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残念なイケメンとの過ごし方  作者: M maker
残念なイケメン
7/14

先生、購買のパンの購入方法を抽選式にすれば世界は平和になると思うんですよね。

おもり』

他人の身の上や心情に心を配ること。また、その気持ち。同情。「―のある処置」「病人に対する―がない」

――――――――――――――――――― seventh accident ――――――

突然の転入生であり、

容姿端麗ようしたんれいなのに、目つきが悪い

                ・・・くせに縞パン履いてる系・・・

スレンダー美少女「東条とうじょうかなめ

そんな東条とお隣さんになってしまった僕こと「人無ひとなし六月むつき」は、

なぜか日曜日に、かの有名なデデニーランドに来ていた。


東条「ねえ、人無君。質問があるのだけれど、良いかしら?」

六月「どうぞ、東条さん」

東条「私たち、なんでデデニーランドの朝の行列に、2人で並んでいるのかしら」

六月「それは・・・」


――事の発端は、1週間前にさかのぼ


瑠衣「聞いてるの六月?」

昼休み、自分の席で黄昏たそがれている僕に、

幼馴染の瑠衣が、今日も元気に声をかけてくる。

六月「ん?あぁ・・・聞いてるよ。学校生活における昼休みの

   活用の仕方で、今後社会に出た時の姿が垣間かいま見えるって話でしょ」

ちなみに僕が考える昼休みとは、

栄養摂取えいようせっしゅ及び午後に控える授業の為に、

人と話さず、精神を統一する時間だ。

別に友達が居ないからとかじゃないんだからね!勘違いしないでよね!

瑠衣「私、そんな高尚こうしょうな話振ってないんですけど!?

   違くてー、今度の日曜日空いてるかなー…なんて」

いついつ空いてる?みたいな質問をしてくる場合って、

大体その後に、どこどこ行こうって話すんだから、

最初からいついつにどこどこ行こうって言うべきだと思うのは僕だけかな。

六月「日曜?あー無理だよ。先週から始まったネトゲイベントが、

   ポイント制だったから、日曜とかまさにスパート!スパートなんだよ!」

ネットゲームやスマホゲームをやる人なら理解してくれるだろう。

ポイント制の積み立てイベっていうのは、あれは他のユーザーとの

間接戦争なんだ。

やり方は自由、大量の課金でをねじ伏せるもよし、

青春を対価たいかに、寝ずにプレイするもよし。

そして、僕は・・・両方を選択する。

つまり重課金じゅうかきん自由売却型じゆうばいきゃくがただ。

人を駄目にしちゃうからい子は真似まねしちゃ駄目だぜ。

瑠衣「なんだ特に用事はないってことね。」

僕は割と自己中だと思うけど、自己中よりも人の話を聞かない奴の方が、

先にどうにかするべきだと思うんだよね。

六月「・・・はぁ。それで何の荷物持ちして欲しいの?

   この前みたいに家電は嫌だぞ!テレビとかさ、あんなの普通郵送するだろ!

