黒の支部長とライコウの大将
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「煮るなり焼くなり自由にすればいい!私は何も言わない!この、ライコウ王国王都支部長の私が、黒の秘密を教えるわけがないだろ!」
もうお前が支部長でここがライコウ王国王都支部なのは分かったよ。
「あなたが教える気がないというのなら、私たちにだって策はあるのよ。だいたいアンタ、もう仲間はいないんだし、支部も壊滅寸前。そんなんでよくも余裕で居られるわね」
カルエルがゴミを見るような目をしながら、そう言った。
壊滅寸前というか、もう壊滅してる感じなんだが.....
「だからなんだというのだ!私はまだ支部長クラス。私が死んだとしても、ストレンジ様にとっては痛くも痒くもありゃしないんだよ!魔王復活計画は、着々と進行してんだよ!残念だったな!」
こいつ馬鹿だな。ありがちの言っちゃったパターンですか?残念もクソもねぇ。黒のボスはストレンジって名前で、魔王を復活させようとしてる?
これあれじゃん。復活させて一番最初に殺されるヤツじゃん。「私が復活させたのに...」とかいいながら。
て、いうか、アザゼルさ、仮に復活したら、どうなるの?
(さあ?別に今更復活してもなぁ)
本人ももういいらしいからその計画やめた方がいいよ。
「しっかし...丁寧に話してくれたものね。こいつどうする?」
「このままにしとくのは良くない。衛兵の所に持っていこう。黒は基本的にどの国でも指名手配されている筈だ」
Jrはさすが王族と言ったところか。こういう所はしっかりしている。
「早く行こうよ~。僕は~もう疲れたよ~。休ませて~」
流石にソニックも、バテバテだろう。ここは一旦、外に出て宿を取るべきだ。
「宿をとった方がいいと思うんだけど...みんなお金ある?」
全員がポケットを漁るが、なにか持っていたのは俺だけ。しかもあのオリハルコンのみ。
「このオリハルコンを売るか?」
俺はしぶしぶ提案するが、アッシュが、
「オリハルコンは王都のような大きな街じゃないと売れないよ」
と、言った。
「でもここは王都じゃん。行けるんじゃないのか?」
「そういえばそうだった」
アッシュはぼけたんだか、本気で言ったんだか...。
「まあ、こいつ連れていけばいいでしょ。とにかく」
カルエルの一声で、方針決定。
衛兵の詰所を目指して、俺達は歩き始めた。
「詰所って何処?」
素朴な疑問だ。もし仮に場所も知らずに歩いていたんだとしたら、とんだ馬鹿だが。
「だいたいどの国でも、王都なら城のすぐ近くにある」
と、いうことで、ひとまず城へ向かって歩くことにした。
黒のライコウ王国首都支部(だった所)を出ると、街の活気づいた風景が一気に目に入った。例えるならば、ヨーロッパの街が一番近いな。高いビルは無く、レンガの家がいくつも立ち並んでいる。
王都と言うくらいなんだから、活気溢れる所ではあるのだろうとは思っていたが、思った以上に楽しげだった。
振り返ると、そこには古ぼけた酒場があった。黒の支部は、表向きには小汚い酒場、本当は秘密基地ってわけか。
因みに酒場の名前は黒い酒場。そのまんま過ぎる。せめてブラックとかにしろよ。
しっかし、こんな青山の一等地のような所で、こんな汚い酒場なんてミスマッチ過ぎる。両隣の八百屋と肉屋は結構客が来ているのに、真ん中だけ別次元のようだ。
「何やってるの?ガリュー。行っちゃうよ」
「ああ...悪い」
ーーーーーーーー
城の目の前まで来た。王都(首都)と言っても、東京みたいにそんな広いわけでもない。もしそうなら、電車使わないと城(要は皇居)へたどり着けないだろう。丁度城はこの街のど真ん中にドンッと建っていた。見つけやすい上に、そこまで路地も入り組んでいないため、案外簡単にたどり着いた。かかった時間は20分程。ここまで早かったのは、城からある程度近かったのもあったがな。
しかし、これだけ歩くと、電車の有り難さを感じる。この距離くらいなら、電車で数分だったんだろうな。まあ、無い物ねだりは、虚しいだけだが。
(俺も、その電車ていうのに乗ってみたいものだ)
