第115話 サークルへの因縁
<アーチカ視点>
パチッ う~ん明るいわ、ふふふ明るくなるまで目が覚めないなんて久しぶりだわ、あ~気持ち良い朝ね。
『えっ ウソっ 私またやっちゃった・・・大変皆を起こさないと、なんて気持ちの良い布団なの?まさか私が寝過ごすなんて』
私は冷や汗を掻きながら、今日から教育することになっているメイド達を起こしに行く。
全員を起こして厨房に向かい誰も居ない事に安堵の息を吐く。急いで朝食を作ろうとして流し台を見ると書置きがある事に気付いて見てみると。
「アーチカさんへ」とある・・・私への書置きだ、内容は「朝食はテーブルに並べてあるので食べてください、10人もメイドの教育を任せてすみません、俺達はダンジョンに行ってきますので後は宜しく」とのことだ。
やってしまった・・・メイドさん達への書置きも置いてある、内容は「いきなり慣れないメイド仕事は大変だと思いますが頑張ってください、アーチカさんは最高の人なので、くれぐれも逆らわずに言う事を良く聞いてください」と書いてある。
なんて優しいお言葉・・・私は寝過ごした事を後悔し泣きそうになるともう1枚書置きがあることに気が付く、内容は「PS.ちなみにベッドと布団は俺達が誇る最高の物です、ですから簡単には目が覚めませんから寝過ごしても気にしないようにね、食材もアイテムポーチに入れて置きましたのでお使い下さい」と書いてある。
クオン様は神様です!!!私は気を引き締めて教育に打ち込むことにしました。
『アーチカ様、何からやり始めたら良いでしょうか?』
『はい、まず朝食を取りましょう、こちらです』
『すみませんアーチカ様、既に用意してくださっていたのですね』
『いえ、クオン様の配慮です、貴女達への書置きもありますので読んでおいてください』
全員なんとか字は読めるようで、気を引き締めているように見える。
朝食を取りながら今日の予定を大まかに説明し少し話をすることになった。
『アーチカ様、私は昨日の事が夢だと思っていたんですが、この豪華な城を見ていると夢ではなかったのだと思い涙が溢れてきます』
『アーチカ様、私は決して逆らいません一生懸命頑張りますので、どうか見捨てないでください』
『アーチカ様、私もメイドの仕事は初めてですが、頑張ります』
『私も頑張ります』
『私もです』
皆クオン様の書置きのお陰で、私が教育しやすいようにしてくれたと思うと涙が出そうになる。
『皆さん、よく聞いてください私自身もクオン様には一生掛けても返せないぐらいの恩があります、それだけに全身全霊で貴女達に教育したいと思いますので宜しくお願いします』
『そうでしたかアーチカ様も私達と同じように、必死で恩に報いるのですね』
『はい、必死で私も頑張ります、皆さんも頑張りましょう』
◇ ◇ ◇
<クオン視点>
『さって俺達が行ってないダンジョンの場所誰か分かるかな?』
『確かレチクルのダンジョンだな、少し距離があるので1度行った事があるだけで、あまり覚えてないな』
『あたいは行った事ないニャ』
『じゃギルドへ寄って場所を聞いてから行こうか』
『『『『『了解!!!』』』』』
俺達がギルドへ着くと、エイトールさんが居たので聞いて見る事にする。
『おはようございますクオンさん、サークルの皆さん』
『おはようございますエイトールさん』
『今日はクエストですか?』
『いえ、レチクルのダンジョンに行こうと思うんですが場所を教えて頂きたくて』
『分かりました、こちらの地図を見て下さい』
エイトールさんは現在地とレチクルのダンジョンを場所を地図で教えてくれて、経路まで教えてくれた実に分かりやすい。
しかもレチクルのダンジョンでドロップする素材で高額で売買されている物まで教えてくれた。
教え方は分かりやすいし、良く気が付くし、やはりエイトールさんは優秀なギルド職員だ。
『そういえば食事の約束がまだですね、覚えてくれてますか?』
『勿論覚えてますよ、でもエイトールさんなら、こちらから食事に招待したいぐらいですよ』
『あはは それじゃーお祝いにならないじゃないですか』
『話し中すまんが、サークルのクオンってのはお前か?』
エイトールさんと楽しく話をしている最中に誰か知らない奴が話しかけてきた。
