冒険者ギルド
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冒険者ギルド。もはや異世界転生において切っても切れやしない関係と言っても過言ではないであろう。
どんな街にもあって、冒険者達の集いの場でもあり、仕事を受け取る場でもある。
そんな冒険者ギルドに来て、一番興奮しているのは、意外にもチビッタだ。いつも通り何も喋ることは無いが、目が五割増で輝いているように見える。
「そんなにギルドにこれて嬉しいのか?」
俺の問に対し、チビッタは、
「...冒険者は...憧れだから...」
と、恥ずかしそうに小さな声でそう返す。
「憧れか...」
異世界転生した時点で、もうお世話になる事は覚悟していた俺にとって、冒険者というのは特に特別な職業では無い。いつかなるんだろうな。と、思っていた程度だ。
そもそも、現代でいう何でも屋に、戦闘が加わる程度だ。飼い猫探しからダンジョン攻略。仕事内容は多岐にわたる。
感覚的には、銀髪で皆に慕われる国民的マンガの主人公のやってる仕事だ。
あれは侍だけどな。
まあ少しも期待してなかった訳でないと言えば嘘になる。やっぱり、冒険者っていう仕事自体は一度は憧れてしまうものだ。
ただそれは、職業にしたいというよりは、体験してみたい的なやつだ。またちょっとチビッタとは違う。
ずっとギルドの外観ばかり見ている訳にも行かないので、中に入る。
見た目は...予想通りと言ったところだ。
掲示板があって、カウンターがあって、受付の人が立っている。
左の方にはカフェのような酒場のような...まあ飲食店があって、右側には店がある。回復薬(効果不明)や毒消し(毒の種類による)にとどまらず、武器、食料(主に野菜)、雑貨が並んでいる。まるでコンビニだ。コンビニに武器は無いけど。
チャリーさんは特に何も言わずに、カウンターの方へ一直線。
「ああ。チャリーさん。いつも納品ありがとうございます」
「いやいや。たまたま森で取れるだけですよ」
「今日も採取依頼ですか?」
「いや。今日はちょっとそこにいる子供たちに冒険者登録をさせようと思ってね」
「分かりました。少々お待ちください」
受付の女の人は、そう言うと奥の方へ行ってしまった。
「チャリーさん顔広いんですね」
「ああ...馬車でいつも森を通る時に薬草とかキノコとかを採っておくと、依頼が出た時にササッと納品できるから、ちょっとしたお小遣い稼ぎに冒険者登録しているんだよ」
「そうなんですか」
商会長にして副業は冒険者...。すごい人だよ。
「冒険者と言っても、君たちも見たとおり、戦いは全然できないんだけどね。ははは...」
チャリーさんが悲しそうな顔で笑っていると受付の女の人が戻ってきた。
「皆さんランクカードは持っていますよね?」
「みんな持っています」
「では問題ありません。今回はチャリーさんと同じく、採取系クエスト専用の権利書発行でいいですか?」
「いや、この子達は通常冒険者登録でいいよ」
「え?ちょ、チャリーさん。どういうことですか?」
「ああ。私は採取系クエスト専用の冒険者なんだよ。だから、危険なクエストとか、戦闘系のクエストは全く受けられないんだ。要は、ギルド側が、私達のような力がない冒険者が死んでしまうような依頼を受けさせないようにする制限だよ。死ぬリスクは下がるし、お金も稼げるから、魔術も武術もできない人でも簡単に登録できるんだ」
「そうなんですか」
よくできたシステムだ。確かに死者を出すのは避けたいが、お金を稼ぎたい人、薬草を欲している人が余ることの無いようによく配慮されたシステムだ。
「でしたら、戦闘試験が必要ですね...。では皆さんこちらへどうぞ」
俺達は受付の女の人に連れられて、奥の通路を通って、少し広めの広間のような所へとやって来た。
「ここでまずは試験を行い、合格が出来ましたら、通常冒険者としての登録が可能になります。特に年齢制限はありませんが、確認として試験をお願いします。難しいものではないので、すぐに終わります...」
「分かりました」
「が...」
「が?」
「その前に冒険者の説明などで一時間程の講義があります」
こうして俺たちは、一時間の講義を受けることとなった。
ついに冒険者!...になる前に、座学ですね…。
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