第9話 錬金術
『こんにちわ、カリーナさん、よろしくね』
『はい、承りました今日は、一角ウサギですか大変だったでしょ3匹も凄いですね』
『いえ、クオン君が、まだなので』
『こんにちわ~ カリーナさん』
『えっ ちょっと何匹いるんですか?』
『えーっと全部で10匹ですね、そのまま持ってきました結構重かったです』
『待ってください普通一角ウサギは、パーティでも1匹が精々です。逃げるんです。早いんです。結構角が危ないんです』
『ここまでは、分かりましたか?多くても2匹です。なんで10匹も狩れるんですか・・・・・・・』
『えっと、頑張りました!』
ミュウさんは、会心の笑顔で元気よく答える!!カリーナさんのジト目が突き刺さる!
『ま まあ良いです、では、このカウンターへ置いてください』
『クッ 状態も最高じゃないですか買い取り頑張っちゃいますよ』
『あっ 2匹ほど肉だけ頂いて良いでしょうか?』
『うふふ 良いですよ今日の、お祝い用ですね』
『では、討伐報酬・角・皮・魔石・肉を、ほぼ10匹分で金貨30枚になります!』
『お肉の分は、サービスしちゃいます』
『『おおーー パチパチパチ!!!』』
『おいおい、あんなガキ共が金貨30枚だと』
『大方、どっかで大量に死んでたやつを拾ってきただけじゃねーのか ギャハハハ』
冒険者ギルドにいた、他の冒険者達が、騒ぎ出した。
『ちょっと、そこの貴方達、変な言いがかり付けないでギルドカードを剥奪されたいの?』
『お~ こえーこえー』
『ごめんなさいね、私も少し騒ぎすぎたわ』
『いえいえ、ありがとうございます』
『では、どうぞ、お肉の方は少し時間が掛かるから<陽だまり亭>に持っていって貰うわ』
俺達は、報酬を受け取り、ギルドを後にする。
『ミュウさん、先に荷物を置きに<陽だまり亭>へ行こうか』
『ええ、ギルドからお肉も貰って、夜に出して貰えるよう頼んでおくわ』
俺たちは、一旦部屋に戻り、昨夜、話をしていた魔法書か魔法使いの方は、伝手がなく分からないため、先に錬金術のお店に行くことにした。
『えーっと、此処っぽいわね』
そこには、木造の平屋建で、かなり傷んでいる建物がある。戸が傾いており今にも外れそうだ。
『んー とてもお店には、見えないね・・・とりあえず聞いてみようか?』
『・・・そうね、聞いた限りでは有名人みたいなんだけど』
『すみませーん、誰か居ませんか?』
『居ますよ~ 誰ですか~?』
中からひょっこり出てきたのは、30代ぐらいの男性でボサボサ頭に、如何にも研究者のような佇まいの方だった。
『ん~ お客さんですか~?』
『はい、ポーションを見に来たんですが売ってますか?』
『いくつかは置いてるよ~ まあ入ってよ~』
俺達は、今にも外れそうな戸を壊さないように店内に入ると、意外にも中は綺麗に片付いており、棚には、いくつかのポーションが陳列されている。
『お~ ポーション初めて見たけど、綺麗な色なんだ』
『ちょっと、ポーションも見たこと無かったの?冒険者なら1本は、持っとくのが常識よ!』
『ミュウさん、持ってるの?』
『わ 私は、お金が無くて・・・・ちょっと私の事は良いでしょ』
『あはは ってことは、高いのかな?』
『安くしとくよ~ アハハ』
『も~ 笑われたでしょ』
『えーっと、それじゃーこの黄緑の奴は何ですか?』
『それは、低級回復ポーションだよ』
『ふむふむ、では、毒消しと病気用とMP回復ポーションはありますか?』
『一通り買うならセット販売のが安いよ~ 回復5・MP3・毒消し2・病気用1がセットで金貨5枚でどうかな?』
『なるほど、そこそこ高いね』
『いえ、安いと思うわよ、MPポーションとか金貨1枚ぐらいするし、病気用のメディカルポーションならもっと高いわよ』
『ほほ~ 分かりました、そのセット買います』
『うん~ お勧めだよ~』
『あっ それとポーション作れるように成りたいのですが作成書か、教えてくれる所ってあるんでしょうか?』
『自分で作るの~?』
『はい是非、作れるようになりたいです』
『う~ん、じゃ材料持ってきたら教えて上げるよ~』
『えっ ほんとですか?やったミュウさん教えてくれるって』
『んふふ 良かったね私も、頑張って覚えようっと』
ミュウさんも、やる気を出して答えてくれる。
『ありがとうございます、材料教えて頂けますか?』
『良いよ~ 色々な物から作れるんだけど、比較的簡単に集められるの言うね~』
一つ一つ効果も聞いていくと、こんな感じらしい。
薬草:回復の効果
魔草:魔力回復の効果
治癒花:一般的な病気に効果
毒消し草:毒消しの効果
月光草:多種多様な効果※特に魔力回復効果大
岩苔:多種多様な病気に効果中
光苔:多種多様な病気に効果大
キノコ類:種類により多種多様な効果
モンスターの角:自然回復を促進する効果
『メモメモ、しまった一角ウサギの角取っとけばよかったか』
『また狩れば良いじゃない、お肉もほしーし』
『材料集めてまた来ますね、お名前お聞きして良いですか?』
