革命軍 冒険者 ガリュー
32話と33話の間が抜けていることが発覚しました。
新たに33話を追加したので、そちらもよろしくお願いします。
ガリュー達...正確に言うとアッシュ、チャリー、レミナス、チビッタの4人が名前を決めるために使った30分。
その30分の間、アルカナ公国の都カナムーンでは何が起きていたのか。
ーーーーーーーーーー
黒と赤の統一された服を身にまとった集団が、カナムーンのすぐ側で1箇所に集まってある話し合いをしていた。
「我々は、革命軍としての自覚を持たねばならない。そこのお前。革命軍が目指すものはなんだ?」
リーダー格と思われる一人の男が、目の前にいた男を指差し、聞いた。
「はっ!真の平和、王や領主に縛られることのない、皆が平等で自由、かつ殺傷のない世の中を作り上げ、我らが主に捧げることであります!」
大きな声で叫ぶように答えた男に対し、リーダーは、
「その通りだ!我々は常に正しい世界、常に平和がある世界のために戦わなければならないのだ!」
リーダーの男は、後ろにあった荷車から、山積みになった小動物の死骸を持ち上げた。
「で、あるからして...我々が絶対にやってはならない事がある訳だ。そこのお前。それはなんだか分かるか?」
リーダーの男は先ほどとは違う男を指差してまた聞いた。
「はっ!常に正しい存在であるために、人を殺めてはならない。と、言う事であります!」
「そうだ!その通りだ!そして我々は、少数の犠牲をもって、この腐敗した国に天罰を下すのだ!」
男は瓶を取り出して、その中にあった紫の液体を死骸にかける。
「野獣よ!蘇れ!」
人は邪悪な力と、神聖な力を、見える魔力として崇める。邪悪な魔力は黒く、神聖な魔力は白く輝く。そんな魔力に人は恐れ、時にのめり込む。
リーダーの男は手から黒く輝く邪悪な魔力を死骸に与え続ける。
その時間僅か5秒。
その短時間で、動くはずのない死骸は地面に立ち、あまり耳にすることは無いであろう金切り声を出す。
「そう!これが魔獣!これこそが新たな可能性なのだ!」
リーダーの男は魔獣の金切り声に負けない声の大きさで笑う。
「最初は民だった。民を煽動すればいくらでも戦力になる。我々はこの手を汚すことなく、この腐敗国家はこの国の住民によって半分が機能しない状態にまで陥った。だが今となっては、煽動した民の中でまともに戦える奴などいない。ならばどうするか?答えは1つ。この禁術によって我々は、手を汚さずに腐った世の中を変えられる。お前達は、見ているだけでいい!この魔術で生み出した魔獣が、気がついた時にはこの国を亡きものとするのだ!素晴らしい!実に素晴らしいと思わないかね?」
都のすぐ近くの荒地。そこでは、大きな大きな笑い声が、響き渡る。
その笑い声も消え、思わず耳を塞ぎたくなるような金切り声が、都いっぱいに広がるまでにかかる時間は、そう長くはなかった。
ーーーーーーーーーー
場所は変わって都の内部。未だに戦いを続けるものもいれば、気絶している者、疲れ果てて倒れた者、死にかけの者もいる。奇跡的に死者は殆どいない。貴族の雇った冒険者達は国民を殺さないように注意して戦っていたのが一番良かったのだ。
そんなちょっとした気遣いを全く持って無視して暴れる、革命軍の扇動によって暴徒と化した国民。混乱を利用した盗賊などの小物がさらに都を混乱させる。
そんな疲れ果てた都でも、未だに元気に、怪我一つなく戦い続ける冒険者がいた。
その男、名前をスタアという。冒険者ロールは戦士。冒険者歴3年の新星。冒険者なら5年までは新星と呼ばれることが多い。さらに彼は誰もが目を見張る戦い方をする。戦場を圧倒的な速度で駆け抜け、敵を殲滅する。その姿はまるで流星のよう。
そんな若き戦士は、その名前からか、はたまたその冒険者歴からか、いや、その戦い方からか、同じ冒険者仲間からこう呼ばれる。
「輝く超新流星」
と。
今も彼は、次々と国民を無力化させていく。
残像が残るその速さは、魔力と身体能力が研ぎ澄まされた証である。
ガリューと同じく彼は、魔力による身体能力強化に長けた魔法剣士だ。
今も彼は走る。相手に自分を認識させるよりも早く、彼は敵の首を叩く。
「トーン、トーン、トーーン、一人飛ばしてトトンのトン!」
まるでリズムゲームをするように、1人1人を気絶させていく。
「ハハハッ!俺がこの国を守ってみせる。俺が...俺が望みを叶えてもらうんだ!」
彼は走る。ひたすら走って敵を戦闘不能にさせていく。この都にはものすごい数の冒険者がやってきていたが、その中でも頭一つ、いや、三つ四つは抜けた成績を叩き出している。
そんな彼が、今向かっているのは、都の外の荒野だ。なんだか胸騒ぎがする。彼は仲間にそう言い残して都の外を目指している最中なのだ。
そして彼はついに都の外の荒野に辿り着く。
そこでは、何やら怪しい集団が、集まって、集会のような事をしていた。
何やらリーダーらしき人物が呪文を唱えると、先程までただの屍だった小動物が産声をあげた。
「なっ...禁術...?」
生物を蘇生させる行為は、今の時代では禁術中の禁術だった。それは魔獣を作り出すことだって例外ではない。
リーダーらしき人物は、時間をかけて何匹も同じ 魔獣を作り上げていく。
「そんな...速く皆に知らせないと...」
彼は怪しい集団に気付かれないようにそっとその場を立ち去り、皆に危険を知らせに都へ戻った。
魔獣達が都を攻めて来るまでの時間はもう、わずかしかなかった。
ーーーーーーーーーー
「いや。やっぱり勇者が居るから勇者は名前に入れなきゃ」
「ここは私の案で精鋭軍団でいいですよね?」
「....ださい」
こちら戻ってガリューサイド。
目的も忘れて名前決めに時間をかけている。
いつになったら決まるのやら...
なんと今回で、本編70話!
皆さんいつもありがとうございます!
今回はラッキー7の7と、キリのいい0の一緒になったとってもキリのいい70話!
と、いうことで、是非とも皆さんには評価の方をお願いしたいのです!
みなさんの正直な意見を集めるためにも、今回70話記念ということで、評価の方をお願い致しますm(*_ _)m
評価はこちら↓↓↓↓↓↓↓↓




