第111話 シャルル・ロアの魔法講義
第111話 シャルル・ロアの魔法講義
俺は皆に手伝って貰い、まず畑を作ることにした。
城から見えないぐらいの所へ移動し<アースメイク>で耕し畑を作って柵を付けた。
最初に作るのは大豆、小豆、ジャガイモ、サツマイモ、トウモロコシ、ダイコン、ニンニク、ショウガ、トウガラシ、ゴマ、タマネギ、ハクサイ、キャベツ、トマトにした。
爺ちゃんが持たせてくれた野菜の種は、まだまだあるんだが手始めにだからね。米も早く作りたいんだが、この世界でまだ川を作ってないので水田が作りづらい、でもここまで来たら焦る事もない。
それぞれの野菜にコーナーを作って全員で種を撒いて水を掛けてから、アドちゃんにお願いして<成長促進>を掛けて貰うと見る見る成長していき、なんと収穫出来るまでになった。
『凄いな、まさか収穫出来るほど成長するなんて、しかも完全に熟してる完璧だ』
俺がアドちゃんをベタ褒めすると、アドちゃんは照れたのか頬を赤く染めイヤンイヤンと言う仕草をしながらフヨフヨと漂っている。
『これって種別事に最高の収穫時期で成長を止めてくれてるのか、信じられないな・・・・・流石に植物の精霊だ』
『んふふ クオンが絶賛するなんて珍しいわね』
『アドちゃん俺の持っている種全部覚えて貰って良いかな?』
アドちゃんは、まだ頬を赤く染めながらフヨフヨと俺の所まで来てくれた。俺は<アイテムBOX>から爺ちゃんが持たせてくれた種類を全部出して1つ1つ名前を言いながら覚えて貰った。
しかし、参ったな俺がこの世界を作ってまで大事にした種の保存問題が一気に解決した。
念には念を入れて種用に幾つか取っておいて後は収穫することにする。
『予定外になったけど、皆収穫して貰って良いかな』
『ふむ、もぎ取って行けば良いのか?』
『一応収穫方法も説明するよ』
『なんか見たこともない野菜ね』
『まあ見てて、ようやく材料は揃ったよ』
『楽しみすぎて怖いぐらいですよ』
『ニャハハ 楽しみニャ』
『これが大豆ですか?普通の豆みたいですね』
『それが俺のソウルフードだよ』
それから皆に手伝って貰い全て収穫し、畑を慣らして置いた。
次にフルーツ類に取り掛かる事にし場所を移ることにする。
種類についてはリンゴ、モモ、ミカン、オレンジ、グレープフルーツ、マンゴー、クリ、サクランボと時間が掛かりそうな物から試すことにする。
流石にアドちゃんに<成長促進>を掛けて貰っても時間が掛かるようで待つことにした。
明日来た時には立派な果樹園になっているはずだ。しかし、やり始めるとあっと言う間だったな・・・
ほとんどアドちゃんのお陰だが餅は餅屋って所かな。
俺はアドちゃんに、たっぷりとお礼を言い、ほどなくしてベクターさん達も来てくれたので研究に移る事にする。
『ところでベクターさんとロア姉さん転ばなかった?』
『転んだわよ、慣れるまで大変だったのよ』
『あはは 私のステータスも数倍になったからね苦労したよ』
『クフフ 私の時は数十倍になりましたわ』
『あはは ライカ豪快に転んでたもんね』
『ひょっとしたら明日も、苦労したりしてね、さあ始めましょうか』
まずは、以前から懸念していた魔法の事でロアさんに意見を聞く事にした。
『しっかし何回見ても凄まじい能力ね、全属性が普通に感じてくるわ』
『慣れって怖いですよね、私も普通になってきました・・・』
『ところでロア姉さんから見た私達の魔法ってどう思いますか?』
『そうね、確認のため魔法だけ表示出来る?』
『出来ますよ、ロアさんにも見えるかな?』
俺は魔法だけを表示するよう<ステータス>を開いた。
回復魔法:<ヒール><ハイヒール><ハイエストヒール><ラストヒール><デトック><メディカル>
攻撃魔法:<火属性+8>〈ファイアボール〉〈ファイアアロー〉〈ファイアウォール〉〈ファイアネット〉
〈ファイアバード〉
<水属性+5>〈ウォーターボール〉〈ウォーターウォール〉
<風属性+4>〈エアボール〉〈エアカッター〉〈エアウォール〉〈フライ〉〈エアウォーク〉
<土属性+2>〈アースボール〉〈アースアロー〉〈アースメイク〉〈アースウォール〉
