第105話 サークル専用 馬車作成!
それから俺は、残して置いたボス級の魔石を全て出して、ダンジョンコアに吸収させた、最初は野球のボールぐらいの大きさだったが大量の魔石を吸収させた事によりバレーボールぐらいの大きさまで成長した。
草原を作った時の要領で、次は大空を作った真っ白な世界だったので、天井は分からなかったが今では突き抜けるような青空が広がっている。
360度に地平線まで続く草原と突き抜けるような青空は、他に何もない事もあり壮大な風景だった。
『うわ~~ なんか綺麗ね』
『僕は、こんな光景みたことないです、何にもないのが不思議な感じです』
『フハハ これからが楽しみで仕方ないな』
『ニャハハ 何れは川や海が出来て魚が取り放題になるニャ』
『クフフ 私は、月を見ながら、お酒でも飲みたいですわ♪』
『んふふ ライカそれ素敵ね♪』
『うふふ 何て贅沢な話をしてるのよ、私も混ぜなさいよね魅力的すぎるわ♪』
『まさに、君達がやろうとしてることは世界創造!なんとも心躍るじゃないか』
『次は、太陽いっちゃいますね』
『『『『『おお~ パチパチパチ!!!』』』』』
続いてダンジョンコアに手を掲げ太陽を作る!出来上がった太陽は、どうみても此処が亜空間とは思えないほど雄大に存在しており地上と変わらない空間になった。
『よし、これで俺の野望を叶える段取りが整ったぞ!』
『『『『『『『ええっ!!!』』』』』』』
『く クオン君、まだ段取りなのかね?』
『あっ そうよね、まだサークル本部を作るんだもんね』
『あはは それも、只のついでだよ俺の野望は別にあるんだ』
『『『『『『『・・・・・・・・・・・・・・・・』』』』』』』
『・・・君達よくクオン君に、着いて行けるわね?』
『んふふ 常識が残っていたらクオンと居られないわ♪』
『ワシは、まだまだ慣れんな、驚きの連続だ フハハ』
『あたいは、理解する事を諦めてるニャ』
『僕は、ひょっとしたら神様なんじゃないかと・・・』
『クフフ 素敵ですわ♪』
『あはは、全く持って素晴らしい』
『ベクターさん、ありがとうございました。今回の件に見合う、お礼を考えておきますね』
『ふふふ 律儀だね。しかし、その必要はないよ此方がお礼を言いたいぐらいだ』
『いえいえ、ベクターさんには、これからも相談したい事があるので、宜しくお願いします』
『ああ、いつでも待ってるよ』
ベクターさんのお陰でサークルの世界が着実に進む事が出来た。あまり遅くなるとベクターさんの護衛さん達が心配するので一旦戻り、ベクターさんの家を後にする。
ダンジョンコアと台座は、フラッ君達が倒さないように<アースメイク>で小さな祠のような物を作っておいた。
次に作りたいのは、温泉のための源泉なんだけど、どうやら太陽を作るためにエネルギーを大量に使ってしまったのか、また魔石を追加しないと出来そうになかった。
台座に込めた魔力の方は、減り方を考えても満タンにしとけば1ヶ月ぐらいは持ちそうだった。
既に此処の住人であるフラッ君達も食事になる草が大量にあるので、たまに野菜や果物をあげれば問題なさそうだ。
でも、見渡す限りの草原だから林か森も必要か・・・やりたい事が多すぎるな。
サークル本部を作る事も取りかからないと、ロックの親方に相談出来ないか聞いてみようかな。
あっ そうだ大事な事を忘れていた、あれを作らないとだ。
『今日は、サークルでも記念すべき1日になったわね』
『ワシは、何十年掛かるか分からないと思っていたのだが、こんなに早く実現するとは驚きだ』
『ところでリーダー次に、取り掛かるのは、やっぱりあれですか?』
『ようやくサークルにも新たな移動手段が出来るな』
『なるほど、馬車ですね』
『ああ、どうせ作るなら最高の馬車を作ろう。今日は、もう遅いから明日から作成に入りたいと思う』
『勿論、皆にも手伝って欲しいんだ、大体の設計はロックと考えたんだけど後は、素材をどうしようかなとね』
『帰ってからリビングで相談しよう』
『『『『『了解!!!』』』』』
俺達は自宅へ戻り、お腹も減って来たので食事を作り、食べながら相談する事にした。
早く作れる物を考えて、鍋物にする事にした水炊きだ!
