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世界一の魔術師? ですが本業は料理人ですので 〜転生料理人の異世界魔法生活〜   作者: クリップキラー
一幕 青年期 ライコウ王国脱出
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馬車移動

今回は久々にいつもの2倍量です

朝だ。目覚めはそれ程よくない。地面固くて寝付けないし、そもそも見張りであんまり寝てないし、見張りしたはいいけど、特に何も無かったし。


俺は首をコキコキと音を立てて回す。あぁ...首いてぇ。

まだみんなは寝ているので、朝食だけ作ってから起こすことにしよう。

俺は残っていたキノコを取り出すと、昨日の夜と大して変わることのないキノコ料理を作り始める。

見るだけで食欲が半減しそうなくらい昨日食べたキノコだが、それぐらいしか食材がないという理由で、また食べなければならない。贅沢言ってはいけないと心の中ではいいつつも、元日本人にして元料理人の俺としては、そう思ってしまうのは仕方ないのだ。

大体のキノコを調理し終えると、他の奴らを起こしに行く。


みんなが起きると、朝食をオリハルコンに乗せて渡していく。またしてもキノコ満載な皿を見て皆は、明らかに不満そうな顔を浮かべる。


「またか...」


「流石にね〜...」


普段文句の言わないソニックですらこの態度だ。余程嫌なんだろう。いや、俺も嫌なのは一緒だけどさ。


「確かにここまでキノコで皿を埋め尽くされれば、嫌にはなるだろうけど、まあ贅沢言わずに食べましょ」


こういう時はカルエルがいいことを言ってくれると思う。

でも、一番偉いのはチビッタだろう。まあ普段無口なのもあるだろうが、こういう時に文句一つ言わずに食べてくれる。


っと。人の事ばかり気にしていてもいけない。俺も自分の皿の上に乗ったキノコを悪戦苦闘しながら食べていく。

キノコって味が薄いから余計に飽きやすいんだよな。しかも今調味料がないし。せめて味噌か醤油が欲しい今日この頃...


♢♢♢♢♢


今回もいつもより時間をかけて食事を終える。


「上手く行けば今日中に街に着くはずだから、急いでいこう」


と、キノコによって駄々下がりの士気をあげるべく、ささやかながらも鼓舞をする。


「もうキノコはいやね」


カルエルはそう言うと、急ぎ足で街に向かって歩き出す。

皆もそれに習うように付いていく。

それを見ていると、アヒルの親子のようで、少し面白い。

そんなこと考えているうちに、俺は置いていかれそうになってしまい、慌てて皆のあとを追いかける。


♢♢♢♢♢


「だ、だれか!助けてくれぇ!!!」


歩き始めて一時間ほど。既に変わらない光景に飽きてきた俺たちの耳に、遠くからの叫び声が入ってきた。

俺達は何かあったのだろうか?と思い、声のする方へと走る。と、言っても、真っ直ぐ進んだだけだが。


しばらく歩くと、中年のゲームに出てくる商人のような格好をした男性が、犬のような狼のような、さしずめ、犬型の形をしたような生物に襲われていた。


(あれは魔獣だな。魔獣ムアサドー。通称ブラックドッグ。狼がさらに凶暴化して、軽い致死性のある毒を持った奴だと思えばいい)


軽い致死性って...軽くなくね?

つーかあのおっさんマズイじゃん。


咄嗟にアイススピアでムアサドーを貫く。

するとムアサドーは煙となって消え去り、何やら紫色の液体をその場に残した。


「消えた...」


俺はその場に残る液体の方へ歩き、その液を少し触ろうと手を伸ばす。


(やめろ!馬鹿が!それは毒だ!触るな!)


頭の中でアザゼルの声がすごく響く。

俺は咄嗟に出した手を引っ込める。

それにしてもどういう原理であの魔獣がこの液体になったんだ?


