第140話 王都武術大会!5 優しい拳
ロック・ムーア・オーラ・ライカの武器が幻想的な青い光に包まれていく。
『・・・綺麗ね、でも恐ろしさも伝わってくる君達が本気を出す時、君達の武器は青い光に包まれるのね』
『あはは 行きますよ、これが僕達の連携技の1つです!!!!!』
ロックの「ジャイアントインパクト」がロックを中心に高速に回り出す徐々にスピードが上がっていき、それは触れる物を全て打ち砕く悪魔のような大車輪になる。
同じくムーアの持つ「ファントムジャマダハル」が自身を中心に高速回転し振れれば全てが切り刻まれる恐怖の旋風となる。
オーラとライカは長物である「双龍刀 青幻」「ファントムデスサイズ」を回転し始め徐々に速度が上がっていく長物である筈の武器が薄っすらとしか見えなくなるほどに。
『『『『!!!!!!!!!!!【四 天 風 神】!!!!!!!!!!!』』』』
俺達が以前に対人戦用に開発した連携技であり全員でやると「六天風神」となる技は凄まじい風を生み出し風属性の魔法も駆使し対戦者を引き寄せる。
凄まじい回転による4つの竜巻は対戦者に襲い掛かり、対戦者達はロック達に引き寄せられる。
『キャアアアアアー う うそでしょ?ひ 引き寄せられる・・・冗談じゃないわあんなのに当たったら死んじゃうわ』
『だ 駄目、私の弓矢では、どうにもならないわ』
『グゥゥゥゥ ま 不味い柱だ皆柱に隠れろ』
対戦者達はダマスカス鋼の柱に飛び込み身を隠すが、ダマスカス鋼で出来た柱がまるでバターのように引き千切られ粉々に切り裂かれていく。
『う うわぁあああああああ・・・・』
『キャアアアアアアアアアア・・・・』
突然吹き荒れていた暴風が治まり会場に目をやると対戦者の鼻先にそれぞれの武器が寸止めされており、回転が停止していた。
舞台には砕かれ粉々に切り刻まれたダマスカス鋼の破片が散らばっている。
【と 止まった~ サークルが繰り広げた連携技【四天風神】と言って居りました、この恐ろしい技が今止まりました、しかしサークルの武器はどうなっているのでしょう、あの硬い筈のダマスカス鋼がバターのように千切られ切り刻まれ散乱しております、全く恐ろしい破壊力です】
『・・・ま 参ったわ私達の負けよ、フゥ~ 死ぬかと思ったわ』
『フーフー ああ、死を覚悟したよ・・・』
『ハーハーハー こぇぇ技使いやがるな』
『あ あんなのどうにも出来ないじゃない、し 死ぬかと思ったわ』
『クハハ クオンとミュウ抜きだからな、ちゃんと寸止め出来て良かったわ』
『ニャハハ 六天風神ならヤバかったニャー』
『ちょ ちょっと怖い事言わないでよ』
【け 決着~~~~~ お 驚きました恐ろしい連携技でした勝者は「サークル」まずは1勝を勝ち取りましたあああああああああ】
ロック達が笑顔で自陣に戻りハイタッチで勝利を喜びあう。
本部役員達が舞台に散らばった破片を片付け終わると次はミュウ対ローラさんの対戦になる。
『んふふ ようやく私達の対戦になったわね楽しみにしてたのよ?』
『あ 貴方達何者なの?本当に新人冒険者なの?』
『え~っと、一応15歳になって今年冒険者になったから新人なんじゃないかな?』
『・・・・・・負けないわよ、絶対にその髪の手入れ聞くんだから』
『んふふ これねシャンプーとリンスって言うのよ』
【先ほどの激しい戦闘の後処理も終わったようです、それでは決勝戦2試合目「サジタリウス」からは炎の魔導士「ローラ」選手です魔力の高いエルフの中でも最も多い魔力を保有していると名高い、最早王都では有名人となっております】
【そして対するは「サークル」からは「ミュウ」選手です「魔女」の異名で呼ばれているようですが今大会では未だ華麗なるムチ捌きしか見せておりません、偶然にもエルフ対決となりました注目しましょう】
『そういえば貴方のムチ厄介そうね・・・』
『あ~ これは使わないわよ?私達の武器って魔法媒体でもあるから手には持ってるけどね』
『なっ 私を軽く見てるの?本気で来なさいよ!!!』