   しかも50インチって、僕じゃなくてムキムキな引っ越し業者さんでも、

   を上げるって」

先日、4Kテレビが欲しいとか言い出した瑠衣に、

秋葉原に連行され、腕がげるんじゃないかって、

思いをさせられたばかりなのだ。

瑠衣「だって、何かしら理由が必要だったんだもん。。。その、

   六月と、、、一緒に、、、」

ごにょごにょ言いながら、身をくねらせる幼馴染。

蝉の脱皮とかってこんな感じなのかな動作的に

六月「え?そんなに4Kテレビ必要だったの?」

瑠衣「違うわよばかー!」

いきなり怒り出すし、ほんと女性っていうのは奥が深いよ。

女心おんなごころとネトゲきょうキャラの弱体化改変じゃくたいかかいへんっていうくらいだしな。

瑠衣「そのね。チケットが当たったのよ。」

六月「ふーん。おめでとう。何のチケット?」

バッグから透明なクリアファイルに入った2枚のチケットを、

僕に見せてくる。

これって、ペアチケット?えーと、東京デデニーランド

六月「チケットってデデニーのペアチケットのこと?!」

満面の笑みで、嬉しそうにクリアファイルを抱きしめる瑠衣。

瑠衣「そーなの!凄いでしょう。この前、商店街のくじ引きでね。

   だから、六月。今度の日曜日は私と一緒にデデニーランドに・・・」

六月「無理!だ!断固拒否だんこきょひする!」

瑠衣「えーなんでよ。無料で行けるのよ?あのデデニーランドに、

   しかもこんな美少女と一緒に!」

諸君しょくん今一度いまいちど考えて欲しい。

周りでこんな男子の声を聞いたことはないか。


「金を貰っても行きたくない」

「誰が好き好んであんな人込みの中に」

「中におじさん入ってるだけだ」

「並びたくない、待ちたくない」

「歩きたくない、部屋に居たい」


うんうん。聞こえる。聞こえるよ皆!

そう、ああいう娯楽施設ごらくしせつみたいなところって、

好き嫌いがはっきり分かれる。

そして男子の大半は、正直面倒くさいと思っているはずだ!(当社調べ)

しかも行ったが最後、帰りまで混雑に巻き込まれ・・・

休日なのに、

休日じゃない感じになっちゃう!なっちゃうんです!


そんな僕と瑠衣とのやり取りを、前方の席から見ている東条。

その東条の口元が動いている。

えーと、、、

           あ・い・し・て・る・わ


・・・いきなりそんな事言われてもなぁ

僕が愛しているのは、Ⅰの魔術師のルルズちゃんだけだし

というか僕、読唇術どくしんじゅつ使えた?!

先程さきほどと全く同じ口の動きをしながら、少し苛立いらだっている東条


           

           あ・い・し・て・る・わ


ふふ、それは分かったって


           あ・い・し・て・る・わ

           あ・い・し・て・る・わ

           あ・い・し・て・る・わ

           あ・い・し・て・る・わ


こ、怖いよ!まさかのヤンデレ系ヒロインでしたか!


東条が自分の席を乱暴に立って、こちらに向かって歩いてくる。

六月「や、やあ、東条どうしたの?いきない告白なんてしてきて

   びっくりしちゃったよ」

何故かぷるぷると小刻みに震えだす東条、

それを不思議そうに見る僕と瑠衣。

東条「お・な・か・へ・っ・た」

六月「へ?」

東条「お腹減ったって言ってたのよ!

   読唇術も使えないの!」

使えるよ。さっきの見ただろ。

六月「照れ隠しか。意外と可愛いとこあるんだね。」

今度は拳を握り始める。

握った拳を開き、僕の机に両手を叩き付ける。

東条「お腹が減ったから、何か買ってきなさいよ!」

ヘ、ヘイおかしら、ただいまー ってなるかい。

六月「なんで僕が東条の食事を買ってこないといけないんだよ?!」

東条「私の今の知り合いが、人無君しか居ないからよ」

理由になってない。別に知り合いが居ないなら自分で買いに行きなよ。

六月「知り合いが居ないなら自分で買いに行きなよ。」

思考と言動のリンクってやつだ。今僕は思ったことをそのまま言った。

東条「分からないのよ」

六月・瑠衣「なにが?」

瑠衣と顔を見合わせてしまう。

東条「購買の場所・・・」

そんなの地図見たら一発で、あ・・・この子まさか

東条「方向音痴ほうこうおんちなの!!」

左様ですか。

六月「瑠衣、案内して差し上げなさい。」

瑠衣「えーーー?!!!」

キッと睨みをきかせてくる東条

東条「私は、君に頼んだの。

   この私が自分の弱点をさらしてまで、頼んでいるというのに、

   君には思いやりって心がないの!」

んーどうだろう。まだ経験したことはないけど、

道端に捨てられている子猫が居たら助けるくらいの思いやりは、

あると思う。

六月「わ、分かったよ。じゃあ瑠衣、その話はまたあとで、

   とりあえず昼休みが終わる前に、この腹ペコ姫を、

   購買部に連れて行ってくるよ。」

瑠衣「ま、待って私も行くから!

