スピア
本日2話目です!
9月20日、句読点の修正を行いました。
2年生になって初めての休日。と、言っても、14日にの内、最後の3日が休みだから、2週間しか経ってないけど。
さあ。やってまいりました!
「魔術の研究だーー!」
(よっ!待ってました!)
学校の敷地内の森。どっと湧き上がる開放感。
何たって、今、ここにあのパシリはいないんだから!あいつがいると、おちおち研究もできないからなぁ。
「何か必要なものはないかい?」
「ん?ないよ?いやぁ。開放って素晴らし……い?」
「何がだい?」
「なんでお前がいるんだよ!」
「まあいいじゃないか」
やっと自由になったと思ったら…………そこにいたのは、俺をしつこく追いかけていた、アサシン君たちよりも執拗に俺を追いかける、追跡者だった。
こいつはどんな感覚の持ち主なんだ。俺がこいつから逃げるために、どれだけ頑張ったことか……
足に魔力をつぎ込み、全力ダッシュした上に、例のバリアで、ステルスは完璧にしてたのになぁ。
「何するんだい?」
「魔術の研究だけど……」
「丁度いい。僕の知識を存分に使ってくれ」
こうして、こいつは俺のプライベートをことごとく潰していくのだろうか?
まあ、ここに来られてしまった時点で、もう仕方が無い。こいつも仲間に入れてやろう。
これから俺が実験したいのは、これまでやってきた、周囲を燃やす、凍らせる、濡らす、などの範囲攻撃魔術で無く、物質を飛ばす、単体用の火力特化魔術の生成だ。
だがしかし。普段授業でやるような、ファイアボールでは、相手を燃やす程度、普通に土の塊を飛ばしたって、精精あざが残る程度。
この世界では、この手の魔術はあまり使われていない、いや、授業でしか使われていないんだろう。
この魔術に火力特化が出来るなら、相当な力になるはず。
ではなぜ、この手の魔術が発達していないのか?
まず、単純に当てるだけの力しか持たない魔術は、価値が低いと考えて間違いない。
言ってみれば、火炎放射機相手に、ドッジボールを投げてるようなものだ。当たるわけないし、自身が投げるモーションの途中でコンガリ丸焼きにされてしまう。
ボールと火炎放射機なら、明らかに火炎放射機の方が強い。
が、どんなボールでも、固く、鋭く速ければ、相当な威力が発揮できるだろう。特に、速さは重要だ。
ではなぜ、この世界ではスピードを上げようという考えにたどり着かなかったのか?
恐らくだが、この世界で一番速い乗り物は馬だと思う。それに比べ、前世では、音速を超える戦闘機がある。馬の速さを初めて見た者は、馬こそが世界一速いと思ってしまう。よって、馬以上のスピードを想像することが出来なかったと考えていいと思う。
逆に、音速を知る俺達なら、その速度を超えた魔術を作れるんじゃ?という事だ。
あくまで俺の勝手な考えだし、そもそもこの手の魔術に誰も手を出さなかったのかもしれない。
更に、速いという事は、射程が伸びる勢いがあるということ。射程、速度を一気に伸ばせるんじゃ無いだろうか?
「一人で考え込むより、僕達2人で意見を出した方がいいと思うよ」
「もう方針は決まったからいいよ」
素材は、氷。先を削りたての鉛筆のように尖らせる。魔力を一気に込めて、強度をアップ。脳内で氷の塊をドリルのように高速回転させる。音速を意識して目の前の木に一気に開放!
「ハァッ!」
<シュッ>
風を切る音。
目の前の木は、音を立てることなく、風穴を開ける。
氷の塊はそのまま突き抜け、いくつもの木を貫き、8本目の木に突き刺さった。その時間僅か数秒。
「あ……す、凄い魔術を使うんだね、……僕との決闘であれ使われてたら、一瞬であの世行ってたかも……」
正直自分の作った魔術に引いた。数秒で木をいくつも貫く殺戮兵器。貫いた木だって、決して柔らかいものではない。動物相手だと、更に多くの被害が出るだろう。
「それにしても、投げ魔術があんな威力を出すなんて、僕は聞いたことが無いよ」
あの手の魔術は投げ魔術って言うのか。まんまだな。
うん。あれは、アイススピアと名付けよう。
更にこの魔術の恐ろしいところは、こいつで人を殺めても、凶器が残らない所だ。何たって溶けちゃうから。
地球で使ったら、即迷宮入りだ。
同じ要領で、土の塊も飛ばしてみた。こっちも強度は悪くない。
恐らく、これを飛ばしまくれば、軍隊が滅びるな。
(国が滅びるわ!)
流石にそれはないでしょ。
「いやぁ。見てるだけですごいね。今度僕にも教えてよ」
「誰がこんな殺戮魔術教えるもんか」
「まあ、気が変わったらお願いします」
こうして、殺戮兵器、アイススピア、アーススピアが完成した。ぶっちゃけ強すぎて、使い道限られそうな感じあるけど……
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