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第143話 後始末


<クオン視点>


『王族が住むお城って言ってもダンジョンに比べたら簡単に進めるわね』


『そりゃーそうだよ、危ない罠だらけにする訳にもいかないでしょ』


『もう着いちゃった、ここが王女様の部屋ね、時間的にもう寝てるでしょうね』


『寝てる方が驚かなくて良いんじゃないかな』


『どっちにしても驚くわよ、でも鍵掛かってるけどどうするの?』


『ああ、こんなの<錬金術>でちょちょいだよ、よし開いたよ』


『・・・クオン<錬金術>で料理ばっかりしてるけど、本来の使い方もしてるの?』


『し 失礼な確かに料理に<錬金術>は最高に便利だけど、ちゃんと・・・んっ そういや最近ポーションも作ってないな・・・』


『醤油の時は・・・料理か、味噌は・・・料理だな、あれっ 』


『・・・・・もう良いわ、ベクターさんが泣くわよ』


『へいへい、あっ シャンプーとリンス・・・微妙か・・・』


『あっ それは良いわナイスよ!!!』


『・・・・・調子良いぞミュウ』


『あはは ささ王女様やっぱり寝てるわよ』


『まーた、ごまかして・・・まあ仕事しようか』


『<サイレント>!!!良いわよ』


『お休み中すみませんユマ王女様』


『女性の寝顔を見にくるとは、あまり関心せぬぞ?』


『あはは すみません』


『・・・声が聞こえるまで気付かなかったぞ?恐ろしい奴等だな』


『して私の望みは伝えた筈じゃ、どういう用件だ?』


『すみません昼間は護衛もいたし領主様も居たので離せなかったんですが王女様と取引がしたくて』


『取引じゃと?』


『はい、ここからの話は内緒にして貰って良いですか?』


『あはは 王女の部屋へ忍び込んでおいて内緒話か?面白い奴じゃ、分かった誰にも言わぬ』


『では、まず最初に俺達はエリクサーを持っています、そして今日弟さんを治してから帰る予定です』


『なっ なんじゃと、それは本当の話か?』


『あの場で言えなかったのが何故か分かってくれたと思います、もちろん只ではありません』


『・・・・・分かった、何でも言うが良い全てとは言わんが大抵の物なら揃えて見せよう』


『いえ、物ではないのですよ、実はメルダ・ゲランク伯爵と言う人物を御存知ですか?』


『・・・ああ、知っておる私の耳にも入る程好き勝手にやっているみたいだな、そ奴は私が爵位を取り上げる段取りを付けている者だ』


『ほほ~ なら話が早いですね、その伯爵と共に悪事をしていたと思われる人物のリストを渡しますので王女様の方で徹底的に取り調べて貰っても良いですか?それが報酬として頂きたいものです』


『それだけで良いのか?はっきり言って私に頼まなくても、しばらく待てば何れそうなる事だぞ?』


『はい、少しでも早く動いてくれるなら俺達への報酬はそれで結構です』


『分かった、明日の朝から早速動こうではないか』


『ありがとうございます、これがそのリストですお渡ししておきますね』


『あっ そうだ、もう1つ頼み事ついでなんですが俺達は王都の孤児院に寄付をしたいのですが高額になると思うので冒険者ギルドでお金を預かって貰いたいんですよ、いつでも孤児院がお金を引き出せるように』


『それを王女様からと言う事にしておいて下さいますか?』


『あはは お主の言う事は全て褒美にはならんではないか、他に何かないのか?』


『ん~ 優勝賞品でもう良い物貰っちゃいましたから思いつかないですね・・・』


『あはは 分かった冒険者ギルドへは私からサークルに頼んで金を届けると伝えておこう』


『ありがとうございます、では帰りにしっかりと弟さん治しておきますね、明日の朝様子を見に行ってあげて下さい』


『貴重な品なのにすまぬ、感謝するぞ』


『いえいえ、では』



俺とミュウは弟である第3王子の部屋はもう調べておいたので何の問題もなく辿り着いた。


俺とミュウが診察したところ、どうやら心臓が悪いみたいだ、これでは少し歩いただけでも辛いだろう・・・眠りにはついているが心持ち苦しそうだ。


王女様にはエリクサーを使うと言ったが、もちろん魔法で治す予定だ!なので王女様が見ていない方が都合が良い。



『どうやら心臓みたいだね』


『ああ、俺もそう思う、やはり<ラストヒール>だね』


『んっ 行くわ<ラストヒール>!!!』



ミュウの<ラストヒール>は寝ている第3王子を包み込み光が心臓に集まる、やがて光が治まり消えていく、どうやら治ったようだ、苦しそうだった表情が治まり気持ち良さそうに眠っている。


