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第135話 リップとマリン


『うふふ 望むところよ私の料理を食べた人がそこまで絶賛するんだもの、是非食べてみたいわ』


『そうですね丁度余ってるお寿司があるから1人前おいていきますよ、醤油も置いていきますから、これを少量付けてから食べて下さい』


『ちょ ちょっとこれ生魚じゃないの?』


『ええ、でも安心してください、これは食べれる生魚なんで新鮮ですよ、でも今日中に食べて下さいね』


『・・・新鮮って、でも本当にピカピカ光ってるし匂いもない、いったいどうやって?』


『そうだお代が無料ってのも悪いので、これも置いていきますね』


『こ これってクリスタルフルーツじゃない?それにこれはホットラッチ、まさか幻のフルーツって言われているフォグレプまで!』


『高級フルーツばかりじゃない』


『全部俺達が採って来た物なんで無料ですよ、じゃまた来ますね御馳走様でした』



俺達は、マリンさんの食事に満足して気分良く帰れる、さー宿屋に帰ってお風呂に行こうかな。



       ◇     ◇     ◇



このフルーツ今採って来たばかりのように、とても新鮮だわ・・・まさか時間停止のアイテムポーチを持っているの?


いやまさか、あんなに若い冒険者がそんなに高いアイテムを持っている訳がないし・・・


それよりも今はお寿司って言ったっけ、お客が来る前にこれを食べなきゃ後悔するわ。


念のためお店閉めとこっと、さあ醤油って言ったっけこのタレを少量付けて食べるのよね、しかし何て綺麗な盛り付け・・・食べるのが惜しいほどに、さてこの赤い魚から食べてみよう、下に入ってるのはお米か、どうして家畜のエサにするような食材を使ってるのかしら。


本当に大丈夫よね・・・ええい食べちゃえ・・・・パクッ!!!!!!!パクパクパクパクッ!!!!!!!!!


カハッ ハーハーハー・・・なっ 何よこれ美味しい!!!なんて美味しいの?あっ 駄目美味しすぎて涙が出てきたわ。


この赤い魚は生なのに何て油が乗っているの全く生臭くない、それにお米の甘さ私でも下処理が分からないなんて、この辛い緑のタレもお米の甘さと魚の油に良く会うわ、これがあれば多少生臭い魚でも食べれるかも、最後に醤油って言うタレの美味しさ、辛いんだけど旨味が強いわ何て後を引く味わい、しかも何で作ってあるのか全然分からない。


これは料理の完成品・・・いえ限りなく完成している料理だわ!


他のお寿司も完璧な調理、どれもこれも見事としか言えない間違いないクオン君は私より遥かに高みにいる料理人だわ、あんなにも若くて可愛い子が信じられないけど。


ああ神様、私にクオン君の料理を食べさせてくれてありがとう、感謝するわ!そして私の生涯の道も決まったわ。


ウフフ あの子達の言う通りね、クオン君の料理を食べたら逃げれないわ。


今は只次の来店を待つのみね楽しみだわ、いえ最高に楽しみだわ!あはは 駄目笑いが零れちゃう。



       ◇     ◇     ◇



『ねー クオン聞きたいんだけどマリンさんに<アイテムBOX>の機能バレても良いと思って出したでしょ?』


『クフフ それに出した料理も最高峰って言ってたお寿司だし、狙いは明確よね?』


『あはは でもリーダーらしい勧誘でしたね』


『まあ当然バレるよな、俺って食材は絶対売りたくないけど良い料理人に最高の食材を渡したら、驚くほど美味しい料理が食べれるかもしれないじゃないか?』


『はぁ~ やっぱりね可哀そうにマリンさん、絶対に逃げれないわ』


『クフフ ワシは今頃、神に感謝してると思うぞ』


『ニャハハ きっとそうニャフルーツまで使う念の入れ方リーダーは本気で落としにいったニャー』


『ムーア言い方が悪いぞ、でもあれで駄目なら次はケーキ置いてくる!!!』



おおう、久しぶりに皆のジト目攻撃か、何故だ?



