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飢餓地獄

更新遅れました...。

ダンジョンには危険がいっぱいです。

いつも読んでいただき有難うございます。

俺は静かに歩きながら小さな声で呟いた。


「しっかし...俺が思ってたダンジョンに比べると...なんだ。ぬるすぎる」


「そ〜だね〜」


俺の率直な意見に、久々にソニックが口を開く。特に落とし穴などのトラップがある理由でもなく、ただただたまーに現れるモンスターを狩るだけ。それだけで財布が重くなるなんて、悪いけど考えられない。


「アリとゴブリンとコボルト...どれも大して強くない。強いて言うならば、数の暴力...だけかな?」


Jrがそう言った。確かに数は半端なかったかもしれないが、魔法を使えば粉砕可能ではあった。


(まあお前の魔力的な問題含めてな)


まあそうかもしれないけど...。でもあんな大規模な竜巻作らなくても普通に倒せたと思う。そう考えれば、数も大したことは無い。こっちが対応し切れれば何の問題もないわけだ。


だとすると...。精神的な問題?でかい虫とか、不衛生な環境だったりだとか...。そりゃあないか。

もしくは...大型のボスモンスターみたいなのがすごい強いとか...?あとは、まだこのダンジョンの最初の方しか来ていないから難易度がまだましなだけなのかもしれない。


仮にそう考えてもだ。果たして本当にこれがレミナスさんの言っていた、超高難度依頼だというのだろうか?

確かに一気に攻めいられたらひとたまりも無いかもしれないが、慎重に行けば見つからずに不意打ちをかけられる筈。というか実証済みであるわけだ。つまり、そこまで言うほどに難しいダンジョンでは無いと俺は思う。


だからこそ、このダンジョンの何も無いところで探索していると、無数の人骨が散らばっていたりするのが、不思議なところなんだ。むしろ逆に何があったのか聞きたいところだ。


(お前さ。コボルトの恐ろしさってなんだかわかるか?)


どうした急に。

あの持ち前の素早さだろ?あとはあの隠密性がどうとか...忍者みたく。


(半分正解だ。正確には、あの速さを活かした盗みだ)


盗み?それのどこが恐ろしいんだ?何も盗まれたって、剣士なら剣1本、魔術師に至っては何もなくても戦えるぞ。


(コボルトはな。食料をどんどん奪っていくんだ。ある村で、コボルトの群れが盗みを働けば、次の日からは飢餓地獄になるわけだ)


そうか!つまりあの人骨は...。


(そう。恐らく長期的にダンジョンに潜っていた結果、食料を盗まれて、餓死した可能性が高い。ある程度腕のたつ冒険者なら、時間はかかっても、あんな脳内バカなゴブリンやコボルトに負けることはないだろう)


そうか...。そういうことか。食料か。食料は死守しないとな...飢えて死んでしまう。


って...ん?食料?食料なんて...


「ちょっとカルエル?」


「何?」


「食べ物なんて持ってたっけ?なんか持ってきてたっけ?」


「え?私は知らないけど...恐らく...」


「え?って事は...やっぱり...そうですよね...」


「「「.......」」」


ダンジョン内が沈黙によって支配される。

パーティー全員が足を止めて、冷や汗を出す。


「え?何ガリュー...もしかしてヤバイ?」


「ヤバイ...かもしんない...」


「このダンジョンがとてつもなく広かったら...」


「最悪餓死だ...」


あたりに暗い空気が流れる。


「なんか...その、ごめんガリュー...」


かるエルが謝る。


「いやいや...カルエルのせいじゃないよ。誰のせいでもない。みんな気が付かなかったんだから。強いて言うならばあのレミナスさんのせいだ。もう少しでいいから必要な情報をくれれば良かったのに。一度入ったら出られないとか、食べ物用意しろとか...このままじゃレミナスさんに殺されたみたいになっちゃうよ」


案外ホントに殺そうとしてたりして...?

それは流石にないか。


「そうだね。もしこのダンジョンが踏破できたら、あの人をぶん殴ってやろうよ」


カルエルさん...死亡フラグたちそうなんでやめていただきたい。


「...まあほら...先を急いで今日中になんとか終わらせれば...行ける筈...だよな?」


と、アッシュに聞くと、


「さあ?」


いや、「さあ」じゃねえよ!


「まあ...先を急ぐしかないんじゃないの?」


「先...進みましょう」


女性陣が少しでも可能性を求めて先を急ぐように促す。


「そうだな。急ごう」


俺達はこれまで以上に速く、少しジョギング気味でダンジョンの奥へと進む。


もう警戒など言っていられない。餓死したくなけりゃ走るのみだ。


途中数匹のゴブリンやらコボルトやらに出くわしたが、特になんの問題もなく突撃して撃破。面倒なのと先を急ぐという理由で、俺はアイテムを拾わないで走り続けた。


ーーーーーーーーーー


「あの子達は大丈夫だろうか...?」


チャリー商会のチャリーは、ガリュー達がダンジョン攻略に向けて出発したことを知り、少し心配をしていた。


彼らは強いから...だから彼らなら大丈夫...と言いきれる状況ではない。

ダンジョンといえば、冒険者の上級者でも苦戦する程の要はモンスターの巣。

昨日ガリューが狩ってきたゴブリンは、恐らくダンジョンから排出されたゴブリンだろう。そう考えると、ここ数日でゴブリンを多く排出しているため、ダンジョン内のモンスターは少ないかもしれないが...。そんなに楽なものではないだろう。


何故かそこには古代文明のロストテクノロジーの詰まったお宝や、宝石がザクザク溜まっている。

稼げる場所としても有名な一方で、死に場所としても有名だ。


基本的には、ダンジョンは攻略できないと帰ってこれないパターンと、何度も出たり入ったりを繰り返せるパターンがある。

そしてその森のダンジョンは、入れば帰ってこれないダンジョンだ。過去1人たりともあのダンジョンから戻ってきた者はいない。


規模も、難易度も、何もかもが未知数なダンジョンだ。

もしかすると簡単なダンジョンなのかもしれない。が、それなら過去にほかの冒険者たちが帰ってきているはず。


それだけあの森のダンジョンというのは恐ろしいのだと言える。


チャリーにとって彼らは命の恩人だ。だが今は無事を祈ることしか出来ない。


彼らはちゃんと食料を用意したのだろうか?彼らはちゃんと薬を揃えて行ったのか?


彼らは無事...帰ってこられるのだろうか?


チャリーは心配で仕方がなかった。



ここまで読んでいただき有難うございます。


背景の色や文字の色などのリクエスト、その他ここが見にくいなどのご意見があれば、少し修正させて頂こうかと思います。

感想欄にお願い致します。


評価の方も宜しくお願いします。


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