(魔獣ってのはな、生物の死骸と魔獣の核となる物と邪悪な魔力があれば作れんだ。ムアサドーの場合は、犬系の生物の死骸に、一定の毒素を核とさせたら、魔力を注ぐ。それで完成するわけだ)


魔獣ってのは生物というよりは、ゾンビの進化系的なやつなのか。


(魔獣が殺られると、肉体は残らず蒸発。魔力は周囲に散布されて、核だけが残る。だからその毒は軽い致死性のある毒なわけだ)


ほう。でも、自然に生まれないよね?そんな簡単に偶然犬と毒と魔力が合体しましたとか有り得ないでしょ。


(それはあれだ。魔族が作ったり、人間でも作るやつは作るし。核の種類によっては、木の枝とかの場合もあるから、そこら辺の森で勝手に生まれるやつも居るには居るだろ)


人も作るのか。でも待てよ?ゴブリンは煙にならなかったぞ。


(魔族だからな。あれでも一応魔族の端くれなんだ)


そうなのか。あっちの方がよっぽどゾンビっぽいけどな。


と、アザゼルと話をしていると、おっさんがやってきた。


「助かったよ。ありがとう。えっと...君名前は?」


「ガリューです」


「ああ、ガリュー君。有難う。もう少し君たちが来るのが遅かったら、私は死んでいたよ」


「いえいえ。どうせ一日中暇しながら歩いてただけですし」


「まだ子供なのにしっかりしているなぁ。しかし困った。君達にお礼をしたいんだが、今はほとんど何も持ってなくてね」


「そんなのいいですよ」


するとカルエルが横から入ってきて、


「おじさん。馬車持ってない?」


と言った。


「ああ。あるよ。ここまで馬車できたからね。でもごめんよ。馬車は流石にあげられないかなぁ。あー...でもここで死んでたと考えるなら馬車なんて安いものかなぁ...」


「いや、べつに馬車は要らないですけど、近くの街まで送ってくれませんか?」


カルエルがそう言った。


「そんな事でいいなら、いくらでも送ってあげるよ。馬車はこっちにあるよ」


そう言っておっさんは俺たちを馬車のある方へ連れて行ってくれた。


「いやぁ。私もさっきの魔獣からは頑張って走って逃げたんだけどね。なにせこの体じゃもう逃げられなくてね」


と、おっさん。

別に特別太った体をしてはいないが、まあ歳相応ってやつだ。


「馬車があったなら馬車で逃げればよかったのに」


と、カルエルが突っ込む。


「ああ...すぐに直る思うんだけどね、車輪が1個壊されてしまってね」


「ああ...」


可哀想に...と言いたげな表情を浮かべるカルエル。

失礼だぞ。


「まあ、すぐには出発できないかもしれないけど、一時間あれば出発できると思うよ」


とおっさん。

少し歩くと、先の方に馬車が見えてくる。横に倒れていて、果物や野菜がそこら中に散らばっている。馬は何も無かったかのようにそこに立ち尽くしている。


「商人さんですか?」


と、カルエル。


「ああ。でも見ての通り、品物はもう売り物になりゃしない」


「でも、この森を通るなら、傭兵を雇うのが基本じゃないの?昨日すれ違った商隊も傭兵がちゃんと居たわ」


「実はね...傭兵が雇えなくてね。でも今日中にこれを届けたくてね」


「お金ないんですか?」


「ちょ、カルエル、失礼な事言うな」


「いやいいんだ。お金はあるしね。今日は雇える傭兵が居なかったんだ。みんな都の方にに行ってしまったんだよ」


「都?なんでですか?」


「君たちは知らないのかい?昨日都の方で反乱があったらしいんだよ。私はこの目で見てないから何も言えないけれど、実際に街の方に避難してきた人も大勢いるんだ」


「え...?反乱?」


「困ったなぁ...」


Jrが話に参加してくる。困ったところじゃないと思うんだが。


「魔法船は大体、大きな街にしか停まらないから、アルカナ公国みたいにそれほど大きくない国だと、王都...公国だから王都じゃないだろうけど、とにかく国の中心にしか停らないはずなんだ」


「え...まじか」


「魔法船に乗りたかったのかい?」


「そうなんですが...」


「残念だけど、船は出てないだろうね…。他の国に行くしかないかな...」


「そうですか...」


「よし。車輪が直ったぞ。これで出発できる」


話している間にも、 おっさんは手を動かし続け、換えの車輪と壊れた車輪を交換していた。

おっさんおっさんって失礼だな。


「すいません。そういえばお名前を聞いていませんでした」


「ああ。私はチャリーだ。こっちこそ申し遅れていたよ」


「チャリーさん。宜しくお願いします」


「任せてくれ。一先ず街まででいいんだろう?船の話は着いてからにすればいい」


「そうですね」


こうして俺達は、馬車に乗り換え、街へと向かうことにした。



これで街までひとっ飛び!

飛ばないか。


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