『『『『『女殺し(ニャ)!!!』』』』』


『ご 誤解だ激しい誤解だよ!』



俺達は素晴らしい料理人に会えた事を喜びながら宿屋に戻り皆で今日何があったか話あい楽しい夜を過ごした。


翌日も同じように王都を観光し上級ダンジョンがあると言っていたので冒険者ギルドへ行き色々と聞いて見る事にした。


冒険者ギルドへ着くと以前会った鬼人の受付嬢がいたので顔見知りだし聞いて見ることにする。



『クレアさんこんにちわ』


『こんにちわサークルの皆様』


『すみません少しお聞きしたいのですが上級ダンジョンが近くにあると聞いたのですが、場所をお聞きしても良いですか?』


『分かりました王都からですと徒歩なら約半日ほど東に行った小高い山の中腹に御座います』


『なるほど名前は何と言うのですか?』


『ヘルクレスのダンジョンと呼ばれております』


『なるほど分かりました、ありがとうございます』


『ところでメルダ・ゲランク伯爵と揉めたそうですね大丈夫ですか?』


『耳が早いですね、実は泣きそうなんですが助けて頂けませんか?』


『申し訳ありませんが、私にはそんな力は御座いません』


『あはは、冗談ですよ』


『老婆心ながら幾ら侯爵家やベクター様の御知り合いとはいえ早く王都から逃げた方が宜しいかと存じますが』


『思ったよりも優しい人ですねクレアさん、お礼に俺からも1つ良い事を伝えましょう、人は決して見かけや年齢で判断出来るものではなかったりします、でもそれを理解するのはとても難しいのですよ』


『子供の戯言だと思って聞いておいてください、それでは失礼します』



       ◇     ◇     ◇



『・・・クレアあれが例のサークルか?』


『ギルドマスターいらっしゃいましたか、はいあれがサークルです』


『でっ どう思う?』


『間違いなく強さは感じませんDランクが精々と言うところでしょう、しかし今日お会いして分からなくなりました・・・』


『ほほ~ そういえば<エンゲルラント>での噂話を聞いたのだがクレアにも教えておこう「サークルには近づくな」だ、これについてどう思う?』


『余程の権力者が背後に着いているのでしょうか?』


『ふはは クレアもまだまだだな』


『なっ ギルドマスターはあの者達をどう見ているのですか?』


『ああ、魔力は平凡だし覇気もない一見普通の新人冒険者だな、しかししかしだ、いくら実力を抑えてもあの感の良さ足運び等隠すのにも限界があるようだな、あの者達は武術をかなりの所まで極めている筈だ、現にパーティ全員が私の存在に気付いておった』


『まさか、いえギルドマスターがそう言うのであれば私の力不足なのですね』


『まあ、私もあの感の良さがなければ気付けたかどうか・・・世の中は広いな、あれは一種の化物かもしれん』


『ギルドマスター余り言いすぎると後で恥を掻きますよ』


『フハハ そうかもしれんな』



       ◇     ◇     ◇



『今日は中々の強者が居たようだな』


『ニャハハ でも出てこなかったニャ』


『たぶんギルドマスターでしょうね』


『私達の様子見と言うところでしょう』


『匂いから察するに女性でしたね』


『うん、女性っぽかったね、でも皆失敗したね俺達がギルドマスターに気付いた事に気付かれたよ』


『むっ なるほど、すまんクオン』


『あ~ そっか感が利きすぎるのにも注意しないとね』


『クフフ 流石リーダーですわ、よく気付かないフリなんて出来ますね?』


『俺は慣れてるんだよ』


『流石リーダー僕達はまだまだですね』


『ニャハハ リーダーは別格ニャ』


『さて、もう少し時間潰しをしてマリンさんの所へ行こうか』



昨日見ていない錬金術屋か魔法書とかを探してブラブラしていると誰かが俺達を監視していることに気付く。



『ねー クオン次はじゃじゃ馬が出るって言ったわよね?』


『あはは 怖いなミュウ、何人かな?』


『4人よ監視役が3人連絡役が1人ってとこかしら以外と少ないわね』


『よし、じゃー倒すのはミュウお願い、町の中だし<スリープ>で眠らそうか他の者は散開後ミュウが眠らした者を簡易<ルーム>に収納してから訓練を兼ねてアジトの追跡し、そこで集合と行こうか』


『『『『『了解ニャ!!!』』』』』



俺達は人気のない所で一瞬で散開し監視役と連絡役に張り付く、監視役の3人は俺達を見失いキョロキョロとしていたがミュウの<スリープ>で眠りに落ちる、瞬く間に4人を簡易<ルーム>に収納した、おそらく何が起こったのかも気付いてないだろう。


そのまま各自アジトの追跡に移ると、それぞれが色んな所を経由してから俺達の監視に入ったようだった、やり口からみてプロなんだろう鑑定してみたところ、やはり殺し屋だった女性ばかりだったのでハニートラップ系の殺し屋なのかな?全員美人だったしね。


