第112話 魔銃ベクター
ロックは大勢の観衆の中ゆっくりと歩を進め大岩の前に立ち、<アイテムBOX>からロックの武器であるジャイアントインパクトを出し肩に担いだ。
『なっ なんだと、いったいどこから武器を出した?それにあの凶悪な武器はなんだ』
『あはは どうせ見栄えだけで軽いんだろ?そうでなきゃあんな子供が持てる大きさじゃないさ』
ロックの肩へ担がれたジャイアントインパクトは、徐々に青く光り出し半透明になっていく、十分に魔力を注がれたジャイアントインパクトをロックは数回、片手で素振りする度に信じられないような風切り音が鳴り、風圧で観衆を後ろへ下がらせるほどだ。
『あれは軽いなんて飛んでもないぞ、かなりの重量だ!それを子供が軽々と振ってやがる』
『なんだあの武器は綺麗な光を放っているが、何故こんなに怖いのよ』
ロックの準備が整ったのか<魔王の威圧>が放たれる。無意識なためか俺達にしては弱いぐらいの威圧だが観衆には十分すぎる程の衝撃を叩きつける。
『くぅぅ なんて威圧だ、この私が動けない・・・背中に冷たい汗が流れている』
『ヒィィ なっ なに?汗が噴き出る、恐怖が体を貫いている怖い・・・本能があの子供を怖がっている』
この騒ぎに集まっていた村の人々はロックの威圧に押されて皆固まっている、動ける者は誰もいないようだ、しかし気を失っている者も居ない事から、流石に戦闘民族ってところか。
ロックが威圧を放ったのは、ほんの一瞬だけだったが、その一瞬で村人全ての動きを止めた。
次の瞬間<エアウォーク>を使い、とても超重量の武器を持っているとは思えない動きで空を掛け大岩の上空で体操選手のようにクルクルと回っている。
青い光を放ちながらクルクルと回っている。ロックは辺りが暗くなりだしたこともあり青い軌跡を描き、とても綺麗だった。
重力に従い回転の威力を落とさず大岩の上に落下してきたロックの技が唸りを上げる。
『ジャイアントーーーーーインパクトオオオオオオオオ!!!』
アダマンタイト製になってから初めて見るロックのジャイアントインパクトは轟音が鳴り響き、岩の破片が飛び散るイメージだったため観客を守るように<エアウォール>を用意しようとしていた俺達が、肩透かしを食らうことになる。
意外な事に大岩に当たったロックのジャイアントインパクトは無音であり、ロックはクルクルと回りながら地面へ着地した。
その瞬間大岩の天辺から無数の細かなヒビが入り、文字通り粉々に砕け散った。
これには俺も驚いた、推測するに<加減之極意>を取得したことで超重量を誇るジャイアントインパクトの威力を全くロスすることなく大岩に叩き込んだのだ。
『ば 馬鹿な!この大岩は巨大な鉄鉱石だぞ、粉々に砕くとは』
『流石サークルの破壊神だなロック』
『えへへ 破片が飛び散らない様に手加減するのが大変でした』
『て 手加減だと・・・しかし確かに、これだけ粉々に砕け散っているのに飛び散ってはいない』
『参った・・・なんたる破壊力そして強さ、Aランクの冒険者とは、ここまで強いのか』
観衆達は驚きのあまり、誰も動けないでいたが、しばらくすると誰かがした拍手を皮切りに、村人全員から惜しみのない拍手がロックを称えた。
『えへへ 照れますね』
『ニャハハ 流石ロックニャー』
『フハハ 耳まで赤いぞロック』
『クフフ 素敵でしたわ♪』
『サークルの破壊神って恰好良いじゃない』
『ロックの二つ名は決まりだな!』
『ロックと言ったな、参ったどうやら完敗だな約束どおり素材は持っていけ、あの商人も連れてこよう』
『ありがとうございます』
ロックはニコニコと笑顔でクラスタさんへお礼を言っていた。
『しかし、こうして改めて見ると、ロック殿があの偉業をやったことが未だに信じられん・・・』
『そして、それだけの強さがありながら何故リーダーをやっておらん?』