ポン酢が欲しい所だが、無い物は仕方ないので、異世界にもあるタレに酸味のある果実を絞って工夫してみた。
『よし、出来た食べてくれ』
『『『『『いただきます(ニャ)!!!』』』』』
『美味しい~ 本当に期待を裏切らないわね、このタレ凄くさっぱりしていて美味しいわ』
『水で煮込んだだけなのに、本当に美味いな、何故か疲れが取れるような気さえする』
『うん、今日は魔力を大量に使ったから<オリオンの聖杯>から作った聖水で作ってみたんだ』
『既に魔力は満タンになってるけど、それでも疲れが取れていくわ、それにとっても美味しい』
『今日飲んだマジックポーションも<オリオンの聖杯>から作った聖水から作ったんだよ』
『それで、あんなにも回復したのね、でも普通のマジックポーションって不味いんだけど、美味しかったのも、それが原因だったのね』
『そりゃー 一番に考えるのは味でしょ?』
『『『『『・・・・・・・・・流石リーダー(ニャ)!!!』』』』』
『このオークの薄切り肉、さっぱりとしているタレのせいか、いくらでも食えそうだ』
『おっと、リーダーの料理が美味しすぎて、肝心の相談がまだでしたね』
『そうだった、とりあえず素材をどうするかなんだけど、やっぱり目立たないように木で作った方が良いかな?』
『そうですね、貴族が乗っているような黒い馬車は目立ちそうですね』
『あんなの冒険者が乗ってたら吃驚されるわ』
『じゃ商人が乗っているような、屋根にテントを被せたようなタイプで、どうですか?』
『外観は、そうしようか足回りとか見えない所は、強度を上げるために良い素材を使おう』
『クフフ 馬は、フラッ君達にお願いするんでしょ?目立つのは仕方ないかも』
『・・・目立つかな?』
『おっきいニャ』
『まあ、ある程度は仕方ないか・・・』
『でっ サークル本部は、どうするんですか?』
『ああ、それなんだけどロックの親方に相談出来ないかな?』
『確かに親方なら、最高の屋敷も建てれると思いますけど、聞いてみましょうか?』
『でも場所は、どうするの?<ルーム>に入ってもらうのかしら』
『う~ん、それも問題だな親方一人なら良いけど、人数が増えると噂になるかもな~ 』
『どこか別の場所に立てて貰って、屋敷事<アイテムBOX>で移動させれば良いのではないか?』
『そんなに大きな物は入れた事ないけど、入りそうかなオーラ?』
『試してみないと分からぬが、かなりの大きさでも入る筈だ』
『今の<ルーム>なら目隠しして入って貰えばバレないかもよ?』
『それも手だね』
『僕も提案なんですが、僕達で作りませんか?』
『『『『『えっ!!!』』』』』
『出来るかな?』
『はい、僕もある程度なら知っているので【プラス】の能力で問題無い筈です。<アイテムBOX>で建材の持ち運びも楽ですし』
『なるほど、面白そうだな』
『ニャハハ あたい達なら石とか木材も簡単に取ってこれるニャ』
『そういう事なら屋敷は、やめよう』
『えっ 小さくしなくても出来る筈ですよ?』
『んふふ 逆よロック』
『ああ、屋敷をやめて城を立てよう!!!』
『『『『『了解!!!』』』』』
『クフフ ますます月が似合いそうね♪』
『とりあえず馬車だけどね、でも平行して建材の調査はやっとこうか』
大体の話も終わり、明日の馬車作りのため今日は、早めに休む事にする。
各部屋のベッドがスプリングマットと羽布団に変わっており、快適な睡眠が取れた。
『ふあ~ 良く寝た、しかし寝心地が良すぎるな・・・もう普通の布団で寝れる気がしないよ』
ロックとムーアが作ってくれた寝具の出来の良さに、感嘆しながら食堂に向かう。
『おはよー ミュウ』
『おはよー クオン』
『皆は、寝てるのかな?』
『オーラとライカは、早朝訓練してるわ』
『流石だな、俺も見習わないと』
『そうね、私も魔法のランク上げしないとー 』
しばらくすると、全員集まった。ロックも寝具を変えたせいか、いつもより早く起きて来た。
『ロックとムーアが作ってくれた寝具最高だな』
『えへへ 頑張りましたよ』
