大会2日目 後編
9月20日、句読点の修正を行いました。
誰が予想しただろうか。この大会始まって以来、一度もこんな事はなかっただろう。
魔道大会決勝。俺達ガリューチームに対して、敵はなんとソニックチーム。そう。2チーム共にBクラスのチームである。
ソニックチームがここまでこれたのは、紛れもなくソニックの力だ。彼の特殊能力。周囲のモノの動きを超減速させる。それは無機物有機物関係ない。相手の魔法も遅くすればよけられる。相手を遅くすれば、簡単に止めをさせる。臨機応変に戦闘スタイルを変えつつ、何を遅くするかを瞬時に判断する。
ゴリ押し(と言っても、無理していたわけでは無いが)をしていたガリューチームと比べると、明らかに頭を使って勝ち抜いて来たと言えるだろう。
「まさかガリュ〜君達と〜戦うとはね〜」
「ああ。俺もビックリだ。こうなりゃ初戦から気合入れ無いとな」
「主君。相手がソニックじゃなかったら、気合い入れなかったんですか?」
「そういう訳じゃ無いけど」
変な所に突っかかってくるよな。こいつは。揚げ足取りもいいとこだ。
「頑張ろ〜ね」
「僕は女子を攻撃したくないので、フランさんは僕と当たらないようにしてくれ」
ナスは何時でもこの調子だな。この場に来て、緊張とかしないんだろうか?
ん?俺か?俺は数多くのコンテストをこなしてきた身いや……精神だ。身体は転生してて違うわ。とにかく俺は鋼のハートさ。
まもう直ぐ試合開始なので、移動する。
1人目。ナス。相手は俺。
ナスは少し怯えていた。過去にこいつを何回医務室へ葬ってやったか、俺も覚えていない。
さっきは平気そうだったが、俺が相手となると、話が違うようだ。
「くっ!まさか君が最初から来るとは思っていなかったよ。これじゃあ僕は本当の捨て駒になっちゃうよ」
ナスがぼやく。まあ、今更遅いのだがね。
「ウィンドカッター!」
ナスの得意魔術。風の斬撃が飛ぶ。が、やはりそれは俺の前で砕ける。風が砕けるって変だな。
「やはり無理か」
ナスはぼやき続ける。
さて。俺はどうしようかな。流石にこいつはクラスの仲間な訳だし。あんまり痛めつけたくないな。1発で終わらせよう。
「ダウンバースト!」
俺も風魔法を放つ。下に一気に落ちる風。竜巻の仲間のような感じだ。これは自然界でもたまに起きる、ダウンバーストという自然現象からヒントを得た魔法だ。
忠実に再現した、、、つもりだ。実際写真でしか見たことないから、なんとも言えないんだけどね。
ナスは崩れ落ちる。いや。風で地面に叩きつけられたと言った方がいい。
ナスは気絶。俺の勝ちだ。
2人目。カルエルだ。勿論相手は俺。
「私は勝てない。ガリューには勝てない。でも。ダメージを少しくらいなら与えられる。だからガリュー。全力で来てね」
こいつは俺の事を呼び捨てで呼ぶようになった。別にダメじゃないんだ。ただな、こいつ以外何故か俺を呼び捨てで呼ぶ奴が居ないんだよ。どっかの誰かは俺の事を主君とか呼ぶしね。
「ああ。頑張ってくれ」
試合開始。カルエルは動かない。ただそこに盾だけを作ったままで動かない。
1分後。まだ動かない。らちがあかない。こっちから行くか。
カルエルの盾はデカイ。前から見ると、彼女の身体は1mmも見えやしない。が、前からの話。後ろががら空きなんだよ。
足に魔力を込めてダッシュ。素早く後方へ回る。そして腕に魔力を込めて氷の柱を生成。そして放とうとしたその時。
ズダンという音と共に、俺に雷が落ちる。とっさにガード。威力が非常に高い。
やりやがったな。こいつ、俺が盾の後ろ側に来るのを狙ってたんだ。さっきの1分間で完全に魔力を貯めてたんだ。
「傷なし……今の1発は私の最高傑作だったんだけどなぁ」
「悪かったな」
今度こそ。