『僕なんてリーダーに比べたら全然弱いですよ、今回もクラスタさんが大岩を「砕け」と言ったから両手槌を武器にしている僕がやっただけです』
『クラスタさんが大岩を「壊せ」って言ってたらミュウが壊してましたよ』
『なんと・・・言葉もないサークルか世の中は広いな、しかしこのまま帰すには余りに惜しいなロック殿、今日だけでも私の家に泊って行かんか?』
『ズルいわクラスタ、ねーねー私の家に来ない?』
『ロック君可愛いわ、私の料理食べてくれないかな?』
『えっ えっ 僕 あわわ』
色々な女性から両腕を引かれてロックを連れて行こうと揉みくちゃにしている。
『んふふ モテモテねロック』
『クフフ 言ったはずですわ、3人共駄目ですよ♪』
『そういえば、言っていたな・・・完敗した私が何も言えんか、しかし惜しいな』
しばらくすると囚われていたクロワさんが、何の拘束もせず俺達の所まで連れて来られた。
『申し訳ありませんクオン様、どうやら助けて頂いたようですな』
『ちょっと心配になっただけだから、気にしなくて良いよ』
『しかし、どうしてもクラスタさんと交渉して欲しい素材がありまして』
『ああ、それなら話はついてるよ素材は譲ってくれるそうです』
『なっ なんと本当ですか?』
『約束だからな、代金も要らないので持っていけ』
『まさかクラスタさんとの交渉も手伝って頂いていたとは、申し訳ありません』
『本当に気にしなくて良いよ、それより帰りましょうか話も聞きたいしね』
『むっ 本当に帰るのか、良かったらまた何時でも来てくれ君達なら歓迎しよう』
『んふふ ロックに会いたかったら<エンゲルラント>に来れば、会えますよ』
『ミュウ何てこと言うんですか、僕は』
『ふふ、分かったロック殿、またお会いしよう』
『は はい、クラスタさん、またどこかで』
俺達はクラスタさんから例の素材を譲り受け、アラゴナの町を後にする。
少し歩いてから人が居ない事を確認し、<アイテムBOX>から馬車を取り出し帰ることにする。
『なっ なんと空間拡張した馬車、それにこの馬はスレイプニルではないですか』
『・・・まるで客室のようではないですか、商人である私が見たこともないような立派な馬車をお持ちとは』
『改めてクオン様は凄まじいお方ですな』
『あはは 褒められると嬉しいですね、皆と一生懸命作ったんですよ』
『い 今なんと?作ったですと?』
『いや、このアイテムポーチを作れるぐらいだから空間拡張は頷けるとしても、どれだけの技術があるのか』
『いやはや、クオン様達には、驚かされてばかりですな』
『まーまー それは置いといて、どうですか素材の売れ行きは?』
『はい、お預かりしていた素材は、殆ど売却出来ました、まだ数点高額で売買出来そうなものはオークション待ちになっております、後は依頼されていましたマジックアイテムですが、こちらに書いてありますので、御確認下さい』
『おー それは良かった拝見させて頂きますね』
俺は早速ペラペラとマジックアイテム一覧に目を通していくと、幾つか驚くほどの物があった。
『クロワさん、この「通信オーブ、無限の矢筒、無限の針筒」って凄く良いですね』
『気に入ってくれたのがあって、胸を撫でおろしましたぞ』
『お預かりした素材と私が入手出来る素材で、錬金術師に問い合わせたところ、先ほどお見せした何点かになりました』
『ひょっとして先ほどクラスタさんから譲って貰った「増殖竹」も入ってますか?』
『お恥ずかしいですが、無限の矢筒と針筒の材料でしてな、クオン様がお気に入りになると思い交渉しておりました』
『ありがとうクロワさん、凄く助かります』
『ねーねー クオンどんなアイテムなの?』
『それは私から説明しましょう、無限の矢筒は、最初に登録した矢を記憶し、以後魔力を込めるだけで生成するマジックアイテムです』
『うわ~ それ凄いじゃない、矢切れの心配が無くなるわね』
