ダンジョン
外伝は2話更新しました。
両方よろしくお願い致します
「おはよ」
「んあ。おはよう」
爽やかな朝。チャリー商会の客室に泊まらせてもらった。こんな爽やかな朝には優雅にティータイム...っと。そんな時間はなかったんだった。
昨日と同じように朝食をご馳走になる。
腹ごしらえも終わり、昨日の報告をすべくギルドに向かおうと剣の入った籠を持ち上げようとする。
「って重っ!」
こ、こんな重いものをあの大男達は持っていてなおあの速度で歩いていたのか...。
昨日は本当に運が良かったな。
と思いつつ、魔力で全身の筋肉の強化をして、もう一度持ち直す。
ずっしりとした重みが体に伝わり、急に重すぎるものを持ってバランスが取りにくくなる。こりゃ明日は筋肉痛だわ。筋力強化してなお感じる身体の限界。こりゃ無事帰れたら筋トレだな。
子供の体では到底持ち上げられないであろう剣の束を自自分の体にムチを打って持ち上げる。
そしてゆっくりとギルドに向かって歩き始める。
「おそいよガリュー!」
「しゃーないだろが!」
♢♢♢♢♢
やっとの思いでギルドに辿り着く。
部屋の奥のカウンターの前で持っていた剣を下ろす。
「あ。依頼出来ましたか?速かったですねぇ。って剣多っ!」
「そうなんですよ。運ぶ方が討伐より苦痛ですよ」
迎えてくれたのはレミナスさん。レミナスさんは早速剣を受け取り、重そうに引きずりながらカウンターの奥に運ぶ。
「数数えてくるので、少し待っててくださいね」
そう言ってレミナスさんはカウンターの奥に消えた。
特にすることもないので、依頼のボードを見る。
昨日はランク1だったが、今日はそうではない。もっと多くの依頼を受けられる。難しい依頼を多く受けた方が単価が高いからな。
「今日は何受けるの?」
「そうだな。できるだけ単価の高い依頼を多く受けたい。少なくとも明日までには30ランクを超えて、明後日には絶対に都に向かわないと」
「時は金なりってやつね」
カルエルと会話していると、レミナスさんが俺を呼んだ。もう数え終わったのか。
「あの大量の剣だけどね。数えたら丁度170本だったよ。だからロールポイントが1700ポイントに、900銅貨ね。丁度9銀貨で渡しますね」
なんか言葉使いがおかしい気がするが、それはいい。1700ポイントか。ってもどれ位稼いだのか分からんな。
「カルエルちゃんたちのグループが重症10の軽傷40で、1800ポイント。王子様チームがキノコ地道に集めて380ポイント。狼も狩ってたのも合わせてね」
すごいな。病院の手伝い滅茶苦茶ポイント入るな。
(回復魔法が何度も何度も使えるやつはそんなに多くないからな)
まあそこら辺はカルエルが異常だということで。
っていうか可哀想なくらいJr質のポイントが少ない...。しかもなぜJrが王子な事知ってるんだ?
「全部で合計3880ポイントね」
「あ、僕も狼狩ったので」
と言ってて拾った牙をポケットから取り出す。2匹狩ったから2本だ。
「4080ポイントね。本来1000超えるなんてなかなかないのに、半日で4000って本当にバケモノね」
「褒め言葉として受け取りますね」
そうか。1000超えればかなりのものか。
「いや。あなた達の1700もかなり吹き飛びそうな数字だけど、それよりさらにカルエルちゃんたちのグループが気持ち悪いくらい稼いでるわね」
「まあすごい稼いでますよね」
「おかげで病院のけが人が居なくなっちゃって、病院の人暇だって報告が朝一で来たわ」
患者を一掃したのか。そりゃすごい。
「と、いうことで、ランクが上がりました。ぱちぱち。なんと15ランク上がって更に180ポイント余りね。貢献度ランクは7アップで合計冒険者ランク22!1日一ランク上がればいいくらいなのに、最初はランク上がりやすいとはいえ、上がりすぎで怖いわね」
「15ですか...合わせて22ならあと8って事ですね」
「そうね。でも安心して頂戴!なんとぴったりランク15からダンジョン攻略依頼が受けられるから!」
「ダンジョン?」
「そう!ダンジョン!すっごいお宝が眠ってるダンジョン!すっごいモンスターが眠ってるダンジョン!」
