第139話 王都武術大会!4
俺達はまたコーヒーを飲むために控室に入ると変な匂いがしている<危険感知>が毒を伝えてくれているので、どうやら俺達の控室に霧状の毒を撒かれたようだ、効果はどうやら弱い麻痺らしい。
『クンクンッ どうやらクズ貴族の仕業のようね』
『ニャハハ ミュウ犬みたいニャ』
『も~ ムーアにも分かるでしょー』
『ふむ、これはあの貴族の執事の匂いだな』
『あはは 僕達が勝ち続けるんで焦ったんじゃないですか?』
『クフフ しかし色々とやってくれるわね』
『弱い麻痺毒使うって事は俺達に舞台で惨めに負けるところが見たいんだろうな』
『んふふ お仕置きが楽しみだわ♪』
『毒には毒ってのも良いわね・・・』
『ジワジワと行くニャー』
『ちょっと女性陣、怖いぞ・・・』
『<クリーン>!!!よし、ここは是で良いか』
『おっと急がないとリッカさん達の試合が見れなくなるな、行こうか』
『『『『『了解!!!』』』』』
麻痺毒が撒かれた俺達の控室は<クリーン>を掛けて綺麗にしておく、俺達には毒なんて聞かないけど他の誰かが掛かっても気分が悪くなるしね。
急いで出場者用の観覧席へ行くと舞台にはリッカさん達がいた、どうやらパーティ戦を選んだようだアナウンサーの女性が高らかに伝えている。
結果については善戦したと言って良いだろう流石Sランクパーティと言ったところか・・・
やはり全員の自力が違うのか前衛のリッカさんとモランさんが頑張っていたがローラさんの援護魔法が厳しすぎたマミさんも頑張っていたが魔法を相殺出来ずにジワジワと押し切られていった。
サジタリウスのリーダーであるゼンは大剣使いであり間の取り方が上手い、まだ実力は全然だしていないんだろうがリッカさんを押し切った所で勝敗が決したようだ。
サジタリウスの他のメンバーも熟練者なのだろう隙がない、どうやらアマゾネスであっても厳しい相手だと思う。
出来ればリッカさん達に勝って貰いアマゾネスと対決して欲しかったが勝負の世界は仕方ないか。
『う~ん、ローラさんやるわね』
『ああ、リーダーのゼンとローラって奴が頭一つ抜けているな』
『でも、大した怪我もしてないようですし良かったです』
『ええ、アマゾネスか私達がきっと仕返ししますわ』
『さて結果は残念だったが俺達も次の試合に行こうか』
『『『『『了解!!!』』』』』
段々とパーティ数も減ってきたので順番が回ってくるのも早くなってきた俺達が出る舞台までやってくると次の対戦者であるAランクパーティ「巨人の盾」が舞台脇に待機していた。
リーダーであるコウカイは巨人族であり非常にデカい身長は3メートルぐらいあるだろうか、また持っている盾も大盾と言うか俺にはもう壁に見える・・・
直ぐに順番が回って来て俺は体戦方法を決めるために前に出てコウカイと話をする。
『ガハハハハハハ 本当にちっちぇな少年よ』
『こんにちわ、俺は巨人族と会うのは初めてですが、デカいですね~ 』
『おお、そうだワシは「巨人の盾」のリーダーをしているコウカイだ宜しくな少年』
『俺は「サークル」のリーダークオンと言います、今日はそのデカい胸をお借りしますよ』
『ガハハハハハハ おう楽しもうぞ、ところでチマチマやるのも性に合わんのでなパーティ戦で良いか?』
『ん~ 今回に限っては同じだと思いますよ、コウカイさんが内の破壊神を止める事が出来るかどうかの勝負になるかと』
『ほほう、ワシを抜く自信があると言うのか?破壊神とな、また大層な名前ではないかガハハハハハハハハハハ』
『面白いワシを抜く事が出来たらお主達の勝ちだ、全力で迎え撃とうではないか』
『はい、俺も楽しみですよ握手は出来そうにありませんね、こっちでいきましょうか』
俺はコウカイさんに拳を掲げるとコウカイさんもデカい拳を俺の拳に当てて挨拶をしてくれた。
【いよいよ本選も3回戦に突入致しました、出場者は「巨人の盾」と「サークル」です】
【今回突如現れたビッグルーキー「サークル」を止めるのは、やはり古豪である「巨人の盾」か注目の一戦が今始まります】
いつもの審判チェックが終わり開始の合図が入る、コウカイさんは少し前に出て悠然と巨大な盾を構える、その姿は正に鉄壁だ。
