救出
階段を降りた。
人のいびきは聞こえるものの、やはり暗いので、光魔法を継続。
いびきが聞こえるということは、人がいるのは分かる。
いびきの音を目指して歩く。やはり床はホコリが溜まっていて、虫やネズミが滅茶苦茶いる。こんなところに拉致られた暁には、一日で死ぬ自信がある。
まあ、そんなことは置いといて、一先ずいびきを目指す。
しっかし、こんなに牢屋いるかな?もう上の階と合わせて50位の牢屋がびっしり並んでるぞ。
そんな事を考えていると、足元で男が眠っているのが目に入った。手元には酒、顔は真っ赤。酒で酔って寝たようだ。その横の牢屋には、アッシュたちが眠っている。牢屋に入れられたというよりは、放り込まれたと言った表現が良さそうだ。ドサドサと上から重ねて置かれたようだ。
よく見ると、牢屋には鍵が掛かっている。
恐らくはすぐそこで眠っているオッサンが番人なんだろう。番人なら鍵は持ってるよね?
俺は鍵を探すため、オッサンの服を物色。服の中からは、鞭とか短剣とかが入っていて、やっぱり番人なんだな。と、思った。
お目当ての鍵も、すぐに見つかった。オリハルコンで出来てたら、貰っておこうかと思っていたけれど、普通に鉄製だった。ケチってんな〜。
(オリハルコンは高いんだぜ...)
黒は手錠もオリハルコンだったのにな。
鍵を開けて牢屋を開ける。
さて。鍵を開けたはいいんだが、こいつらをどうやって運ぶか...
重さは問題ないんだが、生憎俺は手を2本しか持ち合わせてなくてな...。こういう時にはタコが羨ましくなったりするんだよなぁ。吸盤はいらないんだけどね。
起こそうとしたって、どうせ起きないんだろうし。クソぅ。睡眠薬ってのは、時に、即死の毒よりも厄介だ。
(毒消しがあるだろ)
いや、毒じゃないじゃん。薬だぞ。
(毒の盗賊団だぞ。毒だぞ毒。どうせ睡眠毒だろ)
睡眠毒なんて聞いた事ねえよ。勝手な事言ってんじゃねえ。
と、アザゼルに言いつつも、他に出来ることがないので、お爺さんから貰った毒消しを使うことにする。
試しにアッシュに毒消しを少し飲ませる。
「ゴブフッ!」
アッシュは盛大に毒消しを吹き出し、バッと立ち上がって俺の顔に蹴りを入れた。
「うご!」
「不届き者め!僕を毒殺するつもりか!....あ」
そう言ってしまった!という顔をするアッシュ。
一先ず毒消しで起こすことがわかった。あまりにも唐突に蹴られたせいで、頬がヒリヒリするけど、喧嘩する暇もないので、いきなりのキックは許すけど、あとの4人にも蹴られてしまうんだろうか...。
馬鹿な事を考えながらも、ほかの全員に毒消しを飲ませる。
全員吹き出すものの、誰かさんのようにいきなり蹴るような蛮族は居なかった。
「ここは...?」
カルエルの疑問に対して、
「また捕まったんだよ」
そう言って、詳しい説明をしようと思ったが、場所が場所な上に、すぐ隣にいびきのでかいオッサンが居るから、やめといた。
「すぐにここを出て、この国も出て、すぐに帰ろう。二度あることは三度あるなんて言わせないぞ」
そう言って俺は歩き始める。
するとカルエルが俺のローブの裾を引っ張り、ある方向へと指を指す。
その先には、俺たちと同じくらいの女の子がいた。勿論身体年齢な。俺の精神年齢じゃないぞ。
「あの子も助けようよ。可哀想だよ」
そう言って、女の子をじっと見つめるカルエル。
女の子も眠っている。生憎、毒消しはもう無いのだが、1人くらい連れていくのは容易い。
「分かった」
そう言って、彼女が入れられていた牢屋の鍵を開けようと思ったが、鍵が見当たらないので、鍵を握り潰して、彼女を抱えあげる。
「それじゃ、出るか」
そう言って上へと行こうとしたその時だった。
「グァ〜リュ〜!!!!!!!!!!!」
果たして人の声なのだろうか?と、言う位の大きな声で、俺の名が叫ばれる。
その声は紛れもなく、ドラノの声だった。
更新遅れてすいませんm(_ _)m
ドラノが目覚めたようです。
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