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残念なイケメンとの過ごし方  作者: M maker
残念なイケメン
6/14

先生、肉の焼き加減って10段階あるって知ってましたか。

『修羅場』

激しい闘争の行われている場所、

あるいはそのような場所を連想させる戦場または事件・事故現場といった状況

――――――――――――――――――― sixth accident ――――――

フンフンフーン♪

実に陽気な母さんが、今晩の夕飯であるところの

ハンバーグダネを整えている。

一方、我が家のソファーときたら、、、


3人用のソファーの両端に座る僕と、瑠衣。

1人用のソファーに座る東条。

僕は出来るだけ関わり合いたくないので、1人用ソファーから最も

離れた位置を確保していた。


□(六月) ←現在地

□ 

□(東条)

  □(瑠衣)


意外にもその空間では無言の時間が流れていた。

そこには言葉が無かった。


ま、まあこのまま何事もなく時間が流れてくれれば、

事なかれ主義の申し子である僕としては、

大変助かりま

瑠衣「ねえ、何黙ってるの六月。

   あんたが諸悪の根源なんだからあんたが話始めなさいよ。

   説明しなさいよ!」


せんでした。                 

      ・・・              ・・・・・・

東条「そうよ六月君。早くこのうるさそうな子に、私たちのことを釈明しなさい。」

少し東条と話して分かったけど、この子、事を荒立てる才能があるな。

高みからの物言いや、思ったことをオブラートに包まないところとか、

あと多分あれですね。

ほら女性同士の舐められたくない感っていうのかな?

僕は男だからそういうの分かんないけど、

相手に対して優位に立とうとする。

瑠衣「はあああ?!うるさくありませんー。

   というか私たちとかぬかしてますけど、

   あなたが六月と会ったのは今朝でしょうが!

   私が何年、六月と一緒に居るのか知ってる?」

元々強そうな目つきなのに、

更に悪い目つきへと進化を遂げる東条の瞳と眉間。 \パッパラパー!/

どうやらうるさい同性が苦手な様で、それは・・・ご愁傷さま。

東条「時間の長さというのは付き合いの深さに比例するものではないわ。

   あなたもしかしてお付き合いとかしたことがないのかしら?」

瑠衣「むんがぁぁぁ!そういうあんたは経験豊富そうね!

   この足軽あしがる女!」

はあ、ナンセンスだよ瑠衣。修羅場ワードトップ3に入るであろう、

けなし言葉を間違えているぞ。仕方ない奴だ。いつも通り訂正してあげよう。

六月「瑠衣、それを言うなら尻軽しりがるだ。"この尻軽しりがる女"さんはい!」

瑠衣・東条「「六月・君は少し黙っていて!!」」

ぐす・・・怒られたんですがしかし・・・


ジュウウウウウウウ ジュウウウウウウウ


「そろそろ焼けるからテーブルの方に移動してくれるー?

 あと肉の焼き加減見てるから女の子たち手伝ってくれるかしら」

台所の母さんからお呼びがかかる。


六月「は、はーーーーい!

   ということでさ、二人とも肉に罪はないからさ」

東条「そうね、罪があるとしたら、自分の身の回りの女性関係を

   整理していない君ね。六月君。」

瑠衣「六月はいつだってそう!中学に入ったときだって!

   全部六月が悪いんだからね!」

共通の敵を前にした時、人というものは結託するものだ。

どうも原罪げんざいの六月です。あ、なんかかっこいい。

今度ネトゲの決闘イベの時のキャラネームにしよう。


食卓に移り、食器の準備やらを手伝う瑠衣と、

慣れた手つきでご飯をよそう東条。

こうして見ると二人とも可愛いし、嫁力高い良い子たち・・・なんだけど。


やや長方形の一般的な4人テーブルに、


   □母         □瑠衣




   □東条         □僕


の席順で着席。


母「今回は良いお肉だからね。

  焼き加減はミディアムレアにしておいたわ六月が好きなのよ。

  二人もレアで良かったかしら、

  もしあれならもう少し焼くからね。」

東条「お構いなくお母さん。(にっこり)