それを見たロックはニコニコと良い笑顔を見せ俺達へ無邪気に手をフリフリし前に出て行く。
対峙したロックとコウカイさんは像と蟻のようだ。
【ああっと、正に「鉄壁」の二つ名のとおり大きな鉄壁を掲げるコウカイ選手の前に小さな本当に小さな少年が立ち塞がります、少年の名前はロックそう「サークル」では「破壊神」と呼ばれる少年です】
【一体あの小さな体にどれ程の力を秘めているのか???????????】
『ええっ なにっ?なんで小さな子供が出てるの?』
『うわ~ 可愛い少年ね似合わない凶悪な武器を持ってるけど、それも可愛い~~~~~~~』
『『『『『『ロック様~~~~~頑張ってくださ~~~~~~~い!!!!!!!』
「アマゾネス」からの応援に良い笑顔で手をフリフリしているロックの仕草は子犬の尻尾を思い出すような愛らしさがある。
『ブハハハハハハハハ マジか冗談にしか見えねえ』
『ギャハハハハハハ あんな奴俺なら間違って踏んじまうかもしれんな~』
『冗談は良いから引っ込めよガキが~~』
『俺達は戦闘を見に来てるんだよ、子供はどっかの砂場で遊んでろ』
ロックへの誹謗中傷に気を悪くしたのかコウカイさんが観客席に睨みをきかしたが、ロックは笑顔でそれを制し徐に肩に担いだ「ジャイアントインパクト」を観客席に向けて片手で素振りをした。
「ブオオオオオンッ」と言う素振りの音と共に出来た風圧により騒いでいた観客席に暴風が叩きつけられる。
ロックの冗談のような素振りによって起こった暴風のため観客席で騒いでいた人達がキョトンとした表情になり静まり返る、ロックはニコニコ顔で人差し指を口に当て、まるで「静かに見てて」と言ってるかのようだ。
ロックは素振りをし終わった「ジャイアントインパクト」をゆっくりと舞台へ置くと「ドゴゴゴゴオオオオン」と言う爆音と共に硬そうな石の舞台に亀裂が入り凹んでしまった。
ロックはやってしまったと言うような表情でオロオロとしているとコウカイさんがロックへ喋り掛ける。
『少年よロックと言ったか、お主のその顔に似合わぬ凶悪な武器は何で出来ておるのだ?いや一体何キロあるのだ?』
『すみません、それは秘密なんですよ』
『・・・・・ふむ見た限りでは500いや1000キロ・・・もっとか信じられん!!!お主は、その小さな体で超重量であるその武器を小枝のように振り切ったと言うのか?』
『・・・只、僕が言えるのはコウカイさんの全力!全身全霊の力を以って対峙して下さい行きます!!!』
ロック自らが作り出した最高の武器の特性を生かすため、ロックも魔力の封印を解く!!!
再び肩に担いだ「ジャイアントインパクト」は幻想的な青い光に包まれ明滅しそのパフォーマンスを存分に発揮する。
ロックの構えは左拳をコウカイさんに向け突き出し、右腕で持った両手槌を肩に担いだ一風変わった構えだ。
『ガハハハハハ 何たることか体が震えるワシが恐怖していると言うのか?汗が止まらぬ・・・良いだろう望み通り我が全身全霊を以って受けようではないか』
『ヌウウウウウウウウウウウウン<剛体硬>!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』
『・・・凄いですコウカイさん<加減之極意>が僕に伝えるコウカイさんに手加減は要らないと、まさか初めて本気で放つ僕の技が人間相手なんて思いませんでしたよ』
『ガハハハハハ そうだお主も全力で来いロックよ!!!!!』
『行きますコウカイさん!!!!!』
『ホオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ<ジャイアントインパクト>!!!!!!!!!!!!!』
ロックが放った咆哮は空手の息吹にも似た衝撃でビリビリと此方にも伝わってくる。
コウカイさんの<剛体硬>により白く光り輝く超大盾とロックの青く光り輝く両手槌が激突する。
『ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッッッ』