『ひょっとして無限の針筒も同じニャ?』
『ふふ、その通りで御座います』
『ニャー 欲しいニャーすっごい便利ニャー』
『あはは まー慌てないで、俺達が売った素材の代金で購入出来そうですか?』
『出来るどころか、ほんの一部で購入出来ますよ』
『お~ あの素材の売却って結構な額になりました?』
『まだ詳細な値段は出せませんが、おそらく黄白金貨1000枚ぐらいではないかと』
『ええっ 前回のオークションの10倍ですか』
『あの時は金貨一万枚だったから、金貨十万枚ニャ、凄いニャーー大金持ちニャ』
『もうワシは分からんよ』
『ねーねー 私には黄白金貨って知らない言葉が聞こえたんだけど?』
『あら不思議ね、私にもそう聞こえたような』
『クロワさん、黄金貨じゃなくて黄白金貨なんですか?』
『はい、金貨なら百万枚ですね』
『『『『『・・・・・・・・・・・・・』』』』』
『あはは 黒鉄いっぱい買えそうですね』
『確かに高額で売れるとは聞いていたけど・・・』
『私金貨にも、まだ慣れてないんだけど・・・』
『デルタの薬代にも困っていたぐらいなんだが・・・』
『私の日当は銀貨1枚だったのに・・・』
『あたいが、三十万人買えるニャ』
『『『『『参りました!!!』』』』』
『あはは オークション次第では、もっと増えるかもしれませんが詳細に決まり次第、ご連絡いたしますよ』
『しかし、驚くほどの金額になりましたね』
『いやいや、あれだけの品々だったんですから、当然ですよ』
『私の予想より高額で売れたので、私も手が震えましたがね、あはははは』
『ありがとうございますクロワさん、ところで皆今回の事もあるので、クロワさんを本部に招待したいんだけど、どうかな?』
『『『『『異議なし(ニャ)!!!』』』』』
『クロワさん今日は時間ありますか?』
『すみませんが、急いで連絡を取らないといけない御仁がおりまして』
『ひょっとしてベクターさんですか?』
『は はい、その通りですが何故ご存知で?』
『ベクターさんなら今は俺達の本部に居るので、良かったら起こし願って良いでしょうか?』
『なるほど、ベクター氏にお聞きなさいましたか』
『しかし、クオン様もお顔が広いですな』
『あはは ベクターさんは友達なんですよ』
『今は錬金術の師匠みたいになってますが』
『あはは クオン様もお人が悪い大錬金術師のベクター氏が、弟子を取るなんて聞いたことがありませんぞ』
『まあ来て貰ったら分かりますよ』
『本部は<エンゲルラント>にあるのですかな?』
『はい、そうですもうすぐ着きそうですね』
『あはは まだ走り出してもないのにクオン様はお気が早いですな、それに早くとも明日の昼頃までは掛かるかと』
『もう走ってますよ、本当にもうすぐ着きます』
『なんですと、しかし全く揺れていないのですが』
『ここは亜空間なので御者席に行って見ますか?』
『ぜ 是非お願いしたいです』
俺は馬車の中からクロワさんに御者席に移って貰い2つある御者席の1つに座って貰った。
『な なんたるスピード、まるで空を掛けているようだ・・・それに揺れも少ない、こんなスピードで走っているのに普通の馬車より揺れないとは』
『もうすぐ着くので馬車は、収納しますね』
御者をやってくれていたロックの話どおり<エンゲルラント>に近づいてきた、人気のない所で馬車を下り歩いて帰ることにする。
『すみませんクロワさん馬車で帰ると目立つので』
『あはは それはそうでしょう、私のような商人が飛んできますぞ』
『しかし、素晴らしい、一体この馬車を売ればどれほどの値段になることやら』
『これは皆で協力して本気で作ったので、売れないですが褒めて貰えて嬉しいですね』
『それは当然でしょう、しかしあの馬車の揺れを抑えている技術だけでも、かなり儲かりますぞ』
『流石に商人ですね、揺れを抑えるのに苦労したんですよ、さあ行きましょうか』
