オーラが冗談も言うようになったのね、でも私も我慢の限界だったの行くわよ』
『私も見たいオーラもっと見せて、もっと強くなったオーラが見たいわ』
『この身この技を持って答えよう』
『『『ハアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!』』』
『『『ブンッピッキュキュキュキュキュン、ヒュヒュヒュヒュヒュヒュン、ブンッフォンヒュヒュユヒュヒュン!!!』』』
『あ 当たらない私達3人の波状攻撃すら掠りもしないなんて』
『ど どこまで強く成ったの?飛んでもない強さよ』
『ハァーハァー う 嘘でしょ本当にオーラなの?』
『ワシが身に着けた力はこんな物ではないぞ、さあ参られよ5重<ライトシールド>!!!』
『ま 魔法?嘘でしょ?』
『カカカカカカカカカカカッカカカカカカカカカカカカカカン!!!!!!!!!!!!!!!!!』
『キンッカカカカカカカカカカカ、キキキキキキキキキキキキキキキキン!!!!!!!!!!!!!』
『なんて防壁なの突きでも通らないわ』
『嬉しい嬉しいけど、悔しくなってきたわ行くわよ』
それから数十分もの間オーラの姉達による連撃が繰り広げられたがオーラの<ライトシールド>を破る事は出来なかった、ついにオーラも攻撃に出る様だ。
『姉上達ワシも攻撃に移る、是非見て欲しい』
『『『ゴ ゴクッ』』』
『震えがくるほど嬉しいわ、分かった見せて私達の弟の技を』
『いざ!!!』
『ギギギン!!!!!!!!!!!!!』
『バタタタン!!!』
『そこまで!良い模擬戦だったわオーラ良く頑張りました母は嬉しいですよ』
『き 消えた?えっ いつ切られたの?同じ鉄の武器で私達の武器を切ったって言うの』
『・・・私も見えなかったわ、参りました最高の1日よ』
『切られた感触も無かったわ、オーラ見事よ感動で涙が止まらないわ』
オーラは3人の姉に抱き着かれ羨ましい限りだ、いつもは見せないような照れくさそうな顔をしているし最初に見たムカさん同様、皆美人だしスタイルも抜群で見事な双丘だ。
『も~ クオン何羨ましそうに見てるのよ』
『誤解だよ微笑ましく見てるんだよ』
『ニャー でも3人とも見事な胸ニャー 』
『全くだ!』
『『『『やっぱり』』』』
『あっ しまった狡いぞ誘導尋問だ!』
『うふふ クオンさん良くオーラをここまで鍛えてくれました母として礼を言わせて下さい、ありがとうございます』
『私からも礼を言いたいクオン殿ありがとう』
『いえいえ、飛んでもない最初に言った通りオーラのお陰で俺達はいつも守られているんですよ』
『それにオーラには元々凄まじいまでの能力があって、その恐ろしいまでの能力のためか封印のような物が掛かっていたんですが俺はそれを外しただけですよ』
『そうか、それでオーラは不思議な程弱かったのか・・・』
『クオンさん、それを看破し、ましてや封印を外すなんて飛んでもない能力者のようですね』
『おそらく貴方達4人もオーラと同じかそれ以上の能力者なのね』
『んふふ 怖い人ですね母上さん♪』
『でも本当に先ほど言った理由で私達の実力に気付いたのかしら?』
『そうですよね違和感を覚えるかも知れませんが僕達の年齢や容姿では強そうには見えませんもんね』
『ニャハハ きっとクオンのような感ニャ』
『ああ、俺もそう思うよ』
『うふふ バレちゃったら正直に言いますけど・・・実は怖かったのよオーラを含めた貴方達6人がね・・・』
『オーラが居なかったら里を捨ててでも逃げてます、特にクオンさん貴方が怖くて怖くて仕方なかったのよ』
『う~ん、俺もまだまだですね』
『貴方がやさしい人で良かったです、これからもオーラを宜しくお願いします』
『良いんですか?オーラはもっと強くなる俺みたいな化物になるかも知れませんよ』
『うふふ 貴方なら大丈夫ですよ、どれだけ大きな力を持っていても使い方次第、そうでしょ?』
『あはは 敵いませんね、とりあえず地上最強を目指して頑張ります』
『あっ そうだオーラからドラゴンの居るところがあると聞いたのですが行く事は出来ますか?』
『まだ駄目よ、もっと強くなってからのお楽しみって所かしら』
『それ良いですね、励みになりますよ』
『も~ まだ強く成るの?聞いてて怖いんだけど』
『さてと、俺はいつでも良いですよ?』
『うふふ オーラは本当に凄い仲間を見つけたみたいですね』
『私はこの里で一番の強さを自負しています、一手お相手願えますか?』
『やっぱりね、隠しても隠し切れないような闘気が漏れてますよ』
『そうね、貴方は何も変わらないようね?』
『ちょ ちょっと母上さん?私にしとかない?』
『クフフ ミュウ狡いわよ』
『そうニャ、リーダーも女性相手じゃやりにくいニャ?』
『誰が相手でも私では相手になるとは思えません、只そんな皆さんを率いているクオンさんの実力に触れておきたいだけですよ』
母上さんが闘技場の中央に向かいオーラが持っている武器を手に取る。
『母上様?』
『オーラ、そしてお前達下がって居なさい』