『うん~ 僕はベクターだよ~ またおいで~』
『ありがとうございました、ベクターさん』
俺達は親切なベクターさんに、お礼を言い店を出る。
『今日は、狩りに時間掛かっちゃったから良い時間になっちゃったね』
『んふふ、今日も楽しかったわ♪』
『うん、俺も楽しかったよ!お金もいっぱい稼げたしね』
『だよね~ ずっと貧乏だったから嬉しいわん♪』
『あ~ ミュウさんそれで、ずっと笑顔だったのか』
『も~ 良いでしょ、ちょっとだけ厳しかったのよ、ジリ貧生活って不安になるでしょ?』
『分かる、分かる、実は俺もそうだったから』
『今日は、ごちそうも待ってるし、お酒もいっちゃおうか?』
『んふふ ちょっと~ 良いこと言うじゃない、うふふ大賛成』
この世界では、お酒は20歳からって事はなく何歳でも飲めるらしい、しかも15歳は、立派な大人扱いだ。
『そうと決まれば、急いで帰ろうよ~ ダッシュ!!!』
ミュウさんは、俺の手をひっぱって走り出す。
『ちょ う うわっと、そんなに急がなくても、あはははは』
俺達は、頼んでおいた一角ウサギの肉料理とワインを購入し部屋で食べることにした。
『うわ~ 美味しそ~~ なんて良い匂い』
一角ウサギの肉は、ほぼ1匹丸ごと焼かれており、表面がテカっていて色々なハーブの香りが食欲をそそる。
ワインは、小さな樽に入っていて、結構量がある。適量を皿に取り分け、ワインをコップに注ぐ。
『うわっ お肉柔らかーい、木のスプーンで軽く押すだけで切れるわ、肉汁が溢れてくる~♪』
『お~ 肉の中にジャガイモのようなものが詰められており、肉汁が染み込んでホクホクだ!』
『『もー 我慢できない!!!』』
『でわ、大猟を祝して』
『『カンパーーーーーーーーーーイ!!!!!!!!!!!!!!!!!』』
『美味しーーーーー』
『この、お肉丁度いい焼き加減で、濃厚な味が最高!』
『中に入ってる芋も、肉に良く合う!!!』
俺達は、何度も、おかわりしてワインと料理に満足した。
『も~ 無理よ、お腹いっぱい超満足だわ』
『同じく、も~ 食べれない』
俺達は、大きな肉を全部食べつくし、残ったワインをチビチビ飲みながら、明日からの素材集めや狩りの連携等、色々な話をしながら夜遅くまで楽しく語らった。
『『う うぅ~ん』』
俺達は同時に目が覚める、目を開けると眼の前にミュウさんの顔がある、寝起きのため状況が把握できていない。
『あっ おはようミュウさん』
『ん、おはようクオン君』
あれっ 目を開けると眼の前にクオン君の顔がある、寝起きのため、状況が把握できていない。
『『・・・・・・・』』
『『・・・・』』
『『・・』』
『『んっ!!!』』
『『あわわわわ』』
俺達は、眼が覚めてきて状況がわかってくる。二人とも顔が赤い。
『わ 私、昨日あのまま寝ちゃったんだ・・・・』
『う うん、俺も、お酒あまり飲んだことなくて、酔って寝ちゃった・・・』
『『あはは!!』』
『でも、よく考えたら同じパーティなんだから、野営の時とか一緒に寝るんだよね?そー考えたら同じ部屋で寝ても普通?かな』
『ふむふむ、じゃこれから1部屋にする?』
『調子に乗らないの パシッ!』
『いてて、あはは』
『さて、朝食にしましょうか、行ける?』
『うん 行こうか』
『っと、その前に<クリーン>!!!』
『んふふ ありがとう、すっかり慣れたわね』
『師匠の、お陰かな』
俺達は、昨日のお皿を持って下へ降りる。同時に朝食を取り、のんびり仕度をしギルドへ向かう。
『『おはようございます、カリーナさん』』
『おはようございます、クオン君ミュウさん』
『今日も、討伐系行きたいのですが、いつもお勧めばかり行ってるので、たまにはクエストボード見てきますね』
俺達は、クエストボードへ向かいFランクでも受けれる、クエストを見て回る。
『これ良いんじゃない?クロウラー討伐!!!』
『うんうん、初めてのモンスターだね』
『うん、クロウラーって森にいるから素材も集めやすいと思うよ』
『あー なるほど賢い!決定!』
俺は、クロウラー討伐クエストをボードから取り、カリーナさんに渡す。
『今日は、クロウラーにしたのね、クロウラーはFランクでも上位の魔物だから注意してね、後は、森には魔物の数も多いから、常に索敵して囲まれないようにするのが常道よ』
『なるほど、参考になります、ありがとう』
俺たちは、ギルドを後にしガルドさんに挨拶をしてから外へ出る。
『では、<マップオープン>クロウラーを<サーチ>!!!』
ブンッ!!っと音を立て目の前にマップウィンドウが出現する。
『ねーねー 今日は、クロウラーの方向だけ覚えておいて、昨日の素材を<サーチ>して採取しながら向かおうよ』
『そうだね、数が多いから薬草・魔草・その他の3色で行こうか』
『うん、その他、優先でサクサク行こっか』
俺達は、魔物に十分注意しながら道中で採取し進んでいく、やはり、ちょこちょこ止まるので結構時間がかかる。