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ゴブリンの剣を運ぶべ

今回もだべだべです。

いつもありがとうございます!

「ど、どうしてこうなっただ...」


「おめぇが油断するからだぁ。もっとしっかり戦っていればぁ、あんな子供に負けてこんな荷物持ちせずにご馳走食えたってのによぉ」


「ほら。黙って歩いて下さいよ。こっちも急いでるんですからね」


「あ〜かったるいべ」


「そうだべな」


「だべだべうるさいっての。あんた達がが戦いに負けたからこうなってるんじゃないですか。男らしくシャキッとして下さいよシャキッと」


アルカナ公国領。森の中。二人の大男を引き連れて、キノコを拾って薬草を拾って、ゴブリンを倒して剣を拾っては男達に渡していく。

おかげで俺とナスは楽に移動ができる。唯一ケチをつけるとするなら、だべだべうるさいと言ったところぐらいだろうか。


♢♢♢♢♢


時は遡って1時間ほど前。

剣を賭けて決闘を始めようとする場面まで戻る。


「しっかしおめぇら。負けたらすぐに逃げたりしねえだろうな?」


「する訳ないですよ。今でこそ元気のいいやる気に満ち溢れたあなた達こそ、負けた途端に血相変えて逃げ出すんじゃないですか?」


「な〜にを言うだ。逃げるわけがないべよ。そもそもおら達は田舎モンではあるが、腕は確かだべ。負ける要素がないべよ」


「そうですかね。まあ戦ってからのお楽しみですね」


「ガリュー。やめろってそんな挑発。流石の僕でもイラッとくるぞ」


何も自分の力を過信している訳では無い。あくまでも勝てるという見込み、勝算があるからである。と、言うのも、この2人組、弱くはないだろうが、先程言動からして、俺が一掃したであろうゴブリンの軍団を一気に倒す手段はないと見た。そのため、攻撃系の魔術は殆ど使えないと思っていいだろう。

だからといって魔術が使えないなら楽勝。と、言うわけでもない。が、俺に勝つならそれこそさっき戦ったキロとかいう狂戦士を連れてこないとダメだ。俺のステルスバリアを貫ける攻撃はなかなかないと、自分の中でもそれだけは高い評価がついているからな。


「べつに血の契約結んだっていいんだべよ。もちろんそれで困るのはおめぇだがなぁ」


久々(と言っても実はつい最近)に出てきたワードだ。血の契約。自らの命をもってどんな力も介入できない契約を結ぶこと。こんな些細の出来事に使うようなものなのか?なんとなく血の契約の重要性が俺の中で揺らいできたんだが。


「面倒なのでどっちでもいいですよ」


「じゃあすぐ始めるべ。逃げ出したら地の果てまで追いかけるから注意するべよ」


地の果てまで追いかける余裕あるなら、自分たちで剣持って街帰れや。そう突っ込みつつ、大男と向き合う。


「決闘のルールは、殺さない事を前提に、相手を降伏させるか、気絶させるか、それに準ずる何かをもって勝敗を決めるのでいいですか?」


「なんでもいいべ。どっちみち数秒で終わるべ」


「それじゃあもう始めちゃっていいですね?ナス。合図お願い」


「お、おっけー。3、2、1、開始っ」


ナスの掛け声で、男が動く。カチャカチャと音を立てている鎧が目に入る。戦士としては必須アイテムかもしれないが、見た目通り重いようで、男の動きは遅い。

同じ大男の分類で分けても、あのキロとかいうバケモノとは格が違う。


背中から鞘に入れたままの大剣を抜き、大きく振りかぶる。


「鞘のままなら死なないべ」


ブルン。という大きな音が響く。という事は、その攻撃は俺を捉えなかったということだ。


1発の重さにものを言わせた剣技は、遅い上に技として成り立っていない。相手も遅いなら話は別だが、生憎こちらはローブにさっき拾ったゴブリンの剣1本、少量のオリハルコンしか持っていない。避けるのに魔力を使う必要すらない。