念のために鑑定して確認してから王子の部屋を後にする。



『さって従業員の方はどうなったかな?』


『結構な人数が居たから、まだ振り分けしてるんじゃないかな』


『じゃ行って見ますか』



俺とミュウは皆の所へ戻り状況を説明して貰った。



『おかえりなさい、そっちはどうでした?』


『ああ、問題なく治ったよ、そっちはどうかな?』


『はい、僕達も順調ですね店舗を任されていた人達は商業ギルドから派遣されていた人達だったので、金貨は渡さないで店舗に返して来ました』


『クソ貴族邸にいたメイドさんや従業員達は全員目隠しをしたまま眠りから起こし1人1人此処に来た経緯を聞いたところ、殆どの者が無理やり連れて来られ奴隷契約をさせられ働かされていたそうです』


『本当にクソ貴族だな、奴隷商人の情報は聞いたかな?』


『もちろん、そこも聞きましたが奴隷商人も無理やり連れて来られて契約させられたみたいですね』


『なるほどね、でも念のために明日奴隷商にも行って見ようか場所は分かるかな?』


『大丈夫です分かりますよ』


『後は身寄りの無い人は居たかな?』


『いえ、全員王都から連れて来られたみたいですね、後は皆に説明したら解放出来ますよ』


『了解、でも声どうしようかな声色を変えて喋ってみるか・・・』


『あーあー どうロック俺の声って分かる?』


『あはは 僕は聞きなれているから分かりますよ』


『それならアーチカさんに頼んだら?私達も結構顔売っちゃったしね』


『わ 私ですか、分かりました何と伝えれば宜しいですか?』


『ごめんねアーチカさん、念のためにアーチカさんも声色を変えて喋ってね、伝える内容はクソ貴族はある理由から王都から居なくなったから貴方達は解放される事、その際奴隷契約は全員解除しますので安心するようにと、更に今までの労働賃金として各自金貨500枚を渡す事、もう今日は夜も遅いので翌朝解放する事かな』


