第146話 サークルの新事業
お風呂に使って落ち着いたのかマリンさんとリップさん達も上手くいきそうだ、でもまだ何も始まってないから俺も頑張らないとな。
クロワさんも本部に来てくれるそうだし食事の準備をするためにお風呂から出る事にする。
いつものように全員で食事の用意をしているとマリンさんが驚いている。
『うわ~ メイドさんは兎も角、どうして皆料理がそんなの上手いの?』
『フハハ 俺達は冒険者だからな飯は作れないとな、だがクオンのお陰で不味い飯が食えなくなったのよ』
『そーそー クオンったら野営でも、めちゃくちゃ美味しい料理作るのよ手伝ってたら嫌でも料理が上手くなるわよ』
『ニャハハ リーダーのお魚料理は最高ニャーー』
『えへへ お酒も最高なんですよ』
『クフフ マリンさんじゃなくてもクオンの料理には惚れますわ♪』
『ん~ 俺は料理を作るより美味しい物を食べるのが好きなんだよ、そのためにもマリンさんには本気で色々教えちゃうよ』
『・・・マリンさんガンバ』×5人
『えっ どうしてそんなに可哀そうな人を見る目で私を見るの?』
『あ~ クオンの訓練って楽しすぎて倒れるまで頑張っちゃうのよ、きっとマリンさんも・・・』
『あれは一種の魔法ニャ・・・』
『魅了かも・・・』
『悪魔の業ですわ』
『う~ん、クオンは全て規格外だからの』
『おい、皆・・・言い方が悪いぞ誤解されるだろ?』
皆と料理を作りながら雑談をしているとクロワさんが帰って来たので、とりあえず食事にすることにした。
今日はサバの味噌煮と回鍋肉と味噌汁そして白飯だ、もちろんサバみたいな魚とテンメンジャンは自作だ!
皆には出汁の取り方、野菜の油通し、魚の生臭さの取り方等マリンさんを中心に色々覚えて貰った。
回鍋肉の肉はオークの豚肉を使い豪勢に使った、食べ応えは十分の筈、味噌汁は豆腐がまだないのが残念。
『いただきまーす!!!』×26人
パクッ モグモグ うん、我ながら良く出来てる!しかし米が美味い長らく食べてなかったせいか異世界の米が美味すぎるのか餅っとした粘りと良い非常に甘く感じる、濃い目に作ったサバ味噌煮込みと相性は抜群だ。
『美味しい・・・凄く美味しいわ、なっ なんで?特別な素材なんて何も使ってないのに調味料と作り方だけで、泣けてくるほど美味しいわ、ああ幸せ今日の料理は死んでも忘れないわ』
『パクパク パクパクパク モグモグ モグモグモグ!!!!!』
『い いっぱいあるから、ゆっくり食べてね』
『美味しい幸せ~ ♪♪♪』×25人
また大量に作った料理が見る見るうちに消えていく・・・う~ん、皆太らないのが不思議だ。
『あ~ 満腹、大満足だ』
『ファファファ クオン殿の料理はいつ食べても美味しいですな』
『あっ そだ、クロワさん相談の件なんだけど今良いかな?』
『いつでも、結構ですぞ』
『実は今日、王都の奴隷商から1人雇った女性が居るんだけど、どうしても商人に成りたいらしいんだよ』
『ほほ~ 女性で商人希望とは珍しいですな』
『トルネちゃん』
『はい、私はトルネと言います年齢は15歳です小さい頃から商人に成りたくて勉強してきました』
『ファファファ これはまた可愛らしいお嬢さんですな私はクロワと言う流れの商人です』
『それでクロワさん、もし良かったらトルネちゃんに商人の事を教えて上げて貰えないかな?』
『しかし、私は流れの商人ですぞ?』
『うん、それで提案なんだけどクロワさん<エンゲルラント>に1件店を持たない?』
『私が店舗をですか?』
『うん、もちろん今まで通り商いをしてくれても良いんだけど<エンゲルラント>に商店を構えるって感じで』
『資産の方はサークルが全て持つよ、俺達がポーション類とか素材も提供するのでお願い出来ないかな?』
『・・・それは、また破格の条件ですな』
『私も商人が心底好きでしてな、そのためかこの年になっても各地を飛び回っておるのですが、確かに年齢的にも店を構えて落ち着くのも良いのですが』