『そうですが、貴方は誰ですか?』
『あはは 本当にお前なのか?やはり噂なんてそんなもんだよな~ 思いっきり子供じゃねーか、なにが「サークルには近づくな」だよ笑わせやがる』
大人な俺も少しムカついて来た・・・
『ちょっと貴方正気ですか?その人はAランクサークルのクオンさんですよ?』
『ああ、今確認したよ、やはり噂は噂なんだってな、どう考えても作り話だろ?Aランクってことはギルドもグルなんじゃねーか、こちらが聞きたいね何で態々こんな子供が強いって話を作るんだ?』
『おい、なにしてんだ?』
『良い所へ来たな、ようやくサークルのクオンってやつ見つけたぞ』
『なに?おいおい、その子供がかよ?やっぱり噂なんてそんなもんだよな』
『これだけギルドへ来ている俺達でも、全然会わなかったんだ、どっかに隠れてたのか?』
『噂作りも大変だな~ 』
『『あはははははは 』』
『ちょっと貴方達いい加減にしなさいよ、クオンが我慢してくれてるのが分からないの?』
『ミュウ、リーダーが我慢してるんだぞ俺達が我慢出来ずにどうする』
『分かってるけど、こんな奴らに言われっぱなしで我慢することもないでしょ?』
『おいおい詐欺師にこんな奴ら呼ばわりされたくねーな、謝れよ』
『だまれお前達、どうせギルドカード見せても信じないんだろ?分からせてやるから来いよ』
『けっ ガキが強がりやがって、ちょっとは強いのかも知れないが本物って奴を教えてやるよ』
『サークルの面子は後ろの奴らか?』
『俺は1人知ってるぞ、ポーターしてたやつだ』
『マシな奴が居ると思ったらポーターかよ、ロクな奴が居ねえな』
『お前達のパーティは2人だけなのか?性格が悪くて誰も入ってくれないのか?哀れだな?』
『嘘を平気でつくだけあって口もわりーな坊主、俺達のパーティはBランクで名も知れた、本物だよ』
『おっさんになってもBランクにしかなれない、雑魚面子を連れて来いよ』
『おっさんだと?ガキが言わせておけば、もう許さねえぞ』
『お前達はバカか?俺のパーティメンバーにロクな奴が居ないだと?お前達は、もう許さないんだよ』
『お前達の様なバカが居るパーティなら、他の奴もバカなんだろ早く連れてこい』
『おっ 丁度良かったリーダー前に話をしていたサークルを見つけたんだ』
『ほほ~ あの噂のサークルか?どいつなんだ?』
『お前がこのバカ共のリーダーか?』
『なんだこのガキは?』
『こいつがサークルのリーダークオンだってよ』
『このガキが?あはははは そうか、それでガキが粋がってるんだな』
『やれやれ予想どおりだが、やはり皆バカなのか?救いようのない奴らだな』
『まだ3人バカが要るんだろ?早く連れて来いよ』
『元気なガキだな、連れてきてどうするんだ?遊んで欲しいのか?』
『バカリーダー俺達は忙しいんだ、模擬戦でもして虐めてやるから連れてこい』
『クオン怒ってくれるのは嬉しいが、俺の事なら気にしなくて良いぞ』
『オーラ悪いな、本当なら塵も残したくないが、虐めるだけで勘弁してくれよ』
『ニャー 本当にバカニャ、リーダーを怒らしたニャ』
『ニャーニャーうるせーぞ、バカ猫が』
『ニャハハ リーダーが怖いから、あたいに相手して欲しいニャ?』
『あら何してるのリーダー?可愛い子供じゃない、知ってる子なの?』
『ようやく来たか、噂のサークルを見つけたから、武勇伝を聞いてるんだよ』
『えっ あの噂のサークルなの?へえ~ 以外ね~ こんなに可愛い子がリーダーなの?何故近づいたら駄目なんだろね』
『男はバカばかりだが女性は、普通の人間なのか?よくこんなバカの相手が出来るな?』
『あらあら、毒舌なのね坊や♪』
『さて揃ったんだろ?虐めてやるから逃げずに来いよ』
『すみませんエイトールさん、少し訓練場を貸して頂けますか?』
『分かりました用意致しますね』
『やれやれ、少し懲らしめてやるか、おいお前が絡んだんだからお前達が相手しろよ』
『分かってますよ、少し懲らしめてやります』
『悪いな今回は完全に俺の我がままだ、少し待っていてくれ』
『リーダー僕も同じ気持ちです、でも殺しちゃう前に止めますよ?』
『あはは ロック頼むよ』
俺達はエイトールさんの案内で訓練場に着いた、バカ共も6人で来たみたいだが2人程、事情も分かって無さそうだった。