『そうそう、今回の事は誰に聞かれても拉致されて目が覚めたら此処に居たと伝えること、労働賃金の事は言わない事、これからは自由である事以上かな』


『うふふ 素敵な条件ですね分かりましたクオン様』



その後、俺が伝えた通りアーチカさんがクソ貴族の所に居たメイドさんや従業員達に説明して貰い、もう一度<スリープ>で眠って貰った。


解放する場所は王都の大通り沿いにある目立たない公園のような場所にした、ここなら目が覚めても直ぐにどこか分かるだろう。


結構色々な事をしていたので時間が掛かったな、もうすぐ夜が明けそうだ。



『皆お疲れ、宿屋に戻って少し寝ようかリップさん達とマリンさんを迎えに行かないとだしね』


『あー クオン君私とロア君は少し用事があるから、もう少しだけ王都に居るよ』


『分かりました王都からでも<ルーム>を開いたらサークル本部に来れますので』


『全く便利な魔法だね』


『あはは では先に帰ってますね』


『ああ、用事が終わったら、また顔を出すよ』



色々な事をした一夜だったが全員とハイタッチをして宿屋に帰る、流石に少し疲れたので寝る事にした。


ゆっくり寝たい所だったが帰る前に奴隷商にも行かなければいけないしので早めに起きる事にした。



       ◇     ◇     ◇


<ユマ王女視点>


『姉様、姉様起きて下さい!僕今日はとっても体の調子が良いんです』


『アル王子、ユマ王女様は、まだ就寝中かと』


『ルカ、お姉さまを起こして、僕今日とっても体の調子が良いんだ、こんなことめったにないんだお願いだよ』


『そうですねアル王子、今日はとても良い顔色です、分かりました私が起こして来ますのでお待ちください』


『ありがとうルカ、また調子が悪くなる前にお願い』


『コンッ コンッ ルカです失礼致します』


『ユマ王女様、おはようご・・・・ユマ王女様、ど どうなされたのですか?』


『あはは ルカ何でもない少し嬉しい夢を見てな嬉し泣きじゃ』


『アルの事じゃろう?仕方のない奴じゃ、久しぶりに少し遊んでやろう』


『姉様、姉様、僕今日とっても体の調子が良いんだ、これならずっと遊べそうだよ』


『あはは 本当に久しぶりじゃな、そうじゃなずっと行きたがっていた庭の散歩に連れて行ってやろう』


『うわーーーーー 外に行っても良いの?やった、やった僕外へ出るの久しぶりだ、は 早く行こー 早く早く』


『あはは 急くでない、着替えるので少し待て』



泣けてくるの・・・クオンよ本当に感謝するぞ、この借りはきっと返すぞ!



       ◇     ◇     ◇


<クオン視点>


『ふあああ~ う~ん寝足りない・・・でも起きるか』



俺は瞼を擦りながら服を着てロックとオーラを起こす。



『むっ 朝か・・・早いなクオン』


『おはよオーラ』


『ああ、おはようロックは相変わらず寝起きが悪いようだな』


『あはは 今日はあんまり寝てないしね、でも時間もないし起こすよ』



ムニャムニャ言っているロックを無理やり起こしミュウ達と合流し朝食を取ることにした。



『じゃ 食べながら聞いてくれ、とりあえずメンバーは奴隷商に行ってくるよ、アーチカさん達悪いけどマリンさんとリップさん達を迎えに行って貰って良いかな?あっと忘れてたエイトールさんも』