『クオン殿に鍛えて貰ったので元気に飛び回れるようになり、最近では昔より活発なぐらいでして』
『む~ やはり駄目ですか?』
『フォフォフォ いやいや、いつもお世話になっているクオン殿の頼みとあれば断れますまい』
『こういうのはどうですかな、私はあくまでもサポートとしてトルネ殿に店を任すと言うのは?』
『失礼ながら、その年齢では各地に行商として回るには厳しいでしょう?盗賊も居れば魔物にも襲われる、また護衛を雇うにも若ければ足元を見られるでしょう』
『私が全力でサポート致しますので、今は店を構え仕入れと販売をしっかりと勉強し地盤を固めるのはどうですかな?』
『クロワさん自身は何れ店を持つ気はないのですか?』
『ファファファ さあどうでしょうなクオン殿のお陰で頑強な体と大きな倉庫が重宝してましてな』
『それに今の生活が私の性に合ってましてな』
『分かりました、でも店が出来るまで時間も掛かるし、それまでトルネちゃんも行商に連れて行って鍛えてあげてくれませんか?もちろんトルネちゃんも盗賊数十人ぐらいなら蹴散らすほど鍛えますので』
『ファファファ トルネ殿、クオン殿がこうおっしゃっているがどうかな?』
『は はい、私はクロワさんに鍛えて頂けるなら大満足です、どうかどうか一生懸命頑張りますので宜しくお願いしたいです』
『んっ 私を御存知なのかな?』
『も もちろんです、クロワさんは有名人ですから、いつかお会いしたかったぐらいです』
『ややっ なんと私も派手に動きすぎましたかな ファファファッ』
『良いでしょう、しばらくの間、行商へ連れて行くとしましょう』
『あ ありがとうございますクロワさん、私とっても嬉しいです』
『ねーねー クオンどうせならマリンさんのお店と同じ場所にして商店がある料理店にすれば?』
『お互いに便利だし護衛しやすいわ』
『お~ それも良いねトルネちゃんが行商行ってる間、店番も出来そうだしね』
『そこら辺は商業ギルドとローニアさんに相談したら上手くいきそうですね』
『クロワさん、ありがとう』
『ファファファ お安い御用ですよ』
『後は色々と考えたんだけどリップさん達、マリンさん、トルネちゃん、やっぱり少し強く成って貰っても良いかな?』
『どういう事なのよ』×リップ
『説明するのが難しいんだけど俺達のクランに入って貰って冒険者ランクで言うところのAランク何の強さを手に入れて欲しいってところかな』
『・・・・・なんか凄い事を簡単に言うけどクオンさんが言うなら出来るんでしょうね、でも何年も掛かるんじゃ?』
『とりあえず3日間ってところかな、もちろん何年も掛けて努力しないとだけどね』
『えええええええええっ』×7人
『く クオン君、私料理人なんだけど強さなんて必要なの?』
『俺達と深く関係を持つと狙われやすいと思うんだよ、貴重な素材、アイテム、恨み、妬みと、色々あるんだけどね』
『それにマリンさんも自分で料理の素材を集めに行って見たくないかな?』
『そ そりゃー 行って見たいけど魔物なんて倒せないわよ』
『んふふ 私達が魔物でも倒せるように優しく鍛えて上げるわ♪』
『まー 色々とメリットもあるけど一番の目的は自衛なんだ、やりたい事をやろうとしたら強さは必須なんだよ、トルネちゃんも分かるよね?』
『はい、もし私にそれがあったら腕を無くすこともありませんでした、でも私は戦闘には向かなくて・・・』
『そこら辺はアーチカさん説明して貰って良いかな?』
『はいクオン様、私もサークルクランに入るまではスライムも倒した事がありませんでしたよ』
『ええっ た 確かオークを簡単に倒してましたよね?』
『はい、今では盗賊やオークぐらいなら簡単に倒せます、サークルクランに入ってからクオン様達に鍛えて頂くと信じられないほど強くなれるんです』
『信じられないかも知れませんが3日間あれば石ぐらいなら握り潰せるほどに』