そんなことを考えながら匂いを追跡していると、やがて1箇所に集まっている場所を発見した、おそらくアジトなんだろう気配を探ってみた所1人いるようだボスが連絡待ちしてるのかな。



『ふ~ん、普通の家ね』


『ここは商業区の外れってとこだね、目立ちにくい所だから都合が良かったんじゃないかな』


『さてクオンどうする?』


『少し脅かしてやろうか?ボスと同じ部屋に、こいつらをコソッと置いてから話しかけて見よう』


『も~ クオン悪い顔してるわよ』


『クフフ 吃驚するでしょうね』


『ニャハハ 面白そうニャ、やるニャ』


『僕から見たら皆楽しそうなんですが・・・』



俺達を監視していた殺し屋のボスに悪戯をするため<自然回帰>と<クリア>で完全に気配と姿を消し建物へ入っていくとボスと思わしき女性が部屋の奥で座っていた、丁度背中を向けていたので簡易<ルーム>から4人を出しソファーへ座らせる、まだぐっすりと寝ているようだ。


殺し屋のボスらしき人物は長髪で体にピッチリとしたスーツに身を包んでいる、チラッと横顔を見る限り意外と可愛い顔をしている、殺し屋のボスには見えないな。


俺達もそれぞれがソファーや椅子に寛ぐように座り<自然回帰>と<クリア>を解除する。


皆は笑いを堪えるのに必死だ、どうやら俺が考え付いた悪戯がウケたらしい。


しばらく何か書類を見ていたボスらしき女性は振り返り俺達と目が合う。



『なっ なんですって、いつのまに・・・・貴女達まで・・・・・どうやら眠らされているようね安心したわ』


『ふ~~ 参ったわ降参よ、信じられないわこんなにも短時間で此処に辿り着くなんて』


『まー お茶でも飲みながら話ましょうか?』


『す 少し待ってて・・・』



鑑定したところやはり殺し屋のボスらしい、かなり驚いた筈なのに落ち着いて話をし俺の冗談交じりの言葉を受けお茶を入れてくれている、思ったより大物なのかもしれないな。



『さあ、どうぞ』


『『『『『ありがと(ニャ)!!!』』』』』


『ありがとういただくよ、うん中々美味しいお茶だね』


『あはは 殺し屋が出したお茶を平気で飲むなんてね、本当に参ったわどうやら毒を盛っていても無駄だったようね、入れなくて良かったわ、とても強そうには見えないのに・・・貴方達が心底怖いわ、震えるほどに』


『ところでお願いなんだけど部下の命は助けてくれないかしら?隠してある財宝も教えるわ』


『それは無理な注文ですよ、殺し屋なんて殺しておかないと』


『しかし、女性は殺しにくいな・・・ミュウ頼めるか?』


『ちょっと、いくら女性っていったって私に振るのはズルいわよ』


『じゃライカは?』


『戦闘でもないし、強くもなさそうなので気が進みませんわ』



スッとムーアの方に目を向けるとムーアは顔をプルプル横へ振っている・・・



『参ったな、じゃロック頼む』


『ちょっと待って下さいどーして僕なんですか?ここはやはりオーラでしょう』


『なっ 何故ワシに振る女性は殺しにくいぞ』



誰が殺すかで俺達がギャーギャー揉めているとボスから横槍が入る。




『・・・お お願いちょっと待って、私達の命運がそんな話合いで決まるなんて冗談じゃないわ』


『・・・でも殺し屋なんだから殺されるのも当然でしょ?』


『分かってるわ、でも私達も信念を持って殺し屋をしてるの悪人と認めた者しか殺してないわ』


『貴方達も依頼をされたけど、まだ受けてないわ、この子達も監視しかしてない筈よ』


『なるほど、殺す必要が無くなって良かったよ』


『えっ ええっ それも冗談なの?まさか信じてくれるの?』


『あはは 俺達を相手にしたら殺す事も、逃げる事も、嘘をつく事も出来ないよ』



俺は少しだけ、ほんの少しだけ威圧を込めてボスの目を見ながら言葉を放つと、かなり怯えた表情になり小刻みに震えている・・・



『わ 私は貴方達が恐ろしい・・・正直今まで会った誰よりも恐ろしいわ、一体何者なの?』


『まあ、俺達が何者なのかは兎も角、殺さないけど逃がす訳にもいかない』


『悪人しか殺してない事は分かったが、俺は貴方をよく知らないから悪人の判断基準が分からないんだ』


『ど どうしたら良いの?』


『そうだな・・・とりあえず俺達に雇われて貰おうかな、俺達は誰かを殺してこいなんて言わないから大丈夫だよ』


『わ 分かったわ、それで部下を助けてくれるなら』


『ああ、只心臓に<魔法陣>を貼らせて貰うね魔法陣の条件は「俺達に関する事は全て口外しない」「俺達が許可するまで王都から出ない」「俺達の言う事には絶対服従」この3つだ』