『ニャハハ あたいも気持ちよく眠れるニャ』
『オーラとライカも頑張るな、俺も見習わないと』
『フハハ ワシもリーダーのように強くなりたいのでな』
『クフフ 私は早く皆に追いつかないといけないので、当然ですよ』
『俺も明日から参加しようかな』
『『えっ・・・』』
『も もう少し待ってくれ、まだ着いていけん』
『わ 私も頑張りますから時間を下さい』
『んふふ じゃ私とやろうかクオン♪』
『さあ、食べようか』
『も~ 誤魔化さないの』
『あはは じゃ食べながら聞いてくれ』
『これがロックと作った設計書だ金属部分はロックが作ってくれるので、後の素材を手分けして集めて欲しい』
『出来たら木材はライカが行って欲しい』
『なにか理由があるんですね?』
『ああ、伐採してから3年ほど時間を進めて乾燥させて欲しいんだ』
『木材は乾燥したやつを使わないと、加工した後に曲がっちゃうんだよ』
『分かりましたわ』
『それも、お爺さんから教わったのかな?』
『最初は、そうだけど自分でも何回もやったんだよ』
『・・・本当に色んな経験してきたんですね』
『俺にとっては、普通の生活だったんだけどね、お陰で色々役立っているよ』
『あたいは幌作るニャ』
『私は、フラッ君達の鞍とか馬具作るわ』
『じゃオーラは俺の手伝い良いかな?』
『ふむ、探し物か?』
『いや<サーチ>で場所は分かってるんだけど、集めるのに時間が掛かりそうなんだよ』
『フハハ あえて何を集めるかは聞かないでおくか』
『素材を集めたら、加工は全員ここでやろうか』
『『『『『了解!!!』』』』』
俺はオーラと採集に向かった、何を取りに行くかと言えばゴムの樹液だ、そう以前ゴムの代わりにブラッククローラーの皮を使ったけど、色々と材料が揃ったので馬車用のタイヤの作成をしようと思う。
『よーし、オーラ着いたぞ』
『むっ 林じゃないか何を取るのだ』
『え~と、この種類の木の樹液を採取していって欲しいんだよ、錬金術の抽出で集めていってくれ』
『あっ 手に着かないように注意してね、入れ物を渡しておくよ』
『なるほど、一度見せて貰って良いか?』
『分かった』
俺は、ゴムの木に手を当てて<錬金術>の抽出を掛ける、すると木から白い樹液が滲み出てきてゴルフボールより少し大きいぐらいの玉が形成され、用意しておいた桶にそれを入れた。
『っと、こんな感じで頼むよ』
『大体分かった、やってみる』
俺とオーラで手分けして集めたら1時間ほどでドラム缶ぐらいの量が集まった。
『ふ~ これだけあったら足りるかな、ありがとうオーラ帰ろうか』
『しかし、この白い樹液を何に使うのだ?』
『う~ん、口で説明するのは難しいんだけどタイヤってのを作るんだよ』
『ふむ、何か分からんが作り方を覚えておこう』
俺達が家に戻ると既に全員が帰ってきていた。
『皆早いね、庭で作ろうか』
『『『『『了解!!!』』』』』
『リーダーが言った通り、木を3年ほど掛けて乾燥させときましたよ』
『早いなライカ、じゃそれを木の板に加工していってくれ』
『分かりましたわ』
『よし、じゃタイヤ作りをやるからオーラ見てて』
『まず集めて来た樹液を精製して抽出を掛けてゴミとか余分な水分を取り除く』
『次に熔解で硫黄と炭素の粉を捏和し混ぜ合わせ昇華し丁度良い硬さで固定する』
『ふむ、真っ黒になったな』
『うん、後は形成だけだロック車輪は出来てるかな?』
『はい、4つとも出来てるよ』
『ありがとう・・・ってこれダマスカスじゃないか?また、贅沢な車輪になったな』
『あはは 雨とかで濡れると思ってね、ダマスカスなら錆びにくいから』
『なるほどね、じゃオーラいよいよタイヤを形成するよ』
『ふむ、見ておこう』
俺は、自転車のタイヤのようにチューブを作るのは難しいので、全部ゴムで出来ているタイヤを作ることにした、弾力は落ちるし重くなるけど、これは仕方ない。
ロックが作ってくれた車輪に、さっき作ったゴムを形成していき滑り止めにタイヤの溝をつけていく。
『よし完成だ!』
