Xランクへの道
「ま、万を・・・・・・?あ、あり得ん、セレストリュールにはBランク以上の魔法適正者が常駐している!その者の探査にそのような万を超える魔物の群れが引っかからぬ訳がない!・・・・・・いや、その魔法適正者すらも私に反旗を・・・・・・?」
「俺の考えは違う。これは俺の勘だがあんたは人々に好かれる賢王で反旗を翻される愚王ではない。あの状況で見るとあの兵士たちの目は明らかに正気ではなかった。まるで何者かに操られていたようにな。そして魔物の群れには恐らく存在を隠蔽する結界が張られている。ただの魔物がそんな結界を張れるとは思えない。その為この群れは人為的なものと考えて良いだろう。この魔物と王宮内での反乱。あまりにタイミングが出来すぎている。この2つの事柄は無関係ではあるまい。加えて自分で言うのもなんだが強者である俺を警戒していた様な口振りの奴がいた。確かピュレオにシュウはまだ来ない、というような事を言われていたらしい」
久しぶりに長々と話した。これでユークリゥドに言われた事はこなしたな。後は俺の用件だ。
「俺が今日来た理由は魔物の群れの話をするためではない。魔物の話はあくまでついでだ。本題はSSSランクへの昇格をあんたに認めさせるためだ」
特別なりたい訳ではないがと心の中で付け加える。
「SSSランク!?・・・・・・いや、当然か。あれだけの兵を相手に息すらも乱さぬ。しかしこのような危機的状況で判断は難しいな」
おそらくヘブロス王はことが治ったら改めて検討するとでも続けて言おうとしたのだろうが俺が先んじた。
「今回の魔物の群れの件、俺に任せてほしい。魔物を掃討又は撃退で俺のSSSランク昇格を認める。どうだ?」
ヘブロス王が目を見開く。
「なんと。良いのか?通常では虹龍よりもワンランク下である閃龍や既にSSSランクの者と決闘をさせてその者に見極めさせるというのが一般的だ。しかし、今回の群れを先程クライドに魔鏡で見させたが2体ほど虹龍が混ざっていた。そのうちの1体は何やら黒いオーラが立ち昇っていた。恐らく虹龍の中でも強力な個体と考えられる。これではSSSランクでは割に合わない。正式に任命するのは少し先になるがXランクということでどうだ?各国の重鎮と協議する」
いつの間にか後ろに立っていたユークリゥドに魔鏡について説明を受けていたがユークリゥドがひゅう・・・・・・と気絶した為仕方なくヘブロス王に向き直る。
「Xランクでの利点は?」
クライドら王の護衛達が口をあんぐりと開ける。
「り、利点って・・・・・・。すっごくすごいことなんだよ!?私達でさえSSSランクなのに!」
俺は名誉だとか権力とかに興味はないからな。強敵と戦える状況や俺が楽しいと感じられるなら大いに興味があるが。
「なに、SSSランクと大して変わらない。ただ国家の危機に立ち上がることが少々多くなるだけだ」
(おい、ユークリゥド。いつまでも惚けてないで質問に答えてくれ。国家の危機に強い奴は襲って来るのか?)
(そ、それは強いのが襲って来るに決まってるじゃないですか!セレストリュールの精鋭ですら敵わないから国家の危機なんですよ!)
・・・・・・ふむ。なってみるか。退屈だったら逃走すればいい。
「分かった。Xランクにしよう。しかし退屈だったらすぐ俺は逃げるぞ?」
それはないと頷く王とその護衛(+ユークリゥド)。
「では此度の魔物侵攻の件、異世界より召喚されしシュウ・イチジョウに一任する!成功した際の褒美は強者との戦いへの優先権とXランクへの昇格、我々からの感謝だ!頼むぞ!」
貴族や幹部が聞いたら卒倒しそうな褒美だがシュウは
「分かってきたじゃないか。良いだろう、確かに引き受けた」
と嬉しそうに笑ったのだった。
「アリア、シュウ・イチジョウは此度の魔物の件片付けられると思うか?」
「はー、いい?ヘルゼン。あんたの目が節穴じゃ無いなら分かるはずよ。あんな圧倒的な戦闘見せられてまだそんな事が言えるような実力じゃないわ。・・・・・・正直シュウと相対するなら他のXランクとやりあった方がマシって思っちゃったわ・・・・・・」
フルウ、アリアなどヘルゼン王の護衛は全員SSランクを超えている。テータやクライド、ゾルトはSSSランクだ。その彼ら(彼女ら)が言うのだからシュウの実力は相当なものとして疑いない。
「そうか、そうだな・・・・・・。よし、ならばセレストリュールの心配はせずどのようにして各国の重鎮に対してシュウのXランクを認めさせるか考えるとしよう!」
ヘルゼンにとって護衛達は最早主従ではなく信頼出来る友だ。その友らが言うならば間違いないと違うことを考え始めた。まぁ、あまり話題から離れてはいないが。
「さて、こうして魔物の群れの前に堂々とやって来ましたがどう突破するつもりですか?シュウさん」
「どうも何もない。単純に実力で殲滅する」
どう突破するかという問いに殲滅すると答える事からまだ互いの信頼関係は充分ではないことが伺えるが双方実力は高い為あまり問題にならない。
「じ、実力・・・・・・。そうですよね。シュウさんなら・・・・・・。すみません、シュウさんの戦闘を見てなおシュウさんの力を疑ってしまいました。これからはシュウさんのことをもっと信じます。では、私も非力ながらお手伝いさせていただきます」
「ああ、そうだな。虹龍や他のSSSランクの魔物以外を頼む」
ユークリゥドが瞬きを一つし目を開けた時すでに理壊斬刃を発動させ八重桜を手に獅子奮迅の戦いをするシュウの姿があった。