『あはは 何か懐かしいわね私はコップを良く握り潰しちゃったわ』
『私はドアを良く潰しちゃったわね』
『後は慣れないと普通に歩けないのよね、私何回も転んだわ』
『あははは そーそー 』×10人
『・・・何故ここのメイドさん達が恐ろしいほど強いのか分かったわ』
『そういう訳で皆を強くしちゃって良いですか?』
『わ 私は是非お願いします、もう二度と腕を無くすようなことは御免です』
『私も3日間で強く成れるなら是非お願いしたいわ自分で料理素材取りにいけるなんて最高じゃない』
『リップさん達はどうします?』
『私達も宜しくお願いします』×5人
『分かりました、でもメイドさん達が言うように最初は訓練しないと色々大変なので頑張って下さいね、では先ずクランから入って貰いますね説明が長くなりますが大事な事だから良く聞いておいてね』
『はい』×7人
それからメンバーやメイドさん達に手伝って貰いクランに入ったことによる恩恵の説明を延々とした後、いよいよクランに入って貰った。
いつものように<神の声>から不思議な現象を体験し皆非常に驚いていた、ちなみに7人の潜在能力と能力開放により得たスキルで俺達が持っていなかったものを、1人ずつ<鑑定>し能力説明をしていく。
マリン<調理>:【アンサー <絶対味覚>:食した物の材料及び分量を全て理解する能力。】
トルネ<商人>:【アンサー <契約>:契約の書類を作成することにより約定を破れない様になる能力。】
リップ<美容>:【アンサー <美之心得>:美容に対する薬品等の作成技術が向上する能力。】
マウア<測量>:【アンサー <マッピング>:正確な地図を作製及び現在地の座標が割り出せる能力。】
ノノウ<潜水>:【アンサー <水中適応>:水中での呼吸及び水圧等に適応する能力。】
アイズ<水泳>:【アンサー <水之心得>:水中及び水上での移動速度が大幅に向上する能力。】
イリヤ<思念>:【アンサー <高速思考>:思考能力が大幅に向上する能力。】
俺達の持っていなかったスキルは殆ど潜在能力の解放により得たスキルだったがトルネちゃんだけは元々持っていたスキルだった。
そして今回トルネちゃんが潜在能力の解放で得たスキルは、なんと<鑑定>だった俺達が持っている<鑑定>スキルはパーティスキルなのでクランメンバーに付与出来出来なかったが商人なら<鑑定>は大きな力になるだろう。
トルネちゃんは俺達が能力説明をした後、大粒の嬉し涙を流し喜んでいた。
次に今までに作った丸薬系を飲んで貰いステータスを上げて貰い、明日の食事ではエクスリングを使って更にレベルを向上する予定だ。
とりあえず皆に付与したスキルは<状態異常無効><加減之極意><錬金術+10>にした、何れは自力で取得出来るように、感覚を覚えて貰おう。
マリンさんには<錬金術>も覚えて貰わないと支障が出るため、ついでに全員に付けたトルネちゃんもポーション類が作れるようになれば商人をやっていくのに有用になるだろう。
クランメンバーが20人になったせいか<スキル付与+1>が<スキル付与+2>になりクランメンバーには5つまでスキルを付与出来るようになったが今は3つで良いだろう。
他のクランメンバーと同じように、いつでもサークル本部に来れる様に<魔法陣>で<ルーム>を開けるようにして今日の説明が終わった。
まだまだ、説明が必要だったが今日の説明だけでも理解しきれないだろう。
明日の予定としてはマリンさん達には、とりあえず劇的に上がったステータスに慣れて貰うためメイドさん達と訓練して貰い、俺達はローニアさんと商業ギルドに相談し、店舗を探す事になった。
今日は、説明に時間が掛かったのでお酒は無しで皆には個室を用意し休んで貰った。
翌朝メイドさんが用意してくれた朝食を皆で食べるために集まったが新規クランめばーの7名が其々を見つめながらプルプルしている、何かあったんだろうか?