『ほほ~ これがタイヤと言う物か、なるほど柔らかい不思議な素材だな、これは馬車の振動を緩和するための物だな』
『正解だ、揺れを緩和するのは、これだけじゃないんだけどね』
『んっ ムーアが作ってくれた幌ひょっとして魔糸で作ったのか?』
『そうニャ、シロが頑張ってくれたニャ』
『モキュモキュ♪』
『いよいよ、贅沢な馬車になったな・・・ありがとうシロ』
『よし、一気に組み上げようか』
『『『『『了解!!!』』』』』
俺達は、それぞれ役割を分担して馬車を仕上げていく、<オールクリエイター>のお陰か全部組み上げるのに、そんなに時間は掛らなかった。
勿論、馬車の中は<空間操作>で拡張して広くなっており、豪華なソファーまで置かれていた、とても馬車の中とは思えない仕上がりだ。
馬(フラッ君達)は2頭ずつローテーションして貰う予定だ、馬具は<アイテムBOX>から簡単に着脱出来るしね。
うん、外観は完全に商人の馬車にしか見えない完璧だ。
ミュウも魔物の皮で馬具を作ってくれており、フラッ君と茶太郎を連れてきてくれた。
フラッ君達に取り付けた馬具を馬車に繋いで、ようやく俺達の馬車が完成した。
『『『『『『おお~ パチパチパチ!!!』』』』』』
俺達6人は、ハイタッチして喜びを分かち合う。
『試し乗りに行こうか、流石に此処から出る訳にはいかないから、一度<アイテムBOX>に収納して外にでよう』
俺達は急いで町を出て、人気のないところで馬車を出して試乗することにした、御者は俺が務め出発だ。
御者と言っても、フラッ君達に言葉でお願いするだけなのだが。
御者席にも雨に濡れないように屋根が被さっており、椅子は車のシートのような形でスプリングまで付いていて、乗り心地は抜群だ。
しばらく走った後、乗り心地を聞くために一旦止めて馬車の中へ入っていみる。
『乗り心地はどおだった?』
『えっ いつ走るのかなと思ってたんだけど、もう走ってたの?』
『ニャー 全然揺れないニャー』
『う~ん、中は<空間操作>で拡張もしてあるせいか、揺れが分からないぐらいになってみたいですね』
『なあクオンよ、またちょっと、やりすぎたんじゃないか?』
『クフフ 私達以外乗らないから大丈夫ですわ』
『・・・出来が良すぎるのも問題なんだが・・・まっいっか』
御者を代わって貰い俺も走行中の乗り心地を確かめるが、全く揺れが感じない部屋にいるようだ・・・確かに少しやりすぎたか。
町を一周して満足したので、馬車を<アイテムBOX>にしまい町へ戻ることにする。
家に帰ろうと歩いていると冒険者ギルドのエイトールさんが、追い掛けてきて話かけてきた。
『クオンさん、こんにちわ』
『こんにちわ、エイトールさん、どうしたんですか?』
『あっ 依頼クエストの報奨金が出てるのをお伝えしようと思いまして』
『なるほど、では取りに行きます』
『はい』
エイトールさんは、実に良い笑顔で返事をしてくれて一緒にギルドへと歩を進める。
ギルドへ入ったエイトールさんは、そそくさとカウンターの中へ入り奥から袋を持ってくる。
『おまたせしました、これが前回の依頼クエストの報酬となります』
『ありがとうございます』
『うふふ 流石サークルですね、私こんなに高額な報酬、初めてみたかもです』
『あっ 後サークルの皆さんのギルドランクが今回の働きでBランクへ昇進することになりました、皆さんのギルドカードをお預かりして良いですか?』
『『『『『おお~ パチパチパチ!!!』』』』』
俺達は、それぞれギルドカードをエイトールさんへ渡して更新して貰う事にした。
『お待たせ致しました、これがBランクのギルドカードです、ちなみにBランク最年少記録ですよ』
『『『『『おお~ パチパチパチ!!!』』』』』
俺達6人は、ハイタッチして喜びを分かち合う。
Bランクのギルドカードは銀色でピカピカと光っており、今までと比べると高級感がある。
『少し目立ちますかね?』
『うふふ そうですね凄い事です、でもギルドカードを見せない限りバレませんよ』
『ありがとう、領主様とギルドマスターが頑張ってくれたんですね感謝します』