「アイススピア」
氷柱がカルエルを貫く。
しかし、クラスメイトを痛めつけるのは、いい気分ではない。
カルエルも倒れ、俺が勝った。
最後に、ソニック。
「やっぱり〜すっご〜いね」
こいつはあのチビデブみたいに戦闘時にモードチェンジしないね。
「それ程でもないさ」
しかし困った。ソニックの速度減速化対策ができていない。一先ず、あの能力の射程範囲外へ逃げないと。でも、逃げてるだけだとなぁ。でも何しても逃げられてしなうからな。
そんな事を考えているうちに、試合が始まった。
一先ず逃げた。足に魔力をかけて逃げた。が、ソニックはそれを見越して地面に攻撃。なぜ地面か?それはこの全力ダッシュの弱点に関係がある。このダッシュ。ちゃんと踏み込まないとできない。だから、地面のコンディションが悪いと使用不可なんだ。
流石ルームメイト。よく俺の弱点を見ている。
こうなったらあれをつかないとダメだな。
俺は空へ思い切りジャンプ。そして空中を蹴る。するとどうだろう。空飛べました。ってなる。有名漫画の、黒い足の同業者から考えた。勿論蹴りだけじゃ無理なので、風魔法で補助、さらに土魔法でちょっとした足場を作る。これが結構魔力を取られる。更に、ソニックの撃ってくる魔術をバリアで防ぎつつ、こっちも威嚇射撃。消費魔力がえげつない。と、アザゼルに言われていたので、これまでなかなか使わなかった秘技だ。
ソニックも一瞬驚いた感じはしたが、直ぐにいつもののほほんとした顔に戻った。
さて。どうしたものか。この状態も十分が限界。それまでにソニックをなんとかしないと。
そんな事を考えているうちにもう6分ほど経ってしまった。タイムリミットが近い。
ソニックの攻撃のレジストもきつくなってきた。
ソニックに魔法を使ったら遅くされてよけられる。じゃあ、よけられなくすればいいんじゃないか?
ソニックの効果が出ない範囲で破壊不能なドームを作り、少しずつ小さくしていく。そのうちソニックの効果範囲内になるが、逃げ場はない。ドームはゆっくりではあるが確実に小さくなっていく。後はそのままドームを閉じて潰す。潰すっつっても、死なないし大丈夫。
良し。これで行こう。
俺はドームを土魔術で生成。完全にソニックを閉じ込める。そのまま小さくしていく。俺は空から地面へ降りる。危なかった。あと一分チョイで魔力切れてたわ。
(お前じゃなかったら開始30秒で切れるだろ)
あっそ。お。急にゆっくりになった。
うわぁ……超時間かかりそう……
ーーー3分後ーーー
だいぶ小さくなってきた。あと一分くらいかな。
(おい!魔力あと少しで切れるぞ)
マジか!これもまあまあ魔力使うんだな……
耐え切れるか……時間との勝負。
<ズン>
岩と岩がぶつかる音。終わったか。潰すというのはどうも気分が良くない。死なないとわかっていてもだ...
(危なかった。あと7発ファイアボール出すだけでお前魔力切れるぞ)
まさかソニックがここまで強いとは……
「ガリュー君!やったね!勝ったよ!凄い!」
アッシュとフランが来た。
「ああ……悪い。魔力切れかけてやばいんだ。できれば後でにし……」
その時、空から黒い矢が飛び、アッシュを射抜いた。
「アッシュ!」
「!!!」
振り向く。
そこには、黒いフードに包まれた男達が数名。生徒をさらっていくところが見える。
「一体何が……」
「全教員戦闘態勢!黒だ!黒の襲撃だ!」
校長の一声で先生達が動く。
黒?なんだそれ?
「主君!後ろ!」
フランの言葉で振り向く。
そこには黒フードの男がいた。
「君は強い。黒に入るにふさわしい」
男は俺の首を叩いた。そして、俺は気を失った。
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