『おいバカ共、2人程事情が分かって無さそうだから言っておくが、そこのバカ2人がサークルの面子を侮辱にしやがったんで、お仕置きをするところだ自分は関係ないと思うなら離れておけ』
『あら~ 元気な子供に絡んだのね♪貴方達謝ったら?』
『でも、ちょっと子供にしては鼻息が荒いわね、ちょっとだけお灸しても良いんじゃない?』
『俺達でやるからお前達は見てろ』
『『はいはい♪』』
『そこの女達も離れなくて良いんだな?もう聞かないぞ』
『『あはは 可愛い~♪』』
『やれやれ・・・』
俺達が訓練場に着いた頃から段々と人が集まってきた、どうやら俺達がサークルだと聞いて噂を確かめに集まってきたようだ。
『おい、ありゃー クオンじゃないか?』
『本当だコンパスのダンジョンで会って以来ね』
『あいつらサークルと揉めたみたいだな馬鹿か?噂を知らねえのか』
『サークルの皆若いから、噂がウソだと思ったんじゃない?』
『か~ それなら本物の馬鹿だな』
『始まるみたいだぞ、馬鹿共を見てやろうか』
『おいお前達、俺は素手でやってやるから、いつも使ってる得意の武器を使って全員で掛かって来い』
『本当に生意気なガキだな、ほら掛かって来いよ俺が相手してやるから』
『俺は全員に攻撃するぞ?分かったか?もう言わないぞ』
『分かった分かった、早く来い』
俺は<魔王の威圧>を解き放った全方向にだ、ただしバカ共の6人以外には緩めにしてある、目立つのは避けたいが、もうこんなバカ共が現れないように少し釘を指しておくために。
『ヒィィィィィ な なんだこの殺気は?膝が振るえる、に 逃げないと・・・足が動かねえ』
『キャアアアアア 何なの怖い怖いわ、う 動けない』
『なっ なんだと?さ 寒気が止まらない、嫌な汗が滝のように流れる』
『ビクッ ヒィィィた 助けてくれ』
『ヒッ ヒッ こ 呼吸が出来ないわ、た 助けて』
『アワワワワ ガクガクガクガク』
『どうした動けないのか?良いのか除けないと死ぬぞ?』
『でも安心しろ殺しはしない、お前達は俺の仲間を侮辱した。この町で会うたびに遊んでやるほうが嬉しいだろ?』
少し緩めにしてあるとはいえ<魔王の威圧>を全方向に放ったので、周りで見ている者達も皆固まっているようだ。
分かりやすいように、もう少しこのまま<魔王の威圧>を掛けてやるか。
んっ 遠くの方に以前コンパスのダンジョンで会った奴らがいるな、確かアセルだったかな?巻き込んでしまったか後で謝らないとな。
『ぐぅぅ 手加減しているが俺達でもかなりの威圧を受けるな』
『これだけクオンを怒らせたんだもの、仕方ないわ』
『でも今日は、まだ冷静な方ですね止めなくても大丈夫そうです』
『相変わらず凄い威圧ニャ、あたいでも震えるニャ』
『フフ 素敵ですわ♪』
『ぐぅぅぅぅ これだけ離れているのにクオンの殺気で動けねえ、マジで化物だな彼奴ら』
『アセル私怖いんだけど、足の震えが止まらないよ』
『どっかの馬鹿共がサークルを怒らせるからだ、しかしこれで皆も分かるだろう?』
『アイーダ、セレーニカ他の皆も良く見ておけよ、クオンが動くぞ』
『『『『『分かった(わ)』』』』』
『お前達そろそろ攻撃するぞ?いつまでも固まってないで回避しろよ死んでも知らないぞ?』
『噂は只の噂なんだろ?笑ってたじゃないか?俺は大人だから我慢してやってたんだぞ?』
『ヒィィ か 勘弁してくれ俺達が悪かった』
『ご ごめんなさい、もう二度と絡まないから』
『はあ?馬鹿共は頼み方も知らないのか?』
俺は<縮地>を使い20メートルは離れている距離を一瞬でバカ共の後ろへ回って男を殴り飛ばした。
『ぐはっ 』
『なっ き 消えた!?』
『どこを見てるんだ?』
『早く振り向けよ、後ろから攻撃されるぞ?』
『ク クオンさん、すみませんでした勘弁してください』
『やっとバカ共にも頼み方が分かってきたみたいだな』
『手足のどこかが無くなれば、もう少し賢くなるんじゃないかと思うんだ、そうだろ馬鹿共?』
『『『『『ヒィィィィ』』』』』
『この町から出て行きます、冒険者もやめます、どうかお許しくださいクオン様』
『・・・リーダーは改心したみたいだな、そこのバカ2人だけにするか』