前者はいいとして、後者は嬉しいどころか迷惑です。
「一攫千金を狙うならダンジョンでしょ?あなたも男ならこの興奮がわかるでしょ?」
「別にお金が欲しいわけじゃ...」
「男のロマンは君とは分かち合えないか…って私女じゃん!」
デジャブ...。っていうかわざとなのか?この人も謎が多いな。
「とにかく!ダンジョンはどう?お金だけじゃなくて、貢献度もロールランクも一気に上がるから、ランク15以上の人には超オススメ!」
「そんなハイリターンな依頼があれば皆がどんどん受けちゃうんじゃないんですか?」
「それがね。ちょっと訳ありで...」
「?」
「まず、ギルドは、ダンジョンで冒険者が死んでも怪我しても責任を全く問わないの。ギルドの管轄外だから、本当に実力がないと受けられない依頼だし、何よりダンジョンの難易度はとてつもなく高いの。まあダンジョンによるんだけどね。中には魔獣が出るようなダンジョンもあって...」
「滅茶苦茶危険極まりない...」
「で、そのダンジョンが、そこの森の奥にあるのよ」
レミナスさんが例の国境の森の方を指さす。
「でも...ひとまず明日までにランク30に行けばいいので、危険な仕事はあんまりしたくないんですが...」
「ねえ。ランク20からはランクが上がり辛いから、昨日今日みたいに簡単には行かないわよ。ここで1発大きいの狙わないとダメね」
「いや、そんな事言っても...」
「お願い。あなた達のためだけじゃなく、みんなの為にも。ね?いいでしょ?」
「みんなの為にもと、いうのは?」
「ダンジョンからはモンスターが湧き出てくるのよ。たまにダンジョンからモンスターが一気に溢れ出すから、ダンジョン攻略してくれると他助かるなー(棒)。なんて思ってるわけ」
棒読みするなよ。
そんな事を突っ込んでいたら、アッシュがやってくる。
「まだなのかい?そろそろ行かないと日が暮れちゃうよ」
大丈夫だって。まだ朝だから。
「あ!いいところに来たね!勇者君!」
「え?なんですか?」
「いや〜。さっきから君のパーティーのリーダーさんと、ダンジョンに行かないかって話してたのよ!」
「え?ダンジョン?もちろん行くよね?ガリュー君?」
「え?いやだって遊びじゃないんだぞ?」
「でもほら。同じ依頼なら楽しい方がいいでしょ!」
「そうそう。ガリュー君。行こう!」
レミナスさんせこい...。アッシュを使ってまでそんな。そこまでして俺たちをダンジョンに行かせたいのか?
「行こう!」
アッシュは俺の方を掴んで思い切り揺らしてくる。
頭が揺れる...。
「わ、わかったからやめろ!行くから...行きますって!頭揺らすな!」
そう言うとやっ俺の方からアッシュの手が離れる。
「よし。そうよ決まれば依頼をうけ...」
「大丈夫!もう受けちゃってるから」
レミナスさんは受注済みのダンジョンの依頼の紙を見せる。
最初っから拒否権なかったんじゃ...?
「これ地図と最低限のポーション詰め合わせね!今回は私の奢り!さっと行ってさっと帰ってきちゃって!」
「さっさと帰って来れるなら苦労しませんよ...」
俺はレミナスさんに渡された地図とポーションを仕舞い、無理やり受けさせられたダンジョンの依頼についてを皆に話す。
「悪いが危険な依頼だ。街に残ってほかの依頼をしたいならそれはそれでいい」
そう言うとカルエルが、
「そんな事しないって。皆で行こうよ」
Jrも
「それくらい危険じゃなきゃランクが上がらないって言うなら行くしかない」
チビッタやソニック、カロンも頷く。
「よっし!すぐ行こう!今すぐ行こう!」
アッシュはテンションがマックスだ。
結局地図を片手にアッシュ先頭でギルドを出て、またしてあの森へ向かうのだった。
ーーーーーーーーーー
「ふふふ。上手くいったわ。計画通り!ちゃんとダンジョンに向かってくれた!これであの子達は...」
レミナスはギルドの建物内で1人不敵な笑みを浮かべるのであった。
レミナスさんは何者!?
敵?ただのギルドのお姉さん?謎は深まる一方…。
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