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ダンジョンの最深部

いつもありがとうございます

無味無臭。煙たいわけでもない。そんな黒い煙があたりを包み込んでいく。

雰囲気的には重苦しいが、実際重くもなんともない。だが、直感が危険だと俺に呟いてくる。

引き返したいかと言われれば、そりゃ勿論イエスだ。だが、この先を進まなければ、このダンジョンからは出られない。

進むしかない。

そういった思いで進んでいく。


次第にまだ黒いと言っても灰色が混じった色だった煙が、だんだん真っ黒になっていき、遂には光魔法で自分の思う最大出力で照らしてももう何も見えない。


(煙たいわけなら風で吹き飛ばせるんじゃないか?)


そうかもな。

アザゼルの言う通りかもしれない。

俺は自分を中心に風を外側へ散らすように飛ばした。

するとあたりの煙が奥の方へ押し出され、壁にぶつかって消えていった。


魔法だったのか。


「おい...あれ...」


アッシュが前方を指さす。

よく見る遠くの方に、黒い煙を纏った実体のなさそうな幽霊っぽい何かがいた。


「ふふふ...よく来たな...このダンジョンの最深部へ。だが...私はお前達の魂を頂く。来るべき時のために、魂を貯めるためにな...」


幽霊っぽい何かがそう言うと、その何かが黒い霧を出す。さっきの黒い煙はこいつから出てたのか。

厄介だ。すぐに倒さねば。と、ポケットからさっきの槍のように整形したオリハルコンを取り出し、そのまま何かに飛ばした。


が、そのオリハルコンスピアは何かを通り抜け、壁に弾かれる。


「貫通しない筋肉の次は...貫通する幽霊かよ...」


攻撃は通じないと言うことを悟り、不安になってくる。


「私にそんな物理攻撃は効かない...。魂には魂の武器しか効かぬわ」


魂の武器って何?除霊のお札みたいな?


「お前達はじっくり品定めしてから食ってやる。より良い磨きのかかった魂ほどうまい。うまい魂は残しておきたいのでな...」


そう言うと真っ赤な目玉をこちらに向けて、1人1人をじっくり睨んでくる。


ここに来て...なす術なくして終わってしまうのか...?

今ダッシュで走れば上の階へ戻れるだろうか?戻れたところで生きていけるか?本来の目的...帰還はどうなる?除霊できそうな武器を持ってなかったか?

そうだ塩は?...ないか...。


様々な思いが交錯する中、その赤い目が俺の方を向いた。


「なんだ...磨きが違...な...なんと...」


俺を見た途端に驚き始めた幽霊が、絶句する。

もしかすると転生者だから、魂が他と違ったのかもしれない。


「お前...何人目だ...?」


「は?」


幽霊は俺に意味のわからないことを言ってくる。


「いいから速く! 時間が無い! 私のようなやつに会うのは何人目だ!?」


いきなりすごい剣幕で、怒っているのかなんなのかよく分からないが、自分に会ったのは何度目かと聞いてくる。


「え...?いや...初めてですけど...」


「そうか...やっとだ...来るべき日が来たのだ................こうしちゃ居られない。よく聞け」


幽霊は目に涙を浮かべて俺を睨むように見た。


「私はもう任務を果たし、もうすぐ昇天してしまうだろう。私は地縛霊だからな...。だから今からいうことは...一度しか言えない…。よく聞け...」


幽霊が真剣な顔でそう言った。


「え...?いや...」


「時間がないんだ!」


「あ...はい」


すごい剣幕に圧倒された。


「いいか...。私が話すのはお前の未来だ...。だがもう時間が無いから、多くの事は話せない。だからお前は、世界各地を巡り、あと7人の私を探せ...」


「は?」


「私ですらも何処にいるかは分からない。だが確実に世界のどこかに私がいる...お願いだ。話を聞いてやってくれ...」


「そう言われても...」


なにか訳の分からないことを言われて、少し混乱する。

お前の未来だ...と言った。つまりはこの世界の未来...?予言かなにかか?


「私は魂を八つ裂きにされ、様々な場所に封印され、そこで地縛霊となっている...。八つのうちのひとつが私だ...」


なるほど。つまりあと7のこいつの魂を探せと...。なんで俺!?

そう思っていると、少しずつ幽霊の煙が光に変わり、徐々に幽霊自身が薄くなっていく。


「時間が無い! 最後に一つ...世界のどこかに眠る私と...私の手帳を探してくれ! それがあれば...奴を倒すことが出来る! 真実をっ! 知ることが出来る! だから見つけるまでの間...自称神には気をつけろ...幸運を祈る...出口は上の階層だ.......」


そう言うと幽霊は光となって消え、煙も消えた。


「なんだったんだ...?」


「さ....さあ?」


アッシュの質問に額から汗を流しているJrが答える。


「ガリュー君...?知り合い...?」


「バカ言うな...あんな怪物知り合いどころか…見たこともねえよ...」


「でも向こうは君を知っているようだった」


「でも、言ってることもチンプンカンプンだ。予言のような何かだったのか...?」


何もわからないまま、ダンジョンの最深部には俺たち以外誰もいない部屋になった。



急展開です。ものがたりとの関係性やいかに...?


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