『オーラ母上さんに少し遊んで貰うよ』
『フハハ 母上様、ワシはクオンにまだ一度も攻撃を当てさせてはくれません期待していますぞ』
『・・・ウソでしょ、こんなに強く成ったオーラより遥かに強いって言うの?あの子が?』
『うふふ 今の貴方が無理なのでしたら私では、とても無理です。でもそうですか・・・そこまでの強者でしたかクオンさん、とりあえず抑えている物を解放して貰っても良いかしら?』
『『『『『そ それは駄目』』』』』
『あはは 大丈夫だよ本気で解放しないから』
『あ 姉上早く離れて!!!』
『ど どうしたのですオーラ』
『は 早く離れるのだ死にたくはないだろう?』
そんな時オーラの旧友が大勢を引き連れて訓練場にやってきた。
『おう、オーラ皆も連れて来たぞ懐かしいだろう?』
『むおう、こ こんな時に・・・話は後だ!皆気をしっかり持て、強く気を保て直ぐにだ』
『ど どうしたんだよ?おっ あの少年が戦姫様と模擬戦をやるのか』
俺は母上さんと対峙するのにあたり片手剣を2本借りて久々の逆手持ちだ、もうすっかりロックの武器に慣れてしまったから何か懐かしいが、たまにはこういうのも良いかなと思う。
母上さんは武器を中段に構え準備は良さそうだ、俺も最近は意識しなくても出てしまう<龍王の威圧>をずっと抑え込んでいたが少し解放することにした。
王都での武術大会ですら解放はしなかったので本当に久しぶりだ、戦闘民族である龍人の里なら多少は大丈夫だろう。
『では、母上さん行きますよ』
『ええ、楽しみです御遠慮なく』
『ピキッ ビリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリ!!!!!!!!!!!!』
『ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ なっ 何が起こりやがった?』
『キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア』
『カハッ クゥゥゥゥゥゥ』
『く クオンやりすぎよ』
『ニャアアアアアア きついニャー』
『グゥゥゥ く クオン抑えてくれ』
『クハッ 久しぶりにきついですわ』
『り リーダーやりすぎーーー』
『おっと、久しぶり過ぎてやりすぎたかな?』
俺は<龍王の威圧>を解いて、また通常の状態にいったん戻す本当に少ししか解放しなかったのだが久しぶりすぎて加減を間違えたようだ。
母上さんを見ると膝を地面に着き薙刀で体を支え辛うじて耐えているようだ。
『フー フー ま まさか呼吸まで出来なくなるとは思いませんでした・・・』
『だ 大丈夫か?』
『ええ、あなた大丈夫ですわ、ごめんなさい私もまさか此処まで凄いとは思わなかったの』
『な 何者だ?い 今のはそこの少年がやったのか?』
『皆、剣を下ろして落ち着いてくれクオンはワシらのリーダーだ、普段抑えている気を解放しただけだ』
『な なんだと化物か?あれだけの闘気を普段は抑えていると言うのか?』
『ごめんね母上さん、久しぶりだから少し解放しすぎたみたいです、次はもっと抑えますね』
『い いえ、ごめんなさい、もう十分分かりました、とても私では実力を測る事すら出来ないようですね』
『戦闘好きの私が楽しむどころか恐怖の余り呼吸が出来なくなるなんて恐ろしい人ですね』
『クオン君、すまんな娘達がもう持ちそうにない』
『はい、すみませんでした姉さん達大丈夫ですか?』
『は は はい、すみません少し驚いてしまって』
『オーラお前は今あんな化物のような強さの者とパーティを組んでいるのか?』
『フハハ 化物とは言いすぎだぞ、ワシはクオンに拾われてな今はクオンに追いつけるよう頑張っているのだ』
『・・・そうかお前を拾ってくれるとは悪い奴ではなさそうだな。そして本当に腕を磨いているのか?見た所里を出る前とあまり変わっていない様に見えるがな』
『うむ、説明するよりやる方が早いだろう?』
『アハハハハ 全くそのとおりだ久々に一手参ろうか』
俺の模擬戦は消化不良に終わってしまったがオーラの模擬戦は実に楽しそうだ。しかし、姉さん達との模擬戦よりも早く終わり数十人居たオーラの幼馴染達が地面に膝をついて動けないようだ。
『ハーー ハーー ハーー ほ お前本当にオーラなのか?』
『フハハ ワシに見えないか?』
『ああ、見えねえよ。あの弱かったオーラがどうやったら、そんなに強くなるんだよ?』
『お前が先ほど化物と言ったクオンにかなり鍛えられてからな』
『ってことはお前のパーティは全員強いのか?』
『ああ、ワシが勝てるとは冗談でも言えんな』
『マジか、飛んでもないパーティだな見た目は新人にしか見えねえ上に、ここまで見事に魔力や闘気を抑えられたら誰にも見破れないだろう』
『フハハ ワシ等が弱そうに見えるからといって絡んできたパーティもあったがクオンが潰してくれたな、まあ自業自得ってやつだ』
『全く罠みたいなパーティだな恐ろしい・・・』