母さんの料理はクソまずい!
最強魔術師は未だに夢が決まらない!?〜いっそ料理人にでもなろうかな?〜
を投稿しました!
今日中に10話投稿します!
そちらの方も是非お願いいたします!
感想、評価はこっちも新作もどっちもお願いします!
連絡石が鳴り響く。
城の受付の連絡石だ。
魔法船の離着陸場からだ。
ベルハイドか。
受付の女性が明らかに嫌な顔でその連絡石の連絡を受ける。
「こんな時に、一体なんですか?」
「緊急の連絡だ!今すぐ王に会えるように時間を用意してほしい!」
「はあ?ベルハイドさん、いくらそんなこと言ってもね。できることとできないことがあるのよ」
「分かっている。分かった上で頼んでいるんだ」
「だいたい何なのよ?あなたみたいなただの船の離着陸場の雇われ管理人が、王会いたいなんて…」
「違う。会ってほしいのは、今来ている客人だ!重要度は高いと思う」
「客人〜?そんな重要性の高い客人が来るなんて聞いてないわ。文明圏の王様ぐらいよ。重要な客なんて」
「そんな人たちよりよっぽど重要だ!って!なぜここに?ちょ!」
「ベルハイドさん?どうしたの?」
ベルハイド側から謎の声が上がる。
ベルハイドの悲鳴に近い叫び声のような声が止まると、今度は知らない声が聞こえた。
「王に、母さんの料理はクソまずい。と、伝えておいてくれ。そうすれば、何もせずとも王自らこっちに来るだろう」
「はあ?クソまずいって…はあ?」
いけないいけない。受付嬢が言っていい言葉ではないな。
はあ?を二連発したのは久々だ。
受付嬢は一度冷静になる。
「もしもし?悪い。そういうことだ」
ベルハイドの声に戻った。
「え?ちょっと?今の何?まずいって?」
「ひとまず伝えてみてくれ。ちょっと切るぞ。頼んだ!」
「え、待って!って…」
通信が切れた。
今の声って、誰?
なんか聞いたことあるような気がしなくもないけど。
ひとまず上に伝えておくか。
母の料理はクソまずい。だっけ?
受付の女性は今度は自分から連絡石を手にとって、上への報告を行う。
ーーーーーーーーーー
国民が嘆き悲しむ中、国の上層部は全く違った心配をしていた。
なぜか?
それは国の上層部しか知るはずのない機密中の機密事項、黒についてだ。
今回の王子事件と関わっていることはもう学校側からの連絡でわかっていたからだ。
黒に誘拐されてかから帰ってきたものはいない。
果たしてどのような仕打ちを受けているか、分かったものではない。
生きているか、死んでいるか、正気を保っているか、狂っているか、はたまた洗脳されているか。
何もかも謎に包まれた状態である。
それが黒と、その黒に誘拐されていった人々だ。
仮に生きていた場合、場合によっては生き地獄のような奴隷生活が待っているかもしれない。
洗脳されて使い捨ての駒にされているのかもしれない。
情報がないということは、それだけで脅威となりうる。
王子という立場から、いろいろ利用されているかもしれない。
王子だからと、金品や土地を要求してくるかもしれない。
なにより怖いのは、さらわれた人物が王子であるということだ。
身代金くらいいくらでも払ってやる。
それは王も考えていたが、身代金より怖いのは、王子がその立場を使って利用されてしまっている場合だ。
˙本当に何をされるかわからない。
王も大臣たちの前で頭を抱える。
そんな時だった。
執事長のエスカルが入ってきたのは。
「キャビアン王様。つい先ほどですが、どうしても王に会いたいという連絡があったと、受付のものが連絡をしてきました。なんでもその時に、伝言があると言われたそうで…」
「伝言?」
「はい。なんでも、これを伝えれば、王は確実に動く。と、言われたそうで。一体なんのことやら。と云ったような伝言ですが」
「うむ。言ってみろ」
「はい…。えーっとですね…」
エスカルが少しいい辛そうな顔をしながら、口を開く。
王の前でこんなことを言っていいのだろうか?と、少し戸惑った結果である。
「母さんの料理はクソまずい…だそうです」
言った瞬間、キャビアンがプルプルと震えだした。
エスカルは、やばい、やはり言うべきではなかったか!?
と、キャビアンが震えだした瞬間に少し後ずさりをした。
「その言葉は本当か?もし本当なら、それを言った客人を連れてきてくれ」
「….?連れてくる…ですか?」
「そうだ。連れてきてくれ。もしお仲間がいるようなら、その者も一緒に、だ」
「か、かしこまりました」
エスカルは頭の上にハテナマークを浮かべながら、その場を去っていった。
キャビアンの顔は、笑顔に変わった。
ーーーーーーーーーー
Jrが、ベルハイドさんの後を勢い良く追い始めたもんだから、俺たちもどうしたのかとついていく。
追いついた時には、石でベルハイドさんがどこかへ連絡をしていた。
きっと城の方に連絡してくれているのだろう。
見守っていると、いきなりJrがベルハイドさんの持っていた石を取り上げて、言った。
「王に、母さんの料理はクソまずい。と、伝えておいてくれ。そうすれば、何もせずとも王自らこっちに来るだろう」
ベルハイドさん含め、俺たち全員が、突然変なことを言い出したJrを見つめ、一瞬固まった。
その後、石をベルハイドさんに返し、Jrが戻ってきた。
「な、なに今のセリフ?」
思わず聞いてしまう。
「父さんなら分かってくれるはずだ。合言葉みたいなものさ」
「母さんの料理はクソまずい、が、合言葉なわけ?」
カルエルも質問する。
「合言葉…というか、母さんの、つまり現女王に当たる僕の母さんは、天才的なまでに料理が下手なんだ」
「天才的なまでに下手?」
なんという言葉の使い方なんだろうか?
天才的って、どんだけ下手なんだよ?
「例をあげれば、シチュー作ろうとしたら、紫色の気色悪いドロドロした液体ができる…みたいな」
「え…?」
「食べると、腹を壊したり、舌がピリピリしたり…」
あれか!
食べると毒とか麻痺耐性ついちゃうあのそっち方向の料理か!
「そしてその事実を知っているのは、僕と父さんしか知らない」
「だからつまり…?」
「これを聞いたら父さんは、すぐにここに使いを出すだろうよ」
そういう合言葉はあっていいと思うけど、なんというか、Jrのお母さんがかわいそうな気にもなってくるな。
「だから…そうだな。あと20分。あと20分あれば使いが超特急でやってくるはずだ」
堂々と宣言したJrは、元いた部屋に戻って行った。俺たちもついていく。
そして部屋で、少しリラックスタイムを取っていると、Jrの予想通りに、20分そこらで、ベルハイドさんから声がかかった。
「城の方から使いの人が来ました。皆さんご一緒に、だそうです」
その言葉を聞いたJrは、すぐに立ち上がり、ベルハイドさんについていった。
俺たちも慌ててその後を追う。
最強魔術師は未だに夢が決まらない!?〜いっそ料理人にでもなろうかな?〜
二度目ですが、本当に、是非是非、読んでいただきたい所存であります!
どうか新作の方もよろしくお願いいたします