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ダンジョンから脱出

この作品と同じ世界の、同じ時代を描いた関連作品、魔法世界とイージス艦が完結しました。


以後この作品にキャラ登場予定です。短い4話構成のお話なので、そちらもよろしくお願い致します。

「本当に意味不明な言葉を残して消えたな」


手帳だの7の私だの、よく分からないことを言われ、混乱が生じる。

ただ、「お前の未来だ」という言葉だけは引っかかる。

何かの予言だったのなら、もしかするとちゃんと聞いておいた方が良かったかもしれない。


だが、もうそこにあの地縛霊(自称)はもう居ない。


幽霊は消えたが、何も部屋に残っていなかった訳では無い。


恐らく幽霊が落としたと思われる、謎の石...綺麗な赤色の結晶と、鎧が置いてあった。


俺は二つの物を拾う。

見た目と裏腹に、鎧は物凄く軽い。石なのに軽い。感覚的には...軽石とか…園芸用のパーライトみたいな。

色がダンジョンの壁と一緒だ。


まさか...?


俺はアイススピアを鎧に飛ばす。

すると氷の柱は鎧に吸い込まれていく。


「うおぉ...やばい武器だなこりゃ」


この鎧はどうやら、このダンジョンの壁と同じ材質で作られたようだ。

もうこの鎧そのものがバケモノだ。オリハルコンよりも固く、魔法はすべて無効。その上軽いと来た。もうこれを超える防具なんて見つからなさそうだ。

RPGでいう隠れレア武器的な。


石の方は、なんだかルビーみたいな色をしている。実物見たことないけど。綺麗な色をしている。透き通った赤だ。宝石素人な俺でも、この石に唯ならぬ価値があるということが感じられる。

これでおもちゃのプラスティックの宝石だったら笑う。よく、テレビでやってた、鑑定してもらったら偽物でした。みたいなやつ。

まあなんであれ、ギルドに持っていけば討伐の証明みたいな風にしてもらえるだろう。

石はポケットに入れる。これは鎧と違ってずっしり来た。

鎧は入れるところもないので、自分で着た。

材質は石だから動きにくいかと思いきや、むしろ着てないより動きやすい。

魔法でそういう術式でも組み込まれてるのかな?

動きが滑らかな上に、動きの補助までしてくれる。完璧じゃないか。


まるでロボットスーツ...。俺が持っているのは勿体ないな…。


(バケモノ+バケモノ級の防具で無敵の完成じゃないか?)


多分世界探せば俺より強いやつなんてゴロゴロいるよ。

まだ魔力のランクだってそんな高くないんだし。


(よく言うよ。謙遜しない方がいい時もあるんだぜ)


まあそういう時もあるだろうけど、今はここから脱出するのが一番先。


「さっきあの幽霊が、上の階層に出口がどうのって言ってたよね?」


「ああ。そうだな」


「じゃあちゃっちゃと行っちゃいましょ」


カルエルはそう言うと、階段の上へ向かう。

俺達も階段へ向かっていく。



♢♢♢♢♢



「もう帰ってきたのか!?」


階段を上ると、普通にボブゴブリンロードとボブコボルトロードがいた。


「確かに、あの黒いのが出なくなったなとは思っていたが...」


「流石。俺達を倒しただけあるな」


「ごめん。出口がこの階層にあると思うんだけど。知らない?」


話を遮って出口を聞く。


「いや...知らないな。あ...でもさっきそこがいきなり光って丸い何かが出てきたぞ」


そう言ってボブゴブリンロードが奥の方を指さす。その方向に目を向けると、いわゆる魔法陣というやつが光っていた。


「あれでワープしろってか」


「ワープって?」


「瞬間移動だ」


まあ普通に考えてあれだな。あれに乗ったら帰れます的な。


「んじゃ帰るか」


「え?ちょっと待ってくれ!せめて名前だけでも...いつか恩を返したい!」


ボブゴブリンロードがそう言った。結構義理人情のあるやつだ。


「ガリューだ。もう会わないと思うけどな」


「お、俺はカイン! こっちがアベルだ! このダンジョンにいつでも寄ってくれ! 歓迎する! その時に恩を返させてくれ!」


「多分戻ってこないから。できればもうダンジョンも行きたくないかな。まあ、気が変わったらくるよ」


そう言って俺は魔法陣の上に立った。

俺は光に包まれた。


ーーーやっぱりカインとアベルだったんだ...名前。

そう思いながら。



ーーーーーーーーーー



「王都が陥落したぞ!謎の黒い集団によって、王都が陥落した! アラウィア王国の王都が陥落した!」


街ではそんな話題が絶えない。それもその筈。このバキスタ王国の隣国、アラウィア王国の王都が陥落したのだから。

王都が陥落した。それはつまり、政権が移ったに同じ。その謎の集団...つまりはクーデターを起こした革命軍が支配する国に変わったのだ。アラウィアは。


街の人々は、そんなクーデターを起こすような蛮族が支配する国が隣国となってしまったことに、非常に心配をしていた。

そのうちこの国も支配されるのではないかと。


そんな中、そんな事など知らぬと言うふうに酒場で酒を飲んでいる男がいた。


(我々革命軍によって、一つの国が支配された。他の国も、あといくつかを我々革命軍が支配するだろう)


男は少しにやける。


(すべてはあの御方のために)


「ふふふ...はっはっは...はっはっはっはっは!」


とある街の酒場で、酒に酔ったのか、一人の男が声を大きくあげて笑う。


「私もそろそろ...行かなくてはな...」


男は急に笑いをピタリと止め、酒場を足早に出ていった。


ここまで読んでいただきありがとうございます。


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