『言っとくけど奴隷紋ほど優しくないよ』


『分かったわ・・・その条件を破ったらどうなるかなんて知りたくないわ』


『あはは 理解が早くて助かるよ、じゃミュウ・ムーア・ライカ頼む』


『『『分かったわ(ニャ)』』』



魔法陣は心臓か頭に入れて置かないといけない、四肢なら切り落とされる恐れがあるためだ女性の胸を開かないと心臓の上に<魔法陣>が打てないため女性陣に作業を任す。



『終わったみたいだね、それじゃーリップさんとりあえずメルダ・ゲランク伯爵を調べておいてくれるかな普段の行いから悪事・戦力・関係者等々』


『私の本名を何故知っているの?いえ応えなくて良いわ、調べておくわ』


『そこに寝ている部下にも説明しておいてね、もうすぐ目覚めるから』


『リーダー見た所余り戦闘力は高く無さそうだからこれも』



ロックは俺にミスリルの指輪を5つ渡してくれた、付与効果を見てみると<危険感知>と<敏捷強化>か流石ロックだな。



『リップさん、これを全員につけて慣れておいて無茶しないかぎり、これで大丈夫だから』


『付与効果は<危険感知>と<敏捷強化>です』


『それじゃーまた聞きに来るので宜しく』



       ◇     ◇     ◇



ふ~ 行ったようね・・・疲れたとても疲れたわ、まだ背中に掻いた汗が止まらない。


確かパーティ名は「サークル」リーダーはクオンだった筈、あの可愛らしい顔をした少年がクオンって訳ね、全く天然の罠みたいな少年ね恐ろしい。


何も知らずに絡んだら、どんな目にあうのやら・・・



『う う~ん、あれ姉さん?』


『『『えっ 私達は?』』』


『おはよう皆無事で良かったわ』


『私達は・・・駄目です監視している時から記憶がありません』


『誰か記憶がある人いる?』


『『『すみません私もありません』』』


『・・・本当に凄まじいわね4人共無傷で、行動中なのに本人が分からないほどなんて』


『皆も説明しないと分からないわね、今から話す事は冗談でもなんでもないから良く聞いて命に係わる事だから』


『『『『ゴクッ はい』』』』


『・・・・・・・・・・・・・』


『っと言う訳なの、直ぐには理解出来ないかも知れないけど胸をみたら分かるでしょ?』


『すみません姉さん、私達がバレたばかりに・・・』


『いいえ、貴方達に落度はないわ、あの子達は化物よ決して手を触れてはいけなかったの、もう手遅れだけど』


『とても恐ろしい子達だったけど悪人じゃなかったわ』


『私達が女性だから殺しにくいって内輪揉め始めたのよ子供の言い合いのように、うふふ 信じられる?』


『私が悪人しか殺してないって言ったらあっさり信じてくれて命は助けてくれたの、おそらく嘘を見破るスキルがあるんだと思うわ』


『とりあえずこの指輪をつけて慣れておくのよ、私が行った事忘れちゃ駄目よ死んじゃうから』


『『『『はい、分かりました』』』』


『姉さん、私達はいったいどうなるんでしょうか?』


『正直私にも分からないわ、全てはあの少年次第ね』



       ◇     ◇     ◇



『あのクズ貴族もまだ様子見だったのかな?』


『そーね、次は本格的に襲ってくるかも』


『まー リップさんが調べてくれるか』


『それでクオンあの者達はどうするのだ?』


『ん~ まだ考えてないけど良い人達なら引き続き俺達の諜報活動して貰おうかな』


『今はそれよりもマリンさんだ、丁度良い時間潰しにもなったし早く行こう』


『あはは リーダー本気ですね』



今日俺はマリンさんに1つ頼み事がしたくてウズウズしていた、とっても楽しみだ。


マリンさんの店に着くと、まだ閉まっているようだ少し来るのが早かったかな・・・



『クオン君待ってたわ、さあ入って入って』


『おっとと、こんにちわマリンさん』


『挨拶なんて後で良いわ、さあ早く早く』



俺達はマリンさんに強引に店内に連れて行かれ椅子に座らせられる。



