森で剣を探すべ
遅くなりました。71話ですね!
「うし。出来た」
悩みに悩んで15分。結構いい案が出てきた。
この15分も惜しんでポイント稼ぎに行けって?それには触れないでくれ。っていうか名前決めてる時にそれを言ってくれ。あの時間の方が今のこの時間よりもよっぽど不毛だったんだからな。
俺が考えたのはこういう案だ。
俺とナスで剣を取りに行って、ついでにゴブリン一掃。キノコと薬草も見つけたら取っていく。
その間にアッシュとカルエルとカロンで病院のお手伝いetc..
Jrとチビッタ、それにソニックは森で素材収集をメインに活動する。
ポイントは均等に分けられるそうなので、これで一気に稼げそうだ。
この分け方を皆に話すと、一つ返事で了承してくれたので助かった。
俺たちはギルドを出て早速依頼達成を目指そうとするが、薬草などを入れるものがないので、アッシュたちには先に行ってもらって、残りでオリハルコンを売って籠を買おうと思い、受付横の売店を立ち寄る。
「おや?新人さんかい?随分と若いじゃあないか」
優しそうなおばあちゃんがいるその店で、オリハルコンを見せる。
「ええ。そうなんですよ。依頼受けるために買い物をしようと思いまして。そこでこのオリハルコンを売りに来たんですよ」
「オリハルコン?ああ...悪いね。ここではそういう高価すぎるものは売れないんだよ」
そう言えばそうだったな…。
「何が欲しいんだい?ツケにしておくから、今日はそれで依頼に行ってきな」
「ありがとうございます」
まあなんて優しいおばあちゃん。ツケだよツケ。すぐに返せるよう頑張りたいね。
俺は人数分の籠(俺だけはオリハルコンを籠がわりにする)を頼んで、ツケで購入。
お礼を言ってギルドを出る。
「この籠に入れればいいんだな?」
Jrの質問に答えつつ、森を目指す。
普通に歩いている内に、どうも剣の安否が不安になって、仕方がなくなってきた。
「ごめんJr。俺たち先行くわ。剣が無くなってそうな気がする」
「ああ。わかった。僕等も後から行くよ。合流する必要はないよな?」
「ないよ。適当にゴブリンとか狩りまくってたらいいよ。薬草メインだけど、単価はゴブリンの方が高いからね」
「了解」
俺はナスを抱える。
「え?ちょ。先行くって何?」
「喋るな。舌噛むぞ」
「ちょ、ちょい待って!ちょっと!」
「まあ頑張って踏ん張れ」
俺はナスを抱えたまま、脚を強化。猛ダッシュで森に突っ込むように走る。
「速いって速いから!マジで早いし死ぬからマジでちょっと下ろし$€$〇€%#€$〇△#!?」
後半何言ってるかわからなかったが、下ろして欲しいようだ。まあもう少し我慢してくれ。すぐ着くから。
全力疾走開始から4分。ゴブリンを倒しまくったであろうあたりまで来た。流石に一晩中歩いただけあって遠かったな。
周囲を見回して剣が大量に落ちていないか探しているが、近くには無いようだ。
あたりを色々な方向に歩いていくと、少し行った先の方の木に隠れたみすぼらしい剣の持ち手部分がちらりと見えた。どう見てもゴブリンの剣だ。
「あったあった」
ようやく見つけたと思って剣を手に取ろうとすると、木の向こう側から謎の引っ張られる力が働いた。
「「ん?」」
木の向こう側を覗くと、そこには冒険者風の男がいた。
「んだおめぇ。この剣はオラ達のだぁ。横取りは許さねぇど」
「え?」
こりゃ参った。どうやら俺の倒した奴の剣ではなかったようだ。
そう思って潔く剣から手を離すが、ふと奥の方に散乱している剣が目に入る。
「随分と倒したんですね」
「んあ?あ、ああ。オラ達はつえぇからな。これくらいは楽勝だど」
結構強い人たちなのかな?まあいい。ついでに俺達の取り忘れた剣を知らないか聞いてみよう。
「この辺で散乱してる剣を見ませんでしたか?先程倒したのを拾い忘れてしまってですね…」
「うえ?べ、べ、別にそんな剣は知らないぞ...ほんとに」
めちゃくちゃ怪しいじゃねーか! 訛りもなくなったし! 嘘つくの下手すぎだろ!