『ここだけの話なんですが、領主様はAランクを進めてたんですよ。でもギルドマスターがクオン様が、絶対嫌がるからって言ってBランクになったんです』
『あはは 流石ギルドマスターですね、俺達の事が良く分かってくれてます』
『うふふ それと私からのお祝いに、何か飲み物を入れますから飲んで行ってください』
俺達は、せっかくの厚意なのでギルドのテーブルに座り、ご馳走になることにした。
そういえばギルドへは、何回も来ているがテーブルに座るのは初めてだなと思う。
『お待たせしました、どうぞゆっくりしていってください』
『ありがとう、んふふ 此処でエイトールさんの働きっぷりを見てるわ♪』
『まあ、ミュウ様照れますよ』
それだけを言い残しエイトールさんは仕事へ戻っていった。
『此処に座るのは久しぶりだな』
『ニャハハ あたいもニャ』
『俺達は、目立つからギルドで長居しなかったからな~』
『クフフ 此処で他の冒険者を見るのも良いですわ』
丁度ゆっくり話をする良い機会なので、これからサークル本部の建材を何処から仕入れてくるか、どれぐらいの規模にするか等の話を弾ませていた。
時間が立つのも忘れ色々な話をしていると、1人の少女が急いでギルドへ入ってきてカウンターにいるエイトールさんに話かけている。
どうやらかなり急いでいるようだ、悪いとは思ったが内容を聞いていると緊急依頼をしに来たらしい。
内容は、魔物のスタンピートが起こり村が襲われそうなので助っ人の冒険者を募りにきたらしい。
その少女は必死になりエイトールさんに話をしている。
『お願い時間がないの、強い冒険者を出来るだけ多く集めて』
『内容は大体分かりました、詳細をお聞かせ願いたいのですが魔物の種類とスタンピートの規模はどれぐらいですか?』
『詳しくは分からないけどオークよ。少なくても数百匹近く居るかもしれないわ』
『・・・数百ですか、そうなると冒険者の数も数十人揃えないといけません、急いで以来を掛けますが2~3日は掛かります』
『そ そんな、それでは間に合わないわ、お願い遅くても今日中になんとかして』
『無茶を言っているのは承知してるわ、それでもお願い今日中に援軍を頼まないと、村がなくなっちゃうの』
少女は、腰を九の字に曲げて必死にエイトールさんにお願いしていた。
『事情は、分かりました。しかし、少数だけで送り込んでも冒険者を殺すだけです、せめて数百匹を相手に出来る人数が集まるまでお待ちください、勿論急いで集めますので』
『ありがとう、私も頼みに行きます、どうか宜しくお願いします』
少女は近くに立っていた冒険者に頭を下げ必死にお願いしている。
『お嬢さん、事情は分かったが、それだけの規模のスタンピートに出るのは俺達では自殺行為だ、悪いが他を当たってくれ』
『お願いします、報酬も出来るだけ用意します、危険なのは分かりますがどうか助けてください』
『気持ちは分かるが、死ににいくようなもんだ、それだけの規模のスタンピートなら逃げるしかねえ』
『既にオークに囲まれていて逃げれないんです、どうにか私だけが魔物の包囲を抜けて援軍の依頼に来れたんです』
『・・・気の毒だが俺達には、どうにも出来ねえ』
『そ そんな、お願いします。どうか、どうか』
その少女の悲痛なまでの願いを聞いている内に俺達の気持ちも固まったようだ。しかし、どうもミュウの様子がおかしい事に気付く。
思えば、あの少女がギルドへ入ってきてから、様子がおかしいようだ。
よく見れば、髪の毛で隠れて分かりにくいが耳が少し尖っている。エルフか容姿についても間違いなく可愛い、ミュウとは、また違ったタイプの美人だ。
ってことは、ミュウの同郷か・・・
ミュウの方に視線を送ると、なにかショックを受けているようだ。これは、間違いなさそうだ。
『ミュウ、ひょっとしたらミュウの村か?』
『・・・うん、あの子の名前はイリカ。私の幼馴染よ』
『クオン、ロック、ムーア、オーラ、ライカ凄く危険かもしれないから迷ったんだけど・・・お願い力を貸して』
『どうして迷う必要がある?』
『もっと気軽に言っても良いのに』