『分かりました、集合場所はどうなさいますか?』


『そうだな、分かりやすく冒険者ギルドの前で集合しようか』


『分かりました』


『んふふ アーチカさん達とは結構別行動だったけど王都は面白かった?』


『はい、私も初めて王都へ来ましたがお店の多さに吃驚しました』


『すっごく面白かったです、また来たいぐらいに』


『私も楽しかったです、でも一番はやはり武術大会ですね御主人様達の雄姿が目に焼き付いてます』


『御主人様達は強いとは思ってましたが圧倒的でした』


『と言うか御主人様達以外そんなに強くなさそうに見えたのですが、今の私達って・・・』


『あはは そうだね、アーチカさん達でも良いとこ行けるかも?』


『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』×11人


『も~ クオンいくら自衛のためって言ったって鍛えすぎよ』


『俺もちょっとそれは思ったけど、昨日みたいな事もあるし鍛えといて良かったよ危ない危ない』


『そ そうなんだ私達って本当にAランク級になったんですね、今まで実感があまりなかったので』×11人


『ニャハハ 「サークル」のメイド部隊ニャ、恰好良いニャー』


『・・・・危ない危ないってクオン軽いな』


『そーだ、今度皆冒険者登録してダンジョン体験に行こうか?』


『は はい、宜しくお願いします』×11人


『あはは メイドさん達も僕達と同じになってきたね』


『クフフ きっと楽しいと思いますわ』


『も~ クオンの影響って良いのか悪いのか・・・』


『フハハ しかし、そうなると付与されたスキルだけじゃなく、ちゃんとスキル取得していかないとな』


『はい、私達頑張ります!』×11人


『よし、次の楽しみも出来たし、そろそろ行こうか』


『『『『『了解ニャ!!!』』』』』


『はい!』×11人



ロックの言う通りアーチカさん達も冒険の面白さが分かってくれたら、これからきっと楽しくなるはず、でもダンジョンは危ないから、もっと強く成って貰うかな。


さて俺達はとりあえず奴隷商に行かないとね、あのクソ貴族の従業員達みたいに無理やりとは言え違法の奴隷契約をしていた者には、ちゃんと釘を指して置かないと。


奴隷商の場所はロックが調べておいてくれたから迷わずに着けた、流石に王都の奴隷商だけあって<エンゲルラント>より規模が大きいな。



『ふあ~ おっきいわね』


『奴隷商って儲かるニャ?』


『真っ当な奴隷商なのか疑わしくなってきたな』


『ふむ、まあ入ってみよう』



俺達はとりあえず客を装い奴隷商に入ってみると<エンゲルラント>と同じように黒服の店員が迎えてくれた。



『おはようございます、ようこそおいで下さりました、私がご案内させて頂きます今日はどのような奴隷をお探しですか?』


『とりあえず全員見せて欲しいんだけど良いかな?』


『畏まりました、全員となりますと少し時間を頂きたいのですが宜しいですか?』


『ええ、待ちますよ貴方が店長ですか?』


『はい、私がそうです、ではしばらくお待ちください』



一応店長さんも<鑑定>で確認してみたが職業欄が普通の奴隷商表示だから悪い事はしてないっぽいな。


しばらく待つと店長が迎えに来てくれて俺達は店内を見て回る事にした。


奴隷の数も流石に王都だけあり大勢いた、<エンゲルラント>と同じようにメイドさんから戦闘奴隷まで多種多様な人種もいる、一応無理やり奴隷にされた人が居ないか確認していったが借金奴隷か犯罪奴隷しか居ないようだ。


俺達が通ると奴隷達は皆お辞儀してくれる売り込み等してくる人もいない、まあ禁止されてなくても俺達のような若い者には買われたくないのかもしれないが。



『これで一応全員となります、気に入った奴隷は居ましたか?』


『えっと、訳ありの奴隷とかは居ないのですか?本当にこれで全員ですか?』


『はい、確かにまだ居りますが、お客様がおっしゃる通り訳ありの者達ですので・・・』


『その人達も見せて下さい』


『・・・畏まりました、しかし本来お客様に入って貰う部屋では御座いませんのでそこはご容赦を』


『分かりました』


『どうぞ、こちらで御座います』



俺達は店長の案内の元階段を下りて行く、どうやら訳ありの奴隷は地下に居るようだ。


お客を通す所ではないと言っていたので汚い部屋なのかと思ったら案外普通の部屋で牢屋のような物もなかった。



『こちらの者達は、まだ奴隷として教育中か奴隷になる条件を希望している者達でして、見ての通り取り扱っている人数も多いので奴隷が希望を出しても売れ残るだけなのです』


『そこを含め話し合いの段階でして』


『分かりました、あそこに居る片腕の女性は?』


『はい、あの子は商人だったのですが魔物に襲われ利き腕を欠損し借金奴隷として此処へ流れて来たのですが、先ほどの話のとおり本人がどうしても商人を希望しておりまして』


『しかし利き腕のない女性だと商人としての才能だけでは売れ残る可能性が高く娼婦等を進めているところです』


『なるほどね、少し話をさせて貰っても良いですか?』


『畏まりました』



今日は奴隷を買うつもりはなかったのだが、どうにも困っていそうな者を見ると気に掛かる。


利き腕の無い女性を近くで見てみるとショートカットが似合う小柄な女性で大き目の丸眼鏡を掛けており利発そうに見える年は俺達と同じぐらいで若そうだ、1つ問題があるとすれば小柄なのに凄く胸が大きいアンバランスに見える程だ、そのせいか背中に刺さるミュウの視線が痛い・・・しかし大きな誤解だ・・・誤解だ・・・


用意してくれた部屋は防音もないような所だったが、今日は問題はないので普通に喋り掛ける事にした。



『おはようございます俺は冒険者をやっているクオンと言います』


『おはようございます』


『店長から少し事情を聴いたのですが、一応奴隷になる希望を聞いても良いですか?』


『はい、申し訳ありません私は商人になりたくてずっと勉強してきたのです、ですから冒険者にはとても』


『あはは 俺達は冒険者を探しに来た訳じゃありませんよ、とりあえず希望を教えて下さい』


『は はい、それでしたら我儘と思うかもしれませんが私は商人の仕事に携わりたいのです、見ての通り利き腕を欠損してしまったので字を書くのは練習が必要ですが商人としての仕事は何とか出来ると思います』


『最初は店番でも良いんです字が書けるようになれば仕入れから販売まで出来るようになりますので』


『なるほど、魔物に襲われたとお聞きしたのですが護衛は雇われなかったのですか?』


『いえ、ちゃんと雇いました。近場への搬出と言う事もあり護衛料の安い若手の冒険者を雇ったのですが運悪く魔物に遭遇してしまって』


『護衛の方も懸命に私を守ってくれたのですが犬のような魔物の数が多くて、私も襲われ身を守るために咄嗟に利き腕を出してしまって・・・その後、護衛の方も怪我をしながら追い払ってくれたので命は助かったのですが積み荷はめちゃくちゃになってしまい借金になってしまいました』


