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レミナスの計画

レミナスさんの本性が暴かれる...?

バンッという音とともに、視界が光に遮られ、目が眩む。


「ふふふ...」


レミナスさんの不敵な笑い声が聞こえる。

俺達はこの人に騙されたのか...?

本当に俺達はこの人に殺されるためにダンジョンに放り込まれたのか?

色々おかしな所はあった。やけに急いでダンジョンに向かわせようとした辺りは本当に怪しい。


そんな事を考えながら目を開く。チカチカする目を擦りつつ、なんとか視界を安定させる。


「れ...レミナスさん...どういう事ですか!?」


怒りの感情と疑問の感情が混ざり合う。


「いやあ...まさか帰ってきちゃうとは思わなくてさ...きょ...」


「やっぱり僕達を殺す気だったのか! お前...許さん!」


レミナスさんの返答にアッシュが大激怒。

ギルド内は係の人しかいないので、とても静かだったこともあり、建物内ですごい反響している。


「え?殺す気って何が?」


「とぼけるな! 今の言い方もまるで、あのダンジョンから戻ってこない筈...みたいな言い方だったじゃないか!」


アッシュの怒りは収まらない。


「え...?ああ...それは、今日中に帰ってくるとは思わなかったって事よ。早とちりね」


「じゃあ、さっきの「ゲ」ってなんだよ「ゲ」って!?」


「だから、明日帰ってくると思って、色々用意しようと思ってたのに、予想を遥かに上回る速さで帰ってきちゃったから...」


「用意ってなんだよ! 弱った俺達を殺すためのか!?」


遂にアッシュ、一人称が俺になる。相当怒っている。が、レミナスさんにはレミナスさんなりの言い訳があるようだ。


「アッシュ。待て。先に話を聞こう」


「く...ガリュー君が言うなら...」


「いや...なに勘違いしてるのか知らないけど、私は皆の為にサプライズしようと思って...」


「サプライズって?さっきの光は?」


「いや...さっきの光は、パーティー用のびっくり光魔法よ...。サピライズは...その歳でダンジョン突破なんてしたら、まさに伝説のパーティーだから、祝ってあげちゃったりしてあげちゃたりしようかなーって...」


レミナスさんは目を背けながらそう言った。


「で...?本当は?」


「あ...えっと...昇進のため...?」


「貴様ぁああ!あれか!?黒とか言うやつの仲間か何かか!?ここで切り落としてやろうか!?」


アッシュが遂にそっち系の言葉まで解禁された。

使うなって約束したのに...。まあそんな事はどうでもいい。


「はあ?黒?何言ってるの勇者君。ギルドの昇進だよ。自分が担当したパーティーが大きな活躍をしてくれたら、私の株も上がるのよ」


「「「は?」」」


ちょっと意味わからない。


「だから...皆に私の昇進を賭けて戦ってもらったわけ...」


「なんだよそれ!?僕達はこの人の昇進のために命懸けて来たってのか!?」


「お前何もしてねえだろ...」


ナスの発言にアッシュがツッコミを入れる。

まあ実際戦ってたの俺だけだけどね...。


「いや...そうでもないよ! 私は昇進。皆はランクアップで都の依頼を受けられる。一石二鳥じゃない!」


何が一石二鳥だ...。

一先ず俺たちを殺そうとしたわけじゃないと...。


「で...クリアしたんでしょ? ダンジョン」


んなゲームみたいに言うな。命懸けだってのに。

そう心の中では言いつつも、表面上はにこやかに


「はい」


と答える自分が憎い。

まあしょうがない。人間関係は大切...だよね。


「うん。じゃあ世界的なニュースになること間違いないね。一石二鳥を超えて一石三鳥よ」


「何言ってんだか...」


「まあいいじゃない。ウィンウィンでしょ?結果大きな怪我なく帰ってきたんだし。埋め合わせは今度するからさ! 出世払いで!」


どこの芸人だよ...。

しかし...騙されたと言うべきか...上手く利用されたわけか...


「君たちも気をつけてね。ハイエナが来るといけないから」


「ハイエナ?」


「そう。ハイエナ。最近は面倒な軍団(レギオン)が多くてね...」


「レギオン?」


「そう。冒険者の中級者から上級者が集まってチーム作るのよ」


レミナスさんが職員モードに切り替わる。


「軍団に入ると、ギルドのいくつかのルールから外れて、重要な取り決め以外は、軍団内で勝手に決められるから...」


「つまり何が言いたいんですか?」


「活動もほぼ自由なのよ...。そうするとね、影では暗殺軍団みたいなのも出てきたり、なんか討伐した動物とか採取した野菜でレストラン開いたり...」


「ん?」


レストラン...俺の夢のひとつ...そんなことも出来るんだ...。


「その中でもかなり質の悪い奴らが、情報軍団って呼ばれるヤツらで...」


「あぁ...なるほど。パパラッチか」


前世の記憶から情報+ハイエナで思いついたものと言えば、マスコミ、報道関係者みたいな奴らだ。


「ぱぱ?いや、それがなんだか知らないけど、要はその軍団、情報誌とかいう紙を売ってるのよ...」


「それが私達となんの関係が...?」


カルエルが質問すると、待ってましたとばかりにレミナスさんがドヤ顔で話し始める。


「分かりやすく説明すると、その軍団は色々な手を使って君達から情報を聞き出しに来るかも...?って事よ」


なんか想像出来るな…前世でも芸能人のスキャンダルの時なんて凄かったもんな...。


「でも別に悪いことしてないのに、そんな大掛かりで襲ってきたりなんて...」


「その逆だから襲ってくるのよ」


「と、言うことは?」


「大記録よ。君達みたいな子供が、まだ踏破されて無かったダンジョンを1日でクリア...最高に凄い記録じゃない!?」


「いや...でも別にほかの人に言いふらさなきゃいいんじゃ?」


「そうもいかないのよ...」


「なんでですか?」


「私の昇進のためよ」


「...は?」


「昇進する為には君たちの実績が必要不可欠。それに、ダンジョンの攻略なんて普通上に報告するような大事なんだから、いずれは外にその情報が出回っちゃうのよ」


「報告しないという手はないんですか?」


「私も昇進無し、皆もランクアップなしになるけど、出来なくはないわ」


「え...」


「と、言う訳だから、ハイエナには気をつけてね」


軍団の存在を知ると共に、その恐ろしさまで知った気がする。くれぐれも気をつけなければ。


「で...ダンジョンの攻略については、上の方に連絡しなくちゃいけないから、拾ったアイテム貸して頂戴」


「あ...どうぞ」


王冠や杖、剣etc...ポケットから取り出したものを渡していく。


「そんな目で見ないでよ! そんな、横取りしようだなんて思ってないんだから...」


レミナスさんの言葉に、アッシュの方を見ると、凄く信用できませんって顔をしている。

これまでの行動的にそれは同感だが。


「それじゃ。ちょっと待ってて。通信石でこの国の代表と話してくるから」


「あ...はい」


レミナスさんがカウンターの奥に消えた時、その後ろ姿を見て俺は...いや、きっと俺達全員がそう思ったであろう。


まんまと利用された...と。



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