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パレードと亜人

王城に対するピュレオの襲撃から2日後ヘルゼン王とその護衛たちは各国の重鎮と協議を行う場へ発った。それから16日後シュウは正式にXランクを認められ、パレードをセレストリュールで行うこととなった。

「面倒くさい」

周りでシュウの着付けを行っていた侍女達がコケる。

「シュ、シュウ様、これはほとんどの冒険者が夢見て実現できない、英雄と称えられるのと同じ偉業なんですよ?本当にユークリゥド様の言っていた通りの方で我々はもう驚きを通り越して呆れですよ・・・・・・」

なんでもいいが早く着付けを終わらせてくれないだろうか。かれこれ一時間は突っ立ったままなんだが。

「はい!終わりました!しかしこうやって見てもやっぱりすごくカッコイイですね・・・・・・」

周りの侍女達の視線が崇めるような物になってきたためその部屋から逃走する。あわよくばこのまま服を脱いで街の外へ逃げようかと考えているとユークリゥド率いる衛兵団に捕獲された。

「シュウさん、まさか逃げようなんてしてませんよね?流石にこれは逃しませんよ・・・・・・?」

バレていたようだ。そのまま王城の正門前に止めてあった壁と屋根の無い馬車のような物に乗せられパレードが始まった。正門から出ると凄まじい歓声の嵐で、事前にユークリゥドがかけてくれた聴覚保護の魔法がなければ鼓膜が破れていただろう。何百、何千どころではない人たちの歓声なのだから当然だ。

周りを見渡せば見覚えのある顔が幾つかあった。まずツルクルのギルドマスター、ドゥール。その横には受付嬢ユルト。ユルトに向け軽く手を振ると満面の笑みで手を大きく振り返してきた。その手が思い切りドゥールの顔面を殴っていたが。その先にはユークリゥド学園生徒会チームがいた。ちなみに聖夜達勇者一行は護衛として(シュウはいらないと言った)後ろに付いてきている。何故か横に人のいない空白地帯があり、そこから先は亜人種のエリアだった。

「何故人と亜人の間が空いてるんだ?」

と横のユークリゥドに聞くと言いづらそうに答えた。

「以前ピュレオに龍種と協力してスラフト王国を安定させ、妻を追放したお話は聞きましたね?その後妻は復讐として数多くの亜人や魔物を引き連れ襲ってきたのです。その時の恨みでいまだ亜人の差別が根強く残ってます。そのため純粋な人は亜人を極度に嫌い、酷く当たります。いまだ消えない人身売買のほとんどが亜人を売り飛ばしています」

なるほど。しかし酷い話だ。昔の亜人達ならともかく今の世代の亜人達には関係無い事だろうに。周りの亜人達は不安げにこちらを見ている。ユークリゥドが言うには見てるだけで暴力を振るわれたり歩いているだけでいちゃもんをつけられ襲われる事もあるという。俺は馬車の上から指示を飛ばし亜人達の列の中央辺りで馬車を止めさせた。

「亜人の皆!俺はシュウ・イチジョウ!この度Xランクに昇格した冒険者だ!俺は亜人差別主義者らアホとは違い、お前達を差別するつもりは毛頭無い!だから怖がらず街で会ったら挨拶くらいはしてくれ!気づけば必ず返す!何か事件が起きて衛兵が相手をしてくれない時は俺に言え!俺の力で解決できる事なら必ずなんとかしてやる!だから・・・・・・安心してくれ」

最後にぎこちない笑みを浮かべた。亜人は身体能力が高いと聞く。恐らく聴き漏らしたものはいないと思う。これで少しは恐怖心が薄れてくれればいいが・・・・・・。効果はシュウの想像など遥かに超えその場にいた亜人は例外無くシュウの為に死のうと考える程の熱狂的ファンになっていた。人より少数だがそこは亜人の身体能力で先ほどの歓声を超える規模の歓声がシュウの身へと降り注いだ。

「ふふふっ。やっぱりシュウさんはシュウさんですね。だからこそ私は」

「うるっさーーーーい!!!」

ユークリゥドはその場に飛び上がるほど驚いた。

「さっきから何なの!?うるさいったらありゃしないよー!シュウ!!」

ユークリゥドは俺には聴覚保護の魔法を掛けてくれたが久對羅まで効力が及ばなかったのか。

「すまない、久對羅。今日はXランク昇格を祝うパレードなんだ。まぁ、知ってたとは思うが」

「だ、だ、誰ですか?この女の人は?シュ、シュ、シュウさん」

動揺しすぎだろう。

「久對羅は俺の八重桜だ。前にいた世界で俺の武器になった」

ユークリゥドは分かってなさそうだ。

「ようするに!あなたなんかじゃ辿り着けない距離感にあるの!私とシュウは!」

・・・・・・は?

「そもそも後から出てきてシュウと仲良くしてるの、気に食わなかったし!」

・・・・・・いや、は?

「私とシュウは将来の仲を誓い合った仲なんだからーーーー!!」

・・・・・・まぁ今のはあながち間違ってはいないが。

「いい加減変なことを吹き込むな。ユークリゥドが混乱してるだろう。今は引っ込んでくれ」

シュウの言葉に雷撃を食らったかのような顔になり久對羅は刀に戻った。

「え、えーっとようするにシュウさんの奥様、なのでしょうか?」

「断じて違う」

その即答に抗議するかのように刀が震える。

「端的に言えば実力で従わせている意思を持つただの武器だ」

そ、そうなのですか・・・・・・。と『一応』の納得を見せるユークリゥド。いい加減亜人達の視線も痛い。さっさと回って王城に戻ろう。

セレストリュールを回り王城に戻った俺を待っていたのは貴族達との顔合わせだった。異世界から召喚されたとはいえXランクはその手にある権力のお陰で貴族達とパイプを築かなければならないとユークリゥドが言っていた。・・・・・・俺には全く分からんが。

「お初に目にかかります、ロクワール領を統治しておりますロトワール・エル・メルクリルと申します。我がロクワール領は魚がよく取れまして・・・・・・」

とにかく多い。面倒ったらありゃしない。凄まじく退屈そうにしている俺を見てヘルゼン王が顔合わせを終わらせた。

「すまぬ。公的な物はもうさせないようしようと思ったんだが貴族達を止められなかった」

気にしてないと伝え王城から出る。そこで待っていたのはセレストリュールの住民達だ。

「・・・・・・まだまだ宿やツルクルには帰れそうもないな」

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