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王子なのですか!?

ベルハイドは客人の待つ部屋の扉を開けた。


「お待たせいたしました。この施設の責任者の、ベルハイドと言います」


 ベルハイドはそう言って軽く頭を下げ、お辞儀をし、そして頭を上げる。


「お呼び立てしてすみません」


 一人の子供がそう言った。


「いえいえ。何か私にご用でしょうか?」


 ベルハイドは、数人の子供たちの顔を一人一人見ていく。

 皆まだ小さい子供たちだ。

 こんな子供たちが中級冒険者?

 そんなことがあり得るんだろうか?


 一人一人の顔を見ていくと、一人、前に見たことのあるような顔の人物がいた。


 はて?どこかであっただろうか?

 しかし、自分とアルカナとの共通点、関わりなんてほとんど、いや。全くない。

 

 なのになぜこの顔を見たことがあると思ったのだろうか?


 思い出せ….。

 職業柄か、人の顔を覚えるのはそんなに苦手じゃないんだ。


 確か…二年前?


 あれは王子の学校へ行く前の入学祝いの式典の時…。


 というか、どういうことだ?

 頭ん中で、王子の顔がここにいる子供の顔とぴったりと合っている。


 でも王子は死んでいるし、アルカナからなぜ?

 王子に似ているというだけ?


 何せ二年前、遠くから見ただけだ。

 うろ覚えどころか、まともに見てさえもいなかったと思うし。


「単刀直入に言わせてもらいます。王に会わせていただきたいのです。そのためには、偉い方を伝っていくのが一番かと」


「王に?それは無理では?いまは王子が亡くなられてしまったので、国全体が暗いムードに包まれています。王はもっと深く落ち込んでいるのではないかと…」


「ああ…」


 子供たちの顔が一瞬で曇った。

 なんとも形容しがたい顔をしている。

 

「なぜ王に?というよりも、なぜアルカナから貴族用の魔法船でやってこられたのですか?」


「え…?いや、色々事情があってですね…」


 そう言うと今まで話していた男の子が、王子に似ている(と思われる)男の子とヒソヒソ話し始める。

 何か聞かれてはまずい何かがあるのだろうか?


 そう思っていると、王子似の子が口を開いた。


「信じてもらえるかはわからないが…。もしも、僕がその亡くなった王子だと言ったら、どうしますか?」


 男の子は自身のランクカードの名前の部分を見せた。


「ンな...?王子?」


 半信半疑、とは言っても現実的にはありえないし…。いや、王子と顔似てるし。まだまだ頭の中で混乱している。

 

 だが名前の部分に刻まれた、王族の血筋を表す名前。


 それを見て疑惑は何もなくなった。風に飛ばされてどこか遠くへ飛んで行った。


 ランクカードは偽造できない。

 ランクカードはすべて真実を語る。

 

 そのランクカードはまさしく、王子その人のものに違いなかった。


「お、おおお、王子!?」


「そういうことだ。勝手に死人扱いされるのは気分が良くないぞ。全く」


 似ているのではない、本人なのだ!

 王子は、王子は生きていたのだ!



♢♢♢♢♢


 

 偉い人を待っていたら、数分でその偉い人がやってきた。

 どう話すか迷うが、ひとまず必要最低限のことを伝えて、王に会いに行きたい。


 あの美食家に。


「お呼び立てしてすみません」


 早速話を始める。

 少し話を進めると、あることをベルハイドと名乗った男性が言った。


ーーーーー王子が亡くなった


 俺も含め俺たち全員が少し表情を曇らす。

 王子…つまりJrはもうこの国では死人。という扱いになっているということ。


 それはつまり、同様に俺を含めたこのメンバー全員が同じように死んでいるという扱いになっているということだ。


 なんというか、言葉にできないもどかしさがある。


 生きてるんですよ。あはは。


 と、軽いノリで言えるような状況じゃあないからこそ、気分的に気まずい。


「Jr。どうする?お前死んでるぞ?」


「そうみたい…だな。城に着いたら、自分の葬式を見ることになるかもな」


「冗談…って言い切れないから怖いな」


「もういい。ランクカード見せれば一発だろう。事情も要約して話せばいい」


 そう言ってJrはベルハイドさんにランクカードを見せた。


「信じてもらえるかはわからないが…。もしも、僕がその亡くなった王子だと言ったら、どうしますか?」


 ベルハイドさんはカードを凝視し、カードを見るために見開いていた目を、さらに大きくした。

 それもそのはず。

 ランクカードは何よりの証拠となるもの。

 世界はこれを中心に回っていると言っても過言ではないほどに、このランクカードは完全なる存在であるということだ。


 名前だけでは確認する要素として足りないかもしれないが、ある程度は通るというのが俺たちの予想だ。


 ベルハイドさんは、開きすぎた顎を元に戻し、言った。


「王子…?本当に王子なのですか?実は一目見たとき、似ているな、とは思っていたのですが…まさか本当に?」


「本当も何も。幽霊かどうかでも疑っているのか?それとも嘘をついているということか?」


「い、いえ!そんなことはないです!」


「結局、父さんに会って確認すればいい話。そこで、ベルハイドさん。取り次いでもらえないですかね?」


 Jrの言葉に、座っていたベルハイドは飛び上がった。


「さ、早速連絡を取ってみます!」


 そう言ってベルハイドさんは部屋からダッシュで出て行った。







明日からリメイク版を投下します!

明日、朝7時、12時、午後7時、11時目安で1日5回、一週間連続投稿人ある可能性ありです。


一気投稿ですので、お見逃しなく!

拡散よろしくお願いします!

作品タイトルは、「最強魔術師は未だに夢が決まらない!?〜いっそ料理人にでもなろうかな?〜」

のつもりです。

何か要望等ありましたら、ぜひ、コメントお願いします!


ちなみに、こちらの方も、まだ続く予定なのでよろしくお願いします!

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