第99話 助けたメイド達
ミュウが見つけてくれた不正書類の束が入っていた金庫に、お金もかなり入っており、それを全部メイドさん達へ配ることにした、勿論そんな事で償える事ではないが、無いよりはマシだろう。
白金貨や黄金貨もあったので、換金するのも大変だろうから全て両替し金貨にした。
貴金属や宝石等も、あったのだが、これも換金するのが大変かなと思いそのまま置いておこうとしたが、あのクズ貴族の資金になるのも腹が立ってので、金目の物は全て<アイテムBOX>に回収した。
相場がわからないので、適当な金額で俺達が買い取る事にし、その分メイドさん達の金貨を増やした。
全部合わせて金貨4000枚ほどになったので、500枚ずつ袋へ入れて行きメイドさん達へ渡すことにした。
『お待たせしました、扉を開けた所に、お金の袋を8つ置いたので各自で受け取り中を確認してください』
メイドさん達は、オズオズと扉を開け、袋の大きさに驚いていた。
『すみません、どなたかは、存じませんが、こ こんな大金いったい、いくらあるのですか?』
『お金は、金貨で500枚ほど入ってます』
『・・・金貨500枚って、そ そんな大金頂くわけには』
『此処で労働した賃金とでも思ってください、そして今日の事は、他言無用でお願いします、良いですね?』
『分かりました、決して誰にも言いません、本当に本当にありがとうございました』
メイドさん達は、姿の見えない俺達に、丁寧に何度もお辞儀し帰っていった。
アラゴスまで行く二人には、後で確認しようと思う。
さて、残るは、このクズ貴族の処分だが、どうするか・・・
『後は、このクズ貴族と執事なんだけど、どうするかな』
『ん~ 自警団に渡しちゃうってのは?』
『それだと被害者っぽくならないかな?』
『クフフ 身ぐるみ剥いで自宅の外へ縛り付けといたら、自警団が回収してくれるとか?』
『フハハ ついでに家も潰しといてやろう』
『なら、不正の証拠も立て札で、張り付けておいたら分かりやすいですね』
『も~ 皆の発想が怖いわよ、でも自業自得ね♪』
『ニャハハ 派手にやるニャーーーー』
俺達は、クズ貴族と執事の衣服を全て取り去り、玄関の正面に杭を立て縛り上げた。
今までやってきた悪事の数々は、立て札に張り付け目立つようにした。
そこから家を潰すのは、俺達なら簡単だった、あっと言う間に豪邸が瓦礫の山になり丁寧に門も塀も綺麗に壊して更地にしておいた、うんこれなら、縛り上げたクズ貴族達もよく目立つ。
俺達は、これだけのことを誰にも見られずに、素早くやってのけ姿を消した。
これでもう、あの飲食店の定員さんも安心だろう、俺達は、メイドさん達が無事自宅へ帰ったか見届けるため、分かれて確認しにいった。
この町で住んでいたメイドさん達は、無事に家に着いたみたいで安心した。
アラゴスへ戻る2人は、今日は、宿屋に止まり明日の朝、馬車で帰るようだ、う~ん、少し心配だな・・・
各自メイドさん達の確認が終わり、またリビングで集まった。
『あのメイドさん達大丈夫かな?』
『ちょっと心配よね』
『なんなら、ワシがアラゴスまで確認しに行こうか?』
『ニャハハ オーラどっちの子が気に入ったんニャ?』
『なっ そ そんなのでは、ないわ』
『あらっ オーラ赤くなってますわ♪』
『皆で、からかいすぎだぞ』
『でも、確かにオーラが行ってくれたら安心だな、頼めるか?』
『ああ良いぞ、しかし下心は無いからな、そこは誤解せぬように』
『『『『『アハハハハ』』』』』
『ところで、ライカの発表が、まだなんですが?』
『そっかなんやかんやで、まだだったなロックずっと気になってたんだろ?』
『えへへ そりゃーもう』
『くふふ 分かりましたわ、今日お出ししますね』
『やった!』
『ロックが、そんなに喜ぶって事は、お酒ね?』
『正解ですわ、良い機会だから発表しちゃいますけど、私は、ワインとブランデーを<時空操作>で熟成する事を研究してました』
『それで出来たのがこれですわ』
ライカは、瓶に入ったワインと木樽に入ったブランデーを取り出し皆に見せた。
『以前リーダーが熟成の話をしていたので、部分的に時間を進めてお酒を熟成する実験をした結果がこの2本ですわ』
『『『『『おお~ パチパチパチ!!!』』』』』
『少し、味見してみてください』
俺達は、言われるまま、まずワインの味見をした、そして余りの美味さに笑みが零れる。
『『『『『美味しい~~~~(ニャ)!!!』』』』』
『うわ~ 何これ、以前のワインも美味しいけど、これは更に別格だわ』
『ああ~ 僕幸せです~♪』
『ニャー 美味いニャー』
『これは、良いな全部熟成さしても、良いぐらいだ』
『なんどか、調整を繰り返したのですが、とりあえず30年ほど立っている物が、これですわ』
『ええっ こ これ30年後のワインなの?』
『年数については、かなり大体です、計り様がないので予想なんですが』
『そうだね、時間を計るのは、難しそうだ』
