魔王
その日世界が揺れた。各国の上層部たちは青ざめた。気絶する者もいた。それは決して過剰反応では無い。
平和だったこの世界に、新たに魔王が生まれたのだ。
探知系魔術師はこの悲劇をすぐに王へと知らせ、その知らせは瞬く間に伝達された。
魔王が生まれた場所は、今までに無い場所だった。
第4大陸第2初等魔術師学校。それが魔王の生まれた場所だった。
ーーーーーー
守護霊が姿を現してから、やけに周りがうるさくなった。
正確には、精霊自身が俺の精神に語っているので被害者は俺だけだけど。
あの守護霊の名前はアザゼル。らしい。前世で呼ばれていたらしいが、何処ぞの神か天使かと聞きたくなる。
「うるせぇから静かにしろよバカが」
(いいじゃないの。話相手がいるって最高)
「いいから静かにしろよ!」
つい怒鳴ってしまった。勿論ほかも人には教えていない。ソニックと俺だけの秘密だ。
なので、知らない人からは、俺が意味不明に怒り始めた事になる。ほかの人から見ればただのクレイジーボーイだ。
これからは心の中で怒鳴ろう。もう決めたぞ。
(できんのかー?)
(うっせぇ。黙れ。つーか出来ましたし)
(あら残念。皆からうしろ指さされて笑いものになればよかったのに)
(縁起でもない事を言うな。俺は普通に生活がしたいんだ)
(普通の人は王に料理なんて作るもんなのか?)
ん……一々面倒な奴だな。ホントに邪魔だ。
(邪魔なら消えてもいいよ。お前の魔力落ちるし、俺がいなくなっても治療魔法なんか使えないぞ)
なんだよ。語りかけなくても分かるなら最初からそう言えよ。
ちょっと困るな…………それはそれで。
(まあもうとりついちゃってるんで離れられないけどね)
なんだろう。無性に料理したくなってきた。なんだろうなー。包丁持ちたいわ。なんだろうなー。どうしてだろうなー。いっそのこと魔術でこいつ引きはがせればいいのになー。
(ま、待て早まるな……)
ホントに引きはがす魔術あるんだ。そーなのかー。いいこときーたなー。
(むぐう…………)
少しは静かになったか。
(お前なんか後つけられてるよ)
ん?どゆこと?
(だーカーラー。追跡されてんの。アンダスタンド?)
あーあー……アンダスタンドアンダスタンド。お前の遊びには付き合ってらんねーよ。冗談は酒場で言え。
(まじで居るって。居なかったら俺殴っていいよ)
殴れねーだろ。実体ないんだから。まあ、俺も悪魔ではない。ちゃんと聞く耳を持っている。こいつの言ってるのが嘘だったら、その引きはがす魔法使おう。
後ろを向く。そこにはローブで身を包んだ謎の人物がいた。そいつはサッと身を隠したが、一瞬見えた。
そいつの元へゆっくり歩いていく。ローブの人物は震えている。どうしたのだろうか?
「どうしたんだ?」
「んんんなあああああ!!!魔王に……魔王にみつかったァァ!!!!!!」
「んな?魔王?」
何故俺の事を魔王というのだ?そう言うゲームですかね?
「なんで俺の魔術が効かないんだ……」
魔術?そんなの使ってないじゃん。
(いにゃ。こいつ透明魔法使って姿隠しとったよ。俺の力があれば通用しないけど)
「クソぅ!死ぬわけには行かねーんだ!」
そう言って男は(男だった。耳がとんがってた。小さかった。おそらくエルフ)走り去っていった。
魔王って何?なぜ俺を見て逃げんの?
(だって俺魔王だから)
へー。そうなんだ。
ハァ?聞き間違いですかね?あんたが魔王な訳あるかいな。
(いや俺魔王だよ。昨日鏡に出た時に魔力使ったから、それでバレたんだと思う。俺の魔力特殊だしな!)
ハァ?お前魔王なの?そうなのう?あと自慢いらない。
(まあたまに暗殺者とか勇者(偽物)とか来ると思うから。気をつけろよ)
ハァ?気をつけろってなんだよ?
何?俺の中に魔王が住んでんの?それヤヴァイな。冗談だったらお前殺すからな。
(保証する)
ピロリン!ガリューに仲間が加わった!
アザゼル
職業 魔王
ステータス
測定不能
スキル
測定不能
備考
ガリューの守護霊
俺の中で好きだったゲームの仲間が加わった音がした。
ハァ?連発。魔王はガリューの守護霊だった?
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