『まさか今日来てくれるとは思わなかったわ、ありがとうずっと待ってたの眠れないぐらい楽しみにしてたのよ』


『んふふ やっぱり嵌っちゃった?』


『フフフ 素晴らしい料理だったわ、思わず神に感謝しちゃったわよ』


『クオン君、いえクオン様お願いします私を弟子にしてください、弟子が駄目なら奴隷でも何でも良いです私の持っている物なら何でも差し上げますし何でもします、見も心も魂までも捧げます、どうかどうか!』



マリンさんは店内で土下座をしながら地面に額を擦り付けて頼んでくる、あまりの剣幕に本気の度合いが伺える。



『ちょ ちょっとマリンさん、とりあえず座って下さい』


『お願いします、私の生涯を捧げますので!』


『話は分かりましたから、とりあえず座って』


『あの、駄目なんでしょうか・・・』



マリンさんはこの世の終わりのように悲壮な表情で泣き出した。困った、まさかこんなことになるなんて。



『駄目とは言ってませんよマリンさん』


『えっ そ それじゃー弟子にしてくれるんですか?』


『う~~~~~ん、俺は趣味で料理をしているだけなので弟子をとるなんて』


『う うわ~~~~~~~ん、グスッグスッ』


『ニャハハ マリンさん大丈夫ニャ、今日リーダーはマリンさんをスカウトしに来たニャ』


『グスッ えっ それはどういう事ですか?』


『クフフ リーダーは貴方の料理が気に入ったから頼み事をしに来たのよ』


『そ それって?』


『実は俺もマリンさんにお願い事があって、それを聞いて貰えるなら俺が知ってる料理も教えますよ』


『聞きます、全力で聞きます!犯罪以外なら何でも言ってください!!!』


『あはは ありがとう、肝心の内容なんだけど俺は美味しい物を食べるのが生き甲斐なんだけど、俺達が取ってきた食材を渡すので、それで料理を作って貰えませんか?』


『あはは 夢のようなお願いなんですけど、あんな高級フルーツを取ってこれるパーティの食材を調理出来るなんて願ったり叶ったりだわ』


『話はそこからなんですが、そうなると俺達と深く関わる事になると思うんですよ、もう気付いてるとは思いますが俺達には秘密が多くてね』


『やっぱり時間停止のアイテムポーチだったの?』


『マリンさん、それ誰かに言った?』


『まさか、そんな事誰かに言ったら機嫌を損ねるかもしれないじゃない』


『まあバレるリスクを負ってでもマリンさんには好印象を持って欲しかったんで黙っててくれて助かるよ』


『そういう事で俺達の秘密の厳守と持ち込み材料の料理を食べさせてくれたら<エンゲルラント>での店舗等の段取りは俺が引き受けるよ』


『もちろん、俺の料理も全て伝える上でどうかな?』


『何言ってるの最高じゃない料理人でその条件を断る人がいたら見て見たいわ是非宜しくお願いします』


『やった、ありがとう俺も楽しみだよ<エンゲルラント>なら商業ギルド長も知り合いだし、きっと良い場所を確保してくれるよ』


『あっ でも私食材にお金を使いすぎて、そんなに良い場所の店舗を借りれないかも』


『あはは マリンさんリーダーが全部出すってさっき言ってましたよ』


『えっ 段取りってそういう意味なの?』


『ああ、依頼料と口止め料代わりと思ってくれて良いよ、いっそ店舗ごと買っちゃおうか』


『えっ あ あの』


『・・・も~ クオンは美味しい物を食べるためなら、どこまでも本気なんだから』


『それならサークル資金で買っちゃいましょう』


『ギルドの口座が凄い金額になってるので丁度良い買物じゃないですか?』


『『『『『賛成ニャ!!!』』』』』


『フハハ クオンと居ると金の使い道がないから丁度良いわ』


『僕最高の包丁作っちゃおうかな』


『ニャハハ あたいは真っ白なコック長服作るニャ』


『んふふ 私は最高のキッチンを魔石で作ろうっかな』


『ワシは当然食材庫だな』


『私も食材庫になりそうね、マリンさん用と店用も作らないとね』


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