キノコ狩り
昼食って歩く。ゴブリンを吹き飛ばし、ただただ広がる森眺め、やはり歩き続ける。
俺たちの今の心の状態を一言で表すなら...そうだな、退屈すぎて死にそう、だ。
途中で商隊と会ったけど、ちょっと会釈しただけでグッバイだったしね。一応ドラノが言ってた通りなら、あと一日ちょいで着くんだろうけど、正直気が滅入る。
車のありがたさを感じる。
ゴブリンとは別に、たまに狼も来ることがあったが、単独で来るので、やはり即殺。
ただひたすら歩くだけなんだ。
暇なのでそこら辺に生えているキノコを採っていく。夕飯用の食材が何も無いのだ。
まあ毒のなさそうなやつ選んでるけど、最悪あのスーパー解毒剤使えば死なない!....筈。
ただひたすらキノコとゴブリンと狼を狩り続ける。
そうすると、キノコはついに手で持ちきれなくなり、ついにはオリハルコンで籠を作る。
オリハルコンってホント万能。
(普通はそんな簡単に加工できるわけないんだがな...)
....。いやぁ、万能、万能...。
「それ、オリハルコン...でしょ?」
カロンが物珍しそうにキノコが入った籠を見つめる。
「ああ。そうだ。ゲットした」
「ゲット...。そんなのに使うの、勿体無いよ...」
「どうせ使い道ないんだし、いいじゃないか」
「....まあそうだけど」
ちょっとした話をすると、カロンはまたあるきはじめる。
丁度そこにあった松茸っぽいやつを引き抜くと、また籠に放り込む。
今夜はキノコの焼き物とキノコを細かく刻んだご飯モドキと茹でキノコですかね?
ーーーーーーーーーー
ガリューがキノコ料理を考えていたその時、世界各地でそれは起きた。
ガリューが目指しているアルカナ公国でも、それは起きた。
゛革命軍同時多発クーデター゛
犯罪組織の中でも、黒と肩を並べる規模を持つ組織。
ただ黒と違うのは、民のために軍を動かすと言ったところだ。
今回のクーデターは、これまでと違う。世界規模で行われたクーデターだ。
今回狙われた国は、アルカナ公国を含めた、特に王族が贅沢をしている国だ。
アルカナ公国の場合は王族ではないが。
♢♢♢♢♢
アルカナ公国
首都 カナムーン
昼過ぎの事。
城の入口、北の門から火の手が上がった。衛兵は皆、門に集まった。
そこには謎の不審者が数名立っていた。少々腕が立つようで、衛兵は数人が怪我を負ったものの、なんとか不審者達を拘束した。
その時だった。南、東、西、全ての門で爆発が起こる。
「一体なんなんだ!?」
衛兵は混乱しつつも、各門の方へと急ぐ。
そこには、先程の不審者と同様の服を着た者達が率いる、国民たちの姿があった。
国民たちは既に、不審者の支配下にある。
誰もが国主に不満を抱いていた者達だ。
不審者たちは、革命軍の団員だ。
北の門でのちょっとした戦いは、クーデターの始まりだった。
そこから三日三晩にわたって行われる、世界規模のクーデターの、始まりだった。
アルカナ公国でそんなことが起きているとも知らないガリューは、キノコ狩りに夢中だった。
アルカナ以外の国でもクーデターは起きているのですが、それはまた別の話。
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