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秘薬、再登場

「な...なんでだよカルエル...!?お前ならまず真っ先にオッケーしてくれると思っていたのに...!?」


「何が起きたって許さないわ」


カルエルは腕を組んで呆れた顔でそう言った。


「少し待てば金が入るんだぞ。それくらい待とうぜ」


「そんなんじゃないわよ!ほんっとにうちのパーティーはバカばっかね!」


「ダジャレか?」


「そんなんじゃないわよ!」


突っ込んだナスはカルエルに軽く蹴られた。


「全く...。ガリューも...ここまで条件が揃っているのにまだ分からないの?」


「じょ...条件?」


「ガリューあんた...。ライコウ王国で何貰ったのよ?」


「な...何貰った?」


俺はローブのポケットに手を突っ込んだ。


右手は先ほどの戦闘でも使ったオリハルコンを触った。

左手はいくつかの日用品的な物や、布製品、そして一つのガラスに触れた。


「あ...あああ!そういうことか!」


「そういう事よ」


「そ...そういう事って何?」


ライコウ王国で謎の老人に渡された、通称幻の薬。どんな毒も解毒してしまうという超万能毒消し。


そうか...。これがあったか。


完全に忘れていた。これに気が付かなかったとか俺は馬鹿か。

完全にチャンスを棒に振る所だった。


「それだけじゃないわよ。スタアさん自身はお金が必要。私たちは船に乗れればいい。最悪その双方の必要な分だけお金を貰うことだって可能なわけじゃない?」


「ああ...言われてみるとそうかもしれないな。まあ待つことに変わりはないが...」


「だーかーらー!そんなの気にしないっつーの!」


「ま...そうか。わかった。悪いな...スタアさん。権利を渡すことは出来ない」


「...そうか。それなら...」


いきなりスタアさんの顔が暗くなる。


「ああ!いや...そういうことじゃあなくて...。実は...俺万能解毒薬を持っていたのを忘れていて...」


「ま...まさかそれは...!?」


俺はローブから薬の入ったガラス瓶を取り出した。


「ああああ...あの白金貨数枚はするっていうあの..あのあれか?」


「ああ...あのあれですね」


「で...でもそれこの大陸だと...ライコウ王国でしか出回ってないって言うらしいし」


「え?そうなんですか?」


「え?逆に知らなかったの?...まあいい。なんでそんなものを持っているんだい?」


「な...なんか貰ったんですよね」


「ももももも....もらったあああ!?白金貨を貰ったてこと!?」


「ま...まあそういう事ですね」


俺が手に持った薬を目を輝かせてじーっと見つめている。

まあ妹の救世主になる(予定だ)からな。


「じゃあ...その薬を分けてくれるのか?」


「はい!是非使ってください。妹さん...今どこにいるんでしょうか?」


「あ...ああ。いま城のすぐ近くのギルドの方に預けている。城のすぐそこだから被害は出ていなかった。今すぐ行ってもいいだろうか?」


「あ...一緒に行きますよ!」


城を出てギルドに向かうというスタアさんの後を追うように付いて行く。



♢♢♢♢♢



「ここだ」


城を出て徒歩数秒。本当に城のすぐそこにギルドがあった。

目と鼻の先とはこの事か...。


「ここの休憩所の所に寝かせているんだ。こっちだ」


スタアさんの後を何も言わずに付いて行く。

あるドアの前でスタアさんが止まった。


「ここを開ければ見えるが、一応覚悟して見てほしい。自分の妹に対して言いたくはないが、初めて見る人にとっては少しグロテスクかもしれない」


「...わかりました」


スタアさんがドアを開けた。


部屋の奥に布のカーテンで囲まれた所がある。

スタアさんは囲っているカーテンを開いた。


「う...これは酷い...」


まだ高校生程度の女性が横たわったまま固まっていた。

首より下はもう石になっている。

石の体の上から服が着せられている。


その姿はなんとも形容しがたい。

これは元いた世界...地球では見られない姿だ。


「ごめんよムーナ...。待たせてしまって...」


またしてもスタアさんが涙を流す。

まだ石化していない頬を軽く撫でたスタアさんは、こちらを向いて言った。


「それじゃあガリュー君...頼むよ」


「分かりました」


薬を取り出した俺は、ムーナさんの口元に一滴の薬を垂らす。

ムーナさんに変化は見られない。


アザゼル...。これでいいんだよな?


(ああ。すぐには治らない。2.3日すれば治るだろう)


そうか。ありがとう。


「すぐには治らないみたいです。2.3日待てば自然に治るそうです。俺もホッとしました」


「そうか。治るんだな!?本当に...本当に君には、礼を言っても言いきれないよ...」


「何言ってるんですか。助け合いですよ。スタアさんにも助けてもらいましたし、おあいこですよ」


「おあいこって...。ムーナだけでなく俺の事も救ってくれた。全然おあいこじゃないよ...。とにかく絶対埋め合わせはするよ」


「いいですって。それより俺は宿とったり色々しないといけないので、先に戻りますね」


「うん。今日はありがとう。また明日会いに行くよ」


こうして俺とスタアさんは別れた。








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