<氷属性+2>〈アイスボール〉〈アイスロック〉
<雷属性+2>〈サンダーボール〉〈スタン〉〈サンダーボルト〉
<光属性+6>〈ライトボール〉〈ライトシールド〉〈ホーリー〉
<闇属性>〈ダークボール〉〈ダーク〉
<無属性>〈ディスペル〉〈ダンジョンワープ〉〈ウィング〉
『凄いわ~ 私にもちゃんと見えるわ』
『なるほど、クランメンバーだからかな』
『ざっと見たところ回復魔法は大した物ね、<ラストヒール>使えるなんてバレたら大事になるわよ』
『無属性魔法も飛んでもないわ、これの魔導書作れたら世界が変わるわ』
『普通の属性魔法は火属性だけ高いわね、後は光属性か一応基本のボール系と一部の造形系、そして私が指導したウォール系ね』
『予想どおり闇属性が低いわね』
『そうなんですよ闇属性は使いづらくて・・・』
『せっかく全属性使えるんだから勿体ないわ』
『それと造形系の魔法は纏めて見やすくしちゃいましょう』
『それって、どういう風にですか?』
『基本のボール系とウォール系を残して、他は造形系の1つにしちゃうとか』
『例えたら<ファイアメイク>バード!!!<エアメイク>カッター!!!とかね』
『そっか造形系ならイメージ次第で、自由になるもんね』
『そうそう私の得意としている魔法を1つ見せるわ』
『<ファイアメイク>ドラゴン!!!』
ロアさんが唱えた魔法により全長10メートルほどの炎のドラゴンが現れた。
『『『『『おお~ パチパチパチ!!!』』』』』
『も~ 拍手なんて照れるでしょ』
『でも凄いわ、生きてるみたいね流石ロア姉さん』
『うふふ 魔法はイメージが大事だから造形系なら、こんなことも出来るのよ』
『なるほど、<ファイアバード>とか<ファイアネット>を<ファイアメイク>で作るって訳ですね』
『そうそう固定して覚えちゃうと自由が利かなくなるでしょ?』
『分かったわ、やってみます』
『そうか、固定しないなら全属性でドラゴン作れるし、覚えるのも簡単で応用も効く流石ですね』
『うふふ ってか君達ずっと独学でしょ?それを考えたら凄いわ』
『そうですね魔法はミュウが考えて教えて貰ってたから』
『闇魔法も幾つか教えるから、ちゃんとスキル上げするのよ』
ロアさんが、そういって見せてくれたのは<ドレイン><マジックドレイン><スリープ>だった。
『使い勝手が良いのは、こんなところね危険な魔法もあるけど、スキルが上がったら教えるわ』
『最後に殲滅系の魔法なんだけど、これは分かるよね?上からなら雨のように<レイン>下からなら棘のように<ニードル>または、落とし穴のように<ホール>、嵐のように<ストーム>』
俺達はロアさんの講義に只々感心した、ミュウなんて完全に尊敬の眼差しになっている。
『うわ~ 凄いわロア姉さん、尊敬しちゃうわ』
『うふふ 何言ってるのよ<エアウォーク><サンダーボルト><ホーリー>って何なのよ私でも知らない魔法作ってるくせに、この天才め!』
ロアさんはミュウの頭を捕まえてグリグリしている。
『ちょ ちょっと痛いわロア姉さん』
『後は<ファイアネット>だっけ?まるで炎で作った蜘蛛の糸ね、あれも殲滅系だと思うけど束縛系でもある、造形で作るのは生き物が多いけど、あんな使い方知らなかったわ』
『ああ球体状に作った複数の<ライトシールド>も良いわ。私も真似しちゃう♪』
『んふふ でもロア姉さんのお陰でサークルの魔法も充実しそうだわ、ありがとう』
『ロア君は国王直属の魔導士に推薦されていたほどの魔導士だからね』
『『『『『えええっ!!!』』』』』
『やっぱりロアさん凄い人だったんですね』
『やーねー 大した事ないわよ、私より凄い人なんて沢山居るわ』
『そんな凄い人に教えて貰えるなんて幸運だな』
『も~ クオン君まで何言ってるのよ、大人を揶揄うんじゃないわよ♪』
『ねーねー ロア姉さん1つ魔法思いついたの見て貰って良いかな?』
『うふふ よしよし見て上げよー 』
ミュウは空に手を掲げ<ライトシールド>を張った、直径1㎞はあるような巨大な正方形の箱が中空に浮かんでいる。