   2人きりなんてさせないからね東条さん!」

たかが購買にパン買いに行くくらいで、2人も案内役要らないだろう。

先程の醜態しゅうたいはどこへやらな東条様。

東条「感謝するわ。2人とも」

ぐぐ・・・こいつは一度酷い目、見させた方が良い・・・


我が校舎は3階立てで、購買部は1階にある。

だからエレベーターを使って降りるか、階段で行くかの2択なんだけど、

まあエレベーターなんて基本使う奴がいないので、

大体階段になる。

昼休みも始まってしばらく経つとなると、

あの現象が起きるから急いで階段を降りなければならない。

そう「売り切れ」現象だ。

これ現象でも何でもないな。


急いで、階段を降りる僕と瑠衣と東条。

上の方からお叱りの声が掛かる。

担任の盛岡だ。

「お前たちー走るなー危ないぞ。というか校則で禁止されてるだろー」

こういう時にいち早くブレーキを掛けるのは、

優等生の瑠衣だ。

瑠衣「は、はい!先生!ごめ、ごめんなさい!」

六月「瑠衣!そんなに急に止まったらあぶ」

ズルッ

瑠衣「え?」

綺麗に階段を転がり落ちていく瑠衣。

急いで駆け寄っていく

六月「瑠衣!大丈夫か!どこか、血は、怪我は!」

全身をくまなく見るが、一見するとどこも外傷は無いように見える。

僕に遅れて東条も走ってくる

瑠衣「大丈夫よ、六月。・・・痛っ」

六月「瑠衣!」

東条「吉川さん!」

六月「瑠衣!瑠衣!なあ!どこが痛むんだ!」

右足首を両手で抑え、苦痛に歪む瑠衣の顔に

何もできない自分の無力感を、感じずにはいられない。

六月「せ、先生!救急車!お願いします!」

その光景を呆然ぼうぜんと見ていた先生は我に戻り、

急いで、スマホを操作した。

盛岡「お、おう、待ってろすぐ呼ぶから」


△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△


数時間後、診察が終わり

骨にヒビが入っているが、安静にすれば

2週間程で、普通に歩けるようになるとのことだった。

診察室の前で待っていた僕と東条は立ち上がる。

六月「良かった。全く急に止まる奴があるかよ。」

松葉杖をつき、照れくさそうに笑う瑠衣

瑠衣「ごめんね、六月。心配かけちゃって、

   1週間もすれば普通に歩いても大丈夫だって」

東条「ごめんなさい。吉川さん。私がわがまま言ったせいで・・・」

うん、まあ元はといえば、この傲慢姫ごうまんひめがいけないんだが

瑠衣「気にしないで東条さん。私がその・・・付いていったからだから」

東条「そんな・・・」

うん、まあたしかに何故かついてきた幼馴染も余計だったんだが

瑠衣「だからこれ、受け取って

   私は、行けなくなっちゃったから。

   代わりに2人で行ってきて」

そう言いつつ、透明なクリアファイルを東条に渡す。

東条「これって、デデニーランドのペアチケット。

   でもこれ吉川さんが人無君と、行くはずだったものじゃ」

夕暮れ時の病院の窓から差し込む夕日に片側の顔を、

紅く染めながら瑠衣が、遠い目をする。

瑠衣「私はさ、ほら行けなくなっちゃたから」

・・・いやいや、なんかもう羽を捥がれた妖精的な感じ出してるけど、

タイミング悪かっただけでしょう!

何だったら全治2週間でしょう!

東条「うぐ・・・吉川さん・・・分かったわ。

   吉川さんの分まで、私、頑張るからね。」

・・・なにを?!ていうか、なんで泣いてるの東条さん・・・



――――――――――――――――――― sunday ――――――

そして日曜日、僕は何故か開園前のここデデニーランドに東条と来ていた。


東条「ねえ、人無君。質問があるのだけれど、良いかしら?」

六月「どうぞ、東条さん」

東条「私たち、なんでデデニーランドの朝の行列に、2人で並んでいるのかしら」

六月「それは・・・」


六月「それは東条が方向音痴だったからだよ!」

東条「・・・ごめんなさい。」


つづく








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