『皆プルプルして、何かあったの?』
『く クオンさん、こ これはいったい?』
『んっ?』
『も~ クオンったら鈍いんだから皆の顔を良く見てよ』
『あ~ 皆とっても綺麗になったね、どうかな?内の温泉の効果は抜群でしょ』
『ちょ ちょっとクオン君、こ 効果ありすぎじゃない?』
『わ 私カサカサだった肌がプルプルしてるんですが・・・』
『私達も色々と化粧してきたけど、何なのよこれは?』
『あはは 昨日説明したとおり内の温泉って美肌効果が抜群なんだよ、あっ それと昨日飲んで貰った丸薬の中に美容の丸薬ってのがあって飲むと若返るんだよ』
『それって髪の毛にまで効果あるの?ボサボサだった私の髪がツヤツヤになってるんだけど』
『ニャハハ それはシャンプーとリンスの効果ニャ、一度使ったら二度と手放せないニャー』
『クフフ 皆本当に綺麗になったわ♪』
『・・・・・体中の傷は消えるし、肌はプルプルモチモチになるし、髪はツヤツヤおまけに若返る?』
『これだけでも全ての女性が釣れそうな気がするわ・・・』
『あはは 私は料理に釣られたけど、クオン君の料理とデザートでも殆どの女性が釣れるわよ』
『あ~ そういえばクオンの異名って「無限」の他に「女殺し」ってもあったわね』
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
『ちょっと待て全員で俺にジト目を向けるな』
『俺は美味しい物と風呂が好きなだけで美容効果は、たまたまだ』
『そーなのよねー クオンの好みって女性が最高に喜ぶ物ばかりなのよ』
『フハハ クオンの料理なら誰でも釣れると思うがな』
『そーいや最近デザート作ってないな久しぶりに作ろうかな』
『ガタッ ガタタタタタタタタタタッ』
『どっ どうしたの皆立ち上がって?』
『御主人様、パンの御代わりは如何ですか?』
『御主人様、飲み物をお取りします』
『ちょ ちょっと私がやるから良いわよ』
『貴女達ずるわよ』
『クオン様どうぞ』
『アーチカ様まで!!!!!!!!!』
『ちょっと何事なの?』
『ニャハハ 前にリーダーがエクレアってお菓子作ったんニャ』
『それの争奪戦が凄まじい事になったのよ』
『確かにあれを1つでも多く食べるためなら、何でもしますわ』
『ゴクッ』×7人
『あはは 大丈夫いっぱい作るよ、今日は訓練頑張ってて俺達も色々と用事があるから』
『は はい、御主人様楽しみにしております』×メイド
『私も頑張って覚えます』×マリン
『そんなに美味しいお菓子なら楽しみだわ』×リップ
『わ 私は贅沢言いませんから味見だけでも・・・』×トルネ
『あはは じゃー 皆今日頑張ったら御褒美に何か作るよ』
『キャーーーーーーー!!!!!!!!!』×11人
『さっ 早速行きましょう!』×アーチカ
『えっ ええっ』×7人
新メンバーがメイドさん達に連れられて早速訓練しに行った、ちょっとエクレアの威力がありすぎたかな・・・
『も~ クオンって本当に女殺しよね』
『ニャハハ ある意味ミュウが一番殺されてるニャ』
『クフフ 全くですわ♪』
『えっ ちょ ちょっと、どーいう意味よ』
『あはは 大丈夫ですよ僕達もリーダーには、がっつり胃袋掴まれてますから』
『フハハ そうだな、もう離れられん』
『ああ、皆俺が死ぬまで絶対離さないよ』
『『『『『あははははは!』』』』』
『じゃ 私達もそろそろ行きましょうか』
『あっ でもローニアさん王都から帰ってるかな?』
『そっか、<マップ>&<サーチ>で調べてみるわ』
『えっと、まだ帰路途上ね早くても明日か明後日になりそうよ、えっ く クオン魔物に囲まれてるわローニアさんピンチよ!』
『『『『『『えええええっ 』』』』』
『ど どーするニャ?あたい達でも直ぐには行ける距離じゃないニャ』
『グゥゥ そーも言っておれん最速で飛んでいくしかないだろう』
『とっ とりあえず急ぎましょう』
『待ってミュウ』
『クオン急がないと本当に危ないわ』
『分かってる、ちょっと待って<マップ>確認・・・位置はOK馬車の中でイメージ・・・よし!!!』
『<ゲート>!!!ふ~ 上手く行ったかな、さあ皆行こうか』
『えっ <ゲート>って何よ?これ<ルーム>じゃないの?』
『時間がないから後で説明するよ、さあ行こう』
◇ ◇ ◇
<ローニア視点>
『お お父様、私が魔法で魔物の数を減らしますわ』
『駄目だローニアあれはダイアウルフだ、しかも数が多すぎる後ろの馬車にいる護衛達でも荷が重いだろう』
『何とかこのまま逃げ切るんだ』
『クッ こんな事ならメイド達を全員連れてくるんだったわ』
『お嬢様、私達3人だけでもお守り致します』
『ありがとう、もし追い付かれそうなら魔法で迎撃しましょう、せっかくクオン様に教えて頂いた魔法を練習してきたんだもの絶対生き残るわよ』