クロワさんを本部に連れて行くために、とりあえず家に来てもらうことにし玄関門まで到着した。
『ここはクオン様のご自宅ですな、ここに寄ってから向かうのですか?』
『まあそんなところですよ』
家に入りリビングに着いたところで<ルーム>を開いてクロワさんを中へ誘った。
『こ これは何ですか?』
『これはサークル本部の入口です、詳しい事は本部で話ますね』
俺はサークル本部の説明を兼ねて、本部から少し離れた全体がよくみえる所に出た。
クロワさんは、まずサークルの世界に、そして聳え立つサークル本部を見て驚愕しているようだ。
まあ家の中から、いきなり此処へ連れて来られたら吃驚するのも当然か。
『く クオン様、此処は?それにあの城は?』
『あそこに見えているのがサークル本部です、ベクターさんも居ますので行きましょうか』
『あれがサークル本部ですと?国王の城ですら、あんなに大きく立派ではないですぞ?』
城へ行くまでの道中、そして城の中を歩いているときもクロワさんの口が閉じる事はなかった、終始驚いているクロワさんを見ているのも楽しい、皆も同じ気持ちなのか笑顔だった。
ベクターさんの所へ向かうことは<クラントーク>で伝えてあるので、真っすぐベクターさんの部屋へ向かう。
部屋に入るとベクターさん達が待っていてくれた。
『すみませんベクターさん、ロアさん、お待たせしました』
『どうやら無事、救出出来たみたいね』
『流石だねクオン君、待ってたよ』
『ベクター様、ロア様すみません、私は今少し混乱しているようで・・・』
『あはは 無理もない、私も初めて来たときは驚いたよ』
『そうよねー クオン君達は飛んでもない事するからね~』
『否定はしませんよ、でも面白いでしょ?』
『あはは 確かに飛んでもなく面白いよ』
『うふふ 最高に面白いのは間違いないわね♪』
『ベクターさん達にも、お伝えしておきたいのですが今回の様な事もあるので、クロワさんも俺達のクランに招待しようと思っているんですよ』
『ほほ~ クロワ氏なら私からもお勧めするよ』
『すみませんが、私には何のことだか?』
『あはは そうですねクロワさん、詳しく説明しますね』
俺はこのサークルの世界の事、本部の事、サークルクランの事、クランスキルの事などを詳しく伝えて考える時間を作るため食事にすることにした。
残念ながら、まだ調味料は出来ていないので<アイテムBOX>に入っている作り置きの食事とフルーツ、デザートを順番に出して食べて貰った。
『いやはや、最早驚きとか驚愕と言う言葉では表せませんな、クオン様には会うたびに私の常識が覆されますよ』
『まさか、本当にベクター様の弟子だったとは。しかし、それにも頷けます』
『そしてベクター様、遅くなりましたが約束の期日を違えて申し訳ありませんでした』
『いやいや、軟禁状態であったなら仕方ないよ、流石に連絡も取れないしね』
『でも、そのお陰で助かったのよクロワさん』
『ロア様の言う通りですな、改めて皆様にお礼を言います、ありがとうございました』
『いえいえ、大した事ではなかったですよ貴重な素材も手に入りましたしね』
『ところで、どうですかクロワさん?』
『はい、私の様な一介の商人には過分な話ですが、喜んでお受けしようと思います』
『『『『『おお~ パチパチパチ!!!』』』』』
『ありがとうございますクロワさん、では早速取り掛かりますね』
俺はクロワさんのクラン登録からスキル付与、スキル説明をした、ちなみにクロワさんには<状態異常無効><身体強化><真偽眼>の3つを付与した。身の安全と商人として役立ちそうなスキルを選んだ。
ちなみにクロワさんの潜在能力は<言語>で、俺達にも<言語解読>と<交渉術>の2つのスキルが自動的に覚えられた。
『流石に商人だけあって良いスキルを持ってますね、後勝手にコピーしてしまって申し訳ありません』