『じゃいっくよー <ホーリーレイン>!!!』
巨大な<ライトシールド>の中に現れた<ホーリー>による光線は雨の様に振り下ろされ<ライトシールド>に当たるたびに反射し巨大な箱の中が光線で埋め尽くされるほど縦横無尽に軌跡を描いていた。
もし、あの中に居れば塵も残らないぐらい跡形もなく消え去るだろう。
ロア姉さんは、ミュウが繰り出した恐怖の光線地獄を滝の様に汗を掻きながら、引き攣った笑みを浮かべて眺めている。
ベクターさんは口を大きく開けたまま固まって動かない・・・
『ニャハハ 綺麗ニャー 流石ミュウの魔法は派手だニャー』
『んふふ 以前戦ったクイーンハーピー捉えるの苦労したじゃない?これだったら当たるでしょ』
『なるほど、考えたな確かに、あれには苦労した<スタン>でも捉えきれなかったしな』
『僕なんて吹っ飛ばされたんですよ!』
『『『『『あはははははは 』』』』』
『『・・・・・・・・・・・・・・・・』』
『ねえベクター様、私飛んでもない子達に魔法教えちゃったのかも?』
『・・・・・不可抗力だよ!君に罪はない・・・』
『あの子達、あれを見ても笑ってるけど慣れているのかしら・・・』
『そういえばオーク300匹倒してきたって言ってたが、これに匹敵する魔法を使ったんだろうね全く恐ろしい』
『とりあえずミュウちゃん』
『はいロア姉さん、どうでした?』
『それ封印よ、使っちゃ駄目!』
『えええ~~~~~ せっかく思いついたのに~ 』
『駄目ったら駄目よ、町なら崩壊しちゃうわ』
『あっ そういえば皆も今の使えるんじゃないよね?』
『ワシ等もシッカリ見てたから、たぶん全員使えるぞ?』
『・・・そっか<マジックハンター>ね、なんて恐ろしい子達なの・・・いーい?皆も使っちゃ駄目よ!!!』
『『『『『了解!!!』』』』』
『大丈夫ですよロアさん、俺が制止するんで』
『・・・クオン君も、この恐ろしい能力に苦労してたのね誤解してたようだわ』
『あはは 君達の能力は恐ろしいが面白いよ、是非世界平和のために役立てて欲しいね』
『そこまで大した事は出来ませんが、悪い事はしませんよ』
『さっ ベクターさん丸薬の研究見てらもって良いですか?』
『あはは 分かったよ行こうか』
俺はベクターさんを引っ張って錬金術用に作った部屋に行くことにする、ミュウはこのまま魔導書の研究をしてもらい、たまたまだが男女に分かれて作業することになった。
<錬金術>についてもずっと独学でやってきたため、ベクターさんの指導はとても分かりやすく勉強になった。
用意したスカイケルピーの肉から魔力増大の丸薬、グランドヒポポの肉から腕力増大の丸薬を作るのに時間は掛らなかった。
ついでにロアさんが喜ぶかなと思ってマウントラヴァタートルの肉から美肌の丸薬も作った。効能だけを抽出し丸薬に込めたので普通に食べるより効果は高そうだ。
しかも効能の抽出なので残っていた肉から、かなり量を作れそうだ、とりあえずベクターさんとロック、オーラに手伝って貰い数百個ずつ作ったが、まだまだ出来そうだった。
続いてマジックアイテムについても色々と話をしている内に、俺達と契約した商人のクロワさんの話をするとベクターさんも知っている人だそうで有能な商人で有名らしい。
そういえば、売却用の素材を渡してから会ってない事を思い出す、そろそろ連絡を取ってみるかな。
『ふむ、クロワさんがサークルの専属商人だったとは、それでいくつか納得いったよ』
『俺達は目立ちたくなかったので協力して貰ってるんですよ』
『以前レア素材で作れるマジックアイテムの相談を受けてね、あれはクオン君の依頼だったんだろう?』
『あーそうかもしれません、販売用に渡した素材から何か有用そうなマジックアイテムが作れるようなら、教えて貰えるよう頼んだんで』
『あはは どおりで依頼内容は話してくれなかった筈だよ』
『しかし、約束していた日に連絡が無くてね心配してたんだよ』
『えっ 本当ですか?何か嫌な予感がしますね』
『ベクターさん途中で申し訳ないのですが、少し時間を貰えますか?』
『ああ、行ってきたまえ私も心配だしね』
『ロック、オーラ良いか?』