   それより私も御馳走になって良いんですか?」

母「良いのよ。るーちゃんにお父さん居ないの伝え忘れちゃってね。

  お父さんの分まであるから、食べていって」

東条「それではお言葉に甘えて」

ここで隣の席の東条が僕の方に、顔を近づけてくる。

耳元まで来ると、

東条「(人無君の好み、ウェル(よく焼いた状態)

   でもレア(表面のみを焼いた状態)でもない、

   ミディアムレアって、

   君の中途半端で優柔不断な感じがよく表れているわね。ふふ。)」

き、貴様ぁ!今貴様は、全国のミディアムレア好きを敵に回したぞ!

良いじゃん中途半端で!焼き加減と性格は関係ないだろうが!

瑠衣「何コソコソ話してるのよそこー!」

東条「あら何でもないわよ。吉川瑠衣さん」

瑠衣「ぐぬぬぬぬ。。。ねえ六月。やっぱり落ち着かないんじゃない?

   今からでも東条さんと席変わってあげようか。幼馴染の私と隣の方が、

   落ち着くわよね?ねえ?」

どっちでもいいです。今の僕の頭の中には、目の前のハンバーグを冷めない内に、

美味しく召し上がることしかないのです。 心頭滅却しんとうめっきゃく心頭滅却しんとうめっきゃく

六月「もう席付いちゃってるしさ、これで僕は大丈夫だから。

   だから早く食べようよ。せっかく母さんが絶妙に焼いてくれたんだし」

瑠衣「そう・・・」

また耳元に来て、話をする東条

東条「(ふふ、君のこと余程好きなのね。

   こんなミディアムレア男のどこが良いのかしらね。)」

すげえ旨そうな男ですな。

六月「(ヴェリー・ウェルダン(完全に中まで焼いた状態、

   肉汁が全く外に出ない)っぽい東条には、負けるよ。)」


よし、一通り冷戦も終わった様だし、

では改めて楽しみにしていたハンバーグ先輩!いっただっきまーす!

テーブルマナーは一通りの教育を受けている僕は、

慣れた手つきで一口サイズに肉をカットし口に運ぶ。

うん!これはなんという!


母「それで六月はどちらとお付き合いしてるのかしらね」


なんということだ。


夕食せんそうが終わり、2人の女の子を見送りに玄関まで出ていく僕と母さん。

東条「お母さん、本日は御馳走様でした。ハンバーグ凄く美味しかったです。」

瑠衣「うん、こうジュワーって感じで、それでいてしつこすぎず!ごちそうさまお母さん!」

母「お粗末様そまつさまでした。また遊びに来てね。六月、友達居ないから」

るわ。ネットに沢山な。

母「じゃあ私は、お父さんがもうすぐ家に着くって連絡あったから、

  お風呂の準備してくるわね。2人とも気を付けて帰ってね」

そう言って、家の中に戻っていく母さん。

六月「じゃあ気を付けて帰ってね2人とも、っじゃ」

きびすを返し、軽やかな反転、去ろうとする僕の首根っこが掴まれる。

瑠衣「六月ー、まさかと思うけど夜道を女の子1人で、帰らせるつもりー?」

六月「あ、いや瑠衣なら大丈夫だよ。」

瑠衣「どういう意味よ!?」

そういう意味だよ。

東条「ミディアムレア男に何を期待しているのかしら、吉川さん。

   私は1人で先に帰るわ。またね人無君。」

そうか東条は家のことがあるからな。さり気無い撤退、流石です。


そのあと、仕方なく瑠衣を家まで送り、帰路を急ぐ僕。

「ハンバーグ凄く美味しかったです。」

「うん、こうジュワーって感じで、それでいてしつこすぎず!」

・・・・・・なんでお前らが僕のハンバーグを堪能してるんじゃい!

まあ、確かにあのハンバーグは、


あれ?


その日のハンバーグの味は、思い出せなかった。
























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