アルカナの本塁打王
98話目!
30万PV超えました!!!!
いつも読んでいただいてありがとうございます!
もしも金属バットだったら。
いい音してたんだろうなぁ...。
と、まあ未だにムアサドー達をホームラン連発している訳だが、一向に数が減らない。
どんだけいんだよ...とかいう間も無く新たな魔獣が飛んでくる。
「ふう。だいぶ吹っ飛ばしたな...」
フリーバッティングをどれだけ続けただろうか?やっと一段落ついて、会話できるくらいにはなった。
ちなみに今はスタアと一緒に行動している。
スタアと一緒にいた男は戦線離脱だそうだ。もう戦いたくないとか。
そもそもなんでこんなにも大規模な戦いになったかと言うと、深いわけがあった。と、スタアから聞いた。
なんでも、最初のうちは対人戦な上に、相手が国民、国からの命令は、怪我させずに捕縛すること。でも相手は暴徒だからそんなことできる訳がなく...。
魔術師は役に立たないし、剣士だって剣を振るうわけにはいかなかった。結果怪我人は増えるわ、被害は拡大し続けるわ。
最終的には非戦闘員である国民の方が先に疲れ果てて、戦いは終わった。
と、思ったが、都の端で魔獣を作っているなぞの集団を発見。
初発見したのがスタアだったと。
モンスターとの戦闘では、後衛職の援護は必要不可欠である。
特に動きの早い敵にとって、範囲的に攻撃できる魔術という存在が最も厄介なのだ。
だが、こちら側の魔術師はもう疲れ果てているか、怪我をしているか。
そもそも対人戦ではあまり金にならない。と、強い魔術師は帰っていく始末。
こちら側の戦力は、数はそこそこいいものの、質が足りない状況にあったわけだ。
まさに蟻のようだ。
そこに魔獣が登場。その動きについていける冒険者も少なくは無かったが、圧倒的な戦える人数の差でジリジリ潰されていく。
と、言った感じ。これがここ数日の大まかな流れだった...というわけだ。
「ここら辺の魔獣も減ってきた。ガリュー君。そろそろ移動しよう」
「そうですね。スタアさんも怪我はありませんか?」
「無い。俺は大丈夫だ」
「何事も無く済んでよかった。先を急ぎましょう」
「何事もなかった訳では無いけれど...」
「え...?やっぱり肩の怪我が...?」
「ああ...いや。そんなことじゃないよ。ただちょっと目が疲れてるみたいでね。ちょっと現実味の薄い現実を見せられている感じだ」
「ああ...まあ街の中心に、これだけ魔獣がいれば目を疑いますよね」
「あー...そういうことじゃ...まあいいか。行こう」
最後まで何が言いたかったんだ?
よく分からない。
(お前がブンブンと魔獣ぶっ飛ばす姿に目を疑ってんだよ)
あー...そういう事ね。
まあほら。斬るより速いからね...。
(そんなの知らねえよ。まだお前は子供なんだから子供らしく戦えよ)
子供はこんなところで戦わねえよ。
(...屁理屈はいいんだよ!揚げ足取りするんじゃねえ)
♢♢♢♢♢
俺達はスタアに合わせて走っていく。
魔物の多い所を見つけるとそこで止まってフリーバッティングをする。
それを繰り返していく。
人の姿はほとんど、いや全くない。多くが城の医務室に居るようだ。
医務室と言うと少し前の自分を思い出す。
医務室送りのあだ名をつけられたのはいい思い出だ。
と言っても、まだ数日前の話なんだが...。
学校にいたのが無茶苦茶昔のように感じる。
とか考えつつ走っていると、人影が遠くの方に見えた。
少しづつそのシルエットは大きくなっていく。
アッシュとナスだ。
現在進行形で戦闘中のようだ。
ナスが風の魔法で敵をひるませる間に、アッシュが攻撃を仕掛ける。
「スタアさん。ちょっと止まってください」
アッシュとナスが俺達の進行方向から見て横側にいたためか、アッシュとナスに気が付かなかったようで、そのまま素通りしていきそうなので止まってもらう。
「どうかした?」
「いや。仲間が」
俺は2人の方を指さす。
「あー...やっぱりか」
「なにか?」
「いや。君の仲間はやっぱり子供だったんだね」
「ああ...まあ。同級生です」
「同級生?剣士学校かなにか?」
「あ。いえ。魔術師学校です」
剣士学校とは、魔法適性がなくとも、剣の扱いさえなんとかできれば入れる学校だ。
魔術師学校と対になる学校だな。
「え...?」
「え?って...どうかしたんですか?」
「君剣士じゃないの!?」
「魔術師です」
そういった途端、スタアさんの口が大きく開いて塞がらなくなる。
数秒して、
「いや...剣士にしてはさっきから振り回して敵を吹っ飛ばしてばっかりで...言い方悪いけど、剣の腕がないのかと思ってたんだけど…」
と言った。
失礼な。
剣道有段者だぞ。下手なわけ...下手なわけ...?