『勿論だ、急ごうか』
『分かりました僕ミュウ達を呼んできますね』
『いや、呼びに行ってそのまま向かおう』
俺はロックとオーラと共にミュウ達に事情を説明しクロワさんを探すことにした。
急いで<マップ>&<サーチ>をしたところ、俺の知らない村に居るようだ。
『あっ ここは確か女性だけで生活している戦闘民族の村ですわ』
『そんなところへ男性のクロワさんが居るってことは監禁されてる可能性が高いわね』
『どうやら嫌な予感が当たったみたいだな』
『僕達なら1時間もあれば行けそうですね』
『ふむ、とりあえず向かおうか?』
『ああ、現地へ行って情報を集めようか』
俺達は急いでいたので、今回は馬車を使わず向かうことにした、勿論人に見られないような所は<ウィング>を使ったため1時間も掛からずクロワさんが居る村へ着いた。
<マップ>&<サーチ>でクロワさんが居る場所は分かるが、事情が分からないため散開し<自然回帰>と<五感強化>を使い情報収集することにした。
しばらくし予め決めて置いた待ち合わせ場所へ集まり、情報を合わせたところクロワさんは、この村の近くで取れるらしい素材を入手するために商談にきたところ、男性なので疑いを掛けられ取り調べのため監禁されているようだ。
『なるほど、皆の情報を合わせたところ大体こんな感じだね』
『ふむ、困ったな完全に向こうが悪いってこともなさそうだな』
『女性ばかりなら荒事も避けたい所ですね』
『あら、でも戦闘民族なんでしょ?』
『あたい達で行くニャ?』
『くふふ 良いですわ』
『よし、じゃ任せた』
『『『えっ 』』』
『本当に良いのクオン行かなくて?』
『ああ、おそらく女性しか居ないってことは、かなり男性に警戒してるはずだから、話を聞くなら女性だけの方が良いだろう』
『ただし、戦闘は無しだミュウ、ムーア、ライカ、クロワさんを解放するよう交渉して貰って良いかな?』
『分かったわ』
『任せてニャ』
『戦闘無しなのね・・・』
『んふふ 行くわよライカ、ムーア』
さってクオンに任された事だし、何とかしないとね。私はムーアとライカと共に普通に歩いてクロワさんが囚われている村へ向かう。
『じゃ門兵さんに聞いて見ようか』
『どんな理由を付けて村長さんに会うか考えてます?』
『クロワさんの名前を出すってのは、どうかな?』
『クフフ 強気ですね』
『ミュウ戦闘は無しニャ』
『分かってるわ、行くわよ』
そういえば村の名前が分からないけど、それも門兵さんに聞こうかと思い話しかける事にする。
門兵さんは30歳ぐらいの女性で、ビキニアーマーとまでは行かないが、露出の多い軽装備で精悍な顔立ち発達した筋肉は恰好良いとさえ思えた。
『こんにちわ門兵さん』
『見た所冒険者のようだが、この村に何用だ?』
『クエストで、この付近に来たんだけど、この村を見つけたんで挨拶がてらにね』
『とりあえず冒険者カードを見して貰おうか』
『これで良いかしら』
私達は冒険者カードを門兵さんへ提示した。
『Aランクか・・・そんな高ランクの者がこの付近にクエストだと?』
『んふふ そーよ村長さんに会いたいんだけど』
『冒険者カードは本物の様だが、信用出来ない者は通せんな』
『あなたの一存で決めても良いのかしら?後悔しない?』
『むっ しばらく待て聞いてきてやる』
何とか話を聞いてくれそうだけど、どうなるか分からないわね・・・
しばらく待つと先ほどの門兵さんが戻って来て、村長さんがあってくれるとの事だった。
村の中へ入ると本当に女性ばかりで男性は1人も居なかった。
一番目に付いたのは驚いた事に女性ばかりなのに、皆中々強そうだったライカが嬉しそう・・・
しばらく歩くと村長さんの家に着いたようで、中へ通される奥の方で座っている人がどうやら村長さんみたいね。
意外な事に若い戦闘民族って聞いてたから、勝手にイメージしてたけど外であった人達のほうが強そうね。
獣人かなと思ってたけどヒュームなのね、長くて赤い髪の毛が良く似合う可愛い人ね、20歳ぐらいかな?クオンが好きそうなスタイルだわ。
『こんにちわ私は<エンゲルラント>で冒険者をしているミュウよ』