とは言っても確証が持てないからな。仕方ないか。
「そうですか。何箇所か落ちてると思うので、心当たりがあったら言ってください」
「わ、わかっただ。オラ達はべ、べつにそんな剣拾ってねぇし、オラ達の利益にしようなんて考えてないだよ!だいたいこういうのはとったモン勝ちだべ!って!ああ!言ってすまっただぁ!」
なんか自白したわ。俺にとっては丁度いいんだが。
「ああ!むしゃくしゃするだぁ!おめぇみてぇなひよっこが、んでこんな森にいるんだべ!子供はさっさと家へ帰れぇ!」
「いや、今の言い方的に僕らの剣持ってますよね?ちょっと分けていただけません?どうしても必要なもので...」
「いーやこれはとったモン勝ちだべ!この剣はみんなおら達のもんだ!」
俺は足に力を込めて、後ろに散らかっている剣のところまで走り、1本の剣を拾う。
「早い者勝ちなら、これは僕が頂きますね」
「いつの間に!?ダメだべ!オラのだべ!」
「おかしいですね?とったモン勝ちなんですよね?」
「ぐぬぬ...。お前も冒険者だべ?冒険者になって何年目だおめぇ?」
「さっきなったばっかですよ」
「さっきだと?じゃあお前。先輩に譲るんだ。オラの方が冒険者の先輩だ。見ても分かるように人生の先輩でもあるんだべよ!」
いい大人が...ほんとに大人気ねぇな。
「それなら先輩こそ後輩のことを思って分けるくらいの優しさが必要なんじゃないんですか?」
「うるさい!オラのったらオラのだ!」
子供かっ!と思わず突っ込みたくなる。
「んだばおめぇ。そこまでゆうならオラも鬼じゃねぇ。決闘でどっちのモンかハッキリさせるべぇ」
「いいでしょう。やってやろうじゃないですか」
そこに遅れてナスがやってくる。
「おいガリュ...って誰?」
「ああ、この人と決闘する事になったから。ちょっと時間かかるかも」
「なんで決闘なんか...やめよう!今すぐ引き返せば怪我しないって。他のゴブリン探せばいいだろう!?」
「剣が賭かってるんだよ。そんなあっさりと引けない。お前も早く帰りたいだろ?」
「いや、まあそうだけど…」
「勝てるし大丈夫だよ」
「随分余裕でねぇか。オラはこれでもランク27の戦士。ある程度腕に自身はある。おめぇ見てえな子供にやられる訳ねぇべ」
「おぅい。剣大量だべ〜。いやぁ。あんな所にあんなに落ちてるなんてラッキーだべぇ。今日の夕飯はご馳走だべかなぁ?」
そんな話をしている内に、奥の方からすごい量の剣を担いだ男がやってきた。
「ってあら?取り込み中だったべか?」
「いやぁ。この剣を賭けて決闘するんだべ。オラが勝ったらついでに荷物運びでもしてもらうべ」
「こんなガキと決闘するんだべか?手加減するんだべよ」
「わかってるべ。ひとひねりで終わらせてご馳走食うべ」
なんか無駄に俺が負けた時の仕事増えてるし…。
「それじゃあ不公平なので、こちらが勝ったらあなた達も荷物持ちしてくださいね」
「あ、ちょバカ何言って...」
「いいに決まってるべ。オラに勝てるわけねえのは分かりきったことだべよ」
「そうと決まれば速くやっちゃいましょう。こちらも急いでいるので」
こうして俺達は剣を賭けて決闘することになったのだ。
だべだべ難しい上に多い!
読んでくれてありがとうございます!評価お願いします!
ネット小説大賞にもエントリーしていますので、宣伝、評価はとても嬉しいです!
(本戦とは関係ないようですが)