『ヒィィ す すみませんでした、俺達もこの町から出ます、勘弁してください』
『あはは さっきまでの威勢はどうしたんだ?俺の仲間を侮辱しておいて許容出来る訳ないだろ?』
『さっきも言ったが殺しはしない、俺にはお前達が何処に行こうと見つけるスキルがある、少しずつ虐めてやるよ』
『ヒィィ すみません、すみません、すみません許してください何でもしますからお願いします』
『煩い・・・』
最初に絡んできた2人を殴り地に転がってからは蹴り飛ばしてやった、2人の男は泡を吹いて気絶していたが、それでも足を掴んでゴミのように掘り投げてやった。
とりあえず2人の男をズタボロにして、俺は<魔王の威圧>を解除した。
『ヒーヒー た 助けて下さい、お お願いします』
『ヒィィ お願いします、助けて助けて、もう気が狂いそうなの』
『坊やとか言って俺の事を子供扱いしてたじゃないか?子供が怖いのか?』
『わ 私の勘違いでした、すみません二度と子供扱い何てしません、許してください』
『俺が可愛いんだろ?そんなに怯えなくても良いじゃないか?』
『ご ごめんなさい、ごめんなさい~~~ 』
『調子の良い事言ってんじゃないわよ、さっきまでどれだけクオンを馬鹿にしてたか分かってるの?』
『クオンが許しても私が許さないわ』
ミュウは巨大な<ファイアボール>を無数に繰り出し、中空へ浮かべていく。
『足からゆっくりと焼き尽くして上げるわ、覚悟なさい』
『あ あああ・・・・・』
『ヒィィィ 許して、もう二度と言わないから許して~~~ 』
『弱そうなら絡む、強かったら謝る、お前達のような者をクズって言うんだよ、自分の言葉に責任を持てよ?』
『自業自得ってやつだろ?ボコボコにされて後で死ぬほど後悔しろよ?』
『お 俺達が悪かった、謝るどうか許してくれ』
『お前がリーダーなんだろ?この馬鹿共を庇って1人で責任を取るか?』
『なっ・・・・・』
『はぁ~ クズ共のリーダーは、やっぱりクズなんだな?』
『もういい・・・消えろ、今度俺達の視界に入ったら必ず嬲り殺すから覚えておけ』
『わ 分かりました』
名前も知らないバカ共達が気絶した2人を連れて、みっともないぐらい慌てて逃げていく。
『も~ クオンやりすぎよ!』
『ごめん、でも仲間を侮辱したやつは、これからも許さない絶対にだ!』
『フハハ 怒ってくれて嬉しいが、ちょっと前までは、いつもの事だった気にしないでくれワシは大丈夫だ』
『ニャハハ あたいも許さないニャ』
『さて少し目立っちゃいましたからダンジョンで、強くなりましょうか』
『フフ そうですわね♪』
『あはは ありがとう、せめて次の<身体強化>が出来るようになるまで強くなろう』
俺達はエイトールさんにお礼を伝え、巻き込んでしまったアセルさんの所へ行く。
『おはようございます、アセルさん以前は色々と教えて頂いてありがとうございました、今日は巻き込んでしまったようですね、申し訳ありませんでした』
『いやいや、見学してただけだよ気にすんな』
『ありがとう俺達は今からダンジョンに行くので時間がないのですが、また何かでお礼しますね、では失礼します』
俺達はアセルさんに挨拶をしてから、その場を後にする。
『ふぅ~ やっぱり、サークル怖えな友達になっておいて良かったよ』
『あのサークルに絡んだ人達もう復帰は出来ないでしょうね』
『弱そうだと思って、サークルに絡むからだよ自業自得だ』
『しっかし、クオン君普段はあんなに優しいのに、凄まじいまでの威圧を放つのね』
『あれでも、かなり手加減してる筈だぞ?それでもこれだけ離れてる俺達も動けなかったんだ』
『そうよね、本当に何者なのかしら?』
『ふぅぅ 行ったか俺も命拾いしたな』
『ギルドマスター要らしたのですか?』
『ああ、もしもの時はクオンを止めないといけないだろ?』
『私もあの人達に怒っていたから、クオンさんを止めなかったのですが、すみませんでした』
『ああ、止めても止まらんよ、あの男は・・・まあ俺も命を掛けたところで止めれんがな』
『今回の件で、もう簡単に絡まれたりはしなくなると思うが、次は止めないと飛んでも無いことになるな』
『はい、私も次に同じような事があれば全力で止めます』
『あ~ 悪い止めておけ、エイトールなら威圧だけで死ぬぞ?』