『私はアラゴナの村長をしているクラスタだ』
『信じられんな本当に君達がAランクの冒険者なのか?』
『もう一度冒険者カードを、お見せしましょうか?』
『まあいい、私は強い女性が好きだから会う気になっただけだ、用件を聞こうか』
『なるほどね、じゃ率直に聞くわクロワって言う商人を返して欲しいのよ』
『やはりな、悪いがそれは出来んな』
『理由を聞いても良いかしら?』
『あの商人は、この村周辺で取れる素材を買い取りたいと言ってきてな、中々腰の据わった商人で気に入ったので、素材が欲しければ、この村の娘と子供を宿すことが出来れば売ってやると言ったのだ』
『それから諦めずに居座っている、かと言って子供を宿す気もなさそうなのでな』
『んふふ 意外な返答ね完全に予想外だったわ』
『では質問を変えるけど、他の条件で素材を売ってくれる気はあるかしら?』
『ふふふ どうやらAランクの冒険者ってのは本当のようだな』
『面白い、着いてこい』
私達は何故か外へ連れ出され村の中心に置かれた大岩の前で止まった。
『条件を言ってやる、本当ならこの村の戦士と戦って勝てばと言いたいところだが、お前達はまだ若い』
『そこで少し条件を緩めてやる、1日でこの大岩を砕いてみろ、それが出来れば売ってやる』
目の前にある大岩は高さ10メートルほどの球体状だった。
『この村の戦士に勝つよりも楽だって言いたいのかな?』
『ふむ、この条件なら失敗しても死なんだろう?』
『んふふ 思ったより優しいのね、そうね私達ならこの大岩を「砕く」のは無理ね』
『同じパーティメンバーの男性が挑戦しても良いかしら』
『あはは 良いだろう、だが失敗したら、その男にも「村に残って」貰うぞ』
『なるほどね、女性だけの村を維持していくのは中々大変みたいね』
『ああ私が気に入った男性ってのが、中々居なくてな困っているんだ』
『しかし、男性にとっても悪い条件ではあるまい?』
『んふふ あなたが相手なら、そうかもね』
『連れてくるから10分ほど待って貰って良いかしら?』
『なるほど女性だけで来たのは褒めてやる、男性は何人だ?』
『3人よ』
『よし、3人だけ入場を許可しよう、男性でこの村へ入れる事を感謝するんだな』
『クフフ 3人共この村へは上げませんわ♪』
『ニャハハ そういうことニャ』
私達は一旦村を出てクオンの所まで行き事情を説明した。
『何か予想外の展開になったな・・・』
『そーなのよ、でも問題ないわ』
『ニャハハ ロック見せ場ニャ』
『僕まだ大岩見てないんですが』
『あはは ロック任せた』
『えへへ リーダーにそう言われたら頑張るしかありませんね』
『フハハ 確かに「砕く」なら譲るしかないな』
『んふふ そうなのよ、ちゃんと言葉の意味は守らないとね行きましょうか』
今度は全員で村の中へ入る事になる、ミュウに案内され話にあった大岩を見た所、確かにでかいな。
『あらあら、どんな大男を連れてくるかと思ったら、皆若いのね挑戦するのは、そこの竜人ね』
『俺はパーティ「サークル」のリーダーをしているクオンだ、まずこの村へ入れてくれた事に感謝する』
『ふむ、若いのに礼儀を心得たリーダーと見た、なに構わぬよ3人も来てくれたのだ、こちらも助かる』
『言っておくが男性1人と言う約束だぞ』
『ああロックが挑戦させて貰う』
『ロックです、よろしくお願いします』
ロックは村長のクラスタさんの前まで行き丁寧にお辞儀をしている。
『なんだと?この子供が挑戦するだと』
『僕はドワーフなので、小さいですが15歳ですよ』
この騒ぎで集まって来た村の住人が挑戦者のロックを見て笑い出す。
『あはは 子供が挑戦するのかよ?』
『でも可愛いじゃない、お姉さんと遊んで欲しいわ♪』
『あの竜人若そうだが、良いんじゃないか?』
『私はリーダーの子が良いわ、可愛いじゃない』
『おいクオンと言ったか?本気なのか』
『ええサークルで一番攻撃力があるのはロックなので問題ないですよ』
『お前達、そんなものか・・・まあいい約束は1日間だけだぞ』
『えへへ 結構優しいんですねクラスタさん、では行きますね』