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僕の町

作者: カロン

僕は、広瀬ひろせ ゆめ

この御八代町みやしろちょうに住んでいる

この町には不思議な事がよく起こる。

通り魔事件だの幽霊騒ぎだの物騒なものからいかがわしいものまで様々と。

この前聞いたのは

死んだ人が集まる喫茶店があるとか?

とにかく変わった町なんだ。

そんなこの町のちょっと不思議な話をみんなに聞いて貰おうと思う

なぜこの町にそんなに詳しいかって?

それはね、僕自身がこの町の不思議の一つだからだよ



御八代町三丁目のバス停を降りて

美容室を横切り少し歩いたところにあるお地蔵さんを右に曲がると長い階段のある神社がある

そこで昔女の子が行方不明になったんだ。

その子は1人の時間を好み色々な空想のお話を書くのが趣味だった

今日はその子の話をしよう。



その子の家はお父さん、お母さん、妹

そしてその女の子の4人家族だった

お父さんは時計職人、お母さんは専業主婦、女の子は中学二年生、

妹は小学4年生

とても仲のいい家族だったよ

でもね、女の子はいつも自分だけが異質に思ってたんだ。


何故だかはわからない、ずっとそう思ってた。

それはどこに行ってもそうで常に自分だけが異質だと感じた。

だからだろうね、よく神社で1人、空想のお話を書いてた


そんなある日、いつもの様に

女の子は神社で空想をしてた。

その時はたしか…そう、夜中に現れる通り魔の話だったかな。

普通の通り魔じゃないんだ。

なんでも切ってしまう、そうなんでもね……と、まあ

通り魔の話は今はいいね。


女の子なのにそんな物騒な話を考えるのかって?

当たり前じゃないか

性別なんて関係ないよ

それに中学二年生だよ?

そういうのが大好きな年頃さ


まあ、そんな話を書いてたのさ。

そこに1人の女の人がやってきたんだ。

その人は歳は20代前半くらいで真っ白い着物に真っ赤な髪っていう妙な格好でね

女の子に声をかけてきた。

「なぁなぁ、お嬢ちゃん、なにしてるん?」

女の子はヤバい奴に絡まれたと思ったよ

「いえ、別に…

1人が好きなんでほっといてください」

ひょこひょこ歩きながら女の子にとなりに腰かけた

変なのが来ちゃったなーと思ったね

「えー、我、暇なんよ

そう言わんと、教えてくれん?」


…まあ、変なのは自分もだな

それに空想のネタにもなるかも

そう思って女の子は女の人と話すことにした。

「お話を考えてるんだよ。

空想の話。

今は通り魔の話だよ。」

「ふんふん…通り魔?物騒やんね、…見せてくれん?」

「…いいけど…。」

そう言って女の子がノートを渡すと女の人は目をキラキラさせて読み始めた。

「んー…これはなかなか…なぁなぁ続きは?」

「まだこれからだよ。今書いてるところ」

「そか~…他の話はないん?」

「あるけど…家にある。読みたいの?」

「うん!我は気に入った!他のも読ませて」

「う…ん」

女の子は内心嬉しかったよ

そりゃ1人が好きとはいえ

物語ってのは読んでくれる人がいて初めて成立するものだからね。

そんなに喜んで読んでくれる人なんていなかった。

「じゃ…じゃあ明日持ってくるよ!」

そういうと女の子はその人に別れを告げいそいそと家路についた。


それからは神社に行くと必ずあの人がいた。

女の子は自分の考えたお話の書いたノートをたくさん持って行って

読んでもらっては感想をせがんだ。

あの人も何度も何度も楽しそうに読み、感想を言ってたよ。


そしてあの日が来た。

「ねえ、そういえばお姉さんの名前聞いてないね

なんていうの?」

「我?御八代いうんよ~」

「御八代?町と同じ名前なんだね

覚えやすくていいわ」

クスッと女の子が笑うと御八代はこう言った

「ねね、我、あんたの作る話好きよ。

我のためにもっと作ってくれん?」

「良いよ、読んでもらうの嬉しいし…。

お話作ってるのが一番楽しいんだ。」

自分の作った物語が好きだなんて最高じゃないか

そりゃ、良いっていうよね。

「やった、それは良かった。

じゃあ、、行こうか?」

「え?」

御八代がニコォっと笑ったと思うと不意に周りの木々がざわついた

そして…その日、その女の子





 広瀬夢は街から姿を消したんだ。





そう、これは僕の話さ。

でもね、本当は僕は消えたわけではないんだ。

ちゃんとこの町にいる。

ただ君達には見えないだけだ。

…かわいそうだって?

とんでもない、今は自分が異質だとは思わないよ。

そりゃ家族には少し悪い気もする。

あの後、僕の事を散々探してくれて全然あきらめないんだ

妹なんて僕に懐いてたからね、大泣きさ。


でもね、

僕は今とても楽しいんだ。

ここでは僕の作った話が生きてるんだ。

そして君達にもこの町の話ができる。

さて、僕の話はこれでおしまい。

次はどんな話がいいかい?


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