『私は運が悪かったんだと思います、護衛についてくれた冒険者を恨んでもいません、でもどうしても商人になる夢だけは捨てれないんです、なので申し訳ありません』


『辛い話をさせてしまい、すみませんでした』


『いえ、飛んでもない事情を聞いてからお買いになるのは当然です』


『話は分かりました俺達は<エンゲルラント>の者なのですが、それでも構いませんか?』


『えっ いや あの私は場所に拘りはないのですが商人になりたいのです』


『あはは すみません言葉が足りませんでしたね、直ぐに店をって訳にはいかないと思いますが俺達には専属の商人がいるのですが1人でやっているので、良かったらその人の手伝いからどうですか?』


『えっ ほ 本当ですか?私を買ってくれて商人の仕事をさせて頂けるのですか?』


『も もしそれが本当なら贅沢なんて言いません、是非是非お願いしたいです』


『分かりました俺達は今日<エンゲルラント>に帰る予定なんですよ、これから宜しくお願いします』



利き腕のない女性は大粒の涙をポロポロと流し言葉が出せないようだ、よっぽど商人が好きなんだろうヤバい俺も貰い泣きしそうだ。



『す すみません、私はトルネと言います一生懸命に頑張りますので宜しくお願い致します』


『お話がついたようなので用意させて頂いて宜しいですか?』


『はい店長さん、ここで一番良い洋服と靴を用意して貰って良いですか?』


『畏まりました、ではお支払いと契約をしますので別室でお待ちください』



店長の言う通り入口の近くにある個室に案内されお茶を出してくれたので、そろそろ本題に入る事にする。



『ところで店長さん、ここでは貴族の家に出張して奴隷契約をすることはあるんですか?』



時間もないので俺はド直球で店長にネタ振りをすると、一瞬で顔色が悪くなり汗が浮かんでくる。



『・・・いえ、当店ではそのようなことはしておりません』


『そうですか安心しました俺の聞いた話では、どこぞの貴族は無理やり連れてきた者を奴隷契約して雇っていると聞いたので、そんなに非人道的な事があるのかと思いまして』


『でも奴隷商の人でもないかぎり奴隷契約なんて出来ないですしね店長さん』


『は はい、奴隷契約のスキルを持っている者でないと』



どうやらクソ貴族に無理やり奴隷契約させられていたのは、この人のようだ完全に嘘をついている・・・



『もし奴隷商で犯罪も借金もしていない普通の市民に奴隷契約したらどうなるんですか?』


『そ そんなことをすれば完全な犯罪ですので絶対に出来ません・・・』


『なるほど、そりゃーそうですよね・・・でももし貴族が奴隷契約のスキルを持っている人に強制したら断れないでしょ?』


『は はい、そっ そうなると、ひ 非常に困ります』


『悪い事って絶対バレて酷い目にあうよね?もしこれから貴族に強制されたとしても違法な奴隷契約なんてしたら絶対・・絶対・・・絶対にバレて、死にたくなる程後悔する事になると思うよ』


『でも店長さん良い人みたいだから良い情報をあげるよ』


『もし、そんな貴族がいたら冒険者ギルドのギルドマスターあたりに相談したら王族に伝えてくれて、粛清してくれると思うんだよね良い案でしょ?』


『は は はい、あ ありがとう ご ございます』


『店長お待たせしました用意が出来ました』


『う うむ、で ではお客様契約を、い 致します』


『店長さん手が震えてるけど大丈夫ですか?』


『も 申し訳御座いません、す 直ぐに終わります』


『そういえばお金払ってないけどお幾らですか?』


『こ 今回は良い情報をお聞きしたので無料に致します』


『おー ありがとうございます、でも無料じゃ悪いからもっと良い情報を教えちゃいますよ』


『なんかねどっかの貴族が潰されたそうですよ、なんだか狂ったようにもがき苦しんでるとか?怖い話だよね』


『とっておきの情報なんだから誰にも言っちゃ駄目ですよ』


『ヒッ ヒィィィィ!!!』


最後にちょびっと<龍王の威圧>も添えて店を後にする、まー かなり露骨だったけど釘は刺せたかな。


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