耳が痛くなるほどの衝撃音が鳴り響いたかと思えば3メートルを超すコウカイさんの巨体が宙に浮き放物線を描いて舞台の外へ叩きつけられる。
舞台を見れば、まるで野球のバットを振り切った後のような姿勢で止まっているロックがいる。おそらく「ジャイアントインパクト」を横殴りで放ったのだろう。
コウカイさんの方を見ると、あの超大盾がグチャグチャになっている・・・その光景はどれ程の衝撃があったのかを物語っているようだ。
コウカイさん自体を見てみると両腕は骨折しているが命に別状はなさそうだ、ロックの全力である「ジャイアントインパクト」を受けてこの程度ですむとは飛んでもなく頑丈な人だ。
運営の回復師達が<ハイヒール>を掛けてくれているので大丈夫だろう。
ロックが残っている「巨人の盾」のメンバーに視線をやると手を上げて降参の仕草をしている。
それを見た審判がやっと動き出しロックの小さな腕を掲げ勝者を告げる。
【はっ す すみません私あまりの事に実況を忘れてしまいました勝者ロック選手!またもやビッグルーキーが「巨人の盾」を砕き決勝進出を果たしました】
【し しかし、驚きました何という破壊力・・・まさに「破壊神」その異名に恥じる事のない二つ名が誕生したのではないでしょうか】
静まり返った会場が我に返ったのかアナウンサーの実況を受けて大歓声が巻き起こる。
『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!!!』
『す すげえ正に「破壊神」だ』
『ど どうなってやがるんだ、あの巨人が宙を飛んだぞ』
大歓声の後、ロックコールと破壊神コールが巻き起こり、会場中が大興奮だ。
会場の熱気に応えるため俺はロックを舞台へ送り出すと、ロックは大歓声に応えるようにペコペコと頭を下げる。
俺から見ても可愛いと思えるロックの仕草に会場中の女性が黄色い声を上げる「アマゾネス」なんて狂乱しているかのようだ。
ロックはしばらく歓声に応えた後自陣に戻って来たので俺達も控室に戻る事にする。
控室に着いたロックがソワソワしているので何故か聞いて見るとコウカイさんが心配なので見に行くと言うので全員で様子を見に行く事にした。
<マップ>&<サーチ>で場所を調べ「巨人の盾」の控室に行き挨拶をすると快く迎えてくれた。
コウカイさんは意識が戻っているが両腕は<ハイヒール>を受けたにも関わらず治りきってないようだ。
『コウカイさん大丈夫ですか?』
『ガハハハハ 心配するな、ちと誰かの攻撃が凄すぎてな直ぐには治らんようだが、じき治るさ』
『しっかし、すげえ少年だな、まさか内のボスが吹っ飛ばされるなんてよ』
『おう、コウカイさんが気絶するとこなんて初めてみたぜ』
『お お前達忘れろ、直ぐに忘れろ!!!』
『照れなくても良いじゃねーか、ボスも人間だと思って俺は安心したぜ』
『ば 馬鹿野郎、くそう情けねえ所を見られちまったな』
『す すみませんコウカイさん』
『ガハハハハハ お主は悪くねえ、その内あの凶悪な技も受け切って見せるわ』
『んふふ 何言ってるのよ私達は生きてるのさえ信じられないわよ』
『ちょっと腕見せて貰って良いかな?』
『おう、嬢ちゃん「サークル」の回復師か?気にすることねえよ腕の良い王都の回復師でもしばらく掛かるって言ってたんだ、ゆっくり治すさ』
『んふふ 大体分かったわ、両腕だして』
『お おい嬢ちゃん』
『ほら早く、こんなに大きな腕私が動かせる訳ないでしょー』
『お おう』
『ふんふん、<ハイエストヒール>!!!!!』
ミュウが「良いかな?」って言うような目配りを送って来たので俺は素直に頷いて許可していたので迷う事なくミュウは魔法を詠唱した。
どうやらコウカイさんの両腕は筋肉組織は治っているがスジが切れていたのだろうミュウが<ハイエストヒール>を放つ。
コウカイさんの両腕が淡い光に包まれやがて体全体に広がり消えていく。
『どお?動くかな』
『お おう嬢ちゃん良い腕だな、問題なく動くぞ』
『んふふ 私はミュウって言うのよ』
『あっ そうだ皆「アマゾネス」の試合見に行かなくちゃ』