『ああ~ 気を悪くしたらごめんね、でも私も一応魔導士なのよ?ちゃんと魔法で倒してあげるわ♪』
『・・・ムチを持っていたから強気だったわけじゃなさそうね、そういう言葉は私の魔法を見てから言いなさい』
【いよいよ審判からの開始の合図がありました、決勝戦第2試合が始まりました】
『<ファイアボール>!!!』
ローラさんは開幕ソフトボールぐらいの<ファイアボール>を20発程頭上に浮かべミュウに放つ威力はそんなになさそうだ、おそらく様子見だろう。
対してミュウが取った行動は防御から入る。
『8重<ライトシールド>!!!』
『ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドンッ』
『光属性の盾ですか、てっきりウォール系を使うと思いましたが、やりますね』
『炎の魔導士って呼ばれている所を見ると得意な属性は火魔法なのかな?』
『私は全属性に対応してますわ、好んで使うのか火属性ってだけなのよ』
『貴女は光属性が得意なのね』
『んふふ 私も全属性持ちよ、楽しくなりそうね』
『なっ 全属性持ちですって、まさか私以外にも・・・・・』
『試して差し上げますわ』
『<ファイアボール><エアボール><ウォーターボール><アースボール><アイスボール><サンダーボール><ライトボール><ダークボール>!!!!!!!!!』
『んふふ <ファイアボール><エアボール><ウォーターボール><アースボール><アイスボール><サンダーボール><ライトボール><ダークボール>!!!!!!!!!』
『なっ なんですって』
【おおっと、これは素晴らしい、なんと両選手いきなり全属性のボール系魔法を頭上に掲げました、大変珍しい全属性持ち同士の戦いとなりました、しかも全属性を同時に操る魔力制御も素晴らしいです』
『おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ すげえ全属性持ちだと!!!』
『えええっ ど どうやったら全属性なんて制御出来るの?』
『しかも二人共無詠唱だ、なんて奴らだローラと並ぶ程の魔導士が今まで野に埋もれていたのか?』
『ドンッドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドン』
【おおっとミュウ選手、ローラ選手の全属性弾を全て盾を使わず迎撃しました、素晴らしい魔力コントロールです】
『・・・まさか、ここまで使いこなすなんて、あ 貴女誰に魔法を教えて貰ったの?師は誰なの?』
『えっ 私に魔法を教えてくれたのは「シャルル・ロア」ロア姉さんよ?』
『しゃ シャルル・ロアですって?あの大魔導士ロアの弟子なの!そうか貴方達は大錬金術師ベクター様の知り合いだったわね』
『・・・なるほど、どおりで・・・ごめんなさい少し貴女の事を舐めていたわ、此処からは本気よ!』
『んふふ ロア姉さん有名人なんだね、何か嬉しいわ♪』
『フゥゥ <エクスプロージョン>!!!』
『イ゛ィィ あわわ』
『ドンッ ドドドンッ ドドドドドンッ』
『あ あっぶな~ も~ これはお礼よ<ホーリー>!!!』
それからは魔法による壮絶な打ち合いが始まったローラさんも<ライトシールド>を張っていたが、回避できる魔法は回避し魔力を温存しながらの消耗戦になった。
俺達は【プラス】の効果で多大な魔力を持っているため徐々にローラさんに疲れが見え始める。
『ハーハーハー クッ 貴女いったいどれ程の魔力を保有してるの・・・』
『何言ってるのよ貴女も凄いわ、メンバー以外とこれだけ魔法戦を繰り広げられるとは思わなかったもの』
『そう・・・貴女のメンバーもそうなのね、ねえ「サークル」で貴女より強い人はいるの?』
『んふふ 私達は全員クオンに鍛えられたのよ、5人で戦ってもクオンには勝てないわよ』
『・・・貴女は嘘を言ってる様には聞こえないわ、世の中には本物の化物って居るのね』
『次が私の最後の魔法よ』
『受けて立つわ!』
