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初対面

「で、この子について説明していただけますか?」

スリュルを連れて自分の部屋に戻るとユークリゥドがいて俺を見た第一声がこれだった。

「説明も何も無いんだが・・・・・・。俺をこの世界に召喚した巫女だ。あまり周囲と上手くいってなかったようだったから連れてくことにした」

それからゾルトに許可を得た事も伝える。何を心配したのだろうか。スリュルが暗殺者だとか疑っていたのだろうか。大体今スリュルの置かれている状況をユークリゥドに話し終えた。

「そう、でしたか・・・・・・。非礼をお詫びいたします。聖戦前のこの時期、不必要に警戒していたようです」

聖戦はただ学園が得をするためだけに開かれるわけではない。貴族達の賭け、素質のありそうな者を騎士団が勧誘する。最も重要なのは各国の王族が来ることだろう。流石に王自身が来る国は無いようだが王位継承権第1位の嫡男が来る所もある。最初聞いたときは耳を疑った。たかが学生の戦いに王族が来る事にだ。今は少し楽しみでもある。この国から東に#2ヶ月程行く__国1つ超える__#と地球でいう海がある。(特に水がしょっぱいなどはなく普通の水らしいが)その海を越えたところにスメラギ皇国があり、そこの#戦姫__せんき__#と呼ばれている現皇帝の長女が来るらしいのだ。その戦いぶりは文字通り一騎当千。これは期待出来そうだとユークリゥドに言ったら皇族と戦えるわけが無いでしょう!と叱られた。考えてみれば確かにそうだ。だが見て分かる事もある。やはり楽しみだ。

「・・・・・・なぜここで笑みが浮かぶのですか?」

「ああ、すまない。聖戦の事を考えていた。今はそれどころではないな。で、俺から提案がある。スリュルをユークリゥド学園に通わせてはどうだ?意外に戦闘能力は高いかもしれないしな」

「い、いえ。私は戦うのはからっきしで・・・・・・。その代わり回復魔法が使えます。骨折位なら直せますし時間をかければ手足の欠損も回復出来ます!」

この言葉に驚愕するユークリゥド。

「本当ですか!?い、一般的な治癒魔法使いは骨折を治せれば天才とまで言われるんですよ!?それを欠損まで!?これではかの聖女アーラの再来と騒ぎになってもおかしくはないのに・・・・・・。なぜ?」

てっきり骨折位なら簡単に直せるのかと思ったらそうでもないらしい。それならば確かになぜ騒ぎにならないのか疑問だ。

「ゾルト様からこの力をみだりに使ってはならないと仰せつかっていましたので使いませんでしたがそんなにすごいのですか?」

ここからユークリゥドの聖女アーラについての講義が始まるのだった。30分程した所で止める。

「これ以上はまたの機会にしておけ。辺りが暗くなってきた。今夜は『影』盟主が来るんだ、対応を聞いておかないといけないだろう」

まだユークリゥドは言い足りないようだったが了承する。スリュルは解放してくれた事からシュウに感謝の眼差しを向けるもあっさり無視され少し凹む。

「ユークリゥド、ミーテとか言ったか?あの巫女。あいつがどこにいるか分かるか?」

「いえ、さっぱり分かりません。というかシュウさん居場所も分かってないでずっとここで話してたんですか!?」

返す言葉もない。てっきり向こうから来てくれると思っていたが向こうもこちらの居場所が分かるわけがないのだ。

「さて、どうするか。このままここで待つというのは論外だな。やはり探しに行かねばならないか?しかし闇雲に探しているとどこかで入れ違いになる危険がある。ユークリゥドはなにか考えはないか?」

「その心配には及びません。ただいま見つけましたので」

振り向くと扉が開き、そこにはミーテの姿が。

「そうか。いなければまずそいつの部屋を見に来るのは道理か。すまない、手数をかけた」

「いえ。それでは盟主を迎える予定の場所にて打ち合わせをしたいと思いますのでついてきて下さい」

スリュルを見ても何も言わないな。眼中にないのか、それとも最下級の巫女のことなぞどうでもいいのか。どちらにしろあまりいい気分にはならないな。だからと言って邪険にするわけでもないが。

「うわぁぁぁぁ!!」「何だ!!うおっ!?幼子が浮いてる!?」「先程までは何もいなかったはずだ!」

突然外が騒がしくなった。俺の部屋から反転し出て行こうとしていたミーテが失礼、と断ってから俺の部屋に入ってきた。そして窓を開けたミーテが見たのはまだ日が沈んで間もない若干明るい空を背景にでかい鎌を持った少女が宙に浮いている光景だった。確かに飛行する魔法は存在する。しかし場所が問題だった。王城周辺には常時波長を合わせていない転移魔法、またはそれに類する魔法による転移を防ぐ結界が張られている。これは王城という事から相当強力な結界が張られているはずだが転移して来た。そこから結界の情報が漏れている、あるいは結界を気にせずともいいほどの強力な魔力を持っているか。どちらでも大問題だ。

「こ、ここはヘルゼン王がおわすお、王城だ!!それを理解したうぇ、上での行動か!!返答次第でこちらは武力行使をする準備がある!!」

1人の兵士が噛み噛みながらも警告する。すでに浮いている少女に照準を合わせた弓兵が周りに展開している。

「ク、ククク・・・・・・そのような凡弱極まりない#玩具__おもちゃ__#如きで我に傷を与えることが叶うと?笑止!そのような考えの浮かぶ貴様らの花畑具合に笑いが止まらないな!それに予告はしたはずだぞ!今宵、『影』盟主が赴く、と」

それを聞いた兵士達に驚きの波が広がる。

「じゃ、じゃあまさか・・・・・・」

先程警告を発した兵士が青い顔をし呆然と呟く。

「そのまさかだ。我こそが『影』盟主黒凪ユオなり!」

決まった、とばかりにドヤ顔をしながらポージングする少女。否、黒凪ユオ。恐ろしさよりも滑稽さが強調された自己紹介だな。というかあれが本当に『影』盟主ならばマズイのではないか?俺の一存で決まったと言ってもいいが一応は敵対せず対話するとなったはずだが思いっきり武器を向けてしまっている。

「この状況を見るに『こういう』対応と判断して良さそうだな!・・・・・・うむ!やはり貴様らは滅ぶべきだ!我自ら手を下してやろう。喜び噎ぶがいい!」

何故、今黒凪ユオは何も無い空間に注意を向けたんだ?もしかして、誰かいるのか?まぁ、誰かがいようと俺の対応は変わらない。即ち

「ならば俺が相手になろう。『影』内でも少しは名が知れてるだろうが異世界より来たシュウだ」

その場の全員の注目が俺に向いた。少し居心地の悪い思いをする。

「ほう!キシャマが・・・・・・」

(噛んだな)

(噛んだ?)

(噛みましたね)

(えっ、何今の?)

みるみる内に黒凪ユオの顔が朱に染まっていく。やはり噛んだらしい。

「うっ、うぅ・・・・・・こほん!貴様がシュウ・イチジョウか!話には聞いているぞ!我々『影』の活動を度々邪魔してくれているようだな!丁度いい。この場で邪魔者を消しておこう」

噛んだという事実は無かったことにしたらしい。言い終えた直後ユオは自身の周りに以前戦った虹龍に勝るとも劣らない量の魔方陣を展開した。なるほど『影』の盟主を務めるだけのことはあってかなり強そうだ。にやりと笑い八重桜を手に出す。

「ふっ・・・・・・!」

「消えるが良い!」

黒凪ユオが魔法を放ったのと俺が地を蹴ったのはほぼ同時だった。

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