『そうだ急がないと、すみませんコウカイさん少し用事があるので失礼しますね、お大事にして下さい』
『コウカイさん、僕楽しかったです、また会いましょう』
『お おう』
俺達は急いで会場に向かう事にした。
『しかし、何から何まで規格外な奴等だな』
『ボスの両腕フルポーション以上じゃないと完全に治らないって言われたんだろ?』
『ガハハハハ 簡単な事よ、あの嬢ちゃんの魔法はフルポーションに匹敵するんだろう』
『全く持ってスゲエ奴らが現れたもんだぜ ガハハハハハハハハハハハハ』
俺達が会場に着いて舞台を見てみると既にクラスタさん以外のメンバーが倒されており、リーダーであるゼンとの一騎打ちになっていた。
戦いの経緯は分からないが倒れているメンバーも大した怪我はしていないようなので安心する。
クラスタさんとゼンさんが何かを喋っているようだ、少し集中して聞いて見る。
『流石にSランクパーティは伊達じゃないですね』
『俺達もまさか、ここまで善戦されるとは思わなかったよ』
『願わくば私達が「サークル」の前に立ちたかったですが、どうやら叶わないようですわね』
『俺も楽しみにしてるんだよ悪いが譲れない』
『うふふ 次が最後の攻撃にしますわ』
『分かった、受けよう』
『ハアアアアアアアアアアアアア<超振動>!!!!!!!!!!!!!!』
『キィィィィィィンンンン!!!!!!!』
『クッ さ 流石ですね・・・もう動けませんわ』
『フゥゥゥゥーーー 危ない技を使うね俺の自慢の鎧が真一文字に切れてるよ』
【どうやら決着がついたようです勝者ゼン選手!流石は王都の誇るSランクパーティ「サジタリウス」です決勝に駒を進めました】
【「アマゾネス」も女性だけのパーティでありながら善戦したと言えるでしょう】
【決勝で対するわビッグルーキーの「サークル」果たしてその快進撃を止めれるのか】
【次はいよいよ決勝戦です、今大会最大にして最後のカードに注目しましょう】
やはり「サジタリウス」強かったな、きっちり敵討ちと行こう。
『残念ながら負けちゃったわね』
『はい、でも僕達が敵討ちしますよ』
『うむ、しかしこんなに離れた距離でコピーするとは流石だなムーアよ』
『ニャハハ 全員が集中してたからニャ』
『・・・結構怖い技ですわ』
『うん、どっちかと言うと殺し技だね斬属性なら切味が格段に上がりそうだ、他にも使い方はありそうだけどね』
『さて、控室に行って少し今日の予定を話合おうか』
『ニャハハ きっと掃除ニャ』
『なーるほどね』
俺達は控室に戻り<サイレント>を張って打ち合わせをすることにした。
『さて、もう分かってると思うけど大会が終わってからの予定を皆に伝えておきたいと思います』
『先ずは、この会場に来ているリップさんに「バグ」から持ってきた資料の内容確認』
『次に、その内容に寄っては、お掃除なんだけど場合によってはユマ王女に投げるかもしれません』
『その時はロックの案のとおりザーランさん経由です』
『3つ目にクソ貴族の資産を全て断ち切ります、その際屋敷にある金銭や調度品等根こそぎ回収します、まあクソ貴族には銅貨1枚もない貧乏人になって貰います』
『4つ目にクソ貴族の所で働いている執事以外の従業員には十分な賃金を払って解放し、行先のない者は<エンゲルラント>に連れて行きます、クソ貴族には孤立して貰いましょう』
『5つ目にクソ貴族の屋敷を更地にしてやります、景色が良くなりますね』
『最後にクソ貴族と執事には食べ物と洋服に触れたら死にたくなる程の激痛が走るように<魔法陣>を打って上げます、死ぬほどの痛みにのた打ち回るか餓死するか選んで貰います』
『質問があれば受け付けますよ?』
『『『『『・・・・・リーダー怖い(ニャ)!!!』』』』』
『クソ貴族は良いとして行き先のない人を<エンゲルラント>に連れ帰ってどうするの?』
『今考えてるのはマリンさんのお店で働いて貰おうかなとね』
『そこにリップさん達も入れようと思ってるんだよ』
『なるほどサークル本部では雇わないんですか?』
『俺達との関わりが深くなれば入って貰うかもね、只そうなると自衛出来る強さを身に着けて貰わないと安心出来ないんだよ』