『あはは お礼を言う事があっても、言われる事はありませんよ。しかし私は<言語解読>なんてスキルは持ってなかったのですが』
『あれっ 俺の<能力開眼>が働いたのかな?ってことはベクターさん達は既に潜在能力を開眼していたってことかな?』
『ああ、そのことなんだが確かにスキルはあったが、クランに入ってから<真偽眼>の能力が完全に使えるようになったんだ、それまでは何となく分かる程度だったんだがね』
『おそらく私もロア君も半覚醒だったのがクランに入ったことで完全に<能力開眼>したんだと思うよ』
『なるほど、そうでしたか俺も分からない事が多くて・・・』
『では引き続きベクターさん、ロアさん、クロワさんに3つの丸薬を飲んで貰っても良いですか?』
『ふむ、やはり必要かね?』
『はい、慣れるまで時間が掛かるかもしれませんが、安全のために是非』
『ちょっとクオン君、嫌な予感がするんだけど~ 』
『あはは ロアさん説明しますね』
『実はベクターさんに協力して貰って作った丸薬が3つあるんですが効果が魔力増大、腕力増大、美容効果増大なんですよ』
『最後のが気になるんだけど』
『最後のは強さとは関係ないのですが、少し若返りますね主に女性が喜ぶだろうと思って作りました』
『お風呂の次は丸薬なの?女性殺しなの?断る訳ないでしょ?見てよ未だにお肌ツルツルなのよ?』
『『『『『あははははははは』』』』』
『効果の方は以上です、皆さん是からの安全のために少しだけ強くなってください』
『あはは 少しかね?効能を引き上げてから強化草で倍化したんだがね』
『俺達に比べたら少しですよ♪』
『では、頂くよ』
『私も頂きまーす』
『何か怖いですが、私も頂きます』
丸薬を飲んでくれた3人は直ぐに効果が表れたのか、皆見る見るうちに皺が取れて行き、力が溢れているようだ。
『す 凄いわ魔力が溢れる、今までに感じた事のない感覚よ』
『ほほ~ これは予想以上だね、力が溢れるよ』
『こ これは、なんて素晴らしい、この丸薬だけでも、どれほどの価値があるのか・・・』
『あはは 流石に商人ですね』
『でも、これからどんな形で危険があるか分かりませんので、強さは絶対必要になると思います』
『クロワさんは商人だけあって体力があるので、身体能力が上がった今なら良い所まで行けると思います』
『それで、ロアさんには魔法がありますので大丈夫だと思うのですがベクターさんには武器を身に着けて訓練を』
『ほ 本気かね?』
『あはは って訳に行きませんよね』
『それで戦闘訓練無しでも使える武器を今日考えたんですよ、紙に書きますね』
俺は簡単に使える武器を考えたすえ、銃を作れないかと思い付き思索案を作ってみた。
『っとこんな感じですね、名前を付けるなら「魔銃ベクター」ってところです』
『クオン君・・・これを今日考えて、ここまで書いたのかね?』
『ええ、まだ思い付きの段階ですが、完成したら物理弾、魔法弾として攻撃・防御・回復と良い感じになると思いますよ』
『『『『『『『『・・・・・・・・・・』』』』』』』』
『これ凄いですよリーダー確かに弾丸に<刻印>を刻めば可能です、<爆発効果>で鉄の弾丸を飛ばせば、かなりの威力になるはずです』
『同じように魔法を込めれば、攻撃魔法・防御魔法・回復魔法も使えるようになるわ』
『これを今日思いついてササっと書いたの・・・・・』
『あはは まだ只のスケッチですよ』
『・・・こんな感じで、この城のスケッチもして次の日には材料集めたんだったよね』
『いったいどんな頭をしてるんだか・・・』
『クフフ 素敵ですわ♪』
『君達慣れてるの?私は怖いんだけど?どう考えても異常だわ』
『私は君の才能に寒気すら覚えるよ』
『クオン君、これは君が考えるより危険な武器だよ、もし量産されれば世界の常識が変わる』
『現状では俺達6人にしか作れませんから、それに<刻印>でベクターさんにしか使えないようにも出来ますしね』
