第109話 サークル本部
『ふ~ なんか疲れたな』
『んふふ でも楽しかったわ♪』
『クフフ これからメンバー同士でも存分に模擬戦出来ますわ♪』
『今なら分かるが、また1つ強くなったのが実感出来る』
『強さもそうなんですが<鍛冶師>としても1つの壁を超えたような気がします』
『あたいもそうニャ<加減之極意>がどこまでの恩恵を与えるか、楽しみニャ』
『俺もやりたかった事が、また1つ終わって嬉しいよ』
『本当に後いくつあるんだか・・・』
『フハハ 永遠に続きそうだがな』
『冗談に聞こえませんね』
『ちなみに次は、いよいよサークル本部の作成に移りたいんだけど、どうかな?』
『ならまず建材を探さないとですね』
『えっと、石・木・ガラス・鉄ってとこかな』
『鉄って珍しいですね』
『そこら辺は、また詳しく言うよ』
『じゃ明日は、とりあえず建材を集めに行こうか、特に石材と木材は大量に要りそうだしね』
『大体の完成図も考えないと』
『そか、ちょっと書いてみるよ』
俺は、いつもどおり大体のイメージを紙に書いていく、外観はヨーロッパ風の城って感じにして、庭も大きく作り噴水もつけてと、パーティを開けるぐらいの大部屋と食堂は欲しいな。部屋はフローリングにしようかな畳と絨毯は検討だな、よしこんなもんか。
『ちょっとスケッチしてみたんだけど、こんな感じでどうかな?』
『『『『『・・・・・・・・・・』』』』』
『王様の城みたいですわ・・・』
『ちょっと、よくこんなに短時間でこれだけのスケッチが掛けるわね?』
『すっごく豪華ニャー こんなに豪華な城見た事ないニャ』
『・・・流石リーダーですね、いつも思いますけど、よくイメージだけでこれだけの案が出せますね』
『内装まで書いてあるが、本当に今書いたのか?』
『皆で俺が書くとこ見てたじゃないか』
『いやそうなんだが、いったいどんな頭をしてるんだ?』
『えっ 適当にこんな感じかな~っと』
『まあ、もっとちゃんと書いとくよ詳細については明日また皆で考えよう』
『かなり詳細に書いてあるんだが、こんなにも立派な庭まで・・・』
『では、私はまた木材を取りにいきますわ』
『ありがとう、木材の種類もいくつか検討しようか』
『ワシは石材を探しに行こう』
『石材も外装用と内装用が欲しいな』
『分かった何種類か持って帰ろう』
『私も、そうしますわ』
『ロックは鉄の材料、ムーアはカーテン等の生地、ミュウはガラスの材料で良いかな?』
『俺は、皆のサポートに回るよ』
『『『『『了解!!!』』』』』
俺達は、まず大量の建材を集めるため明日1日使う事にした。
朝起きてから朝食時に細かい説明をすることにした。
『役割分担は昨日言った通りだけど、もしダンジョンに素材を取りに行くなら最低2名で行くようにしよう、それでも危険を感じたら<ルーム>の中へ避難してくれ』
『ガラスの材料は少し細かいので最初俺がミュウと取りに行くよ』
『それが終わったら大量に要りそうな石材か木材のサポートに回るようにします』
『あたいは羽も欲しいからロックとダンジョンに行くニャ』
『では、鉄素材もダンジョンから取ってきます』
『石材と木材は、何種類か持って帰って貰って、そこで何を使うか決めようか』
『ああ、出来るだけ大量に取れる石材を取ってくる』
『私も、<鑑定>で建材に良さそうな木材を厳選して持ってきますわ』
『そうだな、昼過ぎには集まるようにしようか』
『『『『『了解!!!』』』』』
皆と別れてからはミュウとガラスの材料を探しに一番近い海に行くことにする。
『ねーねークオン、ガラスの材料って海にあるの?』
『えっと確かね、珪砂・ソーダ灰・石灰ってのが要るんだよ』
『それを取るために砂浜で珪砂と貝殻から石灰が欲しくてね、<錬金術>を駆使して作ってみようと思うんだ』
『ソーダ灰ってのは?』
『草木を燃やした後に残る灰でも、作れるとは思うんだけど海水から重曹も作れたらそれからソーダ灰っても出来る筈だから』
『まあ、色々とやってみるよ』
『んふふ 全然分からないけど手伝うわ』
『でも二人で行動するのも久しぶりね』
『あはは、たまにはデートも良いだろ?』
