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初依頼受注

「貰ってきた」

そう言いながらユークリゥドにギルドカードを投げた。

「あ、あわわ!シュ、シュウさん!これは大事なものなんですよ!?簡単に投げないで下さい!」

そういえばそうだったな。再発行が面倒くさいとか。

「すまない。以後気をつける」

はぁ、分かればいいですが・・・・・・。と言いながらギルドカードに目をやったユークリゥドは驚きに声を上げた。

「え、えええっ!!ま、まりょ・・・・・・むぐぐ・・・・・・」

咄嗟に口を塞いでしまった。あのギルドマスターもこんな事で首を飛ばされたくないだろう。

「す、すいません。勝手に個人情報を漏らしそうになり・・・・・・。しかし、これはどういう事ですか?魔力が0だなんて。生物にはあり得ないはずです」

「神にでも聞いてくれ。それに魔法が使えなくても俺は戦えるだろう?確かコロは己に身体強化の魔法を全力で掛けてたらしいからな。それに勝ったなら戦えるんじゃないのか?」

それはそうですね。と呆気なく納得された。コロはやはり相当強い部類に入るようだ。

「それで、今日泊まるところなんだが」

今の俺はSランクとは言ってもまだ依頼を1つもこなしていない為無一文だ。

「それなら大丈夫です。私が部屋を借りておきました」

「悪いな。この恩はいつか必ず返す」

「ふふっ、では待っていますね」

ユークリゥドが借りた宿は最低ではないが最高でもない。いわゆる『普通の宿』だった。

「夕飯は何がいいですか?ここは一階部分が食堂になっていてそこに行けば好きなものが食べられますよ」

「タルケが良いな。美味かった」

「タルケですか。私も好きです。では下に降りて頼みましょう」

下に行くと冒険者が沢山いた。何とか空いている席を確保(侵略)し、タルケを頼む。

「やはり美味い。初めて何回も食べたいと思える料理に出会ったな」

「元の世界では無かったのですか?美味しい料理」

「あるだろうが俺は知らない。ずっと山や道場で戦っていたからな」

そこから俺とユークリゥドは自らの過去の話をしていた。段々と周りの冒険者が上に上がっているのに気づきユークリゥドと俺は休むことにした。もちろん、部屋は別だった。


「おはよう」

早朝宿の裏庭で素振りをしているとユークリゥドが出てきた。

「おふぁようございまふ・・・・・・」

・・・・・・大分寝ぼけていたが。

それからしばらく素振りしてからユークリゥドを見るともう目が覚めたようだ。

「早起きだな。習慣か?」

「いえ、たまたまです。いつもはもう少し遅いですね。早起きなんて言ったらあなたもでしょう?」

「まぁな。しかし俺の早起きは幼い頃からの習慣だ」

そしてふと腕時計を見るともう7時頃だった。

「そろそろ朝食を摂りましょう。昨日の夜と同じ場所で食べられます。行きましょうか」

食堂に行くと既に冒険者が10数人いた。いや、2パーティーいた。俺とユークリゥドは普通のサンドイッチを頼んだ。

「シュウさん、周りの冒険者方のお話によると最近ツルクルの近くにあるサイハの森にてワイバーンの群れが発見されたそうですよ。シュウさんの初依頼にどうですか?」

ワイバーンか。確か師匠が貸してくれた児童書に出てきたな。

「待て、ワイバーンって空を飛んでるだろう!」

「飛んでますが何か?」

「俺に旋風で1匹ずつ仕留めろと?」

「あっ・・・・・」

どうやらユークリゥドは俺に魔力が無いことを失念していたようだ。結局ギルド会館に行き、ユルトに良い依頼を探してもらう事となった。


「ユルト、今暇か?」

ギルド会館に行くと手持ち無沙汰な様子のユルトが受付に座っていた。

「あっ、シュウさん!はい。冒険者の方々は皆さんワイバーンの討伐に向かってしまいまして。誰も依頼を受けに来られません・・・」

「そうか。なら魔法の使えない俺に出来る依頼を紹介してくれ。最初は俺もワイバーン討伐に行くつもりだったが空を飛ぶワイバーンとは相性が悪いとわかってな」

そ、そうですね。今探してきます。と言いながらユルトは走り去っていった。数分待つとユルトが戻って来た。

「幾つか見つかりました。まずマルスラの討伐40匹、Sランク。タルトバの捕獲3匹、Aランク。オベリドバチの毒針採取200本、Sランク。あとこれは難易度が高いのですが地龍の討伐、SSランク。これが今出来そうな依頼です」

「俺はまだSランクだぞ。SSランクの依頼なんて受けられるのか?」

質問するとユークリゥドが答えた。

「同ランクの者が2人以上で1つ上のランクの依頼が受けられるのです」

同ランク・・・・・・そうかユークリゥドはSランクだったな。

「なら地龍の討伐を受ける。手続きを頼む」

「はい、分かりました。では依頼の説明をさせていただきます。地龍が現れた場所はここから南東に1週間程のシュバリエ山の地下空洞。地下空洞はかなり広いので動きを制限される事は無いかと。そして地龍の情報です。体長は約5メートル、頭は通常時、攻撃時共に2メートル程の高さにあります。それと注意事項として最近シュバリエ山周辺で虹龍(こうりゅう)の姿が目撃されています。なので虹龍に出くわす、遠目に見つけた場合は全力でその場から撤退する事をお勧めします、との事です」

虹龍?聞いた事が無い。

「依頼の途中で他の魔物を討伐すればその分金がもらえるんだったな?なら虹龍を倒しても追加は出るのか?」

ここである程度金を貯めておけば後が楽だろう。

「確かに討伐に成功すれば出ます。しかし、虹龍の討伐はSSSランクの方々でも失敗するほどです。危険は犯さ無いほうが良いと思います。それに空を飛びますよ?虹龍は」

SSSランク級の化け物か。それに空を飛ぶ・・・。まぁ、その気になれば俺も空を飛ぶ手段があるにはあるんだが。

「分かった。虹龍と戦うかどうかは見て決める。後はもう連絡事項は無いな?」

「はい。お気をつけて」


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