しばらくの間ローラさんが集中しだす、あれだけ無詠唱で魔法を繰り出していたローラさんが集中しなくてはならないほどの魔法が如何ほどか伺えるようだ。
『<ファイアメイク>ファイアドラゴン!!!!!』
ローラさんが繰り出した魔法は全長10メートルはあるような巨大な炎の龍だった、その造形はまさに生きているドラゴンのようであり観客中が騒ぎ出す。
【あああ、こ これは凄まじいローラ選手なんと炎の龍を繰り出しました、これは圧倒的だあああああ】
『こ これってロア姉さんの魔法』
『そうよ、これは私が大魔導士ロアに憧れて練習した最高傑作よ』
『そう、そうなのね私もこれを見せて貰った時は感動したわ、そして私も練習したの、そう必死で練習したわ私の最高傑作も見せて上げるね』
『そっ そんな貴女も出来るって言うの?』
ミュウは今までにない程の魔力を、その手に持っているファントムテイルに注ぎ込む!次第に幻想的な青い光に包まれながら明滅し自身を抱くような姿勢からゆっくりと両手を左右に広げ魔法を繰り出す。
『!!!!!!!!!!!!!!【オールメイク】八龍!!!!!!!!!!!!!』
ミュウが唱えた魔法は全属性による8匹の龍だった、火龍・風龍・水龍・土龍・氷龍・雷龍・光龍・闇龍と全長10メートルはある8匹の龍は、正に生きているかのように咆哮をあげる。
『『『『『『『『GUGYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!』』』』』』』』
ローラさんが繰り出したファイアドラゴンにより興奮していた観客が魂を揺さぶる様な八龍の咆哮により恐怖で体が震えだす。
いや観客だけではない会場にいた全ての人間が八龍の圧倒的とも言える存在感に体が竦んでいるようだ、そうAランクまで上り詰めた冒険者達も・・・
対峙しているローラさんは、そのあまりの恐怖のため地面に膝を付く、それでも気を失わずミュウを見つめているのは流石にSランクの冒険者だと感心する。
ローラさんは震える声で絞り出すように言葉を紡ぐ。
『ま 参ったわ、私の負けよ』
ローラさんの言葉を受け取ったミュウは顕現していた八龍を闇に返しローラさんへ返答する。
『ローラ姉さんの魔法が見れて嬉しかったわ、ねえ<エンゲルラント>に遊びに来てくれたら髪の秘密におまけを付けて教えちゃうわよ』
『そう言われたら行かない訳には行かないじゃない』
『んふふ 待ってるわ♪』
ミュウが八龍を闇に返ししばらく経ってから、ようやく会場の時間が動き出す。
【す すみませんアナウンサーの私が、あまりの恐怖のため固まってしまいました、どうやら決着が付いた模様です勝者はミュウ選手、今ようやく審判によってミュウ選手の手が抱え上げられました】
【しかししかし驚きました、まさに身の毛もよだつ程の8匹の龍を会場で見れるとは、「サークル」のメンバーに付けられた異名「魔女」の名に嘘偽りはありませんでした】
『魔女だ・・・しかし今大会は凄い、いや凄いのは「サークル」か飛んでもないルーキーが現れやがった』
『サークルの魔女ミュウか凄い上に可愛いじゃねーか、俺はもうファンになったぞ!』
『ミュウちゃんか、スゲエスゲエぞおおおおおおおお』
恐怖で固まっていた観客達がようやく体の震えが治まって来たのか今になりミュウのコールが始まる。
会場中の人間がミュウの名前と魔女を繰り返しコールするのでロックの時と同じように観客に応えるよう舞台へミュウを誘う。
『さあ、ミュウ』
『も もう、分かったわよ』
ミュウが舞台へ出て行くと割れんばかりの歓声に包まれミュウと魔女コールが始まる、ミュウは笑顔で会場に手を振り最後に上空に向けて<エクスプロージョン>を数十発撃つパフォーマンスをし会場を後にする。
『ドンッ ドドドドドドドドドドドドドドンッ!!!!!!!!!!!!!!!!』
『ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!』
『スゲエ、あれだけの魔法を繰り出したのに、まだ余裕があるみたいだぞ』
興奮冷めやらぬ会場の熱気が冷めやらぬまま俺とゼンが舞台へ立つ!