『ちょ ちょっとデートって照れるでしょ、素材集めをデートなんて言わないわよ』
『なら今度買物にでも行く?』
『あら、それはデートのお誘いかな?』
『えっ いやあの、デートって訳じゃ・・・』
『んふふ 良いわよ付き合ったげる♪』
ミュウは俺と腕を組んで歩き出す、俺の顔が凄い勢いで赤くなっていくのが分かる緊張を誤魔化すため、平然を装ってミュウの方を見るとミュウの顔も赤くなっていた。
ミュウと腕を組んで歩いているだけなんだが、俺は今までにないぐらいの幸せな気分になり、この生活がずっと続く事を願っていた。
海までは少し距離があったため人の居ない所で<ウィング>を使い高速飛行で移動した、その甲斐もあって約1時間ほどで海に着いた。
よく考えれば素材集めだけど女の子と海に来るなんてデートじゃないか、そんなことを考えていると、また顔が赤くなってきた。
『うわ~ 私海を見るの初めてなんだ』
『えっ そうなんだ』
『んふふ これが海の匂いなのね、とても綺麗だし感動しちゃった』
『俺も山の中で住んでいたから、遠くからしか見た事がないんだよ』
『ミュウの言う通り波に光が反射して綺麗だな』
『ゆっくりしたいとこだけど、やることやっちゃおうか』
『了解、まず砂浜を探そう』
俺とミュウは空を飛びながら砂浜を探すと、すぐに見つかりそこへ下りた。
『まずは<錬金術>の精製で砂浜にある珪砂を抽出していこう』
『大量にいるのよね集めた珪砂は<フライ>で浮かしておくね』
二人で珪砂を砂浜から抽出していき、かなりの広範囲から集めたため3トンぐらいの珪砂が集まった。
同じ要領で貝殻も集めて行き、ついでに粉砕して石灰を作ってから、これも3トンほど集めた。
心配していたソーダ灰も今までは使った事がなかった<錬金術>の生成を使い簡単に入手することが出来た。
重曹も試してみたら簡単に出来たので、なにかに使えると思い大量に作って持って帰ることにした。
流石に、こんなに便利で良いのかと思うが普通に出来てしまうので慣れるのが怖くなる。
『大体欲しい物は、集まったかな?』
『ああ、これだけあれば足りるだろう』
『ねーねー せっかく海に来たんだからムーアにお土産持って帰ろうか?』
『良いね、でもどうやって獲る?』
『視認出来れば<ウォーターウォール>で囲んで<フライ>で浮かせば簡単よ』
『なら浅い所で探そうか、あっ 良い所見つけたよ、あの鳥が沢山群がっている所へ行こう』
『分かったわ』
かなり距離はあったが俺はカモメのような鳥が集まっている海面に行くと予想どおりカツオのような魚が群れでいるのを見つける。
『うわ~ 沢山居るわね<ウォーターウォール>!!!』
予定どおり海水ごと囲んだ魚を<フライ>で浮かせて血抜きをしてから<アイテムBOX>に収納した、途中鳥に何匹か盗っていかれたが仕方ないか。
『お土産も出来たし帰ろうか』
『そろそろ集まる時間ね、分かったわ』
帰りも急いでいたため<自然回帰>を使い高速飛行で帰った。
俺達が家に着く頃、丁度皆も帰ってきて<ルーム>の中で検討することにした。
『皆おつかれ~ 』
『おう、石材は大量にあるところで何種類か持ってきたぞ』
『私も建材に使えそうな大き目の木材を何本か持って来たわ』
『あたいもバッチリニャ』
『僕も色々と取って来ましたよ』
『私とクオンもガラスの材料はバッチリよ』
『じゃ石材から見て見ようか』
『分かった並べていくぞ』
オーラが取って来た石材は5種類ほどあり中には大理石のように美しい物まであった。
『この綺麗な石材、内装に良いわね』
『こっちの石材は強度がありそうだから外装に良いですね』
『ふむ、気に入ってくれて良かった、両方大量に見つけてあるので足りると思うぞ』
『ロックどの石材がどれぐらい要るか出せるか?』
『はい、任せて下さいリーダーから貰った図面のとおりなら大体分かりますよ』
俺は昨日簡単にスケッチした完成図を書き直して、かなり詳細に書き直した寸法も目算だが入れてある。
それを見たメンバーは皆、気に入ってくれたようなので、実行に移ることにした。
『分かったオーラが取って来てくれた石材にどれぐらいの量がいるか書いていってくれ』