前言撤回。ずっと野球してました。
吹っ飛ばして遊んでました。
「ちょっと魔術見せてもらってもいいかな?」
スタアさんが言った。
「いいですよ」
俺はアッシュ達が戦っている魔獣を指さし、アイススピアを1匹につき1つづつ御見舞する。
「ぬお!?」
1つだけ魔獣とアッシュが近かったこともあって、アッシュスレスレでアイススピアが飛んでいってしまったが、全弾命中だ。
「ガリュー!?もう城には行ったのか?」
ナスがこちらに気づいて、そう言った。
「ああ」
俺もその言葉に返事を返す。
「ガリュー君...?君...それ撃つなら一言言ってくれればいいのに!寿命縮んだよ!?」
「あ...悪い悪い...」
俺はそう言いつつ二人の方へ近づく。
「今のがガリュー君の魔法...。こんなに凄い上に、詠唱もいらない魔法が撃てるのになんで剣を使っているんだ?」
「ああ...それは...」
答えようとしたところでアッシュとナスが口を揃えて言った。
「危ないからだ!」
「危険だからだ!」
「あ...あははは...何はともわれ、無事みたいで良かったよ...」
「無事なわけあるか!?君のアイススピアで貫かれなかったものなんて見たことな......くはないけど、殆ど貫くんだぞ?僕が的なら、簡単に僕の体を貫き、そして後ろの方の民家を5つくらい破壊していくだろうよ!」
ぱっと二人の後ろの方を見ると、綺麗に拳サイズの穴の空いた民家がいくつかある。
街の中心で戦っているわけだから、家はそこら辺に並んでいるからな。
穴を覗くと、おそらくその奥にあるであろう建物の壁が無い。
アッシュの言っている事は最もだと思った。
「悪かったって...ほんと...」
これからは気を付けようと思った。
「まあまあ。喧嘩しないで。先を急ごう」
「あ...そういえばこのひとは?」
「ああ。自己紹介が遅れたね。俺は冒険者のスタア。よろしく」
「えーっと?スタアさん?よろしくお願いします」
「うん。ガリュー君の仲間ってだけあっては君たちもすごい強いんだね。今の戦いで分かったよ。剣の動きがすごく良かった」
「やっぱり分かります?やっぱり勇者たるもの、剣の扱いは上手くないと」
アッシュがニコニコで答える。
「なんで魔術師学校入ったんだよ?」
「勇者たるもの、魔術が上手くなければいけないのだ」
「勇者ってそんなエリートじゃないとダメなのかよ?」
「そうだな。それこそガリュー君のように」
アッシュはそう言って俺の方をじっと見る。
「俺は魔術師だからな?勇者じゃないぞ?」
とか言っている間に、ムアサドーがやってきた。普通に大剣を振るう。
「それで魔術師?ほんとかなガリュー君?」
「うるさいな...」
「ほ、ほら、喧嘩せずに...先行こう」
スタアさんが止める。
「そうですね」
俺達はアッシュとナスと合流し、さらに敵を殲滅すべく、また歩き始める。
そろそろ100話目です!
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