『ふむ、大体分かった、しかし大会が終われば色々と駆り出されるかもしれんぞ?』
『うん、そこら辺は手分けしてやろうか』
『まあ、まだザックリとした案だけどね、じゃとりあえず優勝を攫って来ようか』
『『『『『了解!!!』』』』』
俺達は決勝戦に出るため会場に戻ると、大会運営席の近くにいるクソ貴族が執事に対し怒っているのが見える、おそらく俺達に麻痺毒を使ったのにピンピンしているせいだろう。
クソ貴族には俺達に何をしようと徒労に終わり、自分は段々追い込まれる絶望感をゆっくりと味わって貰おう俺達に手を出したらどうなるか理解出来た頃には手遅れだが。
いよいよ決勝戦だ、俺達はメイドさん達やローニアさんに手を振って挨拶し、分かってくれるか分からないがリップさんやマリンさんにも手を振っておいた。
決勝戦の開始時間も迫ってくると「サジタリウス」も会場へ来たようだ俺はいつもの様に対戦方法を決めるため前に出る、ゼンさんも前へ進み話をする。
『本当に決勝戦まで来るとは思わなかったよ、新人とは思えないね』
『はい、今日は胸をお借りしますね、お手柔らかにお願いします』
『よくそんな殊勝な事言うね、負ける気なんてサラサラないんだろ?さて対戦方法に希望はあるかい?』
『あはは そうですねミュウがローラさんと戦いたがっているので俺とゼンさん、ミュウとローラさんが個人戦で他はパーティ戦で如何ですか?』
『ほほ~ ってことは君も俺と戦いたがってるって事かな?』
『あはは 一応俺も苦労してゼンさんとの対戦権を勝ち取ったんですよ』
『俺を取り合うなんて怖い新人達だ・・・普通は逃げるんだけどね』
『そんな勿体ない事出来ませんよ、せっかく強い人と戦えるのに』
『面白い、受けるよお互い良い試合をしよう』
『ありがとうございます』
俺は笑顔でゼンさんと握手をし自陣に戻る。
【会場の皆様いよいよ王都武術大会も大詰めになりました、只今より決勝戦を行いたいと思います】
【決勝の切符を勝ち取ったのはメンバー全員が何と15歳今年冒険者になったばかりのルーキーですが並み居る強者を倒し決勝を勝ち取った「サークル」です】
【対するは今大会優勝候補筆頭!王都Sランクパーティ「サジタリウス」です!!!やはり勝ち上がって来ました、もはや王者の風格があります、しかししかしまさか「サークル」が上がってくるとは予想出来なかったでしょう】
【新人パーティでありながら大会初出場初優勝の新たな伝説が生まれるのか、王者の洗礼を受けるのか大注目の一戦が今始まろうとしております】
【両パーティが今舞台に集いました本部に届きました情報によりますと、各リーダーのゼン選手とクオン選手そしてローラ選手とミュウ選手が個人戦、他はパーティ戦と言う変則方式で行われるそうです】
【先ずはパーティ戦から始まるようですお互いのメンバーが4名出て参りました、さあどんな戦いになるか楽しみです】
『君達凄いな~ 私が君達ぐらいのときはスライム追い掛けてたわ』
『あたいもそんな感じだったニャ、でもリーダーに拾われて鍛えられたニャ』
『あはは そうなんだ凄いのねクオン君だっけ可愛い顔してるのにね~』
『ま~ 君達も信じられないくらい凄いんだけどね全力で行くわよ』
『クフフ 楽しみですわ♪』
最初にパーティ戦に出るロック・ムーア・オーラ・ライカは対戦者達と握手し戦いの準備に入る。
対戦者の4人もこちらと同じ男女2名ずつでの勝負となった。
「サジタリウス」はゼンさんとローラさんが目立っているが見た所他の4名もSランクパーティに恥じない強者なのが感じられる。
審判の合図と共に決勝戦が開始された。
先ずはお互いに様子見と言ったところか、お互いの連携技をうまく捌いている。
『キンッ!キキキキキンッ シュバッシュシュシュシュシュキンッ!!カカカカカカカンッドガッ!!!』
【素晴らしい素晴らしい攻防です、決勝戦に相応しい戦いが繰り広げられております】
『フゥ~ 流石にやるわね、そろそろ行くわよ』
『フハハ そちらこそな』
『ニャハハ そろそろこちらも「サークル」の連携技を披露するニャー』
『へええ~ 奥の手って奴ね面白いわ、さあ行くわよ』