これからの進路
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「これを見てくれ」
その言葉にその場にいた全員が、出された紙を覗き込む。
「依頼主 アルカナ公...?」
その場に出された紙は、求人広告のようなものだった。ちなみにアルカナ公はこの国の王...まあ王的な立場だ。公国って説明がめんどくさいな。
「仕事内容は...都の防衛...」
「そうだ。君の魔法の腕を見てピンと来たんだ。私は君の魔術を見たと言っても、氷の槍が飛んだところしか見ていない。でもね、あの氷。極限まで鋭く、かつ綺麗に仕上げられていた。並の技術ではない。さらに、本来難しいとされている魔術のコントロール。ガリュー君の公国は、急所をセンチ単位のズレもなくあの距離から見事に的中させた。君の魔法使いとしての力量がひと目でわかる一撃だった。しかも、私の精霊の力である、魔力測定という力が、きみの魔力量が恐ろしいほどに多いことを示している」
「あ、ああどうも...」
チャリーさんの精霊の力はそんな便利なやつだったのか。
「君だけじゃない。何故か知らないが、君たちは殆どが並みの冒険者以上の魔力を持っている。質も非常に高い。そして君だ」
チャリーさんはカロンを指さして言った。
「竜人族だろう?髪から角が飛びてているのを見た時は驚いたよ。なんたって伝説級の種族だからね」
そう言うとカロンが照れるように下を向く。
「君たちは強い。これまで雇った傭兵の全員の力を合わせても、勝てないくらいにだ」
そう言ってもらえると嬉しい。
「だから、この依頼を受けないか?」
「まあ、僕達が強いのは分かりましたが、それとこれが繋がらないんですが...」
「この依頼。渡される金額もとても良いものだが、何よりも、戦いにおいてより貢献したものには望みをひとつ叶えないこともない。と、アルカナ公が言っていたのだ」
「そうか!つまり...」
カルエルが目を輝かせる。
「そう。1ヶ月以上かけて他の国へ行くか、急いで都に向かって敵軍を蹴散らすか」
「掛かる時間はどう考えても都へ向かった方が短い」
とJr。
「その分命の危険も高まるかもしれない。だが時間は半分に縮む。正直な話、他の国に行ったところで、お金もないし物もないなんて状況になれば、そっちの方が厄介だ。更に言うと、平和な国ほど賃金も安いんだ。まさにアルカナ公国は、今が稼ぎ時と言っても過言では無い」
「戦争がどれだけの規模かにもよるね。なにせどんなに急いで向かっても、その間に陥落しましたなんてことになればぜんぶおじゃんだ」
アッシュがそう言う。
「ああ。その通り。いわば掛けだ。一種のな。ミスすれば大幅な遅れが、成功すれば金に帰りの船、更には名声が得られるかもしれない」
正直名声は要らないが、お金とか船とかのことを考えれば、ハードモードショートカットの方が数倍楽だ。イージーモードは時間がかかる。
(金もだ)
ああ。だから俺ならハードモードがいいと思う。
「どうする?」
「どうするも何も無いでしょ。このメンバーのリーダーはガリューなんだから、ガリューが決めればいいでしょ」
「そうだね〜」
皆俺に任せると言ってくれる。こういう時、普通の異世界転生だと、自分の能力を過信しすぎて自爆するのがよくあるパターンだが、どうしたものだろうか。
(お前なら負けないだろ。せいぜいなんかの組織のボス格でも出ない限りな。お前の範囲魔法で軍を焼き尽くせばいい)
まあ...負けないか。何があったって用心に越したことはないが、一先ず都ルートを通るか。
「そういう事なら、都へ行こう」
「分かった。ところで君たちは冒険者登録しているか?」
「いや、してないですね」
「この依頼受けられるの、冒険者だけだから、一先ず冒険者ギルドに行かないといけないな」
そう言うとチャリーさんは立ち上がり、
「すぐ準備して貰えるかい?すぐにギルドに行こう」
こうして俺たちは都防衛ミッションを受けるべく、冒険者ギルドへと向かうのだった。
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