『そ そうですよね・・・』
『まあ、俺も人の事は言えんが全く恐ろしい奴等だよ』
俺達は余計な邪魔が入って気分が悪くなったが、気を取り直してレチクルのダンジョンへ向かう事にする。
少し距離があるので馬車を出して、久しぶりにフラッ君達にお願いすることにした。
馬車の中で今回の件を思い起こし、是からの事を考える事にした。強く成るまでは極力争いごとにならないよう、隠匿してきたが、俺達もある程度の実力はついてきたので、そろそろ周りへの抑止力に力を入れた方が良い時期かもしれない。
俺達の実力が知れ渡れば、逆に権力者からの下らない依頼が来るかも知れないが、それについては領主様に頼む手もあるが融通の利かない俺達を抱えれば迷惑を掛けるかもしれないか・・・
やはり当初の予定通り貴族や王族に対しても、どうにもできない実力を身に着けて、俺達を世界に認めさせるしかないか。
今回の件もあるし、少し急ぐ必要が出来たかな。
『クオン考え事かな?』
『ああ少し考えを纏めてたんだよ』
『それは、先ほどの件でか?』
『そういう訳でもないんだが、少しこれからの行動を皆にも伝えておきたいと思う』
俺は御者をしてくれているロックにも聞こえるように、話をする。
『俺達は、誰に対しても意見出来るほどの実力を身に着けるまで、色々な事を秘密にしてきたがギルドランクもAランクになったことや、年齢が若い事もあり、そろそろ隠し続けるにも限界が来たと思う』
『現状で十分な実力が付いたかと言うと、とてもそこまでとは思えないが、そろそろ周りに対して抑止力に力を入れて行こうかと思うんだ』
『そこで今回のダンジョン攻略に当たっては、俺達の実力向上に向けて魔法のみで攻略しようと思う』
『なるほど、確かに魔法については全体的にスキルが低いもんね』
『あたい魔法は戦闘補助ぐらいにしか使ってないニャ』
『僕も武器主体で戦闘してますから』
『ワシもだな』
『私も、まだまだです』
『俺も武器主体での戦闘が殆どだから、ミュウのように両方きちんと使い分け出来るようにダンジョンで鍛えよう』
『も~ 私も完全に使い分けてる訳じゃないのに、照れるでしょ~ 』
『あはは それから同じ魔法を使うとシンクロになる恐れがあるから、魔法担当を決めておこうか』
『ミュウは火属性、ロックは土属性、ムーアは水属性、オーラは風属性、ライカは氷属性、俺は雷属性でローテーションして行こうか』
『光属性は全員<ライトシールド>で、闇属性はロアさんに教えて貰った<マジックドレイン>を主体に使っていこう』
『担当属性を変更して欲しい者は居るかな?』
『『『『『大丈夫!!!』』』』』
『複数の敵が居れば範囲魔法も各自使って言ってくれレイン系やストーム系だな』
『マジックポーションも結構あるけど、<マジックドレイン>で調整していければ最高だな』
『各自の武器は魔法媒体でもあるけど、今回は封印しようか』
『では最後に、さっきシンクロ防止で担当属性を分けるって言ったけど、俺達はもうシンクロ魔法の事を頭で理解しているので、例え魔法が被ったとしてもシンクロ魔法が起こらない様にイメージして慣れていこう』
『『『『『了解!!!』』』』』
『何か質問はあるかな?』
『<MP吸収>も無しニャ?』
『無しで行こう』
『他のパーティが居たらどうするの?』
『隠さないで行こうか』
『なるほどね、少しずつ周知していくってことね』
『ああ、6人で魔法をバカスカ撃っていたら、ある程度目立つのは仕方がないからね、逆にサークルの宣伝と行こうか』
『フハハ 楽しそうじゃないか』
『結構今まで気を使ってましたからね』
『ニャハハ 全力で行けるニャー』
『クフフ 楽しみですわ♪』
『んふふ ヒャッホイしちゃうわ♪』
『でも、くれぐれも言っておくけど、』
『『『『『油断はしない(ニャ)!!!』』』』』
『あはは 言わせてよ』
御者を交換しながら進んで行き、ついにレチクルのダンジョンへ到着した。
今までのダンジョンと同じで地下へ伸びていくダンジョンのようだ、石垣で出来た平屋建ての構造物に衛兵が立っている。
俺達は馬車を収納し歩いて向かう事にした、幸い昼頃になってしまったため時間が遅いのか他に並んでいる人は居なかった。