『ニャハハ プチ旅行ニャ』
『ワシ等は、仲間だろう?』
『クフフ オークに同情しますわ』
『『『『『さあ、行こう!!!』』』』』
『グスッ ウッ ウッウッ あ ありがとう皆!』
ミュウは必死に冒険者へ依頼しているイリカの下へ行き話かける。
『イリカ、久しぶりね』
『えっ み ミュウなの?貴方ここで冒険者をしていたの?』
『丁度良かったわ、お願いミュウ強い冒険者を紹介して、お願い村が危険なの』
『イリカ事情は聞かせて貰ったわ、安心して私のパーティが行ってくれる事になったわ』
『・・・ミュウ気持ちは、嬉しいけど貴方と組んでくれるパーティなら、強くはないんでしょ?』
『イリカ・・・私は兎も角、私のパーティは凄く強いのよ信じて』
『ミュウ・・・<ヒール>1回しか使えない貴方のパーティが本当に強いの?あれから上達してたとしても、とても信じられないわ、貴方の家族も危険なのよ?』
『お願い強い冒険者を探すのを手伝って、時間がないの』
昔のミュウしか知らないのなら無理もない会話が聞こえてくる・・・皆も事情を察して怒らないでくれている、さてと、どうしたもんかと思っているとエイトールさんがカウンターから出てきて、イリカさんに話掛ける。
『失礼、話を聞いていたので少し説明をさしてください』
『あなたは、イリカさんと言うのね、貴方が話をしているミュウ様は商業都市<エンゲルラント>の冒険者ギルドが誇るBランクの冒険者ですよ』
『パーティ名は「サークル」当ギルド最強のパーティです』
『そ そんな、ミュウ貴方どうして?どうしてそんなに強いパーティに入れたの?』
『イリカ、私も村を出てから頑張って強くなったのよ、でも私のパーティは、私なんかより何倍も強いから安心して』
『で、でも』
『失礼、俺はパーティ「サークル」のリーダーをしているクオンです、サークルは先行して貴方の村へ行くことに決定しました』
『エイトールさん、ギルドに何か通信出来る手段はありますか?』
『はい、ギルドマスターが通信用のオーブを所持しております借りて参りますので、しばらくお待ちください』
『ありがとうエイトールさん』
『ところでイリカさんは、此処まで徒歩で来たのですか?』
『は はい、私だけがオークの包囲網を抜けれたので、ずっと走って来ました』
『それは、疲れたでしょう後の事は、ギルドに任せて俺達と村へ戻りましょうか』
『申し出は嬉しいのですが、私は多くの冒険者を集めないといけないので直ぐには戻れません』
話の途中エイトールさんが走って戻ってきてくれた、手には小さなオーブが逃げられている。
『お待たせしましたクオン様、これが通信用のオーブです』
『こんな貴重品をお預かりして良いのですか?』
『はい、ギルドマスターの許可を取りましたので』
『そいつぁ~ たった1つしかない貴重なマジックアイテムだ無くすなよ』
『これは、ギルドマスター態々来てくれたんですね』
『ああ、さすがに大ごとだからな』
『後の事は、ギルドマスターにお任せして良いですか?』
『ああ、まずスタンピートの正確な規模を連絡してくれ、出来る限りの冒険者を集めておく』
『ありがとうございます』
『俺達は、先行しますのでよろしくお願いします』
『ふふふ、サークルが出るなら、他の冒険者なんて要らねえんじゃねーか?』
『なっ 数百にも及ぶオークが居るかもしれないんです、冗談はやめてください』
『ふむ、お嬢さんサークルは、このギルド最強だ!本当ならお嬢さんが雇えるパーティじゃねえ』
『冗談に聞こえたなら、その目で見てくるが良い』
『ギルドマスターその辺で、勘弁してくださいイリカさんも必死なんです』
『ああ、悪かったな、お嬢さん後の事は任せておけ』
『ありがとうございます、では行きましょうかイリカさん』
『し しかし、』
『良いから後の事は俺に任せておけ、お嬢さんも連れて行って貰え』
『分かりました、どうか、どうかよろしくお願いします報酬は出来る限りさせて貰います』
イリカさんは、やはり村が心配なのか俺達と村へ戻ることに了承してくれた。