多分魔法船の方が早いと思うけどね。
そんな事はどうでもいい。詰所探そう。
「どうする?」
「いや、人に聞けばいいだろ」
俺がみんなに聞くと、Jrが、当たり前だろ。という顔でそう言った。確かにそれが一番手っ取り早いな。
俺は、優しそうなおばさんを見つけて、詰所の場所を聞いた。
「すいません。詰所はどこにありますか?」
「詰所?坊や盗みでもしたのかい?」
ちょっと不審そうな顔で聞いてくる。
普通に考えてこの歳で自首はしないだろう。
「いや、不審者を捕まえたので....」
「あら、そういう遊びなのね。詰所はあっちだけど、衛兵さんに迷惑かけちゃだめよ。衛兵さんも仕事してるんだから」
「ありがとうございます」
遊びじゃないが、説明が面倒な上、説明しても分かっちゃくれなさそうなので、そこら辺はスルー。
とにかく詰所の場所はわかった。
おばさんの指さす方向へ進んでいくと、数分で詰所が見えてきた。
なかなか立派なところだ。詰所の前には2人の衛兵がいた。
「すいません。お話いいですか?」
まずは挨拶。これは基本だよね。
「なんだ?やけに礼儀正しいじゃないか。悪いけど、俺達が相談に乗れるのは事件だけだぞ」
なかなかいい人そうだな。
「その事で相談なんですが」
「坊主。悪いな。遊び相手はできねぇんだ。こんなふざけた顔したこいつも、実は仕事してるんだぜ」
「おい。酷いいいようだな」
漫才始めんなよ。こっちは遊びじゃなくて真剣な話してんだよ。
「衛兵さん。黒って知ってますか?」
「黒?色か?」
知らないのか?まあ、俺も知らなかったんだけどさ。でも流石に衛兵なら知ってると思ったんだけどな。
「知らないのは当然だと思うよ。僕ら王族や貴族が知っている情報は、ごく少数の人間しか知らない可能性だってあるんだ」
ナスが久しぶりにまともなことを言う。まあ、貴族以上しか知らないっていうんじゃ、仕方ないね。ってなると思ったか?このままじゃこいつを引き渡せないじゃないか。
「君たち。いま、黒と言ったね?」
後ろから声。凄くイケメンな声だ。振り返るとそこには、金髪超絶イケメンが立っていた。理由ではなく、禿げたおっさんがたっていた。おっさんは失礼か。まだ若そうだ。
「そ、そうですが....」
声と容姿のギャップがすごい。いや、この人どちらかと言うとイケメンなんだけど、髪がないから残念すぎる。
「なぜ君たちが知っているんだ?言っておくが、黒に手を出しちゃダメだぞ。大変な事になるからな」
え?もう手出しちゃいました。大変なことってなんだ?
「この王都にも、黒のアジトがあるらしい。手を出したら最後、そのアジトから精鋭を集めて、夜に殺しに来てしまうぞ」
あー。そのアジトは先ほど壊滅させたやつですねぇ。ちょっと安心。
「大将!?何故ここに?今日は訓練では?」
衛兵が驚く。
「大将?」
俺がボソリというと、禿げたイケメンが言った。
「自己紹介をしていなかったな。俺はドラノ・レオネ。一応この王国の衛兵団の大将を務めている」
あっ。お偉いさんだ。ヤバイ奴だ。大将....
すっごい偉い人だ。
「まあ、君たちみたいな子供が、黒にちょっかいなんて出せやしないだろうし、大丈夫だろう。君たちもまあ、黒に襲われ無いように気をつけるんだな」
「すいません。その事で話が.....」
俺は支部長(現在部下0)を指さした。
「黒いフード....黒いローブ....ちょっといいかい?」
そう言って大将は支部長の腕のローブをまくり、腕を確認する。先ほどのチャラっとした顔は何処かへ消え、非常に真剣な顔だ。
「黒の刺青.....君たち。何処でこの男を捕まえた?」
大将の顔はますます険しくなり、その瞳は、一睨みで人を殺せるんじゃないかという程に鋭いものへと変わった。
「話せば長くなりますが....」
「それなら城に入れ。じっくり話を聞こう」
「え?ちょ.....」
大将は、俺と支部長を担ぎ、城へ歩いていった。強引に。
他の皆も、大将について行くしかなかった。
こうして俺達は、城へ入ることとなった。
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