『勿論、普通の武器や魔法でも良いのですが、強さは欲しいですね』
『ふふふ これは諦めるしかないね、こんなに魅力のある研究は初めてだよ』
『だが、しばらく研究して考察したいね』
『私も魔導書の考察がしたいわ』
『分かりました、俺達も手伝いますから必要な物があれば言ってください』
『あっ それから3人には、まず普通に動けるようになるまで訓練が必要ですね』
『特にクロワさん、転ばない様に注意です』
『ど どういう事ですか?』
『んふふ すぐ分かるわ♪』
それから移動の度に面白いぐらいクロワさんは転びまくった、丸薬を強化草で倍化したためかベクターさんも転びロアさんまで、急激に上がった<ステータス>に慣れるのに暫く掛かりそうだった。
クロワさんには槍を持ってもらい、少し訓練して貰う事にした、俺の見込みではかなりの所まで行けそうな感じだ。
俺達の今後の予定も検討したところ、この世界のフィールドも川・山・海とまだまだ拡張していきたいので魔石が欲しい所だ、そこで行ったことのないダンジョンを調べることにした。
確か<エンゲルラント>の近くには3つダンジョンがあったはずだから、後1つ行ってないダンジョンがある筈だ。
クロワさんには既にベクターさんと同じ<刻印>を刻んだので、本部への出入りも問題ないし、これからは連絡も自由に取れるので俺達がダンジョンに行っても支障はない。
明日は今日植えたフルーツ類の収穫と調味料作りがしたいから、明後日から行けそうだ。
そういえば自宅の魔草もこっちへ移さないと、アーチカさんに頼みっぱなしだ。
ローニアさん達も本部に招待しても良いかもしれないが、また皆と相談しよう。
せっかくクロワさんもサークル本部に来てもらったので、お風呂へ入って貰う事にするベクターさん達にも声を掛けたら喜んで来てくれた。
『・・・夢の様な素材の取引、夢の様な世界そして見事な城、夢の様なスキルを頂き、夢のような食事、桃源郷のような風呂、あはは そうか夢だったのか良い夢だ』
あっ クロワさんが現実逃避しだした・・・ちょっと詰め込みすぎたかな。
『あはは クロワさん、どれも現実だよ此処の風呂に入ると王様気分になるんだよ』
俺達はクロワさんを高台のお風呂へ案内し、入って貰った。
『ふ~ なんと気持ちの良い湯だ、なんたる景色、ベクター様の言う通りだ。王様気分、いやそれ以上だ』
『喜んで貰えて俺達も嬉しいですよ』
『クオン様、いや夢のようですよ、クオン様に会ってからずっとですが、あはははは』
『そういえば伝えておきたいのですが明後日ぐらいから、またダンジョンに籠ろうかと思ってるんですよ』
『私とロア君は、しばらく研究したいので此処を使わして貰ってると思うよ』
『私は、また色々な所へ商売に行ってると思いますが、訓練は続けていきますよ』
『ってことでクオン君達も遠慮なく頑張ってきて良いわよ~』
『皆さんも此処を我が家だと思って使って下さいね、俺達の総意です』
『クオン君に頼まれていたマジックアイテムも3つ作成の段階に移ります、ベクター様に相談したところ快く引き受けて下さったので最高の物が作れます』
『ありがとうございます、凄く助かりますちゃんと料金取ってくださいね結構儲かったみたいなので』
『こちらも儲けさせていただいておりますので、ダンジョンからお帰りになったぐらいで報告致しますね』
『んふふ しかしベクターさんとクロワさん10歳ほど若返ったみたいよ♪』
『あはは ありがとう鏡を見てないから自分では、分からんよクロワさんは見違えるようだよ』
『本当ですか?ベクター様も見違えてますぞ』
『『わはははは』』
『ミュウちゃん!私は?』
『ロア姉さんは元々綺麗だから変わらないわよ♪』
『も~ ミュウちゃんったらハグしちゃうわよ♪』
『く 苦しいよ~ 』
『『『『『『『『あはははは』』』』』』』』