別レミナス
ちょっとしたシャレです。サブタイトルは。
「...ロールランクアップして、35ランクに上がって...ポイント余りが3330ね...」
レミナスさんの言葉に驚く。
3330余りって...もはや余りじゃねえよ...。
しかし4000あったのに(ゴブリンロードとコボルトロードが一体3000ポイントなので、正確には46000ポイント)こんだけしか上がらないもんなのか。
でもまあ、34ランクから35ランクに上がるのに必要なポイントが7000ポイントだったそうだから、そう考えると40000なんて軽く吹っ飛ぶか。
「これで都の防衛戦に行けますね」
と、レミナスさんに言うと、
「それだけじゃないわ。貢献度ランクもダンジョン攻略で上昇して、10ランクアップ...。ロードモンスター...つまりはモンスターの母体を討伐したから、貢献度ランク4×2...つまり8アップ。合計で貢献度ランク25。冒険者ランク合計60...。もう上級者の仲間入りね...」
「...ダンジョンってやばいですね」
「やばいね。一生かけて上げるようなランクを数時間で稼いで来れるなんて...。私も行こうかな...?」
「辞めといた方がいいですよ。普通に」
「冗談よ。危険な仕事はやらない主義なの。あくまでも私、ギルドの係員よ」
冗談を交わし合いつつ、自分のランクカードを見つめ、興奮する心を抑える。
「そうしたら、もう早めに行っちゃうのね?」
「そのつもりです。他の誰かに先を越されないように。まあ戦争なんてそんな簡単に終わるものじゃないとは思いますが、今回はクーデター、むしろ数日で終わるのが普通。そうすると早く行かないと」
「なんのために急ぐの?」
「あー...僕等は誘拐されてこの隣のライコウ王国に連れてかれたんですよ」
「へえ。あなた達強いのにね...」
「一応皆魔術師学校生徒ですからね」
「そっか。災難だったね。じゃあもうこの街には戻ってこないんだ...」
「多分その筈ですね」
「まあ...なんていうか…ありがとね」
「何がですか?」
「これで昇進できるかな〜って」
ホントなんていうか…いい人なのか悪い人なのか...
「あ...そうすると、今回の報酬のお金が受け取れないね...。口座作る?」
「こ...口座?」
なに?銀行みたいなのあるの?
「高ランクの冒険者だけ利用できるサービスなんだけど、報酬をギルド預かりにして、好きな時に持ち出せるようにできるサービスよ。一度出すと戻せないけど、出すまではギルドが厳重に預かっておくし、どの大陸どの国でも、ギルドがあれば引き出せるから」
まさに銀行だ。ギルド銀行だ。確かに預けるのもいいかもしれない。今回の王冠とか結晶石の方は物凄い値段で売れそうだし。
「高ランクになると、報酬を一度に渡すのが大変な額になる人もいるから、こういうサービスが出来たんだけど、今回は口座作って、報酬が決まったらその口座にお金入れとくよ」
「あ...有難うございます」
「じゃあランクカード貸して」
レミナスさんにランクカードを渡す。
「少し待ってて」
いつも通りの言葉を残してカウンターの奥に消えた。
特にすることもないので、皆のいる酒場の方に戻る。
「どうだった?」
皆はもう食べ終わっていて、椅子の上でぐったりとしている。疲れがここに来てどっとやってきたようだ。
「ああ...ランクアップしたぞ」
「何ランク?」
「冒険者ランク...60だ」
「ろ...60!?」
「ああ。60だ」
カルエルは目を大きくして全力で驚いた顔をする。
「それじゃあもう都の防衛に行けるね」
アッシュはもう戦う気満々だ。
俺は話を一旦止めて、自分の食事をしようと席につく。
まあ言うまでもないが、スープは冷めてしまっている。ちょっと残念だ。
冷たいスープをスプーンですくって飲み干す。
そうすると思ったよりも時間がかかったようで、もうレミナスさんが呼んでいる。
俺は席を立ち、レミナスさんの方へいく。
「口座作ったよ。これで他のギルドでも、受付にランクカード渡して金額いえばお金出してもらえるから」
「有難うございます」
「その...2日間だけだったけど、皆の...いや君の強さには驚かされ続けたよ。なんか...有難うね」
「そんなことないですよ。まだまだ子供です。僕より強い人なんて探せばどこにでもいますよ」
「またまたぁ。謙遜は良くないぞぉ」
レミナスさんのモードチェンジが何故かここで発動。
まあいいけど。
「じゃあね。昇進できたら会いに行くから。また会う時は英雄になってたりしてね。レミナスの名前はしっかり覚えといてよね」
「分かりました。色々な意味でありがとうございました(皮肉も込めてはいる)」
「うん。じゃあね」
そう言ってレミナスさんはカウンターの奥に消えた。
俺は皆を呼び寄せ、店のおばちゃんにつけにしてもらった分を先に払って、ギルドを出た。