『参ったな、どうやら君達は俺の想像の斜め上を行くようだ』
『あはは 今度はゼンさんが殊勝な事言うんですか?』
『俺は真実を言ってるよ、君も飛んでもないんだろ?』
『・・・ゼンさん俺は厄介事に巻き込まれないために今日までひたすら実力を隠して来たんですよ、鍛えに鍛えて今日「サークル」の封印を解きました』
『メンバーにもこの大会は制限無しだと宣言しました、それなのに俺が手抜きをするわけには行かないですよね?』
『なるほど、どおりで君達がそれだけの実力を持ちながら無名だったのか分かったよ』
『見せて貰おうクオン君の本気を』
『はい、様子見はないですよ』
【いよいよ長かった今日の1日も幕を閉じようとしております、王都武術大会最終戦!王者「サジタリウス」リーダーゼン!!!対するは脅威の新人冒険者「サークル」リーダークオンの個人戦が始まります】
【千の技を持つ男と呼ばれる「ゼン」選手に対し無限の異名を持つ「クオン」選手、果たして無限とはどういう意味なのか、今から解き明かされる事でしょう】
【今審判から開始の合図がありました、しかしクオン選手は変わった武器を携えております】
【あれは剣なのか手甲なのか?】
【ああっと、き 消えました両者の姿が見えません!!!!!ぶつかり合う音だけが不気味に会場に響き渡る~~~~~~】
『キンッ ガガガガガガガガガッ ドカッ バキッ ドドドドドドンッ キキキンッ キィンキキキィン!!!』
『ボッ ヒュバッ ドンドドドドドドドガッ シャインッ シュンシシシシシシッ ドオンッ!!!!!!!』
『は 早いニャー あのゼンって男やるニャー あたい達との模擬戦みたいニャ』
『んふふ クオン楽しそうね』
『クゥゥ やはりワシがやりたかったの~』
『でもまだ、お互い全然技を出してないですね』
『クフフ これからみたいよ♪』
『クククッ やるねクオン君久々に技を出す気になったよ』
『俺も楽しくなってきました、楽しみですよ』
高速での武器の打ち合いから一転ゼンさんの体がブレてみえるユルユルとしフワフワと実体を感じさせない動きは間合いを図りにくくしていた、そこから放たれる攻撃は今までの直線的な攻撃とは一線を画し回避が困難になっていた。
【出ましたー ゼン選手の技の1つ陽炎だあ~ 実体を掴ませないこの技にクオン選手どう対応するのか~】
『・・・なるほど不思議な足捌きですね、こうかな?』
『なっ なんだとっ!!!!!!』
【えっ えええっ な 何とクオン選手が使っているのは、こ これは陽炎・・・そうですクオン選手も陽炎の使い手でした、正に目には目を歯には歯を、ゼン選手の陽炎にクオン選手陽炎で迎え撃った~】
『キンッ キキキキキキキンッ!!!!!!!!!』
『ま まさかクオン君、今この技を盗んだのか?』
『あはは 少し真似してみただけですよ』
『・・・そんなに簡単に真似出来る技じゃないんだけどね』
『今度は此方から行きますよ』
『<ライトメイク><ダークメイク>ダイアウルフ!!!!!』
【ああっと、ここでクオン選手次は魔法を繰り出しました、現れたのは光と闇の狼!今ゼン選手に襲い掛かる~】
『クッ 魔法も使えるのか!!!』
ゼンさんは俺が放った光と闇のダイアウルフを見て即座に自身の持っている大剣に魔力を流す、物理攻撃の効きづらい魔法攻撃に対応するために、流石にSランクだけあり対応力が凄まじい。
左右から迫りくるダイアウルフを同時に斬り伏せる剣技は見事だが、ようやくゼンさんにも隙が出来た、これを逃す訳にはいかない。
俺はようやく出来たゼンさんの隙をつき回し蹴りを放つ、うまく腕でガードしていたが衝撃を逃がしきれず身体ごと飛ばされる。
『ドガアッ グハッ!!!』
【クリーンヒットおおおおお~~ なんと初撃を受けたのはゼン選手!クオン選手の蹴り技に飛ばされましたが直ぐに体制を整え再びクオン選手と対峙します】
『き 効いたよ蹴り技もあるのか・・・只でさえ君の剣技は躱し難いんだが』
『・・・確かに俺にこの武器を作ってくれた友は「無形」って言ってましたね』
