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世界一の魔術師? ですが本業は料理人ですので 〜転生料理人の異世界魔法生活〜   作者: クリップキラー
一幕 青年期 ライコウ王国脱出
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脱出

怒号。恐らく発生源のすぐ側でこの馬鹿でかい声を聞けば、十中八九耳が死ぬ。断言できる。あまりの大きさに、すぐ側で眠っていたオッサンがばっと立ち上がり、あたりをキョロキョロと見回して、俺達を見て戦闘態勢に入ったので、即腹パンで吹き飛ばす。


しかしあのハゲ...

起きたのはいいけど、1人で敵地に侵入とか頭狂ってんじゃねえの?


(お前も同じだろ)


あ。まあいいんだよ。


アザゼルと会話しつつ、階段を登る。肩には謎の女の子を抱え、後ろから皆がついてくる。

もちろん今行けば、上の方でハゲバカがおびき出してしまった、さっきまで宴会中だった敵に遭遇することは、勿論分かっているけれど、他に出口ないから仕方ないんだよね。

蜘蛛の巣を避けつつ、更に階段を登る。


ーーーーーーーーーー


一階についた。正確には、階段の隙間からチラチラと戦況を伺っている。正直、まだドラノが戦っていると思っていたのだが、まさかの期待ハズレ。もう既に眠っていた。ほんとバカじゃねえの?

ホントにアホらしいわ。丁度俺がこの場所にたどり着いた時、まだ敵はドラノから離れたところであたりを警戒し、一点に固まっていた。

多少酒が入っていたのだろう。皆眠そうな顔をしている。顔は真っ赤だ。この状況で弓撃つのは凄いな。

だがちょうどタイミングがよかった。敵が一点に集中し、更に味方は敵の近くに一人もいない。近くに火が燃え移るものもないので、ここでは安全に火の範囲魔法が打てる。せいぜい、この床の石が焼け石になる程度だ。


「全員気をつけろよ。魔術放つから」


「「はひ?」」


皆が変な声をあげたが、気にしない。


「火炎龍」


「ちょちょ!」


カルエルが止めるが、時既に遅し。久々に出てきた火のドラゴンは、敵の集団に向かって突き進む。


「「「!?!?!?」」」


言葉にならないというのは、こういう事だろうか?敵はこちらに気づくも、火の龍を見てバカみたいな顔をする。


ズドンという音とともに、敵を突き抜け、奥の壁に突き刺さり、壁を突き抜け、さらに空を飛ぶ。

ガラガラという音がし、上から大きな石が落ちてくる。


「やっべ!」


見ただけでわかる。この建物崩れるわ。


「早くここから出るんだ!俺はドラノを連れて後から出る!」


そう言ってドラノの方へ向かって走る。

すぐにドラノを謎の少女とは逆の手で抱えあげると、皆の後を追うように建物から出た。


俺が出た5秒後。建物は派手に崩れ落ち、跡形もなくなった。


「危なかった...」


誰に言うわけでもなく、ただただ独り言を呟く。危機一髪だったな...

と、思ったが、あれ?バリア張れば良かったんじゃね?


(無理だな。あの重さを耐えきれるんだったら、お前基本的な魔術は全部防げちまうぞ)


重さも関係するのか...。まあいい。全員無事だな。


「ガリュー...。流石に危ないわ...」


カルエルが青い顔でそう言った。

まあ無理もない。目覚めてそうそうにピラミッドの下敷きになろうとしてたんだしな。


「す〜ごく魔法が進化してるね〜。ガリュ〜君」


「そうか?」


確かにこの魔術は、クラスの半分を瀕死に追いやったあの事件から一度も使ってないけど、対して強いわけでもないと思うんだけどな。


(お前を常人と比較してどうするんだ)


まあそういうもんか。


こうして俺たちは、何だかんだで2度目の誘拐を乗り越えた。

流石に二度あることは三度あるとかはやめてほしいものだ。まだまだ油断ができないので、街に戻るまでは少なくとも臨戦態勢だ。


ーーーーーーーーーー


最終的にはなんの襲撃もなく、普通に街に着いた。そろそろ朝の6時半位ということで、街の方も比較的賑わっている。

一先ず俺たちは宿に戻り、まだ寝ているドラノのポケットからやはり金を出して、軽く朝食を済ませ、ドラノが起きるのを待つことにした。


最近なかなか書く時間がないですね...

ポイントが上がってるの見ると心踊ります!評価の方もよろしくお願いします!


最近秋なのに暑い..

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