ドッジロールで回避し、すかさず相手の溝落ちに1発パンチを突っ込む。軽く魔力で上乗せしたパンチは、鎧を砕く。


「いって...」


相手は鎧が砕けただけ。対するこちらは鎧を砕いたものの、手が痺れてしまった。魔力強化も万能じゃないな。そりゃ普通に殴るより数倍痛みも軽減されてるんだろうけど。


そしてその空いた溝落ちにもう片方の手でもう1発パンチ。


「ゴフッ!」


たまらず男は咳き込む。手加減はしたから吐くまではいかない...筈。


「何を。まだここからだ...ゴフッ...べ...」


咳き込みつつセリフを吐き出す男。

今度は足元を蹴って足をすくうようにして転ばせる。

俺はすぐに移動し首元でゴブリンの剣を振り下ろし、男の喉仏のスレスレで止める。


「な....どうしてだべ...?どうしてこうなっただ?」


「早く降参しないと剣が刺さるぞ?」


「あ...す、するべ!降参するべ!完敗だべ!おらの負けだぁ」


約束通り剣を大量にゲット&運ぶ人材も確保で格段に計画の進行が早まったわけだ。


♢♢♢♢♢


冒頭に戻る。

決闘の末、嫌々ながらも剣運びをしてくれた男達。今の所ゴブリン退治のはした金は俺たちにとって正直無用なので、後でちょっと分けてやるか、ご馳走がどうのって言ってたから俺が飯作ってやるかな。


事実、この大男達のおかげで、移動速度が一段と早くなりそうだ。何も持っていなかった行きの森の時に歩いていた速度よりもちょっと小走りで歩いても、2人は剣を何本も抱えて付いてくる。職業柄か、重いものには相当なれているようだな。

深夜に街に帰る予定だったが、8時位には上手く行けば帰れそうだ。俺としては色々な意味で助かる。虫とか虫とか虫に怯えなくてすむからな! ほんとに虫だけはダメ。夜のガって怖いっすね。


今回拾えた剣は全部で100を超えた。途中で何度かゴブリン軍団が来てくれたおかげで相当集まった。

男達がたまたま大きい籠を背負っていたおかげで、超大量の剣も運べたのでラッキーだった。...っていうか、こんなに狩ってしまって大丈夫なのだろうか?ゴブリンが生態系のどのような位置に属するかは知らないし、繁殖力もよくわからないけれども、ここまで大量に狩ってしまったら、ゴブリンがこの森で絶滅するんじゃねえの?っていうくらい狩ってしまった。

だが、成果としては申し分無い。ロールポイントに換算して、1000ポイントはゆうに超えるだろう。まだ初心者ということもあって、ランクは結構上がりそうだ。

薬草やらキノコやらも籠ぎゅうぎゅうに詰め込んでいるから、こっちもいい具合に点数稼ぎができそうだ。もう籠にいっぱいいっぱいでそろそろ限界と言ったところではあるが。



そう言えばどれ位のロールポイントでロールランク上がるんだろうか?

ちょっと気になったので大男の片割れ(以下大男Aとしよう。先程決闘した方だ)に聞いてみた。


「ちょっといいですか?まだ僕等ロールランク1なんですけど、どれ位でランクアップしますかね?」


「ん?そうだべな...。1から2に上がるのだったらゴブリン数匹倒してれば上がるべ。依頼1、2個で上がるんじゃないべかな?」


「この量討伐したらどうですかね?」


「正直信じられない剣の量だべ。元々一杯になるはずなかったこの籠が溢れそうなくらいに剣が集まるなんて夢のようだべ。この森はゴブリンばっかりで飽き飽きしてたべが、こんな大漁なら、ゴブリンも悪くないべな。これなら10位ランクアップしててもおかしくねえでよ」


そうか。結構狩ったもんな。なんだかんだで途中出会った狼とかも倒してて、意外と他の依頼のクリアも一気に出来そうな感じだ。大分成果が期待できそうだ。早く済む上に思った以上に収穫が多かったな。


ちょっとした期待を寄せつつ、俺たちは街へと戻るのだった。




田舎からの出という設定の2人組の大男です!再登場予定なし...?名前もつけるかわからないですね。


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