『でも、まだ使ってませんよ』
『・・・・・化物が!』
『行きますね!』
そこからの俺の攻撃は剣技・格闘技・魔法を組み合わせた攻撃に移るが、流石にゼンさんも引き出しが多い俺は嬉しくなってきて少しずつギアを上げて行くことにした。
『キンッ ドドッピキキ ガガガガッ ドカッ バキッ ドドドドンッ キキキンッ キィンキキキィン!!!』
『ボッ ヒュバッ ドンドドドガッ ピッシャー シャインッ シュンシシシシシシッ ドオッ!!!!!!!』
『キンッ ガガガガガガガガガッ ドカッ バキッ ドドドドドドンッ キキキンッ キィンキキキィン!!!』
『ピシッ ボッ ヒュバッ ドンドドドガッ パッキーン シャインッ シュンシシシッ ドオンッ!!!!!』
【こ これは素晴らしい決勝戦に相応しい攻防が繰り広げられております、なんと多彩な技の応酬千の技を持つと言われるゼン選手に負けない、いえ上回る技をクオン選手が繰り出しております】
【繰り出せれる魔法も、火属性・風属性・水属性・土属性・氷属性・雷属性・光属性・闇属性・・・えっ えええっ な なんとクオン選手も全属性魔法を使用しております】
【前衛でありながら多彩な技に全属性魔法を繰り出す、まるで出来ない事がないかのように・・・】
『なんて攻防だ・・・・言葉が出ねえ』
『俺にゃー殆ど見えねえよ、なんて速さだ』
『まさか、ゼンまで・・・ミュウさんの言った通り何て強さなの』
『なあローラ俺には、あのクオンって奴がまだ本気出してないように見えるんだが?』
『ええ、ゼンがあんなに汗を流してるのにクオン君は涼しい顔してるわ』
『本当に、何者なの「サークル」・・・・・』
『ゼーハーゼーハーー グッ・・・・・』
『流石ですね、まさかメンバー以外に此処まで堪能出来るとは思いませんでしたよ』
『ば 化物め・・・どうやら完全に実力負けしてるみたいだな』
『フーーー 次で最後だ自信があるなら受けて見ろ』
『・・・分かりました、少し寂しいですね』
『あはは 行くぞ!』
ゼンさんは大剣を上段に構え気力のような物を武器へ流し込んでいる、こういう事も出来るのかと歓喜を感じていると久々に俺の<直感>が働く。
『ゾクッ!!!ヤバい!!!!!!』
『ハアアアアアアアアアアアアアアアアア【気功斬】!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』
【び 吃驚しましたゼン選手の突然の大技をクオン選手間一髪で回避しました、なんとゼン選手の一撃により地面に裂け目が出来ております、その速度・威力が伺い知れます】
【サークルが特殊スキル<気功>を習得しました。】
【サークルが特殊スキル<捕縛>を習得しました。】
『・・・こ これも躱すのか』
『フー 冷や汗を掻きましたよ・・・剣技も怖かったですが、動けなくなるようなスキルですか?』
『全く、恐ろしい奴だな初見で見破り躱す事が出来るとは・・・』
『次は、俺の番ですよ!』
『ああ、来い受け切ってやる』
俺はいよいよ最後かと思い少し寂しい気持ちになる、そろそろ少し知名度を上げたくて出場した大会のつもりだったが俺自身かなり有意義な時間だった。
俺は穏やかな気持ちになり武器に魔力を流していく、不思議なぐらい静かな気持ちになり気が付くとアダマンタイトで作られた俺の「偃月輪 青幻」が幻想的に青く輝く何時もの光に白色の輝きが交互に入っているのが分かる。
何故だかは分からないが今は充実した良い気分だ、俺は今大会で初めて構えを取る。半身になり腕を組んだ俺の姿は左右の偃月輪が重なり俺の体を包み込む楕円になる。
『クゥゥ こ これって<龍王の威圧>?』
『いや、ミュウ違うぞこれは覇気だ!』
『す 凄いリーダー覇気なんて微弱にしか出ない物なのに、まるで<龍王の威圧>のようだ』
『ニャアア でも圧迫感はあるけど危なそうじゃないニャ』
『ええ、観客も固まっているけど無事そうね』
静まり返る会場の中俺は最後の攻撃に出る!