『どのように加工するか分からないから、素材は全て大き目にカットして持って来よう』
『次はライカ行こうか』
『分かったわ、同じように並べていくわね、既に乾燥済みよ』
流石にライカは言わなくても良く気が付く。木材の種類は数十本あり中には、かなりの大木もあった。
『これ主要な柱に良いですねとても大きくて強度もありそうです』
『ロックこれを床材にどうだ?』
『フローリングってやつですね、はい綺麗な模様だし良いと思います』
『こうやってみると木材も色々あるのね』
『私も色々見て来たんだけど、硬い木から比較的に柔らかいものまであったわ、ここに持ってきた物は大量にあった物ですわ』
皆とも色々相談し木材も大体決まった、ムーアに任せていた布地については任せるとして鉄材についてはロックにH鋼や窓枠等、細かいものなら釘・ボルト・ナット・丁番・筋交い・レール・ドアノブまでロックに伝えた。
『よし大体素材は決まったね、今から取りに行くには時間も遅いから今日は地ならしをして配置を決めておこうか』
『まず俺がざっくり書いていくよ』
俺は完成図を基に地面へ配置を書いていく、かなりの広さを取ったため書くだけでも大変だ。
1時間ほど掛けて石塀の位置から庭と城の配置を書き終えた。
それを見たメンバー全員は口をポカンと開けたまま、驚いている。
『こうやってみると飛んでもない広さね』
『これ今の家の何十倍になるんだろう・・・』
『ニャハハ 迷子になりそうニャ』
『でもこうやって実際に書いて貰ったら現実味が出て来たわ』
『フハハ サークル本部だからな気合を入れて作らねばな』
『ここは、サークルの世界だ本部も妥協なしで行こう』
『『『『『楽しみだ(ニャ)!!!』』』』』
いよいよ次の日からサークル本部の建設に着手した、俺達はどんどん建材を入手し木材はライカの指導の下手分けして乾燥し使い易い角材や板へ加工していった。
石材も何十メートルもある物をそのまま持ってきて加工しながら基礎を組み上げていった。
俺達にはカットナイフ(ロックが人数分製作)や<アイテムBOX>・持ち運ぶ腕力に加え空も飛べるため作業は見る見る内に進んで行った。
勿論、ロックの適切な指示があったればこそだが、たった1日で大まかな外観が出来上がった。
『驚いた遠くから見たら、ほぼ完成じゃない?』
『あはは 僕も吃驚してます流石にサークルですね、僕が説明しなくても良いぐらいです』
『ニャハハ あたいは明日からカーテン・絨毯・布団等の小物に移るニャ』
『僕も明日から内装ですね主に床を作っていきます』
『ワシは庭全般を任せて貰おう』
『私も石塀が大変そうだからオーラを手伝うわ』
『俺はパーティ会場とか大食堂のステンドガラスを作るよ』
『私は<フライ>で手の足りない所をサポートするわ』
『よし、明日も頑張ろう!!』
『『『『『おーー!!!』』』』』
翌日の早朝から作業を開始し積み上げていた建材も見る見る内に無くなっていった、俺も青を基調としたステンドガラスをバーティ会場予定の大部屋に見栄えよく仕上げていく太陽の光が入ると実に綺麗だ。
装飾品と証明を合わせた巨大なシャンデリアを玄関の吹き抜けとパーティ会場に設置し各部屋には小さ目の物を設置した。
各自の作業も驚く程のスピードで進み石塀から庭も完成していた、内装も進みパーティ会場・大食堂・闘技場・俺達用の食堂やリビング・巨大なキッチン・数百部屋以上ある個室、その全てに装飾が施されていく。
俺はステンドガラスの設置が終わってから、城の屋上に作った広大な露天風呂を手掛けていた高台に作った湯舟からは360度、城の全てが見渡せる風呂や秘湯をイメージした岩風呂、ヒノキ風呂、サウナまで完備した。
ミュウの村で倒したオーク3百匹分の魔石とオークキングの魔石全てをダンジョンコアの成長に当てた所2段階フィールド操作出来そうな程レベルが上がったため次は源泉を予定している。
そう念願の温泉がようやく作れる所まできた、そのために城の屋上に今作っている露天風呂は、かなりの力作だ!
仕上げに掛かった俺達は、時間が立つのも忘れて作業を進め食事は全て軽食で済ませ徹夜し朝日が昇る頃ようやくサークル本部が完成した!!!
