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残念なイケメンとの過ごし方  作者: M maker
残念なイケメン
5/14

先生、個人情報保護法って3回言ってみてください。

『自己中心的』 自分自身を物事の中心と定義して、世の中の物事を解釈する。

また、そのような考えを元に、他人のことを考慮しない行動をする性質のこと。

――――――――――――――――――― fifth accident ――――――

=自室=

お互いに最悪な出会い、最悪な第一印象同士の、

僕こと人無六月ひとなしむつきと転入生の東条要とうじょうかなめは、

一番悪いパターンを回避する為に頭を働かせていた。

つまり少なからず、関係があるとバレている学校の連中に、

この上、お隣さんだなんてことが知られたら悪い噂が立つに決まっている。

思春期の少年少女の恋愛に対する、偏った情熱や妄想は、

時として恐ろしい力を発揮するのだ。

六月「まずいことになったなぁ。まさか東条があの隣に出来た

   屋敷みたいな家の住人とは・・・。

   こんなこと瑠衣やクラスの奴らにバレてみろ。」

背筋が凍る。

携帯が振動し何かの着信を告げる。

まだ時刻は午後6時前だし、ネトゲの招集にしてはちょっと早いな。

おもむろに画面を覗くと、


「提案があるの、これから私が登校する時間を決めるわ。

君はその時間に出て、私と間違っても一緒の時間にならないように」


六月「最近の迷惑メールっていうか、アプリのメッセンジャーは、

   妙にリアルな文面送ってくるんだな。

   あ、母さーん。夕飯はハンバーグが食べたいでーす。」


「ちょっと、見てるんでしょ。返信くらいしたらどうなの」


六月「・・・粗びきだよー。ジューシーなやつを頼むねー」

ピンポーン   チャイムが鳴り、

ピンピンポピンポピンポーン 連打される。

ピピピピピンピンピンピンポーン

六月「なんなんですか一体!ピンポンダッシュならまだしも

   ピンポンラッシュってオーイエーですか!」

チャイムの音とは、なぜこうも耳に残り不快な気持ちにさせるのか

そんなことを思いつつ、玄関のドアを開ける六月。


東条「君ねえ、私が連絡したのに、どうして返信寄越さない訳?

   普通、送られてから1分以内に返すものでしょう?

   親から習わなかったの」

あ、迷惑メッセンジャーだ。

△迷惑メッセの東条が勝負を挑んできた

六月「瑠衣から聞いたのか。瑠衣以外は僕のスマホ情報を知る者はいないはずだよ」

東条「え?普通にネットで検索したのよ?実名でお顔ブック登録してるなんて

   余程個人情報の管理が甘いのね、君。」

六月「・・・」

こっわ!こいつ僕の名前をネットで検索してたのか!?家に帰ったあとすぐに?!

いやそれよりも僕の個人情報、ほんと安易に特定されるんだな。

現代ネット社会、恐るべしだ。

母「六月ー友達ー?」

夕飯の準備をしていた母が台所からこちらに顔をのぞかせる。

六月「母さん、友人という定義には当てはまらないよ。

   この人は、そうだな知り合い。そう、知り合いだ。」

母「ふーん、それにしても可愛い子ね。」

さっきの僕に対する態度はどこへやら、スーパーにゃんこ被りタイムに入った東条

東条「こんばんわ。お隣に越してきた東条家の娘で東条要と申します。

   お忙しい夕飯時にお邪魔してしまって、すいません。

   こちらの"む・つ・き"君に少し用事がありまして、

   すぐ終わりますので、お気になさらないでください。

   後日、両親と改めてご挨拶に参りますね。」

君・キミ・チミ・とか読んでたくせに妙に、強調してきたな。

母「あらあら、じゃあお邪魔虫は夕飯の支度に戻らせてもらうわ・・・

  六月、あんたも隅に置けないわねぇ。ふふふ」

か、勘違いしているよママン。

母さんが台所に戻ると、いつもの鋭い視線に戻る東条。

東条「今後のことを話に来たのよ」

六月「今後?」

東条「私はね君と」

何かを話し始めようとする東条に、

その話題が始まる前に、既に我慢の限界だった僕が話を遮る。

六月「東条、僕には六月って名前がある。

   君、君、君ってお前はム○カ大佐か!3分間待ってやるか!