『<エンチャット>〇〇〇!!!!!<剛体硬>!!!<チャージ>!!!』
『あ あれはワシの技』×コウカイ
『なんだと俺の技まで』×キカク
『<超振動>!!!<居合>!!!ハアアアアアアアアアアアアア<フラッシュ><ダブル>!!!!!!!!』
『キンッ ガランッ』
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
【えっ あ あああ、き 気付いたらクオン選手の拳がゼン選手にクリーンヒットおおおおおお!!!!!!』
【未だにクオン選手の拳を腹部に受けゼン選手の体が九の字に曲がり、自身をガードしていた大剣も二つに折れ地面に転がっております。な なんと意識を失っているようです今審判からクオン選手の手が挙げられました】
【勝者「サークル」リーダークオン!そして王都武術大会を制したのは若干15歳のビッグルーキー「サークル」が優勝を果たしました、最年少・初出場・初優勝、数々の伝説を残しました】
『わ 私の技』×クラスタ
『お 俺のも』×ライザー
『俺の・・・』×レオン
『クオンさん私の技まで、そうかこの大会で敗れた私達の技を最後に使ってくれたのね、でもなんて観察眼全ての技を取得しちゃうなんて・・・』×リッカ
『ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』×会場中
俺は気絶しているゼンさんを大会役員に丁寧に引き渡し自陣へ戻る。
最後の試合を勝ち取った俺をメンバーがハイタッチで迎えてくれる。
『流石だなクオン最後の一撃はワシでも躱せんだろう』
『リーダー ゼンさん大丈夫なんですか?僕より手加減してませんよね』
『んふふ ロック見てなかったの、クオンが拳に掛けた<エンチャット>を』
『ニャー あたいにもあれ分からなかったニャー』
『そうね、リーダー何を<エンチャット>したのかしら』
『んふふ 私には分かっちゃった、あれは恐ろしいぐらいの拳だったけど優しい拳でもあったのよ♪』
『あはは 流石ミュウバレちゃったか・・・俺が拳に<エンチャット>したのは<ヒール>だよ<ラストヒール>だ』
『『『『な なるほど(ニャ)!!!』』』』
俺達は会場の大歓声に応えるため全員でもう一度舞台へ立ち手を挙げて歓声に応える。
会場からは大歓声に紛れてアーチカさん、メイドさん達、エイトールさん、ローニアさん、マリンさん、リップさんまで歓声を上げてくれている。
興奮さめやらぬ会場から「サークル」コールに始まりライカの「死神」オーラの「虚空」ムーアの「神速」ロックの「破壊神」ミュウの「魔女」俺の「無限」コールが代わる代わる称えてくれる、これについてはエイトールさんに話をしないといけないだろう・・・・・
いよいよ溜めていたストックも底をついてしまいました。
次回から不定期になると思われます。
何とか週に1回は投稿出来るよう頑張りたいと思いますが、どうなるか・・・
ここまで読んで下さった方に心を込めてお礼差し上げます。