『お嬢様、私もクオン様に頂いた剣があります、ここは踏ん張りどころですな』
『ええ、ザルガ頑張りましょう』
『駄目だ追い付かれる!ローニア馬車の横に並ばれたら窓から魔法を撃つぞ』
『はい、お父様』
『私とお父様は左側を貴女達は右側をお願い』
『はい、お嬢様・・・来ました撃ちます』
『<ファイアボール>!!!』
『どんどん撃って』
『ドンッ ドンッ ドンッ ドンッ』
『よし、良いぞ少し下がり始めた』
『お お父様大きいダイアウルフが来ます』
『ドガンッ キャアアアアアアアア』
『ロ ローニア大丈夫か』
おそらくダイアウルフのボスであろう他のダイアウルフより二回りほど大きな魔物が馬車に体当たりを仕掛けて来た。
御者をやっているザルガが何とか持ちこたえてくれたけど、そう何回も持ちそうにないわ。
怖い・・・クオン様・・・私まだ死にたくない・・・・・
『やあ、ローニアさん危ない所だったね、もう大丈夫だよ』
『えっ く クオン様?』
『クオン君?い いったいどうやって』
『あはは まあ後で説明しますねザルガさん馬車をゆっくり止めて下さい』
『く クオン様?は はい分かりました』
『ヤホッ ローニアさん危なかったわね、ちょっと待っててね』
『ニャー 間に合ったニャ、おはよーニャ』
『誰も怪我はしてないようですね、行きますわ』
『ふむ、30頭ほどか危ない所だったな』
『おはようございますローニアさん、僕もちょこっと行ってきます』
私が死を覚悟した瞬間、馬車の中にクオン様が・・・一瞬夢でも見ているのかと思えば次々にサークルの皆さんが現れ軽く挨拶をしてから、大きなダイアウルフを次々と討伐して行く。
何が起こったのか分からないまま、瞬く間に魔物を殲滅し私達の馬車へ戻って来てくれた。
『終わったよローニアさん』
『クオン様、いったいどうやって・・・いえ、それよりも危ない所を助けて頂きありがとうございました』
『クオン君、助かったよありがとう。しかし、クオン君にはいつも驚かされるね先ほどまで命の危機だったのが信じられないぐらいだよ』
『クオン様ありがとうございました』
『間に合って良かったよ、たまたまローニアさんに用事があって何処にいるか調べていたら魔物に襲われてるのに気付いてね急いで来たんだよ』
『うふふ どうやって来たのかはお聞きしませんわ、でも本当に助かりました私死を覚悟しましたわ』
『もちろん私も詮索したりしないので安心して欲しい、私は後ろの馬車に乗っている護衛と話をしてくるよ』
『あはは お気遣いありがとうございます』
『ク・オ・ン?』
『な 何かなミュウ?』
『どーりで1人だけ余裕があると思ったら、どういうことよ?』
また全員からジト目攻撃を受ける・・・最近多くなって来たな・・・
『えーっと、実は思考段階で実際に試したことはなかったんだけど、おそらく出来るだろうなと思ってたスキルなんだよ』
『説明はしなくても皆も大体分かるだろ?』
『ふむ、<空間操作>がカンストしたときに何か言って居ったが、これの事だったんだな?』
『おー よく覚えてるなオーラ』
『ちょっと、クオンそんなに前から考えてたの?』
『まーね、ミュウも分かってるんだろ?』
『そりゃー 分かるわよ<ダンジョンワープ>の地上版ってところでしょ?』
『って事は、僕達一度行った事のあるところなら、いつでも行けるって事ですか?』
『たぶんね、それと<マップ>表示出来る所までなら移動出来ると思うよ』
『ニャー 凄いニャー それならいつでも王都に行けるニャ』
『いつもの事だけどリーダーの発想力には驚かされるわ』
『<ゲート>って言ってましたけど、リーダーは何時頃思いついたんですか?』
『ん~ 思いついたのはオーラが仲間になった時かな』
『『『『『えっ』』』』』
『だって<空間操作>だったからね、いつか<ルーム>と<ゲート>が出来るんじゃないかなってね』
『は~ もう呆れるわ、どんだけ頭良いのよ』
『頭が良いって訳じゃないんだけど俺の国には、そういう概念があったからね』
『も~ 何言ってるのか全然分からないわよ』
『・・・そうだよね、ごめんねミュウ』
『ちょっと謝らなくても良いわよ、もー 慣れたしね』
『ニャハハ いつもの事ニャ』
『お待たせクオン君、馬車の故障もないようだし出発する事になったよ』
『はい、俺達が送りたい所ですが護衛の人も居ますしね』
『ああ、私達に気を使わなくても良いよローニアに用事があるんなら連れて行ってくれても構わんよ』
『うふふ ありがとうお父様』
『すみませんガデラスさん、ではローニアさんは俺達が責任を持って家に送り届けますね』
『ああ、宜しく頼むよ後は本当にありがとう<エンゲルラント>に帰ったら何かお礼を用意するよ』
『いえいえ、またお世話になりますので結構ですよ、では』