サークル本部の入口に集結した俺達は朝日に照らされた俺達の城を前に感動しハイタッチして喜びを分かち合う。
高い石塀に囲まれた巨大な門から見た城は広大な庭は、升目状に白くデザインされた花壇が設置されており中央には美しい噴水が設置されており、それを超えると階段が中断へ延び、更に上段へ続いていくような空へ向かって聳え立つような城に出来上がっていた。
石塀の内側にはアドちゃんが作ってくれたバラ園のアーチが出来上がっており素晴らしい庭園になっていた。
豪華な扉を開け城の中へ入るとピカピカに磨かれた大理石の床や壁が続いており巨大で美しいシャンデリア、どこまでも高い天井、装飾の施された廊下、300人以上入れるようなパーティ会場には青を基調としたステンドガラスから入る太陽の光に包まれた空間が美しく、円形に作られた大食堂には料理が引き立つような真っ白な円形のテーブルが置かれていた。
5階建ての数百はある部屋を抜け屋上には全体に広がる露天風呂、高台にある湯舟は圧巻だった。
『えーっと、やりすぎたよな?』
『『『『『あははははははは!!!』』』』』
『なに言ってるのよ、完成図で分かってた事じゃない』
『しかし、完成品を見たら圧巻ですよね~自分で建てて置いて恐ろしいです』
『ニャハハ 内装も凝ってるニャー』
『しかし、国王並みだな フハハハハ』
『後は、月があれば完璧ですわ♪』
『そうだな次の拡張は源泉と月にしようか』
『『『『『賛成~!!!』』』』』
『クフフ それなら完璧ですわ、夜が楽しみですわね♪』
『後は、皆に相談したいんだけどベクターさんへのお礼について悩んでいるんだよ』
『そういえば、まだなにもお礼してないよね』
『ふむ、前回のお礼に渡した賢者の石も使って貰ったしな』
『あれから賢者の石は出来ていませんわ』
『僕達に出来る最大のお礼をしないといけませんね』
『あたい達の最大のお礼ならクラン「サークル」の招待ニャ』
『それはこのサークルの世界への入場券になるけど、どうするニャ?』
『なるほど、それは俺達最大にして最高のお礼に間違いない』
『確かにベクターさんには、これからも相談したいことがあるし、この世界の住人になるのも歓迎だけど皆はどうだい?』
『私はベクターさんとロアさんなら良いわ』
『この世界を作れたのもベクターさんのお陰ですしね』
『ワシも賛成だが、どうやってこの世界に入れるようにする気だ?』
『この間取得した、あれでいけるんじゃないかしら』
『なるほど<刻印>か!』
『確かにベクターさんに<ルーム>の<刻印>をして本人とロアさんのみ制限を掛けたらいける筈です』
『なら決まりだな、ベクターさんとロアさんの部屋を用意してクラン「サークル」へ勧誘しようか』
『『『『『賛成!!!』』』』』
とりあえずベクターさんにお礼を渡すのは夜にし、それまで寝ることにした。
新たに城に作った俺達の部屋は最上階の5階にあり、6部屋しかない!それがどういうことかと言うと各部屋が恐ろしく広かった・・・
まあ、元々6人だけの世界だし良いかと自分に納得さす、目が覚めると辺りを見渡しキョロキョロする。
目が覚めるにしたがって、<エンゲルラント>にある家のフロアほどある部屋に、自分でも少し引いた。
外を見ると夕方になっていたので、リビングに行って見ると何人か既に集まっていた。
『えと、おはよー?』
『おはよー 言いたい事は分かるわ』
『ワシの様な貧乏人には慣れるまで時間が掛かりそうだ』
『私の実家見たよね?』
『俺の実家も同じぐらいだよ』
『ワシが住んでた家も見たよな?』
『僕は家がなかったので居候してました・・・』
『私は野宿ばかりだったから・・・』
『あたいは奴隷だったから牢屋ニャ』
『『『『『参りました!!!』』』』』
貧乏合戦ではムーアに勝てそうにないな。
『皆集まったしベクターさんの所へ行こうか』
『<エンゲルラント>に居れば良いんだけどね』
『まあ行って見よう』
俺達は<ルーム>を出て<サーチ>でベクターさんを探すと、<エンゲルラント>の家にいるみたいだった。
俺達は予定どおりベクターさんの家へ向かうことにする。
ベクターさんの家の前に着くと、相変わらず門兵さんのような護衛がたっており話掛けると今日は、素直に呼びに行ってくれた。
『クオン君どしたのー』
『こんにちわロアさん』
『ベクター様も居るから、どうぞ入ってー』
『失礼します』
ロアさんの案内の下リビングへ行くと、ベクターさんもリビングへ下りてきてくれた。
『こんにちわベクターさん』
『いらっしゃいサークルの皆さん』
『今日は、どんな問題が起こったのか非常に楽しみだよ』