   名前でちゃんと呼ぶまで、何を言われようが何も話さないからな!」

さすがに国民的アニメ―ション作品はご覧になったことが、あったのか。

東条の顔がより一層険しくなる。

東条「なんで私が、君とそんなに親しくもない私が、

   君のことを名前で呼ばなきゃならないわけ?

   そんなに君が嫌なら、名字で呼んであげるわよ」

地雷だ。こいつは絶対に踏んでくる。

東条「人で無しの人無くん」

六月「んがああああああああああああああ!」

東条「ちょ、ちょっと何よいきなり

   びっくりするじゃない」

六月「僕の!どこが!人で無しなんだ!」

東条「道端でぶつかった相手に、対して

   中身のない笑みでその場を取りつくろおうとする所とか、

   皆の前で、はずかしめを受けさせてきたこととかよ」

あ、人で無しでした僕。てへっ

東条「ほらみなさい。何も言い返せないじゃない」

そう言いながら、勝ち誇り鼻高々なご様子の東条

中学生の頃だったか、人でなしという言葉を覚えた友人たちに、

からかわれてからというもの、僕の中でこのいじりはトラウマ化していた。

ネガティブなトラウマの何がいけないかって、

事実とは例え違っていても、ずっと言われ続けている内に、

あれ?自分って本当は人でなしなんじゃないかって自己暗示にかかっていって

しまう点だ。

東条「お喋りな口が、大人しくなったじゃない。

   じゃあさっきの続きを話させてもらうわよ。

   その前に、寒くなってきたから中に入れてくれないかしら

   というか外気から察しなさいよ」

外気から何を察しろと言うんだ。僕は蛇じゃないぞ。

六月「はいはい、東条様。

   あなたのお家に比べたら狭いですが。

   どうぞお入りください。」

自虐風牽制じぎゃくふうけんせいをしたつもりが、何か癇に障ったのか眉間みけんにしわが寄る東条。

東条「お邪魔します。っていっても話が終わったらすぐに帰るわ。」

六月「ああ、今すぐにでも帰ってくれ」

また眉間にしわが寄る。よし、もうすぐバ○ディ様に支配されているときの、

ベジー○並みのしわだ。

東条「ほんと失礼な奴」

六月「こちらは今、時間が惜しいんだ。(ただでさえ帰り際に瑠衣に捕まって、

   ネトゲのイベが滞っているというのに)」

東条「人無君の予定なんて知らないわよ」

こ、こいつは・・・。

ふう、落ち着け六月。今は夕飯の粗びきハンバーグの事だけを考えるんだ。

台所にいる母さんに、侵入者の報告をする。

六月「母さん、少しだけあがっていくみたいだけど、

   す!ぐ!に!帰るらしいから、

   夕飯は東条の分いらないよ。」

母「あら、そうなの。そんなに急がなくても良いわよ。

  まだ食材がないから作り始められないし」

六月「食材がないって、スーパー行ってないの?

   今日は父さんも会社の人と食べて帰るって言ってたし、

   ああ、最近の宅配サービスって凄いんだね。」

母「何言ってるの、るーちゃんに頼んだのよ。

  今日はるーちゃんのママ、宝くじ歌劇団かげきだん見に行ってるからね。

  一緒にご飯食べようって私が誘っておいたのよ」

よ、余計なことを、してくれおって



          ピンポーン


無表情で、インターホンのボタンを押すと、

外の玄関に取り付けられているカメラの映像が、

映し出される。


瑠衣「粗びき買って参りましたー!ハンバーグハンバーグー♪」








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