『次は、ブランデーの時間を進めた物です、おそらく10年ほどかな』
琥珀色だった色は、濃くなっており、元々鮮烈だった香りが、マイルドになったような気がする。
『ああ、これも美味いな、喉が美味しいと感じたブランデーが、香りが美味しいに変わっている』
『これどれぐらいあるんですか?まだあります?すぐ作れたりするんですか?』
『クフフ ロック落ち着いて、作ろうと思ったらすぐ作れるわ』
『も~ ロック慌てすぎて、【プラス】の能力忘れたの?ロックも作れるのよ』
『あっ そうだ僕も作れるんだ、ライカ教えて教えてー』
『フハハ これは、確かにロックが慌てるのも分かるな、実に美味い』
『ねーねー どうしてブランデーは、木樽なの?』
『それは、リーダーの指示ですわ』
『ああ、ブランデーの熟成は木樽の方が美味しくなるんだよ』
『へええ~ 本当に何でも知ってるのね、どんな木でも良いの?』
『ん ああ、あのブランデーが取れた所にあった、木を取ってきたんだよ』
『・・・・・いったい何時から、この熟成考えていたのよ?』
『あはは 美味しくなるかな~ってね』
『クフフ 本当に不思議な人ですわ』
俺達は、ライカが作ってくれたお酒に舌鼓を打ち、その日は気分良く眠れた。
いつものように目覚めて下へ下りるとオーラが出掛けようとしてくれていた、どうやら早めに馬車を見に行ってくれるらしい。
『おはよー オーラ、悪いな俺の声が聞かれてなかったら自分で行くんだけど』
『ああ、気にするなワシも気になるしな』
『では、行ってくる』
『ありがとオーラ、任せた』
ほどなくして、皆が起きて来て今日の予定を話し合う、オーラが助けたメイドさん達の護衛に行ってくれたので残りの5人でと言う話なのだが、基本何をするにしても6人揃ってないと、大きなことは出来ないので今日は、自由時間にすることにした。
俺は、以前考えていた馬車の作成案をロックに相談しようと思い、紙へ書き出すことにした。
この異世界での馬車は、タイヤもなければ車で言うショックアブソーバーもないため非常に乗り心地が悪い。
俺は、このあたりの事をロックに伝え打開策を検討することにした。
女性陣は、魔糸での下着作成に乗り出すそうだ、ムーア曰く俺が言う下着類は、とても複雑で難易度が高いため、今まで保留していたそうだ、今日は、自由時間となり作成することになったらしい。
◇ ◇ ◇
<オーラ視点>
さてと、アラゴス行きの馬車は、あれだな乗れるか聞いて見るか、乗れないとなると追跡がしんどくなるな。
近くまで行くと、昨日のメイド達が、ちゃんと来ているのが確認出来たので、これで間違いなさそうだ。
ワシは、御者に話かけ念のためアラゴス行きの確認を取り、空きはあるか聞いて見ると空きは、あるのだが護衛がまだ決まってないらしい。
『あ あの、すみません護衛の方が決まらないと今日は、出発出来ないのでしょうか?』
『すみませんね、此処からアラゴスまでは、比較的に安全なんだが流石に護衛無しでは、行けなくてね』
『そうですか、困ったわもう1泊しないと、いけなくなったかも』
『お姉ちゃん、仕方ないよ、ずっと我慢してきたんだもん、もう1泊ぐらい待てるよ』
ふむ、やはりずっと捕まっていた町を早く離れたいのか、暗い顔をしているな、馬車が延期になるのは、ワシも困るので相談してみるか・・・
『少し良いか?』
『ああ、先ほどの人かい、どうした?』
『ワシは、Cランクの冒険者だ、アラゴスまで行きたいのだが護衛も兼ねるから出発してくれんか?』
『当然、護衛料も、要らん』
『そ そうか念のためにギルドカードを見せてくれるか?』
ワシは、ギルドカードを御者に見せると喜んで出発してくれる手筈となった、客は、ワシとメイド達の3人と少ないのだが護衛料が浮いた分、これでも出発してくれるらしい。
『あ あの護衛を引き受けてくれて、ありがとうございます、私達急いでいたので、助かりました』
『ワシもアラゴスに早く行きたかったので礼は要らんよ』
『流石、冒険者さんだけあって、とても強そうですね、お名前をお聞きしても良いですか?』
『フハハ 護衛するにしても世辞は要らんよ、ワシはオーラと言う者だ』
『オーラさんですね、私は、ミラ妹がミロって言います、宜しくお願いします』
『ああ、任して置け』
それから、直ぐにアラゴスの町へ向けて馬車は出発した、今日は、とても良い天気なので、これなら明日の昼には到着しそうだ。
メイド達を見ると、よほど嬉しいのか二人で楽しそうに会話をしていた、聞く気はなかったが、せまい馬車の中で普通に会話しているので嫌でも聞こえてくる、どうやら久しぶりに会う両親の話のようだ。
陽光が馬車の隙間から入り込み、心地よい気分のまま、何事もなく進み2時間ほど走っただろうか昼食の休憩を取り再び馬車が走り出す。
メイド達は、固いパンを二人で分け合いながら食べていた、普通それが当たり前なのだがワシの食糧を分けたくなるのは、リーダーの影響か?そう思うとワシも食に拘るようになったのかと苦笑する。