ベクターさんとロアさんはニコニコしながら俺の話を待っているようだ、どうも俺が来るときは面白い話が転がってくると思っているようだ・・・
『いやいや、面白い話ばかり持ってきてる訳ではないですよ』
『なーんだ、今日は遊びに来ただけなの?』
『なんか俺に変な期待してませんか?』
『うふふ 本題に入らせて上げるわ』
『では、いつものように失礼しますね。<エアウォール>!!!』
『今日は、この間のお礼に来ました』
『あはは、若いのに律儀だね。私も面白かったから気にしなくても良いよ』
『いえ、これからもお世話になるかもしれないのに、そういう訳にもいきませんよ』
『かといって、この間の件に見合うお礼なんて俺達は持っていないので皆で相談して決めました』
『俺達にとっては最高にして最大のお礼を受け取って欲しくて今日は来ました』
『ほほ~ それだけ感謝してくれているのが嬉しいね、それを受け取るかどうかは別にして是非聞いて見たいね』
『はい、贈り物ですが、お願いでもあります』
『ふむ、ひょっとしたら君達6人にとって言わない方が良いんじゃないのかね?』
『なにか重大な話みたいね?私も外しましょうか?』
『いえ申し訳ないのですがロアさんにも関係があるので』
『実はベクターさんとロアさんに「サークル」のクランに入って貰いたいのです』
『・・・それは君のユニークスキルの範囲になるのかな?』
『はい、正直に言うと俺達の持っているスキルを任意で付与出来るようになります』
『なるほど、確かに君達6人の最高にして最大の贈り物だね』
『クオン君、それは君が考えているより重大な事かもしれないわ、ベクター様はともかく私を入れるのは、どうかと思うんだけど』
『いえ、スキルの付与は俺達にとって重大な事ではないんですよ』
『『えっ 』』
『俺達が贈りたいのはサークルの世界の入場券みたいな物です』
『君達が作った、<ルーム>だったかあそこに自由に入れるようになると?』
『はい、ベクターさんとロアさんの部屋も用意しました』
『あはは、手回しが良いね、でもあそこは君達6人だけの世界だろ?私とロアが自由に入れるようになっても良いのかい?』
『あっ そうするには体にのどこかに<刻印>を打たないといけないのでロアさんはベクターさんと一緒にいれば入れる形にしようと思っています』
『<刻印>と言うと魔法陣だね。驚いたな君達は、そんな事まで出来るのか』
『クオン君、洗脳系は出来ないんじゃなかったの?』
『あの時は出来ませんでしたよ』
『えっ 』
『でも、今なら出来るってことだね・・・全く恐ろしいね』
『少し詳しく言うと、その<刻印>に<ルーム>の開閉とベクターさんとロアさんのみ通れる制限を掛けたいと思います』
『俺達のスキルを付与出来る事もそうですが、もし危険な状態になっても<ルーム>に逃げ込めるようになります』
『ようやく分かったよ、君達に関わった事による私達の危険を減らしたいんだね?』
『それもありますが、ずっと6人だけの世界ってのも寂しいでしょ?』
『あはは 分かったよ喜んで受けよう』
『ありがとうございます、<刻印>は何処が良いですか?』
『勿論、心臓の上に頼むよ、手足なら切り取られたら使えなくなるからね』
『流石ベクターさんですね』
『待って私もお願いするわ、今後の事を考えれば<刻印>ぐらいどうってことないわ』
『それにベクター様と私は一心同体なのよ♪』
『あはは 分かりました出来るだけ小さくしますね』
俺は<刻印>を初めて使うが使い方はスキルを覚えた時に理解していた。
まず、ベクターさんに<刻印>を施し、続いてロアさんに移ろうとした時、不味い事に気付く。
『うふふ 心臓の上なんだから仕方ないわ。ちゃんと手で隠すから照れることないでしょ?』
『すまんミュウお願い出来るか?』
『えっ ちょっと私やったことないわよ』
『ライカとムーアは?』
『私も自信ないわ』
『無理ニャ』
『ふむ、現状クオンしか出来ない事だな』
『はーい男性陣は、こちらを見ない様にー 』
『ロアさん俺も男なんだけど?』
『うふふ 手を除けて上げようか?』
『んふふ ロア姉さん?』
『あはは 冗談よ怒んないの!』
『さっ 早くお願い私も使えるようになっとかないと、もしもがあるかもしれないでしょ』
『分かりました、では始めます』
俺は出来るだけロアさんの大きな胸を見ない様に<刻印>に集中した、変な汗が出たが何とか終わった。
『ふ~ 終わりました、これで<ルーム>に入れるようになった筈です』
『なるほど試してみて良いかな